直葬でもゆっくりお別れがしたい。

ご葬儀のご相談で「直葬」という言葉を耳にしてから、大分時間が経ちました。

 当初はご葬儀の儀式無しで、火葬場へ直行する戸惑いもありましたが、一方でご葬儀の価格を抑えたいご要望が根強く、たちまちブームの様相を呈する程の話題になりました。

「そのようなことが可能でしたら、自身の葬儀は直葬でお願いしたい。周りに迷惑をかけたくないので、今は元気だけれども生前予約をしておきたい」と、経済的な理由だけでなく、ご自身の意志でどのようにしたいか決めたいと、ご自身のご葬儀の概算見積を希望される方が急増したのも、丁度この頃でした。

 あれから、7〜8年経ち、「直葬」は都市部を中心に、ごく普通に執り行われ、すっかり定着した感がありますが、同時に、「儀式は行わないが、ゆっくりお別れはしたい」と、個々の諸事情に照らし合わせたご要望が、多く寄せられてくるようになってきました。

 以前は病院でのご逝去の後、安置所にご安置され、お見送りの方は火葬当日30分程前に火葬場にお越しいただき、炉前でのお花入れ、読経等10分程の最後のお別れをされる方がほとんどでしたが、お別れはゆっくりしたいとのご要望も寄せられるようになり、限定はされますが、葬儀社さんの中には、できるだけご希望に添えられるよう、あれこれと検討されるところも出てまいりました。

 直葬でも、ご逝去後、病院からご自宅に搬送され、ご自宅でゆっくりお過ごしになり、火葬場へ行かれる方は問題ありませんが、先日お受けしたご相談者の場合は、病院近くにある斎場でのご安置をご指定され、今までご家族離れ離れでしたので、最後の一晩、ご家族皆様で付き添い、翌日の火葬をご希望され、付き添う場所はどこでも構わないので、安置料だけで賄いたいとのご希望でした。

 ご要望の斎場が、当センターの賛同社でもあり、問い合わせましたところ、こちらでは、ご家族で1晩中付き添う形になりますと、式場にご安置
されますので、通常の式場費が必要となるとのこと。

 難しい状況でしたので、ご相談者には事情をお話しして、お住まい近くの、式場・安置所所有の賛同社2社に問い合わせましたところ、ご家族には2階のご家族用和室控室をご用意し、2階の式場が開いている場合は式場にご安置しますが、式場費ではなく、宿泊料として2万円程いただくとのこと。
 また、他の賛同社からはやはり、一晩付き添われるには式場にご安置され、一晩の式場費5万円程になるとの各社それぞれのご返事でした。
 
 残念ながらお住まいのお近くで、ご家族が一晩付き添い、式場費や宿泊費がかからない安置所は難しい状況でしたが、後日、他市の賛同社に伺ったところ、ご要望にぴったりな賛同社もございました。
 こちらは式場ではなく、広い和室にて「付き添い安置」という形をとり、ご自宅で過ごされるように、お線香をあげて、一晩中付き添い、翌日には火葬ということが可能で、しかも、お部屋代は無料とのこと。

 直葬を例にとりましても、ご相談者の様々なご要望に対して、葬儀社さんも、暗中模索をしながらも、時代のニーズにあわせて、臨機応変に対応されていらっしゃる方も、お見受けしておりますので、場所により、様々な条件もありますが、少々ご無理なご要望かと思われても、解決できる場合もございます。

 まずはご相談されてみてはいかがでしょうか。
 当方も、ご一緒に勉強させていただきます。

直葬にも色々ございます。

「やっぱり、相談してよかった」
 電話の向こうから、ぼそっと独り言のような声が聞こえました。

 金銭的な問題もからみ、少々考えあぐねていらっしゃるご様子で「火葬のみだと雑に扱われると聞いていますが・・・」との問いに「そんなことはありません。それぞれのお見送りの仕方があり、お気持ちですから、どれが良いか悪いかではありません。少なくとも賛同社の担当者に限ってそのようなことはありませんので、ご安心ください」
 思わず語気を強めてしまった後でしたので、ほっといたしました。

 これまでご葬儀の立会いにお伺いし、人をお見送りすることに分け隔てなく陣頭指揮を取っている、担当者の仕事ぶりを見ているものとして、ぜひお伝えしておきたかったことでした。
 意を決したご相談者は、早速にご紹介した賛同葬儀社さんにお伺いされるとのことです。

 近年、葬儀・告別式の儀式を省き、火葬のみの直葬をご希望される方が増えており、認知度も徐々に深まりつつあるようです。

 特に昨年来、病院からご自宅に搬送後、火葬当日までご自宅にご安置され、その間に最後のお別れをご希望の方々が、ご焼香にお見えになられるという傾向が、目立っているように思われます。

 独り住まいのお母様のご逝去で、ご長男であるご相談者のご自宅にお連れするご予定が、マンションのエレベーターのサイズに棺が合わず、急きょお連れする先が奥様のご実家に変更され、火葬日当日お見送りの方はご実家でご焼香をされた後、マイクロバスにて火葬場に向かわれた報告もいただいております。

 また、菩提寺のある方は本来菩提寺との関係でご法度でしたが、昨今の諸事情でご葬儀が難しい場合に限り、認めていただける場合も出てきました。

 一人娘さんでシングルマザーのご相談者は意を決して菩提寺に経済的な事情を説明したところ、ご葬儀が終わったら戒名も含めてご相談しましょうと提案していただけたとのこと。
 他県からお越しになられた亡きお母様のご兄弟には、葬儀社のお別れ室にてご対面をしていただき、火葬中にお食事のおもてなしをされて、ご喪家のお気持ちを汲んでいただき、お母様のご兄弟も納得された様子とのことでした。

 直葬と言っても、個々のご事情で、様々なお見送りの仕方があり、ご本人様ご自身が希望される場合も増えてまいりました。

 6年前にいただいた絵葉書に描かれた白い服の少女もそのお一人です。
「遠い夏の日」と題された、若かりし日の少女はすでに後期高齢者ですが、ご自身の事前相談で直葬を希望され、お見積りを見て、漠然と考えていたことが客観的に冷静に考えられるようになり、妙にすっきりいたしましたと書かれたお手紙が添えられていました。
 いつか必ずお世話にあずかりますことと存じますと記されていますが、まだご連絡はいただいておりません。

 

「タイム イズ ・・・・・ 」

30年以上も前、当時時代の寵児ともてはやされた方とお仕事をご一緒させていただいた折、「これからはタイム イズ マネーの時代だよ」とよく聞かされたものでした。
 
 生意気盛りだった当方は少々反発を覚えながらも、ことあるごとに思い出し、妙に気にかかる言葉でもありました。

 先日、当センターの賛同葬儀社さんに施行されたご葬儀の様子をお伺いした折、ふと昔のことを思い出したのも、言葉の意味は違えども、時間の持つ意味にうなずかざるを得ないことを聞かされからでしょうか・・・。

 お母様の直葬をご希望されたので、葬儀社さんの自社霊安室に4日間故人様をお預かりし、お身内の方とは火葬場にて30分前に落ち合うお約束でしたが、お2人のご兄弟のうち、お兄様がお見えにならず、火葬時間ぎりぎりまでお待ちしたのですが、ついに弟様お1人でお母様をお見送りされる羽目になってしまわれたとのこと。

 実はお兄様は火葬場に来る途中、交通事故に巻き込まれ、大分遅れての火葬場到着となり、すでにお母様は荼毘に付された後でお別れができず、ショックなご様子だったと伺いました。

 葬儀社さんをご紹介する折、炉前での短時間のお別れを考慮して、ご対面時間の融通がきく霊安室をご推薦いたしましたが、その4日間もお仕事でついにご対面できずじまいだったことを後で知りました。

 通常、霊柩車とご一緒に、ご葬儀の後火葬場に向かわれる方はマイクロバスにご乗車になり、皆様行動を共にされますのでご心配は要りませんが、昨今は直葬ご希望者が増えてきて、当日現地集合で火葬場にて直接お待ちあわせされることが多くなりました。

 不可抗力で遅れる場合も出てきますので、各人が現地集合の場合はお時間をたっぷり取って、お出かけください。後々まで後悔をしないためにも・・・。

費用はどこも同じではありません

 先日、「既に3社から見積をとっているのですが、それでも紹介してもらっていいですか」という事後のご相談がありました。
 お話しをお聞きすると、直葬での葬儀を考えているのだが、3社とも費用が高く、もう少し抑えたものにしたいというものでした。
 もちろん、そのような状況でも、ご要望に適した葬儀社をご紹介致しますし、お見積りをとられた葬儀社さんも含めてご検討いただいて、ご相談者様にとって一番良いと思った葬儀社に依頼していただいて大丈夫ですとお答えしました。

 直葬とは、式場などを利用しての葬儀式を行わず、火葬のみでお別れする葬儀のことをいいます。
 費用としては、特別なものを必要としない場合には、基本的には搬送費、お棺やそれに伴う納棺等に必要なもの、スタッフ等の人件費、ご安置に伴う費用、火葬場でかかる費用などで、ほとんど、どの葬儀社さんでも内容はほぼ同様でしょう。
 
 しかし、内容は同じでも、葬儀社さんによって、かかる費用は同じではありません。また、内容は同じと書きましたが、厳密にいえば、ご葬儀の流れは同じでも、葬儀社や担当者によってご依頼者が受ける印象も違ってきます。

 今回のご相談者は、葬儀社を決めるまでの時間に少し余裕があったため、数社を比較検討し、センターがご紹介した社の担当者と直接お話しをされ、その社に依頼されましたが、病院などからお迎えに来ていただくのを急かされる場合などもあることと思います。
 そのような場合でも、慌てなくて大丈夫です。
迅速にご相談者のご要望を整理し、ご相談者のご要望に適した葬儀社をご紹介することは可能です。

明けましておめでとうございます。今年こそ「絆」の定着を。

 明けましておめでとうございます。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 もういくつ寝たらお正月・・・と数えていたら、早くも三が日が過ぎようとしています。
 今年の新年はいつもの年とは少々勝手が違う方も大勢いらっしゃることと思います。

 昨年の3月11日以降、被災地の方はもちろんのこと、直接災害を免れた方も胸の中にずしりと重くのしかかったものを、どのように持っていくべきか、年を越しても思いあぐねていらっしゃるのでは・・・。
 そしゃくしながら、ひとつひとつを丹念に解きほぐしていく年になるのだろうか。

 皆で力を合わせてなんとかこの場を乗り切ろうという気持が、人と人との繋がりを思い起こして、震災以前の日常生活では考え付かなかった「絆」という言葉が、ここ数ヶ月巷で流行語のように語られています。
 
 しかしながら、ご葬儀でこの「きずな」という言葉とは裏腹な現象を耳にするようになったのも、昨年来特に顕著になってきたと思われます。
 
 年末、葬儀社の方から「離婚した奥様やお子様の手を煩わせたくないので、葬儀社の方で葬儀、火葬から散骨まで一切合切やってもらえないか。散骨後に息子に知らせるようにしてほしいというようなご相談が相次いであり、来年はさらにこの傾向が強まりそうだ」とのお話を伺いました。

 私の昨年受けたご相談の中にも、似たようなケースが幾つかありました。

 警察から行方不明だった弟さんの死を知らされたお姉様は「今さら顔も見たくない。主人は弟の存在すら知らないので、葬儀社の方で遺体を警察から引き取り、葬儀をしておいてほしい。来月東京に出向いた折にお骨を受け取ります。」と素っ気ないそぶりを見せていらしたが、娘さんのとりなしで御主人に事情を説明され、急遽ご葬儀に3人揃ってお見えになられたとの報告が葬儀社の担当者からありました。

 「近い内に日本を離れるとしばらく日本に帰らないので、入院中の父の葬儀を葬儀社が全部代行してお骨を預かっておいてほしい。後で受け取りに行きますので」とご相談された方は出発前にお父様がお亡くなりになられ、結果お帰りを待つまでもありませんでしたが・・・。

 かつて、御家族・ご兄弟の絆は何にもまして強いはずでしたが・・・。
 言葉の独り歩きから、今年こそ「絆」が定着してくれることを望みます。

通過儀礼としての葬儀

 先日、久方ぶりにお会いした都内の葬儀社さんと情報交換をしたときのことです。おおむね次のようなことをお話されていました。

――――― 最近、都心での葬儀事情は異常なものがあります。直葬が増え、2〜3年前は3〜4割が直葬と言われていました。しかし今年のこと、ある業者は7割が直葬と言っています。それにともなって、通常の葬儀は少なくなっています。
 直葬は「直葬専門業者」が台頭。相当数をこなしています。ただし、一人で一日数件の直葬を掛け持ちしていますので、施行が荒くなったり、一つの火葬場に集中させたりして、中には問題もあるところもあるという声を聴きます。なんだか業界の質も低下してゆくような懸念をもっています。
 直葬が流行る背景には「宗教離れ」「道徳心崩壊」というものがあるように思います。この前、千葉の僧侶から連絡があり、講演の依頼がありました。趣旨は、直葬の急増に仏教界も危機感を覚えたこと、そして、「直葬では問題があり、後悔している人の話し等を聞かせて下さい・・・僧侶を集めて聞かせます」ということでした。危機感はどんどん広がっています。 ――――――

 誰にとって危機なのか? いま通常の葬儀がメインのところは危機感を持たざるを得ないでしょう。お寺さんにとっても活動の場が狭まるので危機。当センターにとっても直葬の相談はあまりないので今のままでは危機。反面、直葬専門業者にとっては追い風です。個人にとって直葬(の増加)は危機か? (問い自体にあまり意味がない??)
 
 社会にとってはどうでしょう。
 人間社会の長い営みの中から生まれてきた、いわば歴史の知恵と言ってもよい通過儀礼という視点からしますと、危機と言えなくもありません。

火葬場での直葬の方法もいろいろ

 8年ほど前のセンター設立当初のころは、葬儀・告別式をせずに直葬(火葬のみ)というのはまれで、何か特別な事情でもおありになるのかと一瞬でも伺う方にもためらいがありましたが、最近では相談に乗る機会がかなり頻繁になってきました。
 経済的理由だけでなく、故人の意思を尊重する形も増えてきているかもしれません。状況が以前とはかなり様変わりをしてきたようにも思われます。
 
 先日のご相談では、病院での長患いのため、1度ご自宅に帰り、翌日火葬にしたいとのご遺族の要望でした。
 久しぶりにご自宅にお帰りになった夜は、故人を囲みご家族皆さんで積もる話をされ、1晩ゆっくりなさったようです。
 翌日午後火葬場には遠方からのご親戚も集まり、告別ホールでの短い読経で最後のお別れをした後、ご遺体は火葬へと移されました。
 
 直葬の場合は最後のお別れの読経も告別ホールあるいは火葬炉前と火葬場により違ってきます。
 読経時間も5分以内から20分位までできるところもあります。大方は告別ホールで最後になりますが、お花入れや読経を火葬炉前で行うことができるところもあります。

孤族の時代に突入か・・・。

 「お父さん」の柩を囲みお嬢さんの友人達は夜どおし泣いて笑って語り合ったそうです。
 10数人の若い女の子に囲まれた初老のおじさんは、皆の話を何でも聞いてくれる「私のお父さん」でもあったのです。
 お嬢さんの留守の間もひっきりなしに、誰彼となく気楽に遊びに来てはお話されていたようです。
 4年程前、ある葬儀社の担当者の方に伺った話です。
 
 あるご相談者のお話を伺った時、なぜかこの話を思い出しました。
 
 唯一の血縁者が入院中のお父様というご相談者はご自身が長期間日本を離れている場合もあり、海外滞在中に亡くなられた場合、帰国予定日までは帰れないから葬儀社さんの方で火葬にしておいてもらえないか。
 
 不可能ならば、長期ご安置で一番安価にできる方法はとの問いにこちらはしばし・・・・・の状態になってしまいました。

 それでも確か病院の院長の印で死亡診断書を貰ったという話を思い出し、知り合いの葬儀社さんに伺うと、面倒なので快く印を押してくれるばかりとは限らないので、前もって事情を説明してお願いしておく必要がある。
 後は荼毘に付してお帰りになるまでお骨をお預かりする。

 もしくは日数にもよるが公営の火葬場の霊安室にご安置してお帰りをお待ちする。
 但し逆に火葬の日時が決まらないとご安置ができないという問題もあり、お亡くなりになった時点で帰国がいつになるか連絡を取り、話し合う必要が出てくるとのこと。

 好むと好まざるとに関わらず、いよいよ今年は孤族の時代に突入か・・・。

今年は終活ブームとも言われていますが・・・?

 女性週刊誌にも最近は「婚活」ならぬ「終活」という言葉が飛び交っています。

 読んで字のごとく人生最期をどの様にしたいのか、自分の最期は自分で決めたい。
今年はこの「終活」が1つのブームとさえ言われるようになりました。
 特に雑誌を始めとするマスコミでの取り扱われ方には、今まである意味見向きもされなかっただけに、戸惑いをも感じるくらいです。
  このブームに眉をひそめる向きもあると思いますが、いずれブームが去っても後にエキスが残り、新たな広がりを見せてくれるものと期待しています。

 先日、知人からのご紹介とのことでご連絡を頂いた方は、ご自身の最期を直葬にしたいのでまずは見積りをとのご希望でした。
 見積りは納得のいくまで検討し、出来るだけご自分の生き方にそったものにしたいご意向でした。

 丁度2年程前、直葬という言葉が度々マスコミに取り上げられた頃、ご年配の方から「自分は無宗教だし、お墓はすでに霊園に用意してあるので、先日の新聞を見てこれだと思ってお電話しました」とご連絡いただきました。
 事前のご予約で直葬の概算見積をお取りした後、妹さんからもご連絡頂きました。
 ご主人はすでにお亡くなりになり、近県の霊園にお入りになっていらっしゃるので、お兄様同様直葬でのお見積りを希望され、息子さんたちに託したいとのことでした。

 暫くして今度はお2人の友人の方からもご連絡を頂き、それぞれの地域の当センターの賛同社から生前予約の見積りをお取り致しました。
 今回の方もこの方々とお知り合いの方のようです。
 皆様ご高齢の方々ですが、ゆるぎないご自身の生き方をされていらっしゃるのがよく分りました。
 後に続く私たちは言葉だけが勝手に1人歩きしないようしっかり見張っていなければ・・・。

敬老の日に考える。

 昨年の敬老の日、青空のもと、勇壮活発な和太鼓の音に合わせて元気に車椅子から身を乗り出して踊っていた友人の姿を、今年は見ることができない。
 半年前、余りに呆気なくあちらに渡ってしまわれた。
 9月20日は敬老の日、しかし身近にお年寄りがいないとうっかり見過ごしてしまいそうです。
 世の中の商戦合戦も老人では購買層が限られるのか、母の日・父の日のに比べるとあまりにもひっそりとしています。

 その上、今年は久しぶりに老人が脚光を浴びたと思えば、敬老とは真反対の事柄ばかりです。

 ご葬儀の相談の中でも、少し影を宿しているようです。
 ご高齢の方のご葬儀で病院から直接火葬場に直行を希望される御家族の方が増えてきつつあるようです。
 ご事情は様々ですが、電話でご相談のお話をしていても、時に家族の絆の薄さを感じる場面に出くわすということも出てきています。

 ご本人の意思でご希望されるのはその方の生き方として尊重できますが、「火葬のみの場合は死後24時間経ればいつでも」とお答えしながら、思わずどぎまぎしてしまいます。
 自分の身に置き換えるとあまり心安らかではありません。

 深夜、同居されていたおじい様が亡くなられご葬儀のご相談をと、お孫さんからお電話をいただいたことがありました。
 お話を伺い葬儀社をご紹介すると、まもなく到着する別居されているお父様とご相談してから最終的に決めますとのことでした。
 ところがお父様の結論としてご葬儀はせずに直接火葬場へ・・・。
 1時間後電話口に出たお孫さんの声は涙ぐんでいました。「本当はおじいちゃんの葬儀をしてあげたかったのに・・・・」。