お参りに行きやすい距離

 数年前、私の実家から自転車で行ける距離のところに新しく室内霊園ができました。

 当時、石材屋さんの営業の方からパンフレットをもらったときには「綺麗な霊園ができた」くらいにしか思わなかったのですが、それから数年経った今、見学に行ってみようかという気になっています。

 私の実家のお墓は、自然に囲まれた霊園墓地にあります。私が幼少のころ、祖母が亡くなったのをきっかけに、父が購入しました。
 それを機に、奈良の田舎のお墓に納骨してあった祖父の遺骨もその霊園に引っ越してきました。

 その霊園の周りは、山あり川あり、それはそれは自然を満喫できる場所にあるので、いつもお弁当を持って出かけ、子供だった私たち姉妹にとってはレジャーの感覚のお墓参りでしたが、家から霊園までは車で約2時間。近隣にも大きな霊園があるので、お彼岸時期には渋滞に巻き込まれ、更に時間がかかります。
 今になって、父に何故そこにお墓を買ったのかと聞いてみると、父にとってもレジャー感覚でお墓参りに行ける場所だったからとのこと。
 子供たちが大人になって家を出た今、高齢の父母が2人でお参りに行くのは、やはり遠く感じるそうです。

 15年ほど前までは、2カ月に1回ほどのペースでお参りに行っていましたが、ここ数年は、年に3回、2回のお彼岸とお盆だけになってきたそうで、昨年にはついに春のお彼岸しか行けなかったとか。
 両親も高齢になり、父の運転も心配になってきたので、あまり顔を出せなくなっても、きっと祖父母は許してくれるでしょう。

 そんな矢先、先日、地元の郵便局で例の室内霊園のパンフレットが置いてあるのが目に入りました。
 持ち帰って、今度はじっくり読みました。

 祖父にとっては2度目の改葬になるので、「落ち着かない」と、怒られそうですが、きっと年に数回しか行けないレジャー感覚のお参りよりも、お散歩感覚でまめにお参りしにきてもらったほうがいいのでは?と、遺された者の勝手な解釈で、お引越しの方向で話が進みはじめました。

終活における葬儀の事前相談

 終活という言葉が浸透して、テレビなどでもよく目にするようになり、自分自身の葬儀について具体的に考える方が増えてきたように思います。

 当センターでも、「まだ先のことだけれど」と、ご自身の将来のご葬儀について、また、ご両親は現在お元気な状態ではあるけれど高齢なので…、などの長期にわたるご相談が増えてきました。

 現在のご要望や状況をおうかがいして、現時点でのご要望に適した葬儀社さんを紹介させていただいておりますが、その際には必ず、折を見て、お見積りやご要望についての見直しをしていただくようにお勧めしています。
 事前に依頼する葬儀社を決めておいて、万が一の際にはそこへ連絡をすればいいということを決めておくのは安心につながります。
 ただ、動きが激しい今の時代では、短いスパンで色々なものが変わっていく可能性が高いことから、葬儀を取り巻く状況も今後大きく変わっていくかもしれません。

 例えば、ここ数年の間に、家族葬を希望する方が急増しました。それに伴い、家族葬に適したサービスを提供する葬儀社や、小規模なご葬儀にも対応できる斎場なども増えてきました。また、家族葬という葬儀のかたちを理解する人が増えたことから、家族葬を希望する方にとっては、10年前よりもずっと利用しやすくなったのではないかと思います。

 当センターでも、よりよいサービスをご提供できるよう、更なる努力をしていますし、賛同葬儀社さんにおいても良いご葬儀ができるよう、また、ご依頼者の方が安心できるように努力をしています。

 今後数年で、また新しいサービスが生まれるかもしれませんし、良い葬儀社さんが増えれば、当センターに賛同してくださる葬儀社さんも増えていくかと思います。
 また、葬儀社さんが提出する事前のお見積書の有効期限はほとんどの社が1年間と設定しています。

 このようなことから、長期にわたるご相談の場合には、1年〜2年くらいのタイミングでの見直しをお勧めいたします。

写真を探すのが大変でした。

ご葬儀の立会いにうかがった際、式場に入ると、最初に目に入るのはいつも、祭壇の中央に飾られている遺影写真です。
ご遺族の方にお話しをうかがうと、「主人は写真を撮るのが趣味でしたが、撮るばかりで、自分が写っている写真はほとんどなくて、遺影にする写真を探すのが大変でした」や、「最近では写真を撮っていなかったので、ずいぶん前の写真ですが、やっと見つけてこれにしました」など、遺影写真にどれを選ぶかというのは、ご遺族にとってなかなか大変なことなのかもしれません。

先日、テレビを見ていて生前遺影写真を専門に撮影してくれる写真館があるということを知りました。
元気なときに、自分の一番いい姿を撮影してもらい、万一の時が来た際にはその写真を遺影写真にするというもの。
縁起でもないなどと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、私個人としては「お願いしてみたい」と思いました。

私自身、写真を撮られることが苦手で、ここ十数年は撮るばかり。自分の写真でまともなものは、娘の七五三の時に写真館で撮ってもらったものくらいです。10年程前の写真なので、今ならまだ使っても大丈夫かなと思いますが、将来的にはさすがに・・・。
このような仕事をしているせいか、時折、自分の葬儀の時にはどの写真を使われるのだろうか…と心配になることがあります。心配になるくらい、写真がないということなのですが。

ちょうどいい機会なので、両親も引き連れて、一度その写真館におじゃましてみようかと本気で考えています。

万が一の時には。

当センターでは、ご相談の際にお聞きしたご要望を、ご紹介する賛同葬儀社に伝えていますが、その際、センターから賛同葬儀社へ伝えるのは、ほとんどの場合、ご要望とお住まいの地域(例えば東京都ならば○○区くらいまで)とご相談者の方の名字くらいまでで、ご相談者様からの許可が無い限り、詳細な住所やフルネームなどの個人情報は伝えていません。 このことから、万一のことが起きて、ご相談者の方が依頼する葬儀社へ直接連絡をした際に、『どこから紹介されたのか』ということを伝えることは、スピーディーに対応してもらうためにとても有効な一言になります。 葬儀社では、事前相談を受け付ける窓口がいくつもある場合が多く、また、既に他社でご葬儀をされていても、連絡が無い場合には、ご葬儀がもう済んでいることを知らずにその時の事前相談の資料はそのままとっておいてあることも多いことと思います。 そのため、事前相談の資料はどんどん溜まってしまうので、どの事前相談だったのかを短時間で探すのが難しくなる場合もあるのではないでしょうか。 事前相談の資料の管理は各葬儀社さんでそれぞれわかりやすいように工夫をされていることでしょうけれど、緊急な状況の中で、名前を告げられただけでは、その中の1件を見つけるのは少し時間を要するのではないでしょうか。 そのような状況で、例えば当センターからの紹介の場合には『事前相談であさがおから紹介された』とお伝えいただければ、その1件を見つけることが容易になり、その時点で事前のご相談内容も確認できるので、対応もスムーズになると思うのです。 葬儀社のスムーズな対応は、大切な人が亡くなって動揺されているご依頼者の方にとって安心につながります。

安心して任せられる葬儀社に依頼したい。

 最近、たて続けに「警察で検案中なのですが、葬儀社を決めておくようにと言われて…」というご相談を承りました。
 
 お身内の急なご逝去は、深い悲しみに、「突然」という状況での動揺が加わり、いきなり葬儀社を決めておくようにと言われても、どうしたらいいのかわからないというような状態でしょう。

 私自身も同じような経験をしていますが、葬儀社のことや、葬儀の知識があっても、いざ、自分がその状況に置かれたとき、冷静でいられたかと言えば、そうではなかったようです。
 その時は、気が張っていたというのもありますが、しっかりと状況は説明していたかと思います。しかし、今思うと、亡くなったという連絡が入ってから、遺体の搬送までの約1日の間、所々の記憶がありません。やはり、かなり動揺していたのだと思います。

 これが、普段葬儀には関心のない一般の方の場合にはなおさらのことでしょう。
 ご相談では、「何をお話ししたらいいのかもわからない」という状況でした。 

 このような場合には特にご遺族のメンタルな部分を支えながら、無事ご葬儀までを乗り切れるような葬儀社の担当者に出会うのは重要なことだと思います。

 いつ、どこで、どのような状況で亡くなるのかは誰にもわかりませんが、万が一のことが急に訪れたときに、安心して任せられる葬儀社に依頼したいというのはだれもが思うことでしょう。

 ご遺族の気持ちに寄り添って、きちんと進めてくれる葬儀社さんに出会うための近道として、当センターのような存在があることだけでも知っておいていただければと思います。

大型連休

 ゴールデンウィークも最終日になりました。今年のゴールデンウィークは、首都圏では天気にも恵まれて、気分良く過ごすことができました。
 
 私も2日間お休みをいただき、大混雑は覚悟のうえで1日目のお休みに、東京ディズニーシーに行ってきました。舞浜駅から見えたディズニーランドの入口はあふれんばかりの人で埋め尽くされている状況でしたが、シーの方はそこまで混雑することはなく、自分の行きたい方向には自由に進むことができるくらいの混雑度で、並ぶことに慣れている私たち母娘にとっては全く苦にならず、快適に過ごせました。
 一方、偶然、知り合いが同日にディズニーランドにいたそうなのですが、こちらの方は、入園制限はかからなかったものの、人の流れに乗らないと前に進むことができないくらいの大混雑だったそうです。

 お休み2日目は、友人と3月にオープンしたばかりの、丸の内KITTEに行ってきました。こちらは思った以上に大混雑していて、エスカレーターやエレベーターを利用するにも行列に並ばなくてはならないほど。ちょうどお昼時だったこともあり、飲食店も全て行列ができていました。
 KITTE内を一通り見て歩き、丸の内の他のビル内にあるレストランでランチをとることにしたのですが、東京駅を少し離れると、人の数もぐっと少なくなり、いつもの休日のオフィス街という雰囲気でした。

 普段の休日ではなかなか行こうと思わない首都圏の観光スポットですが、ゴールデンウィークなどの大型連休がかもしだす雰囲気は混雑するとわかっていても出かけたくなる気分にさせてくれるようです。

終活のお手伝いで気づいたこと。

 友人のお母様は80歳を超えていますが、ボーリングでもびっくりするようなスコアを出すとても元気なお母様です。
 しかし、どんなにお元気でもやはりご高齢。友人はお母様の万が一の時のために、終活のお手伝いをしているそうです。

 ちょうど一年前くらいに、お母様が希望している葬儀についての相談がありました。残念ながら、センターの対応地域ではないため、直接のお手伝いはできず、地域による習慣などもあると思うので、一般的なお話しかできませんでしたが、その後、近隣の葬儀社さんに問い合わせをしたりなど、積極的に動いているようです。お母様の身の回りや色々な問題について、一つ一つ、一緒に片付けていっているそうですが、何十年もの歴史があり、また、これからもまだまだ続いていくわけですから、なかなか簡単にはいかないようで。

 友人は、お母様のお手伝いをしていて、ふと、どんどん増えていく自分のコレクションについて考え始めました。
 これらは「あちらの世界」には持って行けない・・・
 老後にこれらを見ることはあるのだろうか・・・
 封も開けずに大切にとっておいて、将来使うことはあるのだろうか・・・

 まだまだしばらくは止められないとは思うけれど、いつかは断捨離しなくては、子供たちに迷惑がかかるかも…と考え始めたそうです。

 友人と私は同じ趣味を持つ仲間。私も彼女と同じようなものを同じくらい持っています。そしてこれからも同じくらい増えていくことでしょう・・。
 
 まだまだ先でいいけれど、お互い、どこかで一旦、よく考えましょう。

好きな花に囲まれたい。

 花の多い季節です。買い物などで外を歩いていると、ときどきお散歩中の保育園児たちと遭遇するのですが、先日、道端や緑道に咲いている花を見つけては足を止めてしまい、先生に「おーい、歩いてくださーい。」と促されている光景を見かけました。きれいな花は、小さな子供たちの好奇心も引きよせてしまうようです。

 先日の事前相談で、ご相談者の方は、「母は花が好きなので生花祭壇にしたいと思っています」とおっしゃっていました。
 
 生花祭壇をご希望される方が増えていると感じていますが、それに伴い、生花祭壇にちからを入れている葬儀社さんも増えてきたように思います。
 祭壇のデザインは各社、オリジナルのもので、お花の種類や色はご遺族のご希望により選ばせてもらえたり、花の数を増やしてボリュームを出したり、逆に減らしてこぢんまりと作ってもらったり…。
 中には、予算に合わせてご遺族のご要望を織り込みながら祭壇をつくってくれる柔軟性に富んだ葬儀社さんもあります。

 以前、葬儀業界のイベントに行った時、某有名華道家の方がデザインした生花祭壇が展示されているのを拝見しました。
 それはそれは、ため息が出るほどの美しさで、厳粛な中にも圧倒されるような迫力もあり、「さすがだな〜」と思いましたが、これはいったいおいくらなのか…??と、つい下世話なことを考えてしまいました。
 
 私の知り合いの方は、よく、自分の葬儀の時には南国の花でいっぱいにしたいと言っています。何十年も先のことでしょうけれど、きっと華やかなご葬儀になることでしょう。

 生花祭壇は、その方のためだけに造られた祭壇です。生花祭壇を選ぶ際には、好きな花、好きな色などをリクエストしてみるといいかもしれません。

ご自宅安置が無理な場合でも。

 病院など、ご自宅以外でお亡くなりになった場合、最初に決めなくてはならないのが「どこにご安置するか」ということです。寝台車がお迎えに行き、ご安置の場所までお連れするのですが、ご自宅以外にという場合はご安置できるところに預けなければなりません。

 様々なご家庭の事情などから、ご自宅ではご安置が難しいという方は多い現状ですが、事前のご相談などで耳にするのは、「長い間入院していてずっと家に帰っていないので、せめて一度は自宅に帰してあげたいけれど、葬儀の日までずっとというのは難しいかもしれない」、また、「自宅に帰してあげたい気持ちはやまやまだけれど、現実的には無理なので」などというご家族のお気持ちです。

 ご葬儀までの待機日数が長引く場合、一度ご自宅にご安置し、後日安置所に移動することは可能です。 
 また、ご自宅でのご安置が無理な場合、例えばご安置所に向かう途中にご自宅の前を通ってもらうなどのこともできるので、このようなことができただけでも、ご家族のお気持ちは幾分か落ちつかれるのではないでしょうか。

最近では、ご安置について力を入れているところも増えてきました。
夜間などの時間制限はあるものの、一部屋貸切で、ゆっくり付き添っていただけるような設備を整えているところなどもあり、直葬(火葬のみ)などの場合には、その部屋で簡単なお別れなどができたりもします。

ご葬儀までの数日間ではありますが、故人様とどのように過ごしたいかによってご安置する場所がかわってくることもありますので、何かご要望がある場合には事前にご相談されることをお勧めします。

ご葬儀を終えると。

 陽気はすっかり春になりました。
 首都圏の桜は少しフライング気味に花を咲かせましたが、開花中にやってきた強風や豪雨のせいで早々に散ってしまい、週末の悪天候も手伝って、お花見のチャンスを逃してしまった方も多かったのではないでしょうか。

 この時期は季節の変わり目で、気温の変化も激しいことから、普段健康な人でも体調などを崩しがちなのですが、ご葬儀をされるご喪家の方は、日常とはかけ離れた時間を数日間過ごすことになり、心労なども加わりますので、くれぐれも体調管理に注意していただきたいと思います。

 ご葬儀の後、特に、火葬を終えて精進落しのお食事を召し上がるころ(地域によっては火葬中に精進落しのお食事を召し上がりますが)あたりから、張り詰めていた緊張の糸が緩み始めるようです。
 ご葬儀が終わったと同時に緊張の糸が切れてしまわれたようで、いきなり体調を崩してしまい、家に帰る前にころんで大ケガをされた方がいらっしゃったと聞いたことがあります。

 ご葬儀の立会いでお話しをさせていただいたときに、悲しい気持ちを抑えて気丈に振舞われていたり、ご会葬に来られた方の対応に追われていたりしているご様子を見ていると、ふと心配になってしまうことがあります。

 先日立ち合わせていただいたご葬儀では、ご依頼者の方はご相談の当初からご会葬に来られる方への配慮を第一にお考えになっていました。
ご相談はご子息とのやりとりでしたが、喪主をお努めになったのはお母様でした。長年連れ添ったご主人に先立たれ、とても悲しいお気持ちだったことと思いますが、ご葬儀ではご親戚やご会葬に来られた方に、終始とても明るく接していらっしゃっていたお姿を見て少し心配になり、ご出棺前にあいさつに来て下さったご子息にひとこと伝えさせていただきました。

ご葬儀では準備の期間を含めて数日の間、慌ただしい日が続き、なかなか思うように睡眠をとることもできない状況になることもあるかと思いますが、身体を横にするだけでもずいぶん休まる聞いたことがあります。
特にご葬儀で喪主をお努めになり、対応に追われる立場にある方は、是非少しずつでも時間を見つけて身体を休めていただければと思います。