久しぶりにお会いする弔問客に、来ていただいたお礼を言いたいのです。

 葬儀・告別式の開式30分ほど前に立会いで伺った時のことでした。
 ご喪家代表者の長男と最終的な打ち合わせに余念のない葬儀社の担当者が、ふと式場に入られた喪主の奥様にお声を掛けられました。
 「せっかくいらっしゃった方から、なかなかお話しするチャンスがないとよく言われます。今のうちにいらっしゃっている方にご挨拶されておかれた方がよろしいかと思いますが・・・」奥様はそのままロビーの方に向かわれました。
 通夜、葬儀、告別式とも読経が始まると一般会葬者の方はご遺族の方々と話す時間はほとんどありません。
 お経は参列者全員のご焼香が終わる頃まで続きます。
 特に通夜に出席された方はご焼香が済めばそのままお清めの席に案内されて、中々自由が利きません。
 担当者はご遺族の方が弔問客と一言2言でも言葉を交わせられるようにと、色々工夫をされるようです。
 一般会葬者のご焼香が始まるとご遺族代表が通路にならんだり、狭い式場では途中後ろの席の方と入れ替わったりしながらできるだけ弔問客と接触できるように工夫されるようです。
 ベテランの担当者になると、通夜は会葬者といかに目線が合わせられるか、お話ができるかが大事であるとタイミングを見計らって喪主の方をお清め所にお連れしてご挨拶をすすめる場合もあります。
 先日の無宗教葬の時は担当者の「献花の時、ご家族の皆様にお声を掛けていただければ幸いです」の一言にご遺族、弔問客共々はげまされたようです。

騒音に消されたお孫さんの弔文

 ご葬儀の立会いに伺って気になることの一つに騒音の問題があります。
 たかが音ぐらいとおっしゃるかもしれませんが、傍から見ていますと大丈夫かなと気を揉む場面に出くわすことも度々です。
 式場の構造にも問題がありますが、大中小と自在に利用できる代わりに仕切りが簡単で、しかも横並びの式場は隣の音が筒抜けになってしまいます。
 先日伺った無宗教のご葬儀では、お孫さんが大好きだったお婆様へ宛てたお手紙を読み始めたクライマックスの時に起こりました。先に終わった隣の式場からの片付ける音と甲高い声にかき消されてしまい、肝心なお孫さんの声が周りに届きません。騒音防止のためにマイクが使えないのが更に残念でした。
 少し前のことでしたが、隣の式場からの読経の声でこちらの式場の読経の声が聞こず、ご喪家やご親戚の方々が戸惑われた事もありました。お隣はマイク付きの3人の読経に加え笛や太鼓での大音響です。場所や周りを見て少しは考慮してほしいものです。
 
 無宗教葬などで静かな雰囲気を創りたい場合は式場選びも重要なポイントになりますが、葬儀を司る側の配慮も必要です。プロも「慣れ」には気をつけたいものです。

ベテラン担当者の采配ぶり

 葬儀担当者は目の前の困難があればあるほど燃えるようです。
 無宗教葬の告別式に立ち会った日、お会いするなり、「今日は桐ヶ谷斎場までの途中が混み合うので少し早めに出発します」とのことでした。
 ご家族親族10名のみのご葬儀と伺っていましたが、開式30分前すでにかなりの会葬者がお見えになっている様子。
 私の浮かない顔をみるや、担当者は「実は家族葬ということでしたが、昨晩の通夜は80人以上お見えになり、お食事時間をできるだけ遅らせる作戦に出ました。ご焼香の後、柩の蓋を開け、お別れ会につなげました。献花用のお花は急遽生花をちぎり、会葬者全員にお渡しし、お1人ずつそれぞれの思いを込めて柩に語りかけ、最後のお別れをしていただきました」。
 こちらの式場はお清めの部屋とぶち抜きのような感じになり、応用が利く使い勝手の良い式場と普段持ち上げていたところですが、間が悪いことに、今回はそれが裏目になってしまったようです。お食事は25人分しかありません。なんとしてもお清めのほうに行かせないように。ご喪家に恥はかかせられません。
 結果この日しか来れない人の為にお別れの会は功を奏して、時間は19時半過ぎまでかかり、会葬者は心の満足感を味わったようです。勿論、お食事も十分間に合いました。
 告別式も弔辞を読む方々にご喪家の形式ばらない式にしたい旨をお話しすると、皆さん胸ポケットに原稿を仕舞われ、遺影に向って思いの丈を話されたようです。
 時間が進むにつれ会葬者も更に増えてきました。一般のご焼香も皆さんゆっくりと進み、思わぬ時間が掛かっています。担当者はお別れの儀に入るやいなや柩を前に出す作業から始め、すぐに一旦ロビーに出ていたお身内の方に入っていただき、柩にお花をいれていただきます。時間との戦いでしたが、それは内輪での話し。式はあくまで悲しみの中にも、ゆったりとした時間が流れています。一般会葬者の方々も昨日同様献花で最後のお別れです。奥様の最後のご挨拶「24年間どうも有り難う」で締めくくられ出棺となりました。時計はなんと定刻5分前。手際のよさとベテランの意地を見せていただきました。

お清めは読経後にお願いします

 以前、神奈川県大和市にあります大和斎場に立会いで伺った時、式場入口脇の看板に書かれた「厳粛な儀式を行うため、会葬者の通夜のお清めは読経終了後とさせていただいております」の文字を見て思わず頷いたものでした。
 仏式の通夜の場合、一般会葬者はご焼香が終ると、式場から退場し、お清め所に誘導され通夜ぶるまいを受けます。
 先ほどまで沢山の会葬者に見守られていた式場も御家族・親族だけになり、一気にガランとした雰囲気になるのは否めないようです。
 ご焼香が済んだのだからと言えばそれまでですが、脇で立会っている者から見るとせめて通夜式が終るまで集まった方々と故人が共有の時間を過ごせないものかと思っていた折でした。
 式場担当者に伺うと、こちらの思惑とは多少ニュアンスが違って、式場とお清め所が隣接しているため、ご家族が悲しんでいる時、隣で騒いでいるのは如何なものかということから通夜ぶるまいは読経後となったようです。
 理由はともあれ結果、大多数の参列者が式場に残り、通夜の読経が終るまで一緒に故人を偲ぶことができ、好評とのことです。
 一方の無宗教葬やキリスト教葬の通夜では、式の最初から最後まで会葬者全員が共通の空間で悲しみを共有することができ、その点では参列した人の感銘度も高いように伺っています。
 
 

ご喪家代表のご挨拶

 出棺前、喪主の方が代表して会葬にいらっしゃった方々にお礼の言葉を述べるという一般的な儀式の多い中で、最近は故人の死に至るまでの経過報告をなさるケースが出てきているようです。この場合は喪主というよりは身近な奥様やお嬢様からの報告になります。わざわざお忙しいなかを時間を割いて来て頂いた友人や教え子に、本当のことを納得いただけるようにお話したい、またお話しする義務があると意を決して話されるようです。
 病に倒れてからの生活ぶりや病状の変化、周りの状況をつぶさに報告されたり、あるいは出来ればそっとしておきたいと思われることまで包み隠さずお話しなさることもありました。お話しすることで、久しくお会いできなく心残りだった友人知人も納得し、一斉にほっと肩の荷を降ろすことができるようです。
 若年性のアルツハイマーに苦しまれ、最後奥様やお母様の手を振り払って家を飛び出し自ら命を絶ってしまわれた方の場合も、奥様が気丈に新たな決意を秘めて仔細に報告なさっていました。
 限られた時間の中、5分~10分は費やされるので葬儀社の担当者は時間調整が大変ですが、皆さん1度として時間の催促することはありませんでした。
 異口同音に「心ゆくまでお話しをさせることがこのご葬儀では必要なことなんです」と担当者の心遣いの一端を語ってくれました。
 よく、葬儀はあくまでご喪家主体のものであると言われていますが、傍から見ているとどうしても葬儀社主導で儀式を静々と進行させているようにしか見えないことが多いものです。
 そんな中、決意を秘めたお話しぶりで一気にご喪家主導の葬儀に切り替わったようにも思われました。

無宗教葬 その4 兄弟の反対を押し切って・・・

 故人は都内で長年、ジャズ喫茶をやっていらっしゃった方でした。
 当方が立会いに伺ったのは告別式でした。前日の通夜の様子は葬儀社の担当者から聞きました。式場の臨海斎場は火葬場が併設され、都内5区で運営されている斎場です。音楽葬の為制約があり式場候補の中から消去法でこちらに決めたいきさつがありました。かなり利用頻度の高い式場なので待たされるのを心配しましたが、友引の日ですぐ予約がとれ、しかも隣の式場が空いていたので、多少の音も目をつぶることができたようです。
 喪主の奥様は無宗教の音楽葬でという故人の意思を尊重し、昔からのジャズ仲間を中心にご兄弟、ご親族の方々に集まっていただきました。
 担当者も色々工夫し、献花台を正面に置かず、わざと右側に置き、献花をしてから正面の柩の故人とゆっくり話をしてもらう方法をとりました。その左側には思い出コーナーを創り、ご対面後故人との思い出の写真や品物を見て頂くような流れを創ったようです。
 感極まったジャズ仲間が飛び入りで持参のトランペットを吹き、皆の熱い思いは尽きないようでした。
 一方のご親族は式の始まるまで無宗教葬に難色を示し、特に故人のお兄様は大反対でした。しかし、仲間の深い友情を目の当たりにして、ついに通夜の最後の挨拶では涙ながらに「こんな素晴らしい通夜は初めてだ」と感激していらっしゃったそうです。
 翌日の告別式は御家族、ご親族のみの見送りになりました。ジャズが静かに流れる中、お身内同士のおしゃべりが弾んでいました。30分遅れの献花に始まり、柩を囲んで最後のご対面をしていただきましたが、式の間中しばしゆったりとした時間が流れているようでした。
 火葬を待つ間、2階のお清め室ではお食事会となります。
 奥様に向ってお兄様のご挨拶から始まりました。「これからもどうぞよろしくお願い致します」。

最近の無宗教葬 その2

 仏式、神式などと異なり無宗教葬での通夜・告別式は通常まずご喪家側から無宗教にしたいきさつをお話しし、会葬者にご理解を頂くことから始まります。
 通夜・告別式とも内容的には似ていますが、告別式はどちらかといえばお身内の方が中心になりますので、より家庭的な雰囲気の濃いものになるようです。

 故人が生前好きだった音楽を流したり、献花をしていただいたり、近親者が思い出を語るというやり方が多い中で、昨年大変印象的な無宗教葬に立ち会いました。
 通夜の席、祭壇に手を合わせた後、100人以上の会葬者お1人ずつがマイクを片手に柩の故人に語りかけました。
 長い沈黙のあとぼそっと一言話す方、出会いから現在の心境まで詳しく話す方、涙声で聞き取れない方、皆さんそれぞれ最後のお別れです。
 故人と向き合ったお1人お1人の言葉はどんなに短くても、パーソナルな関係からその人となりが出て、次第に一つのドラマになり、式場全体に一体感が生まれて来るようでした。目を閉じて聞いていると故人の世界が広がり、面識が無いのにいつの間にかこちらまで、旧知の間柄のような錯覚さえ覚えてしまうほどでした。
 ご遺族のお子様達も「私たちの知らなかった父の一面を知ることができました」と感激の面持ちで涙ぐんでいらっしゃいました。

最近の無宗教葬その1

 葬儀ご相談の全体数からみるとまだ少数ですが、無宗教葬でという方が増えてきています。
 現実にはまず菩提寺がある場合は納骨の問題をクリアーしてからでないとなかなか難しい状況です。ただ、菩提寺が遠方にあり、東京では無宗教葬にして、郷里の菩提寺で改めて納骨式をすることでお許しを得ていますという場合も時々あります。
 信仰心が無いから無宗教でいうのではなく、実際におやりになる方の場合は、逆にはっきりした信念をお持ちの方が多いように思われます。限られた時間をどのように使うか担当者とご遺族の共同演出の出番です。請け負った葬儀社のレベルが試されることにもなるようです。

調布市にある金龍寺大雲閣での会葬者多数の無宗教葬に立ち会いました。

 会葬者150名ほどの無宗教での通夜に立ち会いました。

 秋田に菩提寺がありましたが、納骨法要等は通常通り行なうことでご住職に納得していただき、こちらでは無宗教でお願いしますとのことでした。改めて確認をとりましたが以前お母様の時にも問題がなかったので今回のお父様も同じ様にしたいとのご要望でした。

 故人はジャーナリストで交友関係が広い方でしたが、ご高齢なのでご喪家としては会葬者数が絞りきれず、一般会葬者数を50名ほどとして見積りを出していました。
また、最初の見積りでは多磨日華斎場を想定していましたが、亡くなられた時点で1週間先まで塞がっている状態でしたので、日程を優先してご自宅近くのこちらの斎場に決めたいきさつがありました。

 通夜当日は1時間前くらいから友人が続々と詰め掛け、連れ立って故人との対面をしていらっしゃいました。柩を取り囲み祭壇の写真と柩の中の顔を見比べながら「笑顔を取ればそっくりそのままだなあ」と見入って、暫したたずんでいらっしゃいました。

 無宗教での通夜はお別れの献灯から始まりました。まずご喪家の皆様お一人ずつ灯りのついた小さなキャンドルを祭壇前のテーブルに置き、手をあわせました。次にご親族の方お1人ずつが大きなキャンドルを手に持ち、祭壇前のテーブルに置かれた小さなキャンドルに点火していきました。

 ご親族の献灯終了後は、黙祷、喪主のご挨拶へと続きます。

 その後は、お父様の古くからの友人や交友関係がよく分からないので直接対面してお声をかけて欲しいというご喪家からのご要望に沿って進行することになりました。会葬者は祭壇に向かい手を合わせた後、お1人ずつマイク片手に故人とご対面し、顔を覗き込みながら話し掛けていました。中には言葉にならず、しばし絶句する方もいらっしゃいました。長い間闘ってきた同志の結束には特別な感慨があるようです。

 故人の人となりが伝わる様な式になったように思われます。予定の会葬者の倍以上の友人知人が集まり、翌日の告別式にも遠方から多数駆けつけたという報告も聞きました。

 依頼者も友人の温かさを感じ「私たちの知らなかった父の一面を知ることができました」としみじみ語っていらっしゃいました。

 特に今回葬儀社の担当者、進行役のナレーターともに女性で、男性は後方支援に回り、柔らかな物腰とさりげない気配りでの連携プレーが際立ったようです。一般会葬者席がすぐに一杯になり席を次々に増やし親族の席にもお座りいただいたが、そっと近づき遅れていらっしゃったご親族、一般会葬者お1人ずつに手短に説明し、親族にはキャンドルを、一般会葬者には柩とご対面していただくことをきちんと区分けしていました。

 翌日の告別式は献灯に代わりフラワーボックスにお花をさす献花になりました。柩には友人知人の思いが込められた沢山の色紙が入れられ、ご遺体はご自宅の前を通って火葬場に向われました。

神奈川・茅ヶ崎市斎場での家族葬に立ち会いました。

 茅ヶ崎市斎場での会葬者15名ほどの葬儀・告別式に立ち会いました。ご喪家のご要望は祭壇の花を多くして見映えよく、しかもできるだけ費用を抑えてとのご注文でした。式場費が安く使い勝手が良いということから葬儀社の担当者はこちらを紹介したそうです。

 式場内の祭壇を置く周りが大理石でどっしりした感じなので家族葬用のこじんまりした祭壇も思わぬ効果を出しているようです。

 予定の会葬者15名のうち9名しかいらっしゃらなかったが式は定刻どおり始まりました。定員75名の式場なので真ん中だけ使用と言う形になりましたが、式場を少し暗くして照明を2灯両サイドから照らしたので、思いのほかガランとした雰囲気にならなかったようです。

 葬儀告別式が終わり繰上げ初七日の法要も終わろうとする頃、急に入口付近がざわつき1家族6名が飛び込んできました。日曜日で途中車の渋滞に巻き込まれ、にっちもさっちもいかなくなってしまったようです。取る物も取りあえずご焼香を済ませた皆さんはほっと安堵の表情を浮かべていました。

 最後のお別れ、お花入れの儀では後から駆けつけたお孫さん達が目を真っ赤にして柩のお祖母様にお花を手向け話しかけていました。傍で見ていても「何はともあれ間に合って良かった」と胸を撫で下ろしました。ストレッチャーに乗せられた柩が式場を後に火葬場に向う為長いエントランスに出ました。後に続くと雲ひとつ無い真っ青な空と小鳥のさえずりがいきなり目と耳に飛び込んできました。