「もう勘弁してくださいよ、家中ビニール袋の山で足の踏み場もない位ですよ。月に1回位突然猛烈に家の中の整理を仕出して、仕舞ってあったものまで取り出して、この間も家に戻るとお袋が荷物の間に挟まって立ち往生している状態なんですよ」。
知り合いの方から、最初にご高齢のお母様の事前相談をお受けした時、ご相談者から思わず出た愚痴でした。
そのお母様が手術を受けられたが、状況が芳しくないご様子で、集中治療室に入られたとのお知らせを頂きました。
いよいよご葬儀を具体的に考えざるを得ない時期が来たようで、まずは最初に担当していただく葬儀社の方にご自宅へお越しいただき、柩が置ける空間があるか否か見てもらいたいとのご要望をいただきましたので、ご相談者のお気持ちに見合うと思われる、お近くの賛同社をご紹介し、担当者が直接ご自宅に出向き、お調べすることになりました。
ご相談者と担当者の最初の出会いでした。
お伺いしたご自宅はお母様の趣味の作品がベッドの上まで所狭しと並べられ、溢れんばかりの荷物の山に、柩を置くスペースは難しい状況を説明し、その場でご要望をお伺いして概算の見積りをご相談者に手渡されたとのこと。
その後、お母様も持ちこたえられ、ご葬儀まで2ヶ月以上の有余がありましたが、ご相談者はその間、担当者から手渡された見積りを頼りに、お母様のお気持ちをおもんばかって、その都度気付かれたことを、事あるごとに担当者にご報告し、ご相談持ち掛け、その間20回以上を記録され、ベテラン担当者に「僕の記憶の中でも3本の指に入るのでは」と言わしめた程でした。
御兄弟とは疎遠になり、お1人でお母様をお見送りされる覚悟を決めたご相談者のお気持ちを察して、担当者も気付いたことをお話され、両者とも次第に気心が知れて、お母様の見送り方をあれこれと思い巡らされたご様子でした。
ご納得のいく形でお母様をお見送りできたことに感謝され、「お宅に頼んで正解でした」とわざわざご報告をいただき、ご紹介したこちらもほっと安堵した次第です。