今年もお花見の季節がやって参りました。
コロナ禍の中、世間の自粛ムードもさらに厳しさを増してきました。
当の桜だけは状況をご存知ないかのように、一段と色鮮やかな様相を呈して参りましたが、満開の手前にきて世間の風は思いの外きつく、戸惑いを見せているようにも思えます。
コロナ騒動の前年、隅田川の夕暮れ時、ネオンとネオンが映る川面と両岸の満開の桜の中を2艘の屋形船が行き交っておりました。
江戸の昔に流行った写し絵が、これから船上にて150年ぶりに上映されるとの由。
舞台と観客席に分かれた屋形船の1艘は、やがて岸辺近くに停泊して、日本の四季を代表する満開の桜を写し出し、川面に映る桜と隅田川両岸の桜並木と三位一体となり、辺り一面が桜色に染まり、そこだけが時間が止まったかのような様相を呈して参りました。
観客席の屋形船の方からは声にならないどよめきが起こり、一気に150年前の江戸の昔にタイムスリップした観客の方々は、暫しの間至福なひとときを過ごして参りました。
あれから2年、優雅なひとときは幻のごとく消え、桜だけの人気のない土手を、ネオンが無常に照らすのみの日々が続いております。
いつの日か、あの至福のひとときが蘇ることを祈るばかりです。
一都三県の自粛営業も21日解除されるとは言え、いつ何時リバウンドあるかは見当が付かない状況です。
御葬儀もこのご時世ですからとの合言葉で、通夜を省き、精進料理もお持ち帰りとなり、近親者のみのお見送りが続いておりますが、最期のお別れは残された者にとって大切な気持ちのけじめでもあります。
コロナ後の御葬儀の在り方も含めて、これからのお見送りの仕方を、時代の空気と共に見守って行きたいと存じます。