仏式ではお亡くなりになって7日目に初七日の法要が営まれます。
ご葬儀が終るや否や再びお集まりいただくのも大変なので、ご葬儀当日、火葬後遺骨を祭壇に安置し、ご住職が還骨回向の読経され、そのまま繰上げ初七日法要に移行するのが通常とされてきました。
ところが最近ではお寺さんの都合なのか、はたまた式場の都合なのか、まだ荼毘に付す前に初七日法要が営まれるケースが多く見受けられるようになってきました。
葬儀・告別式の読経に続けておこなわれ、ご家族・ご親族のみのご焼香となります。
初七日は霊が冥土に向って最初の関門になる三途の川を渡る裁判日とのこと。初めての裁判を前に心細い気持ちを助けるための供養の日です。
それなのに、荼毘に付される前に供養されるのがなんとも腑に落ず、未だに違和感が付きまとっています。
公営の斎場の中には次のご葬儀の準備の為に出棺の後は式場に戻れないところが多く、必然的に前倒しで行なわれ、どこかところてん式に追い出される感じは否めないようです。
タイム・イズ・マネー、時間で物事が決められていく中、時間を外して見送り供養はできないものか。
目の前のご葬儀に立ち会いながら、ふとそんな天の邪鬼な心が動きます。
何時か観た、韓国のお葬式の映画のように・・・。
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葬儀にまつわることを織り交ぜながら担当者の日常模様が描かれています。
不景気風は何処へやら・・・?。団塊世代のお墓探しが始まった。
最近、朝刊のチラシに霊園の広告が目に付きます。
碁盤の目のように綺麗に区画化され、太陽がサンサンと降り注ぎ、花と緑に囲まれたヨーロッパのガーデニングをイメージした霊園は、自然に足が向くような雰囲気作りで満載のようです。
テレビのニュース番組でも最近のトレンドとして取り上げられていました。
世の中不景気風が吹き荒れているばかりではないようです。
横浜近郊の霊園経営者のご住職は予想以上の売れ行きと目を細めていました。
その理由として、団塊世代の購入が目立つとのことです。
高度成長期に地方から都会に出てきた団塊世代が自分達のこれからのこととして考え始めたようです。
田舎には先祖の墓地があるが、都会に出て田舎に帰るつもりはないため、こちらにお墓を移したい方。
また、地方出身の次男・3男で、生まれ故郷ではなく自宅のある近郊にお墓を求める方と様々です。
故郷を離れても、お墓を守っていくという日本人の意識は世の中の景気には左右されないようです。
しかし、霊園経営者も需要を見越して土地さえあれば開発が無限に出来るというものでもなく、 周りの住民の方々とのあつれきが出てきたり、そのために市の規制が一段と厳しくなってきたりとそれなりに限定されてきているようです。
霊園墓地の需要が高まる一方で、後を託す子供がいなかったり、子供達に負担をかけたくない方々は先祖からの「何々家の墓」にとらわれることなく、ご夫婦2人だけの墓を管理を含めて委託するケースも増えてきています。
この場合は後からお亡くなりになった方の33回忌が済むとご夫婦とも共同墓の方に移され、供養されます。
これからは益々身の丈に合ったお墓探しが主流になることでしょう。
「これでよかったのかな」見送る気持ちは複雑ですが・・・。
映画「おくりびと」は話題を集めて、ついに先週の観客動員数が第1位になり、TBSでは緊急特番が組まれていました。主演の本木雅弘と滝田洋二郎監督に映画にまつわるエピソードを伺っている中で、映画館から出てきた若い観客は「自分の親も温かく送り出してあげたいなと思いました」とインタビューに答えていました。
映画を観た人たちは周りに亡くなった方を持った経験を通して「こんな風に送ってあげられたかな」と自分自身に問いかけている方も多くいらっしゃるのではと思われます。
身近な方の死で動転し、気持ちが宙に浮いているような状態の中、ご葬儀が無事済みほっとしたのもつかの間、今度は「あれではたしてよかったのかな」という思いが日増しに募って来るようです。
送り方にお手本があるわけではなく、よかったかどうかは気持ちの持ち方次第ですが、不安な気持ちを傍からほんの少しサポートすることで安心感が得られることもあるようです。
当センターに頂いたお手紙やメールの中にもそんな近況報告が見られます。
入退院をくり返し最後の入院を告げらたお父様を葬儀社を決めてから、最後の数日間は看取ることだけに集中することができ、相談させていただいてよかったと思いますとのお手紙をいただきました。
また、葬儀社の担当者から「心に残るご葬儀だった」というお手紙をいただき、これで良かったのかなと悩んでいた気持ちが軽くなり、1人っ子でしたが無事見送ることが出来たというお便りも頂きました。
お父様の死を間近に不安な状況の中、センターのアドバイスに安心し、温かい雰囲気の中でお見送りが出来、振り返ってみると「幸せな思い出」となっていることに気が付かれたとの、ご報告も頂いています。
ご自分のご葬儀にはどなたに来てもらいたいか・・・。親子で話す話題作りのきっかけに。
先日、さる会社の合同葬に伺ったのはご葬儀の30分ほど前でした。テント後方のストーブの周りにはなぜか皆さん笑顔の方ばかりでした。お知り合いの会社関係の方々がお互いのご紹介やら、名刺交換やらで大忙しの感がありました。
これも社葬と呼ばれるご葬儀での大事なお役目の一部です。
ご葬儀に参列することは同じでも、会葬者の意識は一般のご葬儀とは大分異なるようです。
このような数百人単位の社葬に対して、個人のご葬儀ではどなたがお見えになるか、お1人お一人が大事です。
ところが、一般のご葬儀では万が一の時、どなたにまでお声を掛けるか決めていらっしゃるご家庭はまだまだ少数派です。
ご家族・ご親族のみの家族葬か、はたまたお仕事関係・ご近所の方々まで賑やかにお見送りしてもらいたいのか、お元気な内に意思表示をされておくことが必要です。
大よその会葬者数が分れば、色々なことが見えてきます。
まずは人数に見合った式場をさがすことができます。さらにその式場に見合った祭壇を、人数分の飲食代も、返礼品代も算出できます。
したがって、おおよその予算も立てられます。
いざとなって慌てて年賀状を調べるよりも、テレビ、ラジオ、映画等でのご葬儀の話題を機にご家族、はたまたご両親とじっくり話されるのも一案かと思います。
丁度今、映画「おくりびと」の話題でマスコミでもお葬式が注目されている時です。
ご両親、否、自分達のこととして、どのようなご葬儀で、どなたに見送って貰いたいか後の方に託しておくことも重要なことです。
最近、家族葬でのお見積りを取った方でしたが、いざその日が来た段階で矢張り、昔からのお知り合いの方もお呼びしたいということで、最終的なお見積りは10倍近くの会葬者数になりました。
話題の中心は納棺師・・・。来年のお葬式事情はどのように・・・。
映画「おくりびと」が米アカデミー賞の外国語映画賞を受賞・・・。昨日から今日にかけてマスコミが一斉に報じ、テレビのニュース、ワイドショーはこの話題一色になった感があります。
発表直前までの大方の予想ではノミネートされただけでも光栄だ位の取り扱い方だっただけに、一気にテンションが上がってしまったようです。
世の中の不景気風をなんとか吹き飛ばしたい気運と重なり、鉦や太鼓が打ち鳴らされています。
テレビでは各局のレポーターが競って「納棺師とは」のレクチャーをしています。
納棺師の話だけでは間が持てないと最近のお葬式事情まで話が進んで来ています。
折角ですから、もう1歩、生と死について、生き方についての話題にもって行きましょうか・・・。
熱し易く、さめ易い日本人。この話題、来週までもってくれるでしょうか。
でも、これだけ騒いだからには、心のどこかに残して頂けることを期待しましょう。
騒いだ後、ふと立ち止まって自分のこととして考えてみましょう。
来年の今頃はお葬式事情も大分変わってくるかもしれません。
そんなことを、思い浮かべながら仕事に就きました。
最初に受けた電話は、言いよどんだような声での「納棺師のこと教えてください」でした。
最愛の人との別れから立ち直るには・・・・。
数ヶ月前当センターが事前相談の対応をした方の奥様が亡くなられました。
万が一の時はご連絡をされることで静観していたのですが、ついに力尽きてしまわれたようです。
葬儀社の担当者からのメモに落着きましたらご報告しますとあり、悲嘆にくれているご主人の様子が伝わってきます。
少し置いて、アンケートをお願いするのはまだ時期尚早かと担当者に伺うと、長年かかわってきた中でも上位に入る位良い方だから、もう大丈夫よとのこと。
最愛の奥様を亡くされるまでの短い期間、どのように気持ちの整理をされたのでしょうか。また、どのようにして悲しみを癒されたのでしょうか。
まだ若い方なので悲しみの様子もストレートで、傍で見ていてもどうお声を掛けてよいか戸惑うほどだったとお聞きしましたが・・・。
先日、朝日新聞にグリーフケアを長年続けていらっしゃる高木慶子さんのお話が載っていました。
グリーフケアとは「悲嘆ケア」とも訳され、高木さんの場合はカソリックの立場から実践されてこられたご様子です。
マニュアルはなく、基本は手を握って、ひたすら話を聴くだけですとおっしゃっていますが、正にこれにつきるようです。
苦しみを聞いてもらい、癒される体験を持つことで共感能力が高まり、悲しみに打ちひしがれている人を受け止めることができる。時間と空間を共にすることが大切とおっしゃっています。
昔と違い、核家族化が進み人間関係が希薄になってしまった最近は、癒す第3者が必要になってきているようです。
そのためのワークショップも立ち上がってきています。
心の問題だけにハウツウがあるものではないが、悲嘆を学び認識することで、悲嘆に耐える手立てが広がることを期待したいですね。
葬儀社任せではないご葬儀をするには周りの手助けが必要不可欠です。
「長年の闘病生活でやつれた姿の父を家族親族だけで静かに見送りたい」とご希望されていた依頼者のご自宅近くに、家族葬用の式場が見つかりました。早速、式場に精通した葬儀社から1日葬の見積りを取り、説明書と共にお送り致しました。
まもなく、見積りの中の精進落としについて、以前ご家族で何度か召し上がったことのあるお近くの料亭から手配したい旨、ご連絡がありました。
勿論かまいませんが、一つ問題があります。と申しますのは、葬儀社から依頼を受けた料理屋さんは配膳人を出し、配膳全てを取り仕切りますが、お料理を他に手配した場合、式場までは出前してくれますが、置きっ放しの状態になってしまいます。
葬儀社の担当者はお手伝い致しますが、お料理の配膳は皆さんでということになります。その辺りを十分ご了解いただく必要がでてきます。
お手伝いをしていただくということで、以前立ち会ったご葬儀の、見事に手際よく自分達の手でもてなしをされたご遺族の例を思い出します。
同じように1日葬で、こちらの場合は50名程のパーティ形式の無宗教葬でした。
式場は前方に柩がなければパーティ会場と間違えそうな感じで、後方テーブルにはご喪家手作りの料理がワイン、シャンパン、ビールと一緒に並べられていました。
献花をし終わった方はグラスを傾け料理をつまみながら、次々に話される故人との思い出話に笑い、涙されていました。
献花台はいつの間にか、ワイングラスをおく台に代わり、最後皆さん乾杯でお別れになりました。
会葬者の方々が柩の周りの白ばらをお別れ花として柩に手向けている間に、ご喪家の方は後方のテーブルから片付け、会葬者が柩を囲める空間を作り、柩の通る道を作る。手の空いているご親族もお手伝いされ、お料理の残りは綺麗にラップされ、食べ残しはビニール袋へと手際よく片付けられてゆきました。
業者の手にゆだねるだけではなく、ご親族皆さんの手でお見送りするという強い気持が感じられたお式でした。
遠方からのご親戚は斎場かビジネスホテルどちらにお泊めするか。
「遠方から高齢の兄弟が最期のお別れに上京すると思うから、宿の手配はしてもらえるか」
ご葬儀の相談でよく聞かれるご注文です。
葬儀社の担当者は斎場の最寄駅近くのビジネスホテルをご紹介し、予約は直接お願いしたり、時にはサービスの一環としてご予約まで引き受けたりと様々ですが、まずは依頼者のご心配のないようにして差し上げられるので大丈夫です。
通夜の晩、仏様のお線香を絶やさないようにというところから始まった通夜の仮宿泊も公営斎場の場合は親族控室を利用し、雑魚寝状態になるかもしれませんが、数名ほどはお泊りできるところがほとんどです。但し、夜10時頃までには消灯時間になってしまいます。
民営斎場の場合はお泊り不可の所から大広間に自由にどうぞと言う所までまちまちですが、最近は人数に制限なしという斎場も増えてくる傾向が見られます。
但し、ホテルと違って斎場にはシャワー設備のないところが多く、朝食も近くのコンビニに買いに走ることが多いようです。料理屋さんに朝食を頼む場合もありますが、割高な感は否めません。
先日も久しぶりにご親族が全員集合し、仏様には悪いが、30畳の大広間に貸布団を敷き修学旅行のように楽しかったと言うお話を伺って、実はこれこそ仏様のお引き合わせで、仏様も喜んでいらっしゃることではないでしょうか。
お身内の予期せぬ死への対処法は・・・。
死はある日突然にやってくる。
まさか自分には直接関係無いことだろうぐらいにしか考えない方が大半だと思います。
しかし、ご相談の仕事をしていると、時として突然のことでどこからどう手をつけて良いのか見当がつかないとご連絡を受けることもあります。
お身内の方の長患いや、お医者さんからのご説明に、ある程度の覚悟を決めてご相談される場合と違って、パニック状態のお気持ちを、少しでも落着いてもらうことが第1です。
そのためには、お話をお伺いし、できる限りのお手伝いをさせていただきます。
昨年末には横浜のサラリーマンの方から、お母様と北陸に旅行中、突然お母様が倒れられ、お医者様から回復の見込みが無くいきなり覚悟の程を言い渡され、途方にくれているご様子の連絡をセンターにいただきました。
万が一の時の手続き等を説明し、一つひとつの疑問点を綿密な連絡を取り合うことでお気持ちが少し安定されたご様子でしたが、矢張りお母様は帰らぬ人となられてしまいました。
まず、お母様を横浜のご自宅までお連れする輸送の問題がおきてきます。
陸送ですと何時でも向うことができますが、なにぶんにも輸送代に高額な費用がかかります。
空輸ですと空港で飛行機に運び込む時までに、こちら側のご遺体を引取りに伺う葬儀社が決まっている必要があります。
空輸の場合、ご遺体は柩に入れた状態で、貨物扱いになり、貨物便のある飛行機に限られ、飛行時間外は翌日まわしになるなどの条件が出てきますが費用は陸送の何分かの一で済みます。
お母様の場合はスムースに空輸でき、無事横浜のお友達の待つご自宅に戻ることが出来ました。
後日、「思わぬ事態で、準備が全く無く、不意を突かれた状態でしたが、無事見送りができました」と丁重な礼状をいただき、ほっと、いたしました。
昨日、立会いで伺いましたご葬儀も、出先で突然倒れられ、2日後そのまま帰らぬ人となられた方でした。
終始気丈に振舞われていた息子さんもごあいさつで、「余りに突然のことで言葉を掛けることもできなかった」と悔やんでいらっしゃいました。
都立霊園の公募倍率は、平均11.6倍の狭き門です。
不況にも強いといわれる媒体が新聞折込チラシです。事務局の板橋区に入ってくる新聞折込チラシを見ていますと、不動産やスーパー、家電量販店の量には到底及びませんが、墓地のチラシもよく見かけます。
このチラシがどれほどの効果があるかはわかりませんが、長期間にわたって同じチラシが入っているところを見ますと、メディアが伝えるほど「墓不足」はそれほど深刻ではないように思われます。
逆の現象では、2008年の都立霊園の公募倍率は、八柱霊園で19.5倍、青山霊園で15倍、都立8霊園の平均倍率は11.6倍で非常に狭き門になっています。
国民生活センターのアンケート調査「お葬式とお墓について」(2007年実施)によれば、「もしもお墓を造る場合、重視するものは何ですか?」という質問に対して、「交通の便利さ」と答えている人が49%に達しています。
自治体が運営しているという安心感や料金が安いというだけでなく、都市部にあり交通の便がいいという点が高倍率につながったようです。
倍率が高く人気があるので公営墓地が一番いいのかと、一概にはそういうこともできません。公営墓地、民営墓地、寺院墓地にはそれぞれメリット・デメリットがありますし、まして、それぞれの家の事情も違っていることと思います。葬儀のようにあわただしくいろいろなことを決める必要もないので、お墓選びは後々のことまで考えて慎重に検討することが大事です。