直葬を議論することで自分のこれからが見えてくる・・・。

 先日、アンケートをお願いするために10日ほど前にご葬儀を終えた方々の書類に目を通しながら思わず「アレッ」と叫んでいました。
 5名様の内4名様が直葬の方でした。
 昨年から今年に掛けて直葬が増えてきたとはいえ、センターではまだ1割ほどでした。たまたま偶然とは言え、現実味を帯びてきたようです。
 但し、4名様のご事情は様々でした。

 この直葬に関して昨年「早くも東京では3割になった」と話題がマスコミに出始めた頃ラジオ番組でも早速取り上げられ、喧々諤々とやっていたことが思い出されます。
 今年3月いっぱいで終了してしまったTBSラジオのバトルトーク番組アクセスでは聴取者を交えて様々な方の意見が交わされ、「これから」を考える良い機会を与えてくれたように思われました。

 司会者のお寺はお葬式の意味を説明してこなかった責任は重いとの問いかけに、タクシーの運転手さんはお金をそぎ落としてしまえばそれでよいのか疑問があると言う。「菩提寺のご住職がご葬儀の意味を教えてくれたので、それを考えると簡素化に走るのは如何なものか」。

 また、4年間にお身内の方3人を見送った方は直葬に賛成とのこと。現実ご葬儀では悲しんでいる暇はない。
「病院で多額のお金を使い果たし、最後のとどめにお葬式が控えています。そのお葬式も葬儀社が取り仕切るようになり、便利だけれども葬儀社の言いなりです。無事収めたいが為に、それなりに良い祭壇をと思いますよね」

 70代の方は「世の中殺伐している風潮と同じだ。独り身だけれど沢山の人の世話になりました。昔の人は老支度といっていざという時困らないように貯めていますよ。お葬式はできるだけ多くの人に立ち会ってもらいたい。誰かがちゃんとやってくれるだろう。それが人の世だ」と。
 同じ世代でも「私の場合は一切葬儀をするなと家族に言ってあります」ときっぱりおっしゃる方もいらっしゃいました。
 葬儀社の方、お寺関係の方も交え白熱した議論の結果に聴取者の反応は、葬儀の簡素化に賛成57%、反対18%、どちらとも25%とのことでした。
 こういう機会が今後も度々あることを期待したいですね・・・。

直葬も遠慮せずに事前に見積りを取ることから始めましょう。

「直葬で○拾萬円なんてぼりすぎよね」いきなり電話口での迫力ある言葉に思わず言いよどんでしまいましたが、確かに少し高すぎます。
「先月、友人がお母様を見送った時、ご葬儀の式を挙げずに病院から火葬場に直行し、荼毘にふされただけなのにこのお値段。何にそんなにかかるのかしら?テレビで見た直葬の値段は1/3位だったわよ」
1/3はちょっと疑わしいが、こちらも思わず明細を知りたくなるような金額です。

「うちも入院中の母のことを考えると直葬になるので、調べておきたくて電話したんですが・・・」
お話を伺っていくと病院付きの葬儀社さんで、柩の値段が通常の倍近くになり、一つ一つの項目が少し高めに設定されているようです。
「家族が亡くなり、通常の神経でいられない時に見積りを見させられても分らないじゃないですか。金額もその位かと思ってしまいますよ素人には。後になって後悔しても始まらないですよ」。ごもっともです。
 そうです。まずは事前に見積りを取ることから始めましょう。
 直葬だからと遠慮されずに。

直葬は様々な顔を持っている・・・。

 昨年来からマスコミでも取り上げられ都会を中心に増えてきた直葬。
 火葬のみと言われ、通常の通夜、葬儀・告別式を省いて死後24時間を経たご遺体を、直接火葬するやり方ですが、一口に直葬と言ってもお別れの仕方は様々です。

 例えば、こちらで火葬にされ、ご遺骨で地方にお帰りになってご葬儀をされる方。
 病院から一旦ご自宅に戻り、最後の夜をご家族に見守られ過ごされる方。
 ご自宅での最期を迎え、そのままお迎えに来るまでご家族とご一緒の方。
 病院から火葬場に直行され、お別れ室や炉前であわただしく読経しお別れをされる方。
 病院から一旦葬儀社の安置所に搬送され、安置所でゆっくりお別れができる方と千差万別です。
 
 一昨年位までは特別なことのように思われていた節がありますが、テレビ・ラジオで盛んに紹介され、世間に認知され始めると瞬く間に広がり、葬儀社によってはかなりのパーセントを占めるとまで言われています。

 当センターでも直葬を望まれる方が目立ってきて、アンケートで頂いた回答の中にも、様々なご事情が伺えます。
 生後間もないお子さんをご自宅で亡くされた方は、よく分らないことばかりだったので葬儀社の担当者に相談に乗ってもらい、少しおせっかいくらいに親身になって貰ったとのこと。
 また、通夜、葬儀は青森のご実家で執り行うので、火葬のみにされた方。
 長年の介護で手元資金の余裕がなく、ネット検索で費用負担をかけずに行う為の相談窓口としてご相談された方。
 50万円のお布施代はお出しになったが、葬儀社に無駄な費用は払いたくないとおっしゃる方や特別室での火葬、大理石の骨壷にこだわった方。
 形ばかりが先行する葬儀のやり方にどうしても納得がいかず、最も身近な者だけの義理のない、静かで安らかな気持で見送りたいという思いを担当者が汲んでくれ、それを実に的確に捉えてことを運んでくれたことに感謝している方等、都会生活の縮図がそのまま映し出された形が見えてくるようです。

今年センターがお受けしたご葬儀を振り返って・・・。その2

一般的な話題としてタブー視されていたご葬儀に関することが、今年2月に映画「おくりびと」の米アカデミー賞・外国語映画賞受賞を機にマスコミがこぞって紹介したこともあり、お茶の間の話題に乗る機会が増えたことは大きな変化だと思います。
まずは関心を持ち、心に留めていただくことが第1歩ですから。

その影響もあり、都会を中心に急速に広まりつつあるのが、火葬のみの直葬と呼ばれるご葬儀のやり方です。
当センターでも昨年に比べるとぐんと増えてきています。1年間の集計を見ると約1割程ですが、来年はさらに増えることが予測されます。
不景気の影響もありますが、ご葬儀の選択肢として成立することが報道され、以前執り行ったご葬儀への反発から、ご本人様の意思で行わないという方も増えてきています。

また、最近はご高齢でお亡くなりになる方が増えるにしたがい、お知り合いの方もご高齢等のため、ご家族だけで静かにお見送りしたい旨、あらかじめご近所や会社に事前報告されてもごく普通に捉えてくれるようになってきました。

旧態依然としていたこの業界も急速に変わりつつあります。
そこにはホームページの存在が大きく、情報を入手しにくかったこの業界を開放してきた大きな要因になっています。
当センターも来年に向け、さらなる情報をお届けできるよう様々な角度から切り込んで行くつもりです。
私(松)の担当は今年最後になります。
少し早めですが
よいお年を!

来年もよろしくお願い申し上げます。

ご両親に葬儀はいらない、直葬でやってくれと言われたら・・・。

 最近は都会を中心にご葬儀を省いて病院から火葬場に直行される方が増えてきています。ご遺族側の事情でご希望される場合が多いのですが、時として、葬儀はするなと言うご両親の意思を尊重しつつも戸惑われ、ご相談される方もいらっしゃいます。
 以前、直葬のことがマスコミで採り上げ始めた頃、お元気なご高齢の方が自分の時はぜひ、このやり方でお願いしたいと事前見積りを取り、ご兄弟の方にもお薦めされていらっしゃいました。
 いざという時には息子さんにこの見積りを見せて、葬儀社に連絡してもらうとのことでした。
 従来のご葬儀に疑問を投げかけ、無宗教でご葬儀無しを貫きたいという硬い意思をお持ちの方ですので、きっと息子さんを説得されることと思います。
 
 しかし、残されたご遺族が戸惑われるケースが多いのも事実です。
 先日お取りした見積りでも、始めは通夜・告別式は不要というお母様のご希望から、火葬のみと一応チェックしましたが・・・。読経は知り合いのご住職にお願いしますとのこと。お墓はすでに霊園にあり、お母さまは戒名にこだわりをお見せになっているとのことで戸惑いぶりが文面に読み取れました。
 
 直葬の場合の読経は火葬場の釜前でご焼香をしている間の4~5分しかないこと、病院からご自宅に搬送されるのであれば、ご住職にご自宅に来ていただき枕経をされては・・・。戒名にこだわっていらっしゃるからには矢張り仏式できちんと読経された方がよろしいのでは・・・。
 また、式場確保が必要になりますが通夜をはぶいて、1日葬という方法で読経されるもあるとの提案もいたしました。

 色々と考慮されましたが、ご予算との兼ね合いで、矢張りお母さまの意思を尊重して
 火葬のみにし、ご自宅ではゆっくりとご家族と最後の夜を過ごされました。 
 

葬儀のご相談から、色々なことを考えさせられます。

 最初のお電話は「ごく内輪で1日葬ができる葬儀社を紹介してほしい」とのことでした。
 今や都会を中心に大方の葬儀社では通夜無しの1日葬を取り扱っていますが、現実予算面では斎場側の多くが2日間単位の使用料になっているのが現状です。
 そのために、葬儀総予算に関しては通夜のお清め代とスタッフの人件費が削られる位で、むしろお忙しいご親戚の方、はたまたご高齢の方に2日にわたっておこしいただくことを考慮された実利面優先のご葬儀と捉えられています。
 また、お話を伺っていく中で菩提寺があることをお聞きし、菩提寺のご住職が難色を示される場合があるので、事前にお知らせされることをお伝えしておきました。
 
 暫くして、次に頂いたお電話ではご家族だけで見送ることに変更したので、お葬式はせずに、直送の場合はどのようになるのかとのお問い合わせになりました。
 病院から直接火葬場に搬送され、24時間以降に荼毘にふされますが、最後のご面会は炉前でのお花入れをもってしても数分間というお別れになってしまいます。
 お別れがほんの少しだけというのを気にされていました。
 
 どうされるのか気になっておりましたが、やがて、3度目のご連絡がありました。
 ご住職にご相談され、火葬場併設の斎場で通夜、告別式を営み、お見送りをしたいが、ご家族のみなので祭壇を始めお食事等は一切いらないとの申し出でした。
 イレギュラーなご相談でしたが、センターの賛同社からは承諾を得ました。
 しかし、斎場関係費が通常価格ですので合計額は最初に見積りした祭壇を含めた1日葬よりも高めになってしまいます。
 あわてて、そのことを申し伝えましたが、電話口の晴れやかな声の主は「それよりも、2日間の読経は全て意味のあることですので・・・」
 
 人を見送る意味を考えさせられた一瞬でした。
 

「自分の生き方として直葬を選びます」

 「火葬のみをすごく安い値段で引き受けているところがあって、挙げ句社員があちこち走りまわりヘトヘトになっても収益に繋がらなくて大変みたいですよ」
 ある葬儀社の担当者から聞いた話です。
 勿論ボランティアではありませんから、他からの利益はあると思いますが、これではうっかりすると荷物運びと同じになってしまわないか、サービスは二の次になってしまわないか心配です。
 
 2~3年前から都会を中心に家族・親族のみでお見送りする家族葬が盛んに言われ、最近ではご葬儀なしで火葬場に直行する直葬という言葉が新聞雑誌等にも盛んに見受けられます。
 これに対して眉をひそめる向きもいらっしゃいますが

ラジオでバトルトーク「直葬に賛成 or 反対」

 先日TBSラジオのトーク番組でいまどきのお葬式事情を取り上げていました。
 夜10時からのバトルトークラジオ「アクセス」では最近の東京及び近郊では読経だけして火葬場に直行型の直葬が増えていることを提起していました。
 確かに、ご家族ご親族だけの家族葬に交じり、ポツポツと火葬のみのご依頼も増えています。
 ご家族お一人でお見送りする方から、十数人でお見送りする方まで様々ですが、式場は使わずに、安置所から直接柩を火葬炉に納めた後、火葬炉前でお経をあげてもらいその間最後のご焼香をします。お経は10分程度です。
 (但し、公営の火葬場で火葬炉前読経ができないところもありますのでご注意ください。)
 このご葬儀の仕方が賛成か否かを番組の会員に問いたところ、賛成57%、反対が18%、どちらでもないが24~25%という結果になりました。
 聴取者参加番組ですので、専門的にならず、聴いているほうも頷きながら、また反論を口元で抑えながらテーマは重くても気楽に参加できるようです。

 直葬が増えた背景には有名人のご葬儀も近頃内輪だけで、時には直葬の形で行なわれる報道をみて一般の方も追従しているとか、また金銭的な問題も取り上げていました。

 直葬に賛成の方の意見は、身内の方を見送った時、葬儀社が全般を取り仕切り、菩提寺からはお布施を要求され悲しんでいる暇もなかった。
 昔は隣組がやってくれ、香典でまかなえていたのが、今は病院で多額の費用を使い果たし、最後のとどめにお葬式がひかえています。
 通夜から告別式を無事乗り切りたいがために、それなりの祭壇をと思いますので、と話されていました。

 一方の反対組は費用面が大きいと思うが、葬儀にお金だけをそぎ落とせばそれでよいのかと疑問があります。菩提寺の住職からご葬儀の意味を教えてもらい、簡素化に走るだけでよいのか疑問が残りますという。また、高齢の方は大病して多くの方にお世話になりました。昔から老い支度といっていざという時困らないように貯めていますとのこと。
 その他葬儀社勤務の方、僧侶派遣業の方の立場でのお話も伺え、様々な問題が浮上してきます。
 簡素化の波は速度を増すでしょうが、直葬一つ取っても世相とは切り離せない時代になってきたようです。

「火葬のみ」で掛かる費用とは・・・・。

 病院から一旦ご自宅にお帰りになり翌日火葬場へ向かう方、ご自宅以外の安置所から火葬場へ向かう方、病院から直接火葬場の安置所へ向かう方、火葬のみの方も丸1日それぞれのドラマがあります。
 火葬のみに掛かる費用も火葬場の告別ホールでの読経代を含めて都内で30万円近く掛かると聞くとびっくりなさる方もいらっしゃいます。
 火葬するだけになんでそんなに掛かるのだろうとおっしゃる方のために2~3の例を挙げてみます。
 
 火葬のみを施行するに必要なものとしてはまず、お棺、収骨容器、施行管理スタッフ費、写真代、ドライアイス代、寝台車代、吸水シーツ代、遺体保管料、お別れ花代、火葬料、お心付け代、お布施・お車料等が挙げられます。
  通常の祭壇コース等では施行管理スタッフ費用をコースの中に含んでいる場合が多いようですが、火葬のみの場合は別料金になります。お別れ花は最後棺に入れるお花のことです。
 都内と周辺の神奈川、千葉、埼玉では火葬料の違いから料金に差が出てきます。
 お棺からお別れ花までの費用としてざっと見積って17万円前後掛かるようです。たとえばお棺が5~6万円、収骨容器が約1万円、施行管理スタッフ関係2万円~3万円、写真2万5千円、ドライアイス1日6,500円、寝台車代2万円、吸水シーツ5千円、遺体保管料2万円、お別れ花1万円等。 この中でさらに省くことができるのは、写真代(ご自分で用意しておく)、お別れ花代、お布施・お車料あたりになります。
 省くことができない火葬料と心づけは都内の場合で約6万円ほどになりますが神奈川、千葉、埼玉ですと公営になりますので3千円から1万円程度で済みます。
 お布施代は告別ホールや火葬炉前にての読経代で約6万円ほどだそうです。
 葬儀社によっては手続き等の用事を含め1日ではできないためにスタッフの人件費を2日分取る所もあります。
 

「火葬のみ」のお別れの仕方

 少し前頃ですと葬儀・告別式をせずに火葬のみというのはまれで、何か特別な事情でもおありになるのかと一瞬でも伺う方にもためらいがありましたが、最近では相談に乗る機会がかなり頻繁になってきました。
 状況が以前とはかなり様変わりをしてきたように思われます。
 経済的理由だけでなく、故人の意思を尊重する形も増えてきたようです。
 先日、当センターのスタッフがお受けしたのもそのような1件でした。
 病院での長患いのため、1度ご自宅に帰り、翌日火葬にしたいとのご遺族の要望でした。
 久しぶりにご自宅にお帰りになった夜は、故人を囲みご家族皆さんで積もる話をされ、1晩ゆっくりなさったようです。
 翌日午後火葬場には遠方からのご親戚も集まり、告別ホールでの短い読経で最後のお別れをした後、ご遺体は火葬へと移されました。
 
 火葬のみの場合は最後のお別れの読経も告別ホールあるいは火葬炉前と火葬場により違ってくるようです。
 読経時間も5分以内から相模原市営斎場のように15分から20分位までできるところもあります。
 大方は告別ホールで最後になりますが、八王子市営斎場のようにお花入れや読経を火葬炉前で行うことができるところもあるようです。