周りの状況が気になる

「最近どうですか? いつも混んでいるらしい○○斎場の火葬も翌日には使えるみたいです。全般的にそんなに忙しくない感じかもしれませんよ」
 とある賛同葬儀社さんから、午前中、そんな電話がありました。

 全般的な状況や、他社の状況が気になるのはわかります。自分のところが忙しくないのなら、他のところもそうあってほしいという願望もわかります。そのように確認し安心したいという気持ちもわかります。

 それはさておき、葬儀業界は仕事量の平準化が難しい業界であることは間違いありません。自ら量をコントロールすることはできない分野です。

 平準化しないと無駄も多いという事で、様々な業界で平準化への取り組みが行われています。有力な対策の一つが、価格差を設けるというものです。観光や宿泊、飲食店など、暇な時期や時間帯に値段を下げて来てもらい、人の動きをある程度コントロールしようとします。
 店などの場合は、受け入れ能力は決まっていて、あふれた分は、機会ロスにはなりますが、社会問題にまではなりません。

 しかし、あふれさせてはいけない業界もあります。電力などインフラ業界です。能力を超えたので停電しますとは言えせん。真夏の昼間のピーク時に合わせて設備投資をしておかないといけません。平準化の恩恵も大きい業界です。揚水式発電所をつくったり、昼間と夜間で価格差を設けたり、最近は、様々な料金プランを提案していますが、平準化への取り組みの切迫感はそれほど感じられません。夜間の電力を蓄電しておいて昼間のピークを下げる方策もまだまだありそうです。

 もっとも、葬儀業界では全体で見た場合に平準化が難しいということで、会社単位でみれば平準化するように対策することもできるように思います。それが個人単位であれば平準化はもっと簡単です。意識次第で、暇なときにやることを見つければいいだけです。

後悔したくないがために・・・。

 事前の段階では、葬儀社を選ぶために、終活等のセミナーに行ってみたり、色々な葬儀社のホームページを見たり、実際に問い合わせをしてみたり、資料請求をしてみたり・・・
 セミナーで聞いた情報、ホームページで見た情報、問い合わせて担当者から聞いた情報、送られてきた資料で見た情報・・・たくさんの情報を取り寄せ、その中から自分に一番合うところを見つけたいという想いからの行動かと思いますが、少しずつ違う内容の情報があふれてしまい、かえって混乱してしまい、全然わからなくなってしまったという方も多いと思います。

 家電を買う時(私の場合ですが・・)、まず、ネットで色々なメーカーからでている同商品を調べ、口コミなどを参考にして、時間があるときに実際に量販店に行って実物を見て・・・比べる対象が多いと、この段階でもけっこう混乱しています。
 店員さんからその機種のメリット・デメリットを聞いて、自分が思っていたのと少し違っていたりすると、また一からやりなおし、違うメーカーのメリット・デメリットも聞きたくなりますし、併せて値段の比較もしてしまい、結果大混乱で、ああ、もういいやと、そのまま買わずに気持ちだけ持ち帰り、その後、いろいろ面倒になってしまい気分や勢いでネットで購入、実際に使ってみて後悔…。

 そんな経験を過去に何度もしていましたが、最近やっと整理がつきました。
 自分がほしい機能と値段を重視して選ぶ。その他の機能はおまけと考えて、便利なものがついていればラッキー。
 先日、炊飯器が壊れ、新しいものを購入する際、3合炊きでいいかなと思ってネットで探していたときに、3合炊きだと3合の炊き込みご飯は作れないとの情報を入手、それでは5合炊きにしよう、早炊きができるもの、保温していてもおいしいままのもの、1万円以内!と4つの条件をベースにして近所の家電量販店に買いに行きました。
 たくさん並んでいる炊飯器の中から10,800円の某メーカーの型落ち特価の炊飯器を見つけて迷わず購入。おまけに「おいしく炊けるモード」まで付いていて毎日ご飯を炊くのが楽しいです。

 余談が長くなりましたが、葬儀社を選ぶにも、ベースになる「重要視したいところ」をはっきりっさせて、そこを意識して探せば探し方も変わって、多くの情報に振り回されることが軽減されるのではないでしょうか。
 ただ、葬儀については初めて経験される方が多いので、日常的に使っている家電の買い替えとはわけが違います。
 初めて葬儀を考えなくてはならなくなったときに、どこを重視したいのか、どのような葬儀にしたいのかなど、なにをベースにして考えたらいいのかさえもよくわからないというのは当然のことですので、それらを明確にしていくお手伝いをさせていただきます。

菩提寺とご住職

 先日、当方の知り合いの方からご高齢のお母様の万が一を心配され、葬儀社さんのご紹介とお願いする葬儀社さんからお墓の件も一緒にご相談できるかとの問い合わせを頂き、ご要望に合う地域の賛同社をご紹介させていただきました。

 都心にすでに菩提寺はあるが、お母様は諸事情で先にご逝去されたお父様とご一緒のお墓を拒否されており、なによりも目下菩提寺のご住職とはご相談者も険悪な状態とのこと。
 先代のご住職が亡くなられ、後継ぎのご長男も急死され、サラリーマンをされていた3男の方が、急遽お寺を継ぐことになったが、檀家の方々とのトラブル続きで、お母様の為にも、後を引き継ぐご自身の為にも新たなお寺とお墓が必要となり、ご葬儀と絡めての事前相談をされたいとのこと。

 ご住職の存在なくしては成り立たない仏式でのご葬儀ですが、当センターにもご住職に関するトラブルのご相談をいただくことが度々ございます。

 以前当方がご相談をお受けしたご葬儀では、ご住職が通夜にはお越しいただいたが、肝心の葬儀・告別式にはお見えにならず、いわゆるドタキャンをされた方がいらっしゃいました。
 当方が通夜に立会いでお伺いした折には、特別不穏な空気は感じられませんでしたが、翌日葬儀社の担当者からの報告を受けて、思わず絶句した思いがございました。

 時としてお時間に遅れてしまうご住職はいらっしゃいますが、最後までお見えにならなかったご住職は当方も初めてでした。
 ご連絡しても電話は通じず、スタッフ一同やきもきしながらお待ちしていましたが、刻一刻と火葬時間が迫っておりますので、担当者はご会葬の皆様に一先ずご焼香をお願いし、ご会葬の方々も戸惑いを隠せないご様子でのご焼香となり、仏式なのに読経のない前代未聞のご葬儀になってしまわれたとのこと。
 やっとのことで連絡が付いたのは、火葬が済んで皆様が式場に戻られた時。
 担当者の留守電に断りの伝言が入ったと言う。
 「お手伝いの方が来られないので、お寺を出られなかった」との言い訳をされ、追及しても「申し訳ない。お布施はいりませんから」の一点張り。

 兎にも角にもご葬儀を終えた翌日、葬儀社の担当者も同行し、ご相談者は菩提寺に向かわれました。
 昔からの菩提寺ではなく、2年程前にお墓を買い、ご実家と同じ宗派のこちらのお寺を菩提寺にされたばかりとのことで、お墓にはどなたも入っていないのを幸いに、この際、別なお寺に移したい旨申し出、土地代とお墓代の返却を要請されたとのこと。
 新しく寺院墓地をお求めになられる方は、お墓そのものだけでなく、今後永くお付き合いをされるご住職のお人柄もチェックしておく必要があるようです。

ご相談はいつされてもかまいません

 葬儀の事を考え始めるとき、それは人それぞれのタイミングがありますが、主なものとしては、大事なお身内の方心配な状況になられた時、元気だけれど高齢なので、終活などの情報でご自身の葬儀について考えられたときなど、葬儀ということが少し身近に感じられた時かもしれません。 
 また、それに加えて、今まで考えもしなかった葬儀のことが突然現実にご自身に降りかかってしまわれたという場合もあります。

 だれでもいつかは万一の時を迎えるということは分かっていても、大切なお身内のこととなるとなかなか葬儀社に問い合わせたり、見積りをとったりなど、現実的な行動を起こすことが出来ずにいらっしゃる方は多いと思います。

 忙しかったり、まだ存命しているのに、など、理由は様々でいらっしゃると思いますが、もし、葬儀についてよくわからない、どうしたらいいかわからないなどの不安な気持ちを持たれているのでしたら、とりあえず話を聞いてみるという行動をおこしてみてはいかがでしょうか。

 相談できるところがあると思うだけで、少しでも気持ちが楽になっていただければと思います。

リズムが崩れないように・・・。

 定期的な流れが滞ると、「あれ?」と思われることがあると思います。
 どうしたんだろう?とか、何かあったのかな?などの心配と同時時に、「大丈夫か?」という不安まで運んでしまう事もあるかもしれません。
 このブログは基本的に3日おきに更新するという流れで、スタッフが当番制で続けているのですが、更新の日にご相談が重なると、つい書きそびれてしまい、数日空いてしまう事があります。
 
 葬儀のことで不安になられている方が、少しでも安心して頂ければ、少しでも読んでいただいた方のためになればという想いで書いているブログでも、リズムが崩れると逆に不安を招いてしまう事もあるかもしれません。

 拙いブログですが、ありがたいことに毎日数百名の方が訪問してくださいます。
 中には定期的にご訪問くださる方や、葬儀のことが気がかりで、手掛かりを探していて立ち寄って下さった方もいらっしゃるかもしれません。
 
 センターが一番大切にしている活動の目的は、ご相談された方が満足のいく葬儀を行なっていただくことであり、安心してお任せできる葬儀社を紹介させていただくことですが、このブログはその補佐的な役割もあるのかな・・・と。

 最近、更新が滞ってしまった言い訳と、これからはちゃんと更新しなくてはという反省です。

心に残る担当者

 「つい先日、葬儀は終わったのですが、葬儀社に対してどうしても納得がいかないことがあり、相談させてもらいたい」というお電話がありました。
 まず、地域をお伺いすると、東北方面でセンターでは対応が出来ない地域であり、また、センターはトラブルを未然に防いでいただくための活動をしているのでご葬儀後の事でお役にたつことが出来るかわからない旨をお伝えしたうえで、話しを聞かせていただきました。
 
 トラブルがあったのは、お母様のご葬儀の時だったそうです。
 依頼した葬儀社は数年前にお父様の時にお願いした葬儀社で、その時の対応はとても良いものだったそうです。しかし、お母様のご葬儀では、ご家族の事情により、一人娘であるご長女(ご相談者)が一人で見送ることになり、以前とてもよくしてくれたからと、その葬儀社に依頼したそうなのですが、自分ひとりだったからか、足元をみられたようだとおっしゃっていました。
 お母様の時は神道での葬儀だったことから、その旨を葬儀社に伝え、神道も大丈夫とのことで依頼されたそうですが、準備では足りないものがあり、また、神道のご葬儀では一番大切とされる儀式も中途半端な状態で行なわれ、台無しにされ、それが一番悔しいと。
 また、どう考えても仏式の作法でしょうと思うお焼香をし、それに対して異論を伝えると、「うちの神道はこうだから」と言われたそうです。

 それらを葬儀が終わってから葬儀社に訴えても、結局結果は「言った・言わない・聞いていない」の水掛け論で自分の話しは認めてもらえず、納得がいかない気持ちを引きずったままになっているとのことでした。
 
 葬儀は地域性も大きく関わりますので、わからない地域の葬儀の内容についてはセンターでもいい・悪いを判断することはできませんが、少なくともご喪家の方が納得できない状況だったことが残念でなりませんでした。

 葬儀社にとって、葬儀は日常の仕事であり、もちろんたくさんの葬儀をしていかなくてはなりませんが、一度きりの葬儀を行なうご喪家にとって葬儀社とは、大切な人を送るときに力になってくれる大きな存在で、満足のいく葬儀を行えた方はその担当者のことをずっと心に残っているでしょう。
 ただ、その逆もあり。
 母の葬儀をその担当者に台無しにされたとおっしゃるこのご相談者はその気持ちをこれからずっと引きずってしまうと思うと本当に残念だと思います。

 結局、具体的にお役にたつことはできませんでしたが、一通り話し終えたご相談者は、「なんだか癒されたし、話が出来て良かった。葬儀社に対してはまだ納得はしていないのでまだこれからもどうするか考えます」と、少し元気になられたような声でおっしゃっていました。

初めて葬儀を出す方にとって。

 当センターは葬儀社のご紹介がメインの業務になりますが、それに伴って葬儀について分からないことや、ご相談される方が迷われていることなど、不安に思われているようなことを解消して頂き、少しでも安心して頂けるように対応させていただいています。

 初めて葬儀の事を考えなくてはならない状況になられた方からのご相談では、色々なご質問をいただくのですが、ときに、ご相談のやり取りを行なっているなかで初めてご自身が気づかれていなかった「わからないこと」につき当たることがあります。

 先日承ったご相談で、やり取りの中で色々とご質問をいただき、ご安置の事や葬儀を行なう式場のことで色々と説明をさせていただきました。ほぼご理解いただいたかと思っていたやりとりでしたが、ご相談者が葬儀社へ連絡をするという段階になったときにふと出た一言で、式場、火葬場、葬儀社の関連がうまくつながっていないということがわかり、その時点で改めて説明をさせていただいたということがありました。
 これは、その前の段階で私がもう少しうまく説明をしていればよかったと反省いたす点です。

 初めて葬儀を行なう方は、「わからないことがわからない」、これは、当たり前のことです。「何から聞いたらいいかわからない」と始まるご相談も多いです。
 
 お葬式には何度も参列したという経験はあっても、葬儀を出す側の立場になった時に初めて気がつく疑問点があるかもしれません。
 やり取りをしているうちにわからなかったことに気がつくこともあるかもしれませんので、そんなときにお役にたてればと思っています。

担当者がどんな対応するかイメージする

 以下に紹介するのが、最近届いた体験談です。(当センターに寄せられた一般の人の体験談は、ほとんどが葬儀で後悔したというものですが)

 〜〜〜〜 従業員の説明不足や段取りの悪さ、何よりも対応の悪さが目立ちました。

喪主と一時間の打ち合わせをしたにも関わらず、指定された弔電を読まなかったり、親族の受付係の焼香を早くしてほしいために並んでいる人をわざわざ遮って通したり、受付の説明のときに質問をしたらイライラされたり、お通夜にお越しいただいた方々にもお食事を、と用意していたのに親族以外勝手に帰すなんて。せめて一言聞いていただきたかったですし、親族のみの会席なら料理を用意する前に説明が欲しかったです。無駄な出費になりました。しかも料理は美味しくない。ビールはノンアルコールばかり並べていて普通のビールが少ない。結局こちらが気を利かせなければいけない羽目になりました。

また告別式の際、焼き場までの移動を時間がないからと促すのは分かりますが一人一人への対応がひどいです。イベント会場で発するような声の大きさで、時間がないのでいいから早く乗ってください!と。大変不愉快でした。促すなら言葉を選んでほしいです。

遠くから来てくださった方々もいますし、私達親族も気を遣っているのに何故あなた方従業員が面倒臭がっているのですか?

あなた方の身内が亡くなったとき葬儀場でこんな対応されたらどう思いますか?考えたことないんですか? 気配りがなっていません。暑い中遠方からお越しくださった方々もいる中、その対応は大変失礼だと思います。私よりもずっと年上で長く生きてきているはずなのに、私よりも気が利かない気がつかないなんて…。一体教育係はどういうご指導をされてきたんですか?

一度しかない葬儀をここですることになってしまったこと、大変悔しく思います。私みたいな思いをする方がいらっしゃらないよう祈るばかりです。 〜〜〜〜

 当センターの紹介社の担当者さんは、これほどまでには、イライラさせることはないとは思いますが、一般的には、少なからず起こっていることかもしれません。
 われわれも、立会いや、事後のアンケートや電話などにおいて、ご相談者の声を聞くことがありますが、良きにつけ悪しきにつけ、なかなか本当のところを聞き出すのは難しいです。
 
 人は場面場面によって器用に振舞いをかえることもあるかも知れませんが、実際には、そんなにうまくいかないように思っています。一時的にはごまかしもきくでしょうが、長期的に見れば、やはり、良きにつけ悪しきにつけ、その人らしさが露呈してしまうでしょう。
 とするならば、葬儀社の担当者さんの場合ですと、日頃の当センターとのやりとりを通して、この人はご相談者と面談するときや現場でどういう対応しそうか推量するのも大事だということになります。それに、ご相談者からのアンケートの声などから行間を読んで、担当者さんのイメージを作っていって、適切な担当者を紹介できれば、上記のようなイライラ担当者を紹介することはある程度防げるように思います。

お盆のお墓参り

 今年のお盆はついに実家からお墓参りにいく誘いの連絡がありませんでした。
子供のころから父が運転する車に乗ってレジャー感覚で(不謹慎ですね)お墓参りに行く年間行事くらいにしか思っていませんでしたが、大人になって、なおかつこの仕事に就いて改めてお墓参りの意味を知った気がします。
 実家のお墓は霊園で東京の郊外にありますが、家から電車で行くには遠足か?!と思われるようなところにあり、父も子供たちが喜ぶレジャーなると思ってそこの霊園に決めたと言っていましたが(それも今思うと不謹慎な気がしますが)父もさすがに後期高齢者とされる歳になって、お参りにいくのはなかなか厳しくなってきたようです。

 そろそろ地元の霊園などに改葬しようかと考えながら早4年。
 なかなか実行に移せず、いまもなおその霊園にとどまったままになっています。
 両親がなかなかお参りにいけない事はどうにかしてあげないといけないなと思う所ではありますが、いろいろな状況からなかなか行動には移せず、今のところはお仏壇にお供えをして拝んで満足してもらっている状況。

 さて、このお墓をどうするか、そろそろ真剣に考えなくてはならない時期にもなってきていると思っています。
 我が家の場合、宗教的な縛りが無いので選択肢が多いのです。
 地元の霊園にお墓を建てて改葬する、納骨堂に納骨する、お墓を手放して散骨・・などなど、他にも選択できることがあるので、家族がどうしたいのかは話し合わなくてはなりません。

 私は出てしまっている立場なので、これから先、引き継ぐ人の意見を重視したいところですが、なかなか話し合いの場が作れずにずるずると・・・。

 両親が本当にお墓参りに行けない状態になるまで引きずってしまわないように、なんとかしなくてはと思っています。

遠い夏の日

 「遠い夏の日」とタイトルがつけられた、1枚のパステル画の絵はがきを眺めています。
 絵はがきには、お兄様からご紹介されたとのことで、当センター宛てにお兄様同様の直葬の見積りを希望され、7年前に事前相談をいただいた方の、若き日の自画像が描かれています。

 麦わら帽子をかぶった白い服の少女はスケッチブック片手に、背丈よりも高い赤と黄色のカンナの花が咲き乱れる中を、夏の強い日差しを受けながら、真っ直ぐ前を見据えて、歩いています。
 その毅然とした後姿は、まさにご相談者の生き方とも相通じるものがあるように思われます。

 丁度、直葬という言葉が一般的に広まりつつある中でのご自身のご相談で、「今まで万が一の時には、漠然とこのようにしてもらいたいと一人で考えておりましたが、大変良く分かりました。しかしながら、その時はすでに一生が終わっており、自身何一つたずさわることもできないはずなのに、客観的に冷静に考えて妙にすっきりしました。その時期が何年後になるかわかりませんが、いつか必ずお世話にあずかりますことと、後期高齢者ですが今のところ、これといって体に支障をきたすことも幸いにもございません」と見積書と説明書をお送りしたお礼状には記されておりました。

 白い服の少女のご希望は「万が一の時は火葬場に直行し、無宗教で、家族に見送ってもらえればよい。お墓は20年前に主人が亡くなった時、川口湖近くの霊園に購入済み」とのこと。
 
 便りがないのは良い知らせとばかりに、今年の夏も後を託された息子さん達からのご連絡が無いことを祈りながら、丁重なお手紙と一緒にいただいた1枚の絵ハガキ「遠い夏の日」の白い服の少女に思いを馳せております。