家族葬の行方は・・・。

「先日、叔母の葬儀を家族とごく内輪の親族だけの家族葬で行い、お香典もご辞退とまで言われたが、今や田舎にまでも家族葬が浸透しているのね」
 久しぶりにお会いした友人が、開口一番発した近況報告でした。

 叔母様も100歳近くのご高齢で、御兄妹はすでに他界され、息子さんにも先立たれ、喪主はお孫さんとのこと。
 30代のお孫さんにとってはごく自然のなりゆきだったようですが、600名近くのご会葬者がお見えになられた、20年前の息子さんのご葬儀に出席された他のご親戚の方々にとっては、少なからず複雑な思いが残ったご葬儀でもあったご様子です。

 ご自宅でのご葬儀も少なくなり、ご安置先もご自宅以外をご希望される方が多くを占めるようになった昨今では、古くからのお知り合いは別として、ご近所には事後のご連絡で済ませる家族葬の認知度も高まり、益々ご葬儀の本道に近づきつつあるようです。
 それに伴い、ご葬儀に直接携わる担当者の裁量如何で、家族葬の良し悪しが大きく左右されてきているようにも思われます。

 ご喪家の気持ちをご葬儀の式の中でどれだけ形に表せるか、ご参列いただいたお一人お1人の心に故人様との思い出をどれだけ刻むことができるか、少なくとも手作りで、ご家族には自分たちの手で見送ったという実感を味わせてあげられることが大事な要素となり、会葬者参加型が一つのキーポイントにもなってきています。

 その一方で、ちょっとした気配りも重要な要素となりますので、気が抜けられませんとは担当者の弁です。
進行役は司会者にお願いし、ご葬儀中はフリーの身になり、いかにご葬儀に集中するかに掛けているとおっしゃる担当者は、ご喪家からのご要望をお伺いし、言われたことを一つひとつ漏らさず実行することが、ご満足いただけることに繋がるとおっしゃいます。

 また、あるベテランの担当者はご住職の読経に始まりご焼香という緊張した儀式から、独自なやり方で一気にアットホームな雰囲気を創り上げていました。
 そのギャップに初めは少々戸惑いを覚えましたが、こういうやり方もあるのだといつの間にか納得させられたものです。

 最期のお別れでは柩に祭壇のお花を入れる準備の為、一旦全員の退場をお願いしますが、こちらのご葬儀の場合はご着席のまま舞台裏をお見せして、そのまま一気にお花入れに入ります。
 葬儀社のスタッフがまだ、祭壇のお花を摘んでいる最中ですが構わず、担当者の「お花を心ゆくまで入れてください」との呼びかけに、ご家族ご親族の皆様はハッと我に返ったように故人様と向き合い、それぞれがお花を抱え、それぞれのお別れをしていらっしゃいました。
 そこではお花入れという儀式ではなく、お1人お1人が純粋に別れを惜しんでいる姿が印象的でした。

 少々乱暴な言い方になりますが、芝居で言うところの第3幕で転調し、一気に最終場面に持って行く感じにも似ているようです。
 勿論、これもベテラン担当者の緩急を心得た、なせる技ですが・・・。
 今後、家族葬もそれぞれのご家庭に合わせて、益々変化し続けて行くことでしょう。

担当者に求められる像とは・・・。

ご喪家の事情に合わせて、いろいろとアドバイスをされた葬儀社の担当者への感謝のお言葉に添えて「余談ですが、火葬場が思っていたより対応もよく、好評でした」と、ご家族・ご親族だけで直葬をされたご相談者から、ご葬儀後のお忙しい中、早速のご報告をいただきました。
 
 朝1番の開場時間1時間以上前でしたが建物内に入れていただき、ご親族の方からも内部が他の火葬場よりもきれいだと好評だったとの由。
「担当者から、火葬場はとにかく市の施設なので役所と同じと思ってくださいと言われて覚悟していたが、たまたまにしろ、うれしい誤算でした」と、お見送りをされた後のほっとされたご様子が文面からも伺えます。

 当初、センターのご相談フォームから事前のご相談をいただき、ご要望に応じて直葬と1日葬のお見積りをお送りした後、ご検討されて、ご紹介した担当者に最初にご面談された折も、ご相談者が迷っている点を適格に察知して説明をしてくれ、また通常ですとオプションになるものも、ご喪家でご用意できるならそのようにされた方がよいとのアドバイスを受け、安心してお話ができましたとのご報告もいただいておりました。

 最近ではネット上でもご葬儀について様々な情報があふれておりますが、ご自身でご希望のご葬儀をとお考えの方も、お調べしていくうちに、かえって混乱を来しかねない状態に陥り、改めてご相談をご希望される方も増えてまいりました。

 ご紹介する当方といたしましても、ご相談者からご要望をお伺いし、できるだけお気持ちに添える葬儀社さんのご紹介を心掛けておりますが、ご葬儀を執り行う担当者一人ひとりの力量も、より問われてきているように感じます。

 特に、お身内の方々を中心とされたご葬儀が多くなった昨今では、どの様なご葬儀をされたいか、ご喪家のお気持ちがよりクローズアップされてきますので、ご葬儀を担当する方はより一層の細やかな気配りが必要とされ、その采配ぶりがご葬儀の満足度を大きく左右して来るようにも思われます。

 ご喪家のご要望を推し測り、適切なアドバイスはもちろんのこと、それに伴うメリット、デメリットも含めてご相談に乗り、ご相談者のよき伴走者として、臨機応変な対応していただける担当者を求める傾向が、より鮮明になってきているようです。

中高年の出番ですよ・・・。

  このところ、テレビ・ラジオ・舞台で活躍中の中高年の方々の訃報が相次いでいます。
 道半ばで幕を下ろさざるを得ない悔しさが、画面を通して痛いほど伝わって来ます。

 先日も大病を患ったのをきっかけに、人生の幕の下ろし方を初めて考え、もう少し上げることにしましたと、40年ぶりにお芝居の再演をされた方の総稽古を観る機会を得ました。

 かつて「舞台狭し」と暴れまわり、勢い余って狭い舞台から転げ落ちてしまわないかと、ハラハラドキドキしながら拝見させていただいた、往年の演劇青年の熱演で、時代は一気にタイムスリップし、最近のキナ臭い時代の様相と相まって、中高年の心情がストレートに伝わってくるような舞台に、久しぶりに心踊るものを感じたものでした。

 初演から数十年、出演者、スタッフの方々も、それぞれの人生の浮き沈みを感じながら生きてきた実体験が、かつての鋭さだけが突出していた舞台に丸みを持たせ、どこか芳醇な香りまでも漂わせながら、さらに「古い・新しい」の区別なく、常に時代と格闘し、わが道を行く姿には大いなる刺激をいただきました。

 健康に留意しながらも、定年で一段落され、ほっとされた方々も、人生の幕を下ろす前にもう1度ご自分自身の幕を上げてみませんか。
 今度は下ろす時のことも念頭に置きながら。

 先日伺った現役バリバリの先輩達の集いでも、お気持ちがお元気なうちに、ご自身の最期はご自身で考え、ご自分の持ち物はご自身の手で処理しておきましょう。
 残されたものが困るだけですので・・と大いに盛り上がっておりました。

直葬あれこれ

  7年程前、TBSラジオのトーク番組で「最近のお葬式で直葬が都会を中心に増えている」ことについての是非が問われ、大いに議論されたことが懐かしく感じる程、直葬のご要望も昨今ではごく一般的な話題にのぼってくるようになりました。

 当時、賛成反対の割合は6対4程で、「葬儀の金銭面だけをそぎ落とせばそれでよいのか。昔から老い支度といって皆さんいざという時困らないようにそれなりに貯めています。また、ご住職から葬儀の意味を教えてもらいましたので、簡素化に走るだけでよいのか疑問が残ります」と、強固に反対されるご意見も多数よせられておりました。

 当センターにご相談される方もほんの少数でしたが、7年の歳月は大きく、様々なご事情で直葬を希望される方も大分増えて参りました。
 同時に、ご要望も細部にわたり様々出て参りましたが、矢張り皆様の最大の願いは、故人様とのお別れだけは心ゆくまでされたいご様子です。

 直葬では式場での葬儀・告別式がございません。
 当日火葬場に集合していただき、通常いきなり炉前での10分程のお別れのみになりますので、担当者に促され、お気持ちの整理がつかないままに進行し、後で悔いが残る方もいらっしゃると伺います。

 その様な方々の為にも、小規模ながら安置所を自社に所有されていらっしゃる葬儀社さんの中には、安置所でのお別れがゆっくりできるような、臨機応変な対応をあれこれと工夫し、取り入れる社も見受けられるようになりました。

 当センターの賛同葬儀社さんの中にも、地域にもよりますが、自社の安置所でのお別れをご希望の方に提供している社もございますので、ご相談いただければと存じます。

 お別れの仕方も、火葬場に向かわれる前日、ご面会料はいただきますが、1時間程お時間をお取りできゆっくりお別れができる社、または無料で、当日朝ご自由に来ていただいてお別れが可能な社、同じようにご出棺30分前にお越しいただき、お花入れができる社、中には火葬のみにもかかわらず、和室にてお布団のままご自宅にいらっしゃるように、お線香をたいて一晩付き添うことも可能な社と様々ですが、お手伝いをする担当者のお気持ちは、悔いの残らないお別れをしていただくことに尽きると存じます。

 また、交通事情等もございますが、火葬場での集合時間には十分お気を付けください。
 以前、炉前でのお別れに、間に合わなかった方がいらっしゃいましたので。

ご葬儀の良し悪しは・・・。

先日も夜遅く、お電話にて事後のご相談をいただきましたので、どちらでどの様なご葬儀をご希望なのか、ご葬儀に関すること、はたまた菩提寺に関することなどを様々な角度からお伺いし、ご要望に沿ったお近くの当センターの賛同社をご紹介させていただきました。

 当の賛同社は病院から渡されたリストにも記載されており、丁度リストアップしていたとのことで、電話口からはほっとされたご様子が伝わってきました。

 早速に、葬儀社の方からの連絡をご希望されましたので、担当者にお知らせし、以後の対応をお願いいたしました。

 遅い時間でしたが、担当者はご希望の1時間後、病院にお迎えに上がり、取り急ぎ自社所有の安置所にご安置され、皆様お疲れのご様子でしたので、先ずはお休みいただき、詳細は翌日からということにいたしました。

 翌日午前中には、ご家族皆様が安置所にお集まりになり、打ち合わせをされ、納棺の儀を執り行った後、費用をできるだけ抑えたいご喪家のご要望に沿って、担当者は午後には市営斎場の霊安室に移動されることを提案されたとの由。
 
 前夜初めてお会いされた時は、皆様の緊張もピークに達し、警戒されたご様子も見受けられましたが、一晩お休みになり、翌日お集まりいただいた中、担当者の手で故人様の口や目を閉じ、髭剃りをして、お顔を整えて差し上げると、お元気な頃のお父様が彷彿され、とても喜んでいただけたご様子とのこと。

 皆様の手をお借りして納棺の儀を執り行い、旅支度をされる頃には、ご喪家との距離も一気に縮まり、打ち解けてそのままの雰囲気で、ご葬儀を無事済ませることができました。

 後日、担当者が集金にお伺いした際には、ご家族の方々から口々に「今度ご葬儀があったら、一番に推薦しますよ」とお褒めのお言葉をいただいたとのことです。
 搬送からご葬儀までの4日間でいかに打ち解け、信頼されたか、そのご様子がうかがえます。
 
 以前、ベテランの担当者の方々にお伺いした折、皆さん異口同音におっしゃっていたことを思い出します。

 ご安置からご葬儀までの間のご喪家との付き合い方で、ご葬儀の良し悪しは決まると・・・。

ご葬儀と出会いの輪

当センターでは適切なアドバイスをするために、ホームページ上で一般のご葬儀に関する口コミを収集しておりますが、時としてご葬儀後、憤まんやるかたなしというような勢いのご報告をいただくことがございます。

 筆の勢いとは言え、にわかに信じられない程に、本当にそのようなことがあっていいものかと思われるようなケースも見受けられます。

 一方で、ご葬儀後、当センターがご紹介した葬儀社さんへのリクエストやお問い合わせをいただき、ご葬儀を通じての更なる輪が広がっていくのが感じられ、大いに励みになることもしばしばございます。

 先日も昨年のお父様のご葬儀に際し、当センターからご紹介した賛同葬儀社さんの気配りある対応ぶりに、感銘を受けたご相談者のお姉様から、ご主人の妹様が急逝され、神奈川と埼玉とでは場所も違うが、前回のような方のご紹介をお願いしたいとのご連絡が入り、早速にお近くのご要望に合う賛同葬儀社さんを複数社ご紹介させていただきました。

 ところが、お見積りを直接お取りになる段階で、ご主人のお父様が到着され、「娘の葬儀は知り合いの葬儀社さんに頼んできたから、全て私がやります」との突然のお申し出に、言葉に窮してしまわれたとのこと。
 電話口でのお姉様の「義父の気持ちですので、申し訳ございません。嫁の立場ですのでご了承ください」と平身低頭のご様子には、かえってこちらが恐縮してしまいました。

 それから、約1ヶ月後、先にご相談をお受けした弟様のご相談者から今度はお父様のお墓についてご相談をいただきました。
 目下、こちらはご葬儀を執り行いました葬儀社さんとご連絡を取り合い、ご希望のご予算、場所等に加え、愛犬のお骨と一緒のお墓をと、目下お探ししている最中です。

 また、昨年ご相談をお受けした方の中には、新たに5回目のご相談の方もいらっしゃいました。
 過去4回は同じ葬儀社の担当者にお願いされ、今回もお願いしたいとのご要望でしたが、なんとご連絡をいただいた1ヶ月前に、当の葬儀社さんはご事情で廃業されてしまわれたというハプニングがございました。

 ご相談者は過去4回の実績で気心がしれ、ご自身の時もお願いしようとまで思い入れていらっしゃったとのこと。
 すでに担当者とは改めてお話されなくても、ご事情を全て呑み込んでいて下さって、お身内のような感覚だったと残念がっていらっしゃいました。

 新たな担当者をご紹介するにあたり、こちらも前回までの方に勝るとも劣らない方をと思わず緊張いたしましたが、ご葬儀後、「家族一同、本当に感謝の気持ちでいっぱいの葬儀でした」との、ねぎらいのお言葉を頂き、安堵いたしました。
 今回を機に、また新たなご縁が始まる予感がいたします。

 このように、一つのご葬儀を機に様々な出会いやご縁の輪が、広がっていきます。
 ご相談をお受けしていると、時々「ご縁を大切に」の言葉が、耳元でリフレインしてくるように感じられる昨今です。

ご相談者からのご報告

当センターでは事前・事後のご相談を様々な角度でお受けして、ご相談内容を整理し、またご不明な点やご質問等にお答えし、ご要望に沿った賛同葬儀社さんをご紹介することから始まります。

 そんな中、ご相談内容により、ご相談する側、される側の息がぴったり合ったご葬儀に出会うと、思わずご紹介したかいがあったと、我が事のようにほっとさせられます。

 先日も、ご葬儀が無事終わったご報告を、ご葬儀後のお忙しい中、早速にご相談者からいただきました。

 ご報告の冒頭には、ご相談者のご事情に合わせて色々と配慮された、葬儀社の担当者のお骨折りに対する感謝のお言葉が記されておりました。
 
 ご相談されるご年配の方もお近くにいらっしゃらない状況の中、唯一のご相談者である妹様と迎える初めてのご葬儀は、どの様にされたいかというご希望はあっても、実際にどこからどの様に手を付けてよいのか、さぞかしご不安であったことと存じます。
 そんな状況の中、担当者の的確な心づかいは力強い味方になったことでしょう。

 ご事情により、直葬をご希望されていらっしゃいましたが、一方でお父様との最後のお別れはされたいご要望も、お聞きしておりましたので、その旨担当者に申し上げておきました。
 担当者はご相談者のお気持ちを汲んで、炉前での短い時間に配慮し、荼毘に付される前日に、葬儀社さん所有の安置所にてご家族だけでゆっくりお別れされるようアドバイスをされ、それを受けたご相談者とご家族は、火葬当日駆け付けてくれたご親戚の方々に、お別れのお時間を譲ることができたことを、大変感謝されたとのこと。

 炉前の限られた短いお時間を譲ることができたお気持ちは、駆け付けた方々にも十二分に伝わったことと存じます。

 ご葬儀の形も多種多様になりつつある中で、小さなご葬儀が多くなるにしたがい、ご相談者を始め、ご喪家のお気持ちを如何に汲みとれるかが、これからのご葬儀の満足度にも大きく関わってくるよう思われます。

直葬でのお別れの仕方

  「皆さんほぼ1日中いらっしゃいましたね。ずっとですからちょっと大変でした。さらに喪主様の息子さんは火葬までの4日間、毎日のようにお見えになられましたから・・・」

 ご葬儀の式は執り行わずに、火葬のみをご希望されたご相談者から、お母様の事後の相談をお受けし、自社に霊安室を所有している賛同社さんをご紹介させていただいた、後日談のことです。
 
 小規模なご葬儀を得意とされている賛同社さんは、「丁度その間、霊安室での他家のご面会がなかったので、なんとか大丈夫でした」とのことですが、年明けのお忙しい時期と重なり、担当者も時間の調整が大変だったご様子です。
 定員5〜6人の安置室ですが、20名近くのご親族の方々がお見えになり、2階の休憩室でお待ちになりながら、交代でご面会されたとのこと。

 後日ご相談者からいただいたアンケートでは、お別れの時間が取れたことへの、感謝のお言葉が綴られておりました。

 様々なご事情で、通夜、葬儀・告別式のお式を省いて、直葬の形で火葬のみをご希望される方が年々増えておりますが、火葬場ではすでにご葬儀でお別れされていることが前提になっておりますので、炉前でのお別れの時間は、殆どの場合5〜10分程しか取れないのが現状です。

 そんな中、ご葬儀のお式をご希望されない方の中にも、ご自宅以外にご安置されている方とのお別れの時間だけは、ゆっくりお取りになりたい方が増えているのも事実です。

 様々なご要望にお応えすべく、臨機応変な対応が可能な葬儀社さんの中には、お部屋にご安置して、最初から柩のお蓋をお取りして、1時間の自由なお別れの時間を設けたり、中には前述のように、サービスで時間制限がなく、安置所にてご自宅でのお別れのようにゆっくりできる葬儀社さんもございます。
 お別れの仕方も様々に変化してきています。

 今後さらに、ご要望の細分化に伴い、それに似合うべく努力を惜しまない葬儀社さんもいらっしゃいますので、ご葬儀に関するどのようなことでも構いません。
 まずはご希望をお尋ねされることから、始めてみましょう。

コミュニケーションの取り方

昨年、暮れも押し迫った頃、「入院中の父の容態が予断を許さない状態になってきて、お医者さんからも準備をしておくようと言われているが、どのようにすればよいだろうか」途方にくれたご様子のお電話をいただきました。

 ご相談者は1人っ子で、当のご両親は離婚され、ご親戚の方々とは疎遠になっており、ご葬儀のご相談をされる方がいらっしゃらないとのこと。
 お父様は生活保護を受けていらっしゃるので、そちらからご葬儀費用を出してもらえないかとのご質問には、葬祭扶助をお受けになると限度額が決まっておりますので、火葬のみが現状な旨お伝えし、お話をお伺いする中で、葬儀社の担当者に直接ご相談されたいとの要請がありましたので、お近くで適任者ではと思われる、賛同社の担当者をご紹介させていただきました。
 担当者にはその旨お知らせして、対応をお願いいたしました。

 ご相談者はやっとご相談できるお相手が見つかったとばかり、矢継ぎ早にご質問をされたご様子で、「時にこちらからも提案をさせていただきましたが、良い感じでお話をさせていただきました」と担当者からの報告が間もなく届きました。

 年明けのまだ寒い時期でしたが、お父様のご逝去をいの一番に告げ、「提案していただいたように、父と最後のお別れをする友達の方々のため
にも、1日葬にすることに決めました」と決意のこもったご報告が、担当者に届けられたとのことです。

 また、最近も事前相談で直葬と1日葬のお見積りをお取りして、担当者とご面談された方からは「迷っている点を適格に察知して説明をしていただき、オプションもそちらでご用意できるようだったらそうした方が良い、とのアドバイスやご提案をいただき、万が一の時は安心してお任せできますので、これからは父との残された時間を大切にしていきたい」とのご報告いただきました。

 このような小規模なご葬儀のご相談においては、特に顕著に表れるようですが、ご満足いただけるか否かは、担当者とご相談者のコミュニケーションの取り方が大きく関わってくるようです。

 ある担当者はご相談の折、まずはご希望を伺い、メリット、デメリットをその場で説明し、全てをコーディネイトしてあげることが大切で、ご相談者とはどこまでプロとしてアドバイスできるかにかかっているとのお話でした。
 特にご葬儀事は終わっても後々のことを考える必要が出てくるとのこと。
 ご親戚とのお付き合いで、ご理解が無ければ、後々何やかや言われますので、そこまで考えてコーディネイトして差し上げる必要があるのではと。

 また、ご喪家とはとことん二人三脚で行きます、とおっしゃるベテランの担当者は、いかに初めてお会いした方に、短時間で心許してもらえるかが大切だとおっしゃいます。
 「いかにこの人は大丈夫だという安心感を持たせるか」。
 大丈夫だと理解していただくためには全力投球するが、葬儀屋さんの葬儀ではないから、お手伝いするだけですからというニュアンスで、一緒に歩きましょうというスタンスをとっているとのこと。
 早めに打ち解け、この人は大丈夫だという安心感を持たせてもらえれば、相手も聞きやすく、いろいろとお話を聞くうちにおおよそのことが分かってきますのでと。

 担当者それぞれのコミュニケーションの取り方で、ご相談者との距離を測っているようです。

お気持ちはわかりますが・・・。

 「町田の○○の名前で一昨年初め、あさがおさんにお願いして、ご紹介頂いた葬儀社さんでご葬儀をさせて頂いた折、とてもよくしていただいたので、今回急にお電話をさせていただきました」。
 お名前には聞き覚えがあります。
 古い友人に久しぶりにお会いしたように気持ちもなごみかけ、続きをお伺いすると、ご主人の妹様が急変されて、先程病院でお亡くなりになられたとのこと。

 「前回のような葬儀社さんをご紹介いただければ・・・。具体的なご葬儀のことは主人の方が詳しいので代わります」。
 奥様に代わりご主人が話始めた時「あ、すみません!今病院から妹の遺体が到着したので、妻と代わります」あたりの空気が一変したかのように、一気に緊迫したあわただしさがこちらにも伝わってきました。

 ご遺体の搬送までを病院付きの葬儀社さんにお願いし、ご自宅にご安置されましたので、慌てずにお見積りを取り、前回同様ご要望に合った葬儀社さんに執り行っていただきたいとのご希望でした。

 お話をお伺いして、早速ご要望に合うと思われるセンターの賛同社さんを複数社、ご紹介させていただきました。
 お見積りは直接お取りになりたいとのことで、ご紹介した賛同社さんには事情を説明し、お待ちしていたところ、ご相談者からのお電話が入りました。

 「すみません。主人の父が先程、こちらに到着して、葬儀は私の知り合いの葬儀社に頼むから。娘の葬儀は私がするからと・・・。ご相談に乗っていただけるところがあると言ったのですが・・・」

 「ご紹介いただいた社にはよろしくお伝えください。嫁の立場ですので、申し訳ございません」

 ご相談者の平身低頭ぶりに思わず「大丈夫です。どうぞお気になさらないでください。それよりもお気をしっかり持って、お嫁さんの立場だからこそ、お義父様を脇からしっかりサポートしてあげてください」と申し上げておきました。
 でも、お気持ちよくわかります・・・。

 以前、ご相談者から妹様のご主人が危篤状態の中「実の兄以上の付き合いをしていたので、最期の別れを悔いのないものにしたいと、妹と相談しながらのお願いです」とのお電話をいただいたことがございました。
 その時、ご相談者のお気持ちは分かりますが、義弟のご実家の方々のお気持ちやご意向はどの様に汲んでいらっしゃるのかをお尋ねいたしました。

 実は東北地方にお母様もご兄弟もご健在ですが、妹様のご主人とは永年疎遠になったままで、ご病気の報告にも梨のつぶて状態でしたが、さすがに万が一のことに関しては見逃すわけにはいかないご様子で、しかも勝手に進めているのが奥様のお兄様となれば、血の繋がりの無いあなたがなぜ…という目で見られており、双方の思いは益々気まずくなるばかりとのこと。

 しばらくメールでのやりとりをしておりましたが、「肝心の妹が動揺しておりますので、これ以上のご相談は無理な状態になってしまいました」と丁重なお詫びのメールをいただいたことが、今でも思い出されます。

 良かれと思ってされたことが、思わぬ波紋を広げるのも、ご葬儀に多く見られるようです。
 ご希望・ご要望にはどなた様のご意向かを確認することも重要です。