20年後には、全世帯の4割が独居になりそう

 2040年には、全世帯に占める一人暮らしの割合が4割に達するとの予測があります。国立社会保障・人口問題研究所が先ほど公表した「日本の世帯数の将来推計」です。推計は5年に1度で、今回は15年の国勢調査をもとに40年まで出したということです。
 ちなみに、15年の一人暮らし世帯の割合は34・5%(1842万世帯)で、40年は4・8ポイント上がって39・3%(1994万世帯)になると予想しています。

 流動性がますます高くなっていく状況の中、20年後、自分が、会社の部署が、会社が、業種が、業界が、どうなっているのか、予想することは非常に難しいです。20年といわず、5年後でもわかりません。
 わからないと言っていってるだけでも発展性もないので、いろいろな分野で未来予測をして、それに備えようとするでしょうし、場合によっては、自分で未来を作り出してスタンダードにしてしまえと意気込んでいるところもあるでしょう。
 ともあれ、実際、いろいろな分野で未来の予測はやっていますが、そのなかで、もっとも確度の高いものが、人口に関係する推計だと思います。

 一人暮らしの増加、および人生100年時代、葬儀業界も大きく影響を受けることになりそうです。最近のある相談を少し見てみましょう。

 当センターに、相談される方は、故人様の関係性から言いますと、ご子息や配偶者の方がほとんどです。ご相談者は、喪主と重なる場合もありますし、喪主になる人に余裕がなさそうなので代わって相談したとか、頼まれたりといったことが多いようです。

 ただ先日の相談は、姪御さんがご相談者でした。おじには一人息子がいるが海外にいるため連絡が取れにくい上、あまり協力的でなく、他の親戚、関係者も高齢のため、ご相談者しか動ける者がいないという状況だったのでご相談したということです。

 今後、ますます独り世帯が増えていくことになります。そうすれば、故人様とご相談者の関係性は多様化してくることも予想されます。施設の方からの相談も多くなってきています。ご相談者自身も、他に頼るところがないという場合も出てくるかもしれません。

 ともあれ、センターでは、どのような状況における相談に対しても、安心していただけるように対応していきたいとは思っています。

比較サイトを自作自演するなんて

 センターのサイト上では、葬儀トラブルの事例や後悔した体験談を多数掲載しています。「追加費用を請求され、見積もりと違った」が代表的な例ですが、ネットやテレビで目立っていたので安心して依頼したが失敗したという例も少なからず寄せられています。

 目立つので安心、検索で上位にあるので安心、というわけでもないのですが、他に手掛かりがなければ、それが大事な要素になるのも仕方ないことではあります。

 葬儀社単体からの情報に対するリテラシーも必要でしょうし、今後は、それにも増して、第三者を装うようなサイトからの情報に対するリテラシーも必要になってくるかも知れません。

 先日、消費者庁が住宅トラブルの解決サービスを提供する社に対し、処分したという記事を読みました。同社が「比較サイト」を自作自演していたとして、景品表示法違反(優良誤認)で再発防止などを求める措置命令を出しました。

 発表によると、同社は2016〜17年、自社がつくった比較サイトで「50を超す業者サイトから優良業者を15に厳選! 電気工事業者を徹底比較」などと表示。1〜3位に自社の電気トラブル解決サービスを紹介していたというものです。
 比較サイトは第三者が運営しているように装っており、自社サービスのサイトへの誘導を狙っていました。

 上記のような悪質な事例が葬儀業界でも問題になる日もそう遠くないかもしれません。

その社が選ばれなかった理由

 なぜ、その社に依頼したのかの理由を聞くことは大事です。本当のところを聞き出せれば、自社の強みを再確認するためにも役立ちます。

 ただ、形式的な聞き方だけでは、本当のところはなかなか語ってもらえないかもしれません。自分なりの仮説をもって、検証するぐらいの意識で臨みたいものです(なかなか難しいですが)。

 先日、当センターの紹介社で施行した人から、紹介社を選んだ理由と、他社でも直接話をしていて、そこが選ばれなかった理由を聞く機会がありました。
 面白かったのは選ばれなかった理由で、まとめると次のようなものでした。

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 〇〇さん(選ばれなかった社)は、とにかく低姿勢で言葉遣いは丁寧なのですが、節々に自社の既定の葬儀の流れで進めさせようとする面が見られあまり柔軟には対応していただけない印象を受けました。
 打ち合わせに喫茶室を利用したのですが、会計時の店員さんへの態度が高圧的で、もしかすると、自分たちも同じような対応をされるかもしれない、という不安も感じました。
 お話を伺った限りでは、ベテランの葬儀社であることは理解できたのですが、やはり、人柄を重視したいと思いましたので、〇〇さんにはお願いできない、という判断をしました。
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 ただでさえ、葬儀社は取引業者に対して高圧的な態度をとることに慣れてしまっている感もあります(どの業界も仕事を発注する側は多かれ少なかれそうでしょうが)。人にどう接するのかの態度は、長年にわたって積み重なってきたものなので、すぐに変えられるものではありませんが、お互い気をつけたいとこころです。

長期におよぶ可能性のあるご相談には注意

 長期におよぶ可能性のあるご相談は、割合からすれば少ないですが、以前に比べると多くなってきているように感じます。
 こうしたご相談の場合、現在収集した情報は参考情報ぐらいにされるのがいいですよ、とアドバイスしています。
 なぜなら、長期になればなるほど、状況が変わる可能性が高いからです。

 先日は、こんな体験談をメールでいただきました。

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〇〇〇〇にある、〇〇〇〇葬儀社を利用しました。10数年前に父の葬儀を気持ちよく出してくれたご縁で、今年妻の葬儀を依頼しましたが、代替りがあったとの事で、最悪な葬儀社になっていました。

葬儀の段取りは葬儀社、出入り業者達の都合が優先で、こちらの希望を伝えるとあからさまに不機嫌で対応も粗雑でした。担当者の説明は要領を得ず、無駄に長時間に及び気苦労が絶えず、不遜で慇懃な言動に会葬者や手伝ってくれた親族友人にもご迷惑を掛けてしまいました。料金に含まれているはずの内容を花はサービスだとか式の最中にアピールしてきてうんざりでした。

こんな葬儀社は〇〇〇〇からなくなってほしい、まともな葬儀社は他にあります。
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 長期になればなるほど、葬儀社も変われば、相談者をとりまく状況も変わるでしょうし、要望も変わるかもしれません。定期的に見直されるぐらいの心づもりがあったほうが良いかもしれません。

再度依頼される葬儀社は安心感があります。

 当センターでは、紹介社で一度葬儀を行い、その後、別の人の葬儀に伴い再度その社に依頼があった場合に、紹介社さんより、その報告をしてもらっています。

 我々はリピート施行と言っていますが(他に適当な言葉がないのでそう呼んでいます)、実際にご利用された方が再び同じ社にご依頼されるということは、安心の葬儀社であるという最も大きな情報であると考えるからです。

 「前に利用した葬儀社へは二度と頼みたくないので」、とご相談をいただくことも少なくない中、リピートで依頼がある葬儀社であるという情報は、大きな安心材料です。

 と同時に、今回の施行においても紹介葬儀社の担当者さんが気を緩めることなく、変わることなく、ご葬家に満足してもらっているか確認したいためです。

 つい先日に葬儀社さんから報告された案件は、昨年末にお父様の葬儀を行ったご家族から、お母様の葬儀においても、依頼されしました、というものでした。お父様の葬儀のときと同じ堀ノ内斎場で行われました。

 再度お願いしたご家族へのアンケートにおいて、「前回、満足して信頼がおけたため、再度、同じ社に依頼しました」とあり、「誠意が感じられる。きちんとした対応、安心と信頼が持てる。細かな対応をも気持良くスムースに運んで頂ける」との感想をいただきました。

求めるものを明確にすることは大切

スマートフォンなどのITの進化や競合他社の発達で、以前よりインパクトはなくなりましたが、ホットペッパーは、画期的なビジネスモデルでした。事業を成長させた立役者が書いた本が「ホットペッパー・ミラクルストーリー」です。

一読して、事業運営に必要な知恵が至る所にちりばめられていて、ものすごく参考になりました。正社員はごくわずかで、ほとんどが業務委託、契約社員、アルバイトによる組織を、どう動かしていったのかは圧巻です。

と同時に、その前の段階の、採用システムを命綱として、どんな資質と能力と態度をもった人間を探しているのかを明確にして、それを見抜く面接技術を確立していったのもすごいです。

当センターでも、葬儀社さんの募集ページを少し前に変更してみました。以前は、当センターの考え方に賛同できるところ、という打ち出し方が強かったのですが、今はもっと、求める葬儀社イメージを明確にして、それを伝えるように変えました。

たしかに、申込数は、以前よりも少なくなった感じではありますが、これでよかったと思っています。
提携すべきでない葬儀社と提携してしまったり、提携すべき葬儀社と提携できてないというミスを多少なりとも防げる気がします。

ちなみに、募集ページでの求める葬儀社さんは下記のようなものです。
「当センターの特徴は、相談員による相談型と、顔の見える範囲での葬儀社紹介ということです。
広範囲にサポートを可能にするオペレーターが型ではないので、相談員は地域の斎場や葬儀社等の情報把握に努めますし、紹介するところも、ご相談者の要望に応じて地域対応力のあるところが必要です。
それゆえ、われわれの求める葬儀社さんは、地域に密着した仕事をされているところです。地域に密着しているがゆえに地域の実情を熟知し、ご相談者に、きめ細やかな様々な提案や選択肢が提供できるところです。」

そんなこと、当たり前だろう、と思われるかもしれませんが、そうでもなさそうです。ネットを利用し過大にPRし広範囲に集客しようとしているところもあるからです。 都内に拠点が一か所しかないような小さい会社にもかかわらず、ネットを武器に広範囲に施行するがゆえに、ご喪家へのサービスが雑になる、フォローが薄くなる、その地域の式場の利用の仕方もルールも知らない、地域のしきたりをしらない、というようなところがあるからです。

より身近において安心で適切な葬儀社を選びたい地域の人と、主にネット上において自社の特徴を理解してもらうのに苦労している地域の葬儀屋さんを、うまく結びつけるのが、われわれの役目でもあります。

口コミ投稿の葬儀体験談には時々、良かったというものがあります。

センターのサイトには、一般の人から広く募集する、葬儀の体験談を投稿フォームがあります。投稿がたまってきていたので、先日、それらを整理分類していました。

この投稿は、「足元を見られた」分類とか、これは「追加費用を請求され、見積もりと違った」分類、これは、「ネットやテレビの情報に惑わされた」・・・とやってました。おおむね後悔した体験談です。

しかし、ときどき、この葬儀社はよかった! という投稿も混じっています。今日は、その一つを以下に紹介します。

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口コミ = エリアが全く違いますが、とても対応が良かった葬儀社でしたので投稿させていただきます。

私は先日、北海道千歳市で〇〇〇で母の葬儀を執り行いました。

姉と二人で送る私たちに対して、「葬儀内容についてなど、周りの皆さんが心配していろいろと言ってくるかもしれませんが、お二人が良いと思われることやって差し上げてください」と言ってくれました。
これは、始めに「私たちでは葬儀に多くのお金もかけられないし、盛大に執り行って、よく知らない母の知人の相手も十分にはできそうもない」と相談していたためだと思われます。

実際、葬儀の見積説明の際にも「会社の規則として内容全てについて説明しなければならないので…」として、祭壇や棺それぞれについて安価なものから高価なものまで一通り説明していただきましたが、「よく選ばれるのはこのランクですが、こちら(それより下のランク)でも十分だと思います」と、無理に上のランクを勧めてくるようなことはありませんでした。

母は間もなく開花する桜の花見を楽しみにしたことを話し、遺影の背景(合成)にも桜を選びました。

そうすると、時期にはまだ少し早かったのですが、祭壇に桜も用意してくれており、翌日の告別式までにつぼみが開いた枝を少し棺に入れることもできました。
そればかりではなく、スタッフの方が折り紙で折ってくれた桜の花も遺影の近くに飾ってくれており、その心遣いにとても嬉しく思いました。

また、
「あまり眠れないかもしれませんが、休める時には休んでくださいね」
「心配なことや気になることがかあれば、いつでも電話してください」
など、私たちを気遣う言葉を頻繁にかけていただいたこともとても印象に残っています。

この度の母の葬儀では、〇〇〇の方には本当によくしていただいたと思います。

〇〇〇にしたのは、母がご助会に入っていたためで、自分たちで葬儀社を選んだわけではありませんが、対応がすばらしかった葬儀社として書かせていただきました。

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こうした口コミがたくさん集まって、「対応に人間的な温かみがあった」分類とか、「安心した心づかいの言葉」分類、「思ってもいなかったサービスをしてもらった」・・・などで葬儀体験談のページができればとも思っています。

喪服で飲食店はマナー違反?

5月14日の朝日新聞の声欄に投稿されたのが表題の「喪服で飲食店はマナー違反?」です。

要旨は次のようなものでした。
親族の葬儀後、喪服のまま、駅ビルのすし店に立ち寄ったが、店長の異様な視線と、食事を済ませて店を出たとたん、店長が店員に「塩をまいておけ!」と怒鳴っていた。喪服を着ていたのが、気に入らなかったらしい。それなら、「ネクタイだけは外していただけないでしょうか」と一言あればよかったとも思った。以来、飲食店に入るときはネクタイは外しているが、公共交通機関では許容されていることが、飲食店では許されないのだろうか? 喪服はそこまで忌むべきものだろうか?

朝日新聞で、一つの投稿に対して、「どう思いますか」と呼びかけて、賛否の投稿を何本か掲載して、議論を膨らませています。この方法がいつからされているのか、知りませんが、違う視点を教えてもらっているようでためになります。

5月14日の投稿を踏まえての、どう思うかの投稿が6月14日にありました。4本中、3本は大目に見てほしい、という感じのものでした。投稿全体の比率をあらわしているかは、わかりませんが、朝品新聞に投稿するような人ならこのような比率になるのも頷けます。購読者も投稿者も若者でない人が多いでしょうから、もなるべくならネクタイぐらいは外したほうがいいとは知っているが、大目にみたほうがいい、という感じです。

もっとも、社会がさらにバラバラになっていくようなことがあれば、共通のコンセンサスも薄らいで、この投稿の問いそのものがナンセンスになる可能性もあります。

当たり前だと思っているものが資産になることも

 昨日は、横浜市の葬祭業の組合の理事の方に頼まれて、その会合で、主に、ネットの世界の中でセンターがどういう理解と方向性を持って取り組んでいるのか、といったような話をしました。

 センターの話もさることながら、地域に店舗も歴史も実績もないが、情報はコピペでもサイトの作り方はこぎれいで、広告も利用して露出が多いところに仕事を持っていかれていることもあるとすれば、実にもったいないことだ! と。

 実態も内容もないようなところが、サイト上の目立ちと、訴求力の高い表現で仕事を増やす一方、こうした組合の社は、社歴も店舗もホールも人材も様々な施行ノウハウといった資産もあるわけですから、そうした資産を消費者に適切に理解してもらっていないのは、もったいないことです。

 設立、13年目のセンターでさえも、3000件を超える施行を通して、それに関連する情報の資産、人のつながり、斎場の情報、回答されたアンケート、さらには、この相談者と合いそうな葬儀社さんはここかなの判断、など、探せば結構な資産があります。

 その資産を埋もらせることないように、相談者が安心して相談しやすくなるような形の情報に加工して提示していきたいと思っています。
 それを通して、相談者がネット上でいろいろなサイトを比較したときに、センターの情報が、相談者の適切な判断の手助けになることができればと思っています。

長期的なご相談で気にとめておくべきこと

 お母様は80代前半、いたって健康であるが、「葬儀会社より葬儀担当者がどんな方なのかが結構重要なのだと他の葬儀に参列した際に感じました。」という娘さんからの、事前相談がありました。

 たしかに、担当者は葬儀の良し悪し、満足度に大きくかかわります。できれば、担当者ベースで葬儀社を決めておくにこしたことはありません。

 ただ、長期におよぶ可能性のあるご相談には注意が必要です。
 葬儀会社は、人材の流動性が激しいです(葬儀会社‘は’ではなく、葬儀会社‘も’の経済状況になってきているかもしれませんが)。同じ担当者も、社が変われば、社の方針や状況によって変わることもあります。価格帯も在籍している社のものになります。

 担当者ベースとまでいかなくても、会社ベースにしても、浮き沈みも激しく、良い対応をしていた社が経営者や代が変わったとかで、変わってしまうこともありますし、場合によっては廃業や倒産するところも珍しくありません。

 さらには、希望する葬儀内容が変わる可能性もあります。一般葬を想定していたが、家族葬にするとか、近くに適当な式場ができたので、そこを利用したいとか。

 要するに、長期になればなるほど、状況が変わる可能性が高いということです。

 ですので、長期的な準備の場合は、現在収集した情報は参考情報ぐらいにされるのがよろしいかと思います。