葬儀費用について

 ご相談者のお話を伺っていて、お尋ねになることで多いのは、費用に関するものです。

 「だいたいどれくらいかかるものでしょうか?」というようなものから、「総額で○○万円を考えていますが、これですべてまかなえますでしょうか」「費用をあまりかけたくないのですが、どうすればいいのでしょうか?」

 現状、葬儀費用への不安がいかに大きいか実感しています。

 ただ、葬儀費用が複雑に見えるのは、たとえ同じ会社が施行したとしても、会葬者数や利用斎場、祭壇などのグレードによって変わってくるからです。
 同じ会社でも条件が違えば様々な葬儀費用になる上に(当然と言えば当然ですが)、さらに複雑化に拍車をかけるのが、会社独自に価格体系や項目を設定しているので、違う社同士を見比べるのが極めて難しいということがあります。

 何社からも見積もりを取ったけれども、結局よくわからないので、当センターに相談をしたということもよくあります。

 たしかに、これまで、葬儀の費用に関する情報を知る手立てがほとんどなかったのですが、インターネットにより情報がオープンになり知ることができるようになってきました。葬儀社サイドも、葬儀費用を含めた情報を出さざるを得なくなってきましたので、これまでのように、相談者の無知を前提とした葬儀社主導のどんぶり勘定が通用しなくなってきているという流れにはあると思います。

 ただ、情報がいくらオープンになっても、現に、われわれのような存在が意味を持っているという現実を考えますと、葬儀費用を的確に把握したり、適切な葬儀社を選び出すことは簡単ではないということを物語っていると思います。

 ●葬儀費用の実例
  ↑↑↑ あさがお葬儀社紹介センターでの、実際に施行した葬儀費用詳細を15例ほど掲載しています。会葬者数や場所により葬儀費用は様々であることがわかります。

 

死別の悲しみのプロセス

 「センターの存在意義は、よき葬儀社選びのサポートを通して、葬儀を前に頭に浮かんでくる様々な不安を取り除き心を落ち着けてもらうことです。」とホームページの一番先に書いているように、われわれの守備範囲は、死別に関わるごく短い期間にすぎません。

 ご遺族にしてみれば、葬儀の慌ただしさの後に、死という厳粛な現実を前にして、本当に辛い時間が訪れるものと思われます。

 臨床心理学者のキャサリン・M・サンダースは、死別に関する調査をしていくうち、死別の悲しみのプロセスに5つの段階があることを発見したといいます。
1、ショック
2、喪失の認識
3、引きこもり
4、癒し
5、再生
(もちろん、これらの段階ははっきりとした境界をもっているわけでも、固定的なわけではないと断っています)

 いずれにしても、絆が強ければ強いほど悲しみは大きくなり、悲しみを乗り越えるのに(乗り越えるという表現を嫌う人もいますが)困難がつきまといます。

 そこで、これらの段階をうまく歩むようにサポートするグリーフ(悲嘆)ケアの大切さが言われることになります。

 最近では、少数ながら、グリーフケアについて勉強会をしたりして、それをご遺族との対応に生かそうとする葬儀社も出てきています。

 私自身は、葬儀のやり方そのものによっても、悲しみの時期を必要以上に長引かせたりすることがあるのではないかと思っています。そうならないために、伝統的な儀礼のされ方のなかに、示唆を与えてくれる何か大いなる知恵があるような気がしています。

家族葬

 最近、都市部ではご葬儀の話題の中で家族葬と言う言葉が頻繁に出てくるようになり、実際にかなりの数で増えてきています。

 しかし、家族葬と言う言葉は厳密な定義があるわけではなく、家族・親族を中心としてごく親しい友人にお集まりいただき、営まれる葬儀の総称として呼ばれています。

 家族葬のご葬儀ではお集まり頂く方々も旧知の方がほとんどで、厳粛な中にも家庭的な雰囲気が感じられ、ゆっくりとご葬儀を執り行うことができる一方、呼ばれなかった方も出てきますので、後々気まずい思いが残らないような配慮が大切になってきます。

 家族葬が急激に増えた原因としては死者の高齢化、またご近所づきあいが希薄になってきていることがよくあげられています。

 会社を退職して永い年月が経ち知り合いの関係者も少なくなってきたり、地方から呼び寄せたご両親もご近所づきあいが無かったりする場合、ご家族の手で見送ってあげたいという希望がご遺族から挙がって来ています。

 但し、故人の交友関係が広かったり、現役のサラリーマンや学生の場合は特に注意が必要になります。

 以前伺った50代の出版関係者の場合、内密で御家族・ご親族10名余のご葬儀の予定がパソコン上でご葬儀のことが知れる事となり、通夜・ご葬儀ともそれぞれ200名以上の友人・仕事関係者が駆けつけてしまったことがありました。

 この場合、葬儀社のベテラン担当者の見事な手綱さばきでなんとか事なきを得ましたが、実際にご葬儀の蓋を開けると、このようなことが起こる可能性がありますので、慎重に選択する必要があります。

 ●家族葬
  ↑↑↑  当センターのホームページでは、家族葬の特徴や注意点について、また家族葬事例の中で家族葬実例として地域別に24例ほど挙げています。
 こちらでは各々の斎場での費用例を中心にアンケートで伺った理由、体験談、感想等を取り上げています。

5年目を迎えるにあたって、省みました

あさがお葬儀社紹介センターは3月が期末で、この4月から5期目を迎えました。

サポート件数は3期までほぼ倍増してきていたのですが、4期目で横ばいになってしまいました。紹介サービスとう業態が確立してきていて、このサービスを求めている人は間違いなく増加してきていると思われる中、反省すべき結果です。

もちろん、サービスの質を低下させてまで、成長させていくことは望んではいません(これは本当の成長とは言えないのでしょうが)。

4年間試行錯誤してやってくれば、それなりにサービスの質は上がってきます。質を上げながら、もっとサポート件数を増やすことができたはずだと率直に思っています。

サービスを求める人が増えているという状況の中で、これは私のやり方・心構えがまずかったということになります。(もっとも、たとえ最悪の状況下であっても、状況のせいにはできませんが)

何がまずかったのか? 省みると、細かいことはいろいろありますが、何と言っても、私の心構えです。
1、まず、時間の使い方がまずかった。行き当たりばったりで、自分では仕事をしているつもりだったが、本当に事業の発展のために使った時間が少なかった。
2、それもそのはずで、時間の管理を可能にさせ、それをしっかり支える、目標とか計画が恥ずかしながらまったくなかった。
3、その結果、事業を成長させるために、逐次、計画と行動、結果を検証していって、改善していく—–こんなことは、また恥ずかしながら考えたこともなかった。

1の時間の使い方がまずかったということは、自分でも薄々気が付いていたのですが、じゃあどうすれば、無駄な時間を少なくできるのか? 自分の頭を捻っても答えが出てこないので、ピーター・ドラッカーの著作の助けを借りて、上記の3つを得ました。

特に、ピーター・ドラッカーをして人生を変えた経験として取り上げている次の話が示唆的でした。
「書きとめておく—-イエズス会とカルヴァン派の教訓」という話で、近世初期にイエズス会とカルヴァン派が奇しくも同じ方法によって成長したということを知ったという話です。その方法とは、何か重要な決定をする際に、その期待する結果を書きとめておかなければならないことになっていて、一定期間後、実際の結果とその期待を見比べなければならなかった、というものです。これが成長の要因になっていた、と。

ということで、ここに省みたことを書きとめておいた次第です。

情報洪水の中で方向を見失わないために

 インターネットは便利です。その気になれば一日で、葬儀のことや葬儀社の大量の情報を収集することができます。
 
 となると、大量の情報をもとに適切な判断が導かれると思われそうですが、そう簡単なことではないことは、インターネットで情報収集をしたことのある人なら分かってもらえると思います。

 情報収集をすればするほど、かえって混乱してしまうというのが正直なところではないでしょうか。

 大量の情報に振り回されないための方法は、私の思いつくところ、情報収集する目的を明快にしておくこと、そして、質の低い情報は捨てていくこと、だと思います。

 質の高い低いを判断するのもわかりにくいのですが、結局、その人のその時点での問題意識と見識にかかってしまいます。ただそれでも、情報洪水の中で方向を見失わないためには、その人にとって質の低い情報を捨てていくことだ思います。そうしないと、情報をただ集めることだけが目的になってしまったり、情報を集めて満足してしまったり・・・となってしまう可能性が大です。

 しかも悪いことに、情報を提供する側の多くが、情報を収集する人の意識に合わせて情報提供しているとは言えず、自分たちの都合で情報提供しているのですから、わかりにくさも倍増されている現状が追い打ちをかけています。

葬儀社の役割

 ときどき次のような電話をご依頼者から受けます。

「○○会館で式をしたいのでですが、どのように申し込めばいいのでしょうか?・・・」

 自分たちで斎場は見つけてとらなければならないと漠然と思っている人がどうしていいかわからず問い合わせてきます。

 しかしながら、斎場の手配はほとんど葬儀社がやっているというのが現状です。それは斎場の手配にとどまらず、料理の手配や返礼品の手配、さらには宗教者の手配までします。つまり、お亡くなりになった後、病院からの搬送から、ご安置、通夜、葬儀告別式、火葬、会食にいたるまで、すべてのことが滞りなく、進行するように段取りしてくれるのです。

 それゆえ、よい悪いはともかくとして、ご依頼者にとって「よい葬儀」にできるかどうかは、葬儀社(および担当者)選びにかかっているということになってきます。

密葬という言葉が意味する内容にも変化が?

 このブログでも「あさがお葬儀社紹介センター」のホームページでも、密葬を「身内を中心にした葬儀」という意味合いで使用しています。この理由は、一般の人(ご依頼者)の多くがこのような意味合いで理解していると思っているからでした。

 ところが、電話相談を受ける中で、最近、葬儀を行わず火葬のみにするのを密葬という言葉で表現している人が少数ではありますがあらわれてきているように感じています。

 われわれとすれば、どういう言葉が使われているのかを注意深く聞くと同時に、その言葉がその人にとって何を表しているのか理解しようと努めています。

 依頼者が本当は何を考えているのか、望んでいるのか、これを理解できるようになるのは口で言うほど簡単ではないのですが、これができるところは葬儀業界に限らず、どの業界でもお客様(ご依頼者、消費者)に喜ばれるもの・サービスを提供できるところだと思っています。

ホネになったらどこへ行こうか

「ホネになったらどこへ行こうか」(内藤理恵子著、ゆいぽおと、1200円+税)という本を読みました。

 著者は、1979年生まれで現在、宗教学を研究している人です。本書執筆の一つ目の理由が「少子化、都市化によって、葬儀、お墓の形態が大きく変わりつつある」で誰しもがわかりやすい理由ですが、興味深いのは2番目の理由で「現代日本には「なんとなく死にたい病」が蔓延しているから」だそうです。それを打破するために、「自分がホネになったときのことを考えてほしい」と。

 何はともあれ、ホネと納骨方法という話にとどまらず、ホネと宗教、ホネとスピリチュアル、ホネと魂など、ホネにまつわる様々な話題が取り上げられていて、読み物として面白いエッセーです。

病院と指定葬儀社は密接な関係?

 東京都が平成13年に調べたアンケート調査によれば、お亡くなりになる人の場所は82%が病院です。また、家族の葬儀のための事前準備をしていない人が64%に達しています。最近の統計はありませんので、具体的数字はありませんが、事前準備をする人が増えてきている傾向にはあると思います。ただ、それでも、事前に準備をしていない場合、現実的に病院指定の葬儀社を利用するかどうかが葬儀社の選択を考える大きなウエイトを占めるということになります。そのときになって、あわただしく自らが探すか、親戚や知人などから葬儀社を紹介されないと、病院の葬儀社に依頼せざるを得ないようになることも多いようです。

 実は、病院指定の葬儀社というのは、搬送契約を結んでいる葬儀社のことです。搬送というのは病院から自宅などへ遺体を運ぶことです。遺体を長く病院におくわけにはいかない(おきたくない)病院と、仕事を取りたい葬儀社の利害が一致して、病院から自宅などへの搬送契約を結んでいます。

 ところが、病院指定の葬儀社はどこでもなれるわけではないのです。いろいろ条件があるわけです。例えば、早く病院から連れ出して欲しいわけですので、病院近くに営業所があり、○○分以内に二人で迎えにこられることなど、いろいろな条件があるわけです。

 葬儀社側にすれば、営業所が近くになければ場所を確保しなければなりませんし、人も待機させておかないといけないわけですから当然コストもかかることになります。
 
 公立の病院などは、条件を満たした業者の中から抽選をしたりしていますが、私立の病院は、諸条件に加え何らかの理由でもって葬儀社が決まります。「指定業者の中には、病院に対し年間1000万円超、かつ、1遺体あたり数万円の金銭を提供しているものがあった」と公正取引委員会が「葬儀サービスの取引実態に関する調査報告書」(2005年7月)の中で指摘していますが、そうしたことがあることは否定できません。

 いずれにしろ、病院指定の葬儀社になるためにはコストがかかる場合があるわけです。こうしたコスト構造が背景にあるため、搬送契約でありながら、強引に葬儀まで結び付けようとする営業になっているのです。
 
 これに対し、公正取引委員会の前掲の報告書の中で、「遺体搬送サービスと併せて、その後の葬儀サービスについても、当該遺体を霊安室に引き留め、説得するなどして、自己との取引を強制的に促すといった事例がみられた。こうした行為は消費者の自主的なサービス選択の自由を侵害し、不公正な取引方法(抱き合わせ販売等)として独占禁止法上問題となる恐れもあることから、事業者はこうした行為を行わないようにすべきである」と注意しています。要するに、搬送する立場を利用して強引に葬儀の営業をするな、ということです。

 もちろん、病院指定の葬儀社が悪い業者と言ってるのではありません。葬儀に関する情報がオープンになってきて、事前準備する人も徐々に多くなってきておりますので、病院指定の葬儀社に依頼する傾向は減少してきているようです。葬儀社もかつてのように何が何でも病院の指定になる、ということではなくて、直接、消費者に支持されるような活動や情報公開をしている葬儀社も増えてきております。消費者からすると非常にいい傾向です。

見積もりの書き方は、葬儀社の特徴を表す一つの指標

 見積もりを複数社から取るとわかるのですが、葬儀社によって見積書の書き方はバラバラです。仮に施行する内容がまったく同じだとしても、葬儀社によって項目の書き方に違いがあります。(現実的には、今後も統一されるということはありません)

 なので、一見すると非常にわかりづらく感じられるのですが、大枠をおさえて、次のように整理して考えるとわかりやすいです。

 葬儀費用は、仏式の場合、大別すると、1・葬儀一式(葬儀に関わる基本のもの)、2・飲食、3・お布施、4・香典返し、になります。

1、葬儀一式(葬儀に関わる基本のものです)
・葬儀関係  祭壇、棺、飾りつけ、遺影、ドライアイス、焼香用具、白木位牌、受付設備、看板、枕・後飾り、骨壷、喪主花、遺体保管料、会葬礼状、役所手続き代行など
・火葬場関係  火葬料、待合室費
・車両関係 寝台車、霊柩車、マイクロバス、ハイヤー
斎場関係 式場使用料
・返礼品関係 会葬御礼品、(後日、香典返しをしないで、式当日、香典返しをする場合もあります。その場合、4の「香典返し」は必要ありません)
・そのほか 心づけなど

2、飲食
通夜ぶるまいと、精進落し、飲物などです。

3、お布施
読経や戒名に対するものです。

4、香典返し

 ちなみに、当センターでは、見積もりの書き方の違いを、各社の特徴を表す一つの指標であるととらえています。要するに、各社の意識のあり方を現わしているものだと思うのです。