不景気風は何処へやら・・・?。団塊世代のお墓探しが始まった。

最近、朝刊のチラシに霊園の広告が目に付きます。
 碁盤の目のように綺麗に区画化され、太陽がサンサンと降り注ぎ、花と緑に囲まれたヨーロッパのガーデニングをイメージした霊園は、自然に足が向くような雰囲気作りで満載のようです。

 テレビのニュース番組でも最近のトレンドとして取り上げられていました。
 世の中不景気風が吹き荒れているばかりではないようです。
 横浜近郊の霊園経営者のご住職は予想以上の売れ行きと目を細めていました。
 その理由として、団塊世代の購入が目立つとのことです。
 高度成長期に地方から都会に出てきた団塊世代が自分達のこれからのこととして考え始めたようです。
 田舎には先祖の墓地があるが、都会に出て田舎に帰るつもりはないため、こちらにお墓を移したい方。
 また、地方出身の次男・3男で、生まれ故郷ではなく自宅のある近郊にお墓を求める方と様々です。
 故郷を離れても、お墓を守っていくという日本人の意識は世の中の景気には左右されないようです。
 しかし、霊園経営者も需要を見越して土地さえあれば開発が無限に出来るというものでもなく、 周りの住民の方々とのあつれきが出てきたり、そのために市の規制が一段と厳しくなってきたりとそれなりに限定されてきているようです。
 霊園墓地の需要が高まる一方で、後を託す子供がいなかったり、子供達に負担をかけたくない方々は先祖からの「何々家の墓」にとらわれることなく、ご夫婦2人だけの墓を管理を含めて委託するケースも増えてきています。
 この場合は後からお亡くなりになった方の33回忌が済むとご夫婦とも共同墓の方に移され、供養されます。

 これからは益々身の丈に合ったお墓探しが主流になることでしょう。
 
 

葬儀のご相談から、色々なことを考えさせられます。

 最初のお電話は「ごく内輪で1日葬ができる葬儀社を紹介してほしい」とのことでした。
 今や都会を中心に大方の葬儀社では通夜無しの1日葬を取り扱っていますが、現実予算面では斎場側の多くが2日間単位の使用料になっているのが現状です。
 そのために、葬儀総予算に関しては通夜のお清め代とスタッフの人件費が削られる位で、むしろお忙しいご親戚の方、はたまたご高齢の方に2日にわたっておこしいただくことを考慮された実利面優先のご葬儀と捉えられています。
 また、お話を伺っていく中で菩提寺があることをお聞きし、菩提寺のご住職が難色を示される場合があるので、事前にお知らせされることをお伝えしておきました。
 
 暫くして、次に頂いたお電話ではご家族だけで見送ることに変更したので、お葬式はせずに、直送の場合はどのようになるのかとのお問い合わせになりました。
 病院から直接火葬場に搬送され、24時間以降に荼毘にふされますが、最後のご面会は炉前でのお花入れをもってしても数分間というお別れになってしまいます。
 お別れがほんの少しだけというのを気にされていました。
 
 どうされるのか気になっておりましたが、やがて、3度目のご連絡がありました。
 ご住職にご相談され、火葬場併設の斎場で通夜、告別式を営み、お見送りをしたいが、ご家族のみなので祭壇を始めお食事等は一切いらないとの申し出でした。
 イレギュラーなご相談でしたが、センターの賛同社からは承諾を得ました。
 しかし、斎場関係費が通常価格ですので合計額は最初に見積りした祭壇を含めた1日葬よりも高めになってしまいます。
 あわてて、そのことを申し伝えましたが、電話口の晴れやかな声の主は「それよりも、2日間の読経は全て意味のあることですので・・・」
 
 人を見送る意味を考えさせられた一瞬でした。
 

「これでよかったのかな」見送る気持ちは複雑ですが・・・。

 映画「おくりびと」は話題を集めて、ついに先週の観客動員数が第1位になり、TBSでは緊急特番が組まれていました。主演の本木雅弘と滝田洋二郎監督に映画にまつわるエピソードを伺っている中で、映画館から出てきた若い観客は「自分の親も温かく送り出してあげたいなと思いました」とインタビューに答えていました。
 映画を観た人たちは周りに亡くなった方を持った経験を通して「こんな風に送ってあげられたかな」と自分自身に問いかけている方も多くいらっしゃるのではと思われます。

 身近な方の死で動転し、気持ちが宙に浮いているような状態の中、ご葬儀が無事済みほっとしたのもつかの間、今度は「あれではたしてよかったのかな」という思いが日増しに募って来るようです。
 送り方にお手本があるわけではなく、よかったかどうかは気持ちの持ち方次第ですが、不安な気持ちを傍からほんの少しサポートすることで安心感が得られることもあるようです。
 当センターに頂いたお手紙やメールの中にもそんな近況報告が見られます。

 入退院をくり返し最後の入院を告げらたお父様を葬儀社を決めてから、最後の数日間は看取ることだけに集中することができ、相談させていただいてよかったと思いますとのお手紙をいただきました。
 
 また、葬儀社の担当者から「心に残るご葬儀だった」というお手紙をいただき、これで良かったのかなと悩んでいた気持ちが軽くなり、1人っ子でしたが無事見送ることが出来たというお便りも頂きました。

 お父様の死を間近に不安な状況の中、センターのアドバイスに安心し、温かい雰囲気の中でお見送りが出来、振り返ってみると「幸せな思い出」となっていることに気が付かれたとの、ご報告も頂いています。
 
 

ご自分のご葬儀にはどなたに来てもらいたいか・・・。親子で話す話題作りのきっかけに。

 先日、さる会社の合同葬に伺ったのはご葬儀の30分ほど前でした。テント後方のストーブの周りにはなぜか皆さん笑顔の方ばかりでした。お知り合いの会社関係の方々がお互いのご紹介やら、名刺交換やらで大忙しの感がありました。
 これも社葬と呼ばれるご葬儀での大事なお役目の一部です。
 ご葬儀に参列することは同じでも、会葬者の意識は一般のご葬儀とは大分異なるようです。
 
 このような数百人単位の社葬に対して、個人のご葬儀ではどなたがお見えになるか、お1人お一人が大事です。
 ところが、一般のご葬儀では万が一の時、どなたにまでお声を掛けるか決めていらっしゃるご家庭はまだまだ少数派です。
 ご家族・ご親族のみの家族葬か、はたまたお仕事関係・ご近所の方々まで賑やかにお見送りしてもらいたいのか、お元気な内に意思表示をされておくことが必要です。
 
 大よその会葬者数が分れば、色々なことが見えてきます。
 まずは人数に見合った式場をさがすことができます。さらにその式場に見合った祭壇を、人数分の飲食代も、返礼品代も算出できます。
 したがって、おおよその予算も立てられます。
 
 いざとなって慌てて年賀状を調べるよりも、テレビ、ラジオ、映画等でのご葬儀の話題を機にご家族、はたまたご両親とじっくり話されるのも一案かと思います。
 丁度今、映画「おくりびと」の話題でマスコミでもお葬式が注目されている時です。
 ご両親、否、自分達のこととして、どのようなご葬儀で、どなたに見送って貰いたいか後の方に託しておくことも重要なことです。
 最近、家族葬でのお見積りを取った方でしたが、いざその日が来た段階で矢張り、昔からのお知り合いの方もお呼びしたいということで、最終的なお見積りは10倍近くの会葬者数になりました。
 
 
 
 
 

話題の中心は納棺師・・・。来年のお葬式事情はどのように・・・。

映画「おくりびと」が米アカデミー賞の外国語映画賞を受賞・・・。昨日から今日にかけてマスコミが一斉に報じ、テレビのニュース、ワイドショーはこの話題一色になった感があります。
 発表直前までの大方の予想ではノミネートされただけでも光栄だ位の取り扱い方だっただけに、一気にテンションが上がってしまったようです。
 世の中の不景気風をなんとか吹き飛ばしたい気運と重なり、鉦や太鼓が打ち鳴らされています。
 テレビでは各局のレポーターが競って「納棺師とは」のレクチャーをしています。
 納棺師の話だけでは間が持てないと最近のお葬式事情まで話が進んで来ています。
 折角ですから、もう1歩、生と死について、生き方についての話題にもって行きましょうか・・・。
 熱し易く、さめ易い日本人。この話題、来週までもってくれるでしょうか。
 でも、これだけ騒いだからには、心のどこかに残して頂けることを期待しましょう。
 騒いだ後、ふと立ち止まって自分のこととして考えてみましょう。
 来年の今頃はお葬式事情も大分変わってくるかもしれません。
 そんなことを、思い浮かべながら仕事に就きました。
 最初に受けた電話は、言いよどんだような声での「納棺師のこと教えてください」でした。 
 

その人らしさを演出する花祭壇とは・・・。

 ヒマラヤで撮影中、雪崩に巻き込まれた山岳テレビカメラマン・中村進さんのご葬儀の記事に荼毘に付されたチベット・ラサの青い空と白い雲をイメージした花が飾られたと記されていました。
 
 最近のご葬儀では都会を中心に、男女を問わず祭壇と言えばお花が主流を占めてしまった感があります。
 少し前までは花祭壇は白木祭壇に比べ割高でしたが、お花の方が量の多少でお値段的にも融通が利き、ご要望にもそいやすく、また、ご喪家側も最後柩に納めることができ、飾ったお花は使い切ることができる安心感も手伝い、いつの間にか逆転されてしまったようです。
 お花が少数の頃はただ華やかさだけに目を奪われていましたが、最近はその方らしさが出た花祭壇が演出されてきています。
 
 スキーが趣味の方には雪山をイメージした祭壇で奥様から感謝され、長年シップドクターを勤めた方には船をイメージした祭壇で、集まった同僚の方々も大いに感激されたとの報告を受けています。
 ご葬儀が母の日と重なり、遺影の周りを急遽沢山の赤いカーネーションで囲んだり、赤が好きだとだけ伺い創った祭壇を一目見た奥様が結婚式の時のブーケと同じ花とびっくりされたりとバラエティーに富んだ祭壇が目につくようになってきました。
 
 お花に託された最後のメッセージを皆様に受け取っていただき、そのお気持ちをお別れ花として柩に入れていただく。
 形式だけではない、それぞれ個性あふれるもの、こだわりのものに変わっていく気配が感じられます。

最愛の人との別れから立ち直るには・・・・。

 数ヶ月前当センターが事前相談の対応をした方の奥様が亡くなられました。
 万が一の時はご連絡をされることで静観していたのですが、ついに力尽きてしまわれたようです。
 葬儀社の担当者からのメモに落着きましたらご報告しますとあり、悲嘆にくれているご主人の様子が伝わってきます。
 少し置いて、アンケートをお願いするのはまだ時期尚早かと担当者に伺うと、長年かかわってきた中でも上位に入る位良い方だから、もう大丈夫よとのこと。
 最愛の奥様を亡くされるまでの短い期間、どのように気持ちの整理をされたのでしょうか。また、どのようにして悲しみを癒されたのでしょうか。
 まだ若い方なので悲しみの様子もストレートで、傍で見ていてもどうお声を掛けてよいか戸惑うほどだったとお聞きしましたが・・・。
 先日、朝日新聞にグリーフケアを長年続けていらっしゃる高木慶子さんのお話が載っていました。
 グリーフケアとは「悲嘆ケア」とも訳され、高木さんの場合はカソリックの立場から実践されてこられたご様子です。
 マニュアルはなく、基本は手を握って、ひたすら話を聴くだけですとおっしゃっていますが、正にこれにつきるようです。
 苦しみを聞いてもらい、癒される体験を持つことで共感能力が高まり、悲しみに打ちひしがれている人を受け止めることができる。時間と空間を共にすることが大切とおっしゃっています。
 昔と違い、核家族化が進み人間関係が希薄になってしまった最近は、癒す第3者が必要になってきているようです。
 そのためのワークショップも立ち上がってきています。
 心の問題だけにハウツウがあるものではないが、悲嘆を学び認識することで、悲嘆に耐える手立てが広がることを期待したいですね。

葬儀社への満足度について考える。

 当センターのアンケートの中で、ご紹介した葬儀社についての満足度を数値でお願いしております。
 お寄せいただいたアンケートの点数は高く、文句なく10点とおっしゃる方から満足だけれどこれから更なるという意味を込めて9点を付ける方、ほぼ満足だったがある1点だけ気になったので8点を付けましたという方、皆様通り一遍の数値だけではなく、点数の由来をしっかりお書きくださっています。
 満足度という主観的なニュアンスの言葉もあえて具体的な数値を表わすことで、にわかに客観性を帯びて来るようにも思われます。
 
 最後にしっかりと向かい合ってお別れが出来たか、またご列席された方々皆様のお気持ちに添えたか、式の進行が滞りなく行なわれたかとご喪家の方々は悲しみ上にあらゆる方面への気配りに心は乱れます。
 
 その気持ちに寄り添いながら、さりげなく声を掛けてアドバイスできる担当者が望まれます。
 
 満足頂いた点を抜粋してみますと「ビジネストークではなく親身に教えていただきました。火葬のみにもかかわらず嫌な顔も見せず大変うれしく思いました。最初にTELした時からとても感が良く、こちらの主旨をすばやく理解してくださり、同じ目線で一緒に考えてくださったと思います。こちらの意図もうまく汲み取ってくれ、コミュニケーションもとりやすかった等々」
 
 ベテラン担当者の、以前言った言葉が思い出されます。
 「とことん二人三脚で一緒に歩きましょうと申し上げます。お式の司会もこと細かく打ち合わせをしますが、言わないようにします。ご遺族が話された後にフォローし、皆さんの前で持ち上げてあげる。葬儀屋が喋ってしまっては、誰の葬儀かということになってしまいます。」と・・・。

 

 アンケートで知る担当者の心遣いに思わず拍手・・・。

 先日、あるダンサーにお話をお伺いした時、アンケートの話が話題になりました。
 その方の生徒さん達が昨年から稽古場のスタジオで、自作の作品を観客を入れてスタジオパフォーマンスとして披露することになり、お客さんたちにはゼヒ、アンケートを書いてもらうようお願いされたとのこと。
 沢山のアンケートをいただいたのですが、中には自分の意と異なる評価を受け、落ち込む生徒もでてきたがそこが大切だとおっしゃる。失敗を考えることで自分というものが見つかってくるのだからと。
 アンケートは自分の身において考えてみると面倒なものでもあり、その気持ちにならないとなかなか書きにくいものです。
 ご葬儀が無事終わり、気持ちの整理が出始めた頃、当センターもご依頼者の方々にご葬儀のアンケートをお願いしています。
 アンケートに一喜一憂するわけではありませんが、それでもあえて問題点を指摘して、苦言を呈してくださる方こそ前述のことと同様大切です。おっしゃっていただくことで、気がつかなかったことも、また応用としてどうしたらよいのかを気づかせていただけることも、次なるステップへの足がかりになると思いますので。
 また、アンケートで知る、担当者の心遣いに思わず拍手することもあります。
 葬儀社の担当者がお手紙を差し上げた例として
 「お手紙に心に残る葬儀だったと書いてくださり、これでよかったのかなと悩んでいた私の気持ちが少し軽くなった気がします。一人っ子の私でしたので無事父を見送ることができ、皆様のおかげだと感謝しています。」と・・・。 

葬儀社任せではないご葬儀をするには周りの手助けが必要不可欠です。

 「長年の闘病生活でやつれた姿の父を家族親族だけで静かに見送りたい」とご希望されていた依頼者のご自宅近くに、家族葬用の式場が見つかりました。早速、式場に精通した葬儀社から1日葬の見積りを取り、説明書と共にお送り致しました。
 まもなく、見積りの中の精進落としについて、以前ご家族で何度か召し上がったことのあるお近くの料亭から手配したい旨、ご連絡がありました。
 勿論かまいませんが、一つ問題があります。と申しますのは、葬儀社から依頼を受けた料理屋さんは配膳人を出し、配膳全てを取り仕切りますが、お料理を他に手配した場合、式場までは出前してくれますが、置きっ放しの状態になってしまいます。
葬儀社の担当者はお手伝い致しますが、お料理の配膳は皆さんでということになります。その辺りを十分ご了解いただく必要がでてきます。
 
 お手伝いをしていただくということで、以前立ち会ったご葬儀の、見事に手際よく自分達の手でもてなしをされたご遺族の例を思い出します。
 同じように1日葬で、こちらの場合は50名程のパーティ形式の無宗教葬でした。
 式場は前方に柩がなければパーティ会場と間違えそうな感じで、後方テーブルにはご喪家手作りの料理がワイン、シャンパン、ビールと一緒に並べられていました。
 献花をし終わった方はグラスを傾け料理をつまみながら、次々に話される故人との思い出話に笑い、涙されていました。
 献花台はいつの間にか、ワイングラスをおく台に代わり、最後皆さん乾杯でお別れになりました。
 会葬者の方々が柩の周りの白ばらをお別れ花として柩に手向けている間に、ご喪家の方は後方のテーブルから片付け、会葬者が柩を囲める空間を作り、柩の通る道を作る。手の空いているご親族もお手伝いされ、お料理の残りは綺麗にラップされ、食べ残しはビニール袋へと手際よく片付けられてゆきました。
 業者の手にゆだねるだけではなく、ご親族皆さんの手でお見送りするという強い気持が感じられたお式でした。