「葬儀のことはお任せして、残り少ない時間は看取ることだけに気持ちを集中してください」

 ご葬儀後、依頼者の方々から「事前にご相談していくうちに自分の気持ちがはっきりしてきて、残り少ない日々を看取ることだけに集中することができました」というご報告を頂きます。
 我々、ご相談を受ける立場といたしましては、ホッと安堵する瞬間でもあります。
 事前にご相談されるお立場はそれぞれですが、未知のことへの一抹の不安や中には自己嫌悪に陥りながらも無事やり遂げねばと気持ちを奮い立たせてご相談される方がほとんどです。
 はじめどこからどのように手を付けてよいのやら、とおっしゃる方もメールやお電話でのやり取りで一つずつ不安や疑問を取り除き、安心して後は気持ちを残り少ない看護に集中させることができるようです。
 やり直しはできません。後で悔いが残らないように精一杯の看病をして差し上げましょう。
 
 頂いたお手紙にも限界が近づいてきて「もしかしたら」が頭をよぎりだしたが「その時」どうすればよいのか具体的に何も分らなかったので、まずは当センターに相談をされたとのこと。
 しかし当初は看病しながら、葬儀の準備に入る行動に嫌悪感を覚え、悩みながらメールをやりとり始め、センターのホームページを読み込んでいくうちに、あらかじめ知っておくことがひいてはきちんと送ってあげることにつながるのだと思えるようになってきましたと書かれています。

 メールでのご相談をやり取り中の方にも、予断を許さないが今少し安定していますとの報告を受け、思わずご葬儀の方は色々お伺いしましたのでご安心していただき、今はできるだけ看病に専念されるようお願いしてしまいました。
 後悔しない為にも・・・。 

市民の最期は明るく夢のある斎場で・・・。

 6月1日から、実際には5月31日の通夜から南多摩斎場の式場がリニューアルオープンされるとのことです。
 時には1週間先まで満杯状態という人気の高い斎場で、泣く泣く他の斎場を探された方も多いのでは。
 会場も広くなり式場数も増えますので、少しは混雑緩和になれますか。
 但し、新しいところでお見送りしたいといっても他のことと違ってこれだけは今から前もって予約するわけにはいきません。
 オープン記念で予約を希望されても、先の予約がとれないものは世の中広しと言えどめったにあるものではありません。

 市民のための斎場と名をうって公営斎場が全国津々浦々にありますが、実際に足を運んでみますとかなりの落差があるようです。
 関東一円をざっと見渡しても、夢心地にさせられるような光のシャワーの回廊をゆくところから、老朽化が進み気持ちまで沈んでしまいがちな式場まで様々です。
 お清め処に使われている控室に一歩足を踏み入れ、物置小屋のようなたたずまいに思わず立ち尽くしてしまったこともありました。

 先日も築30年の市営斎場にご葬儀の立会いに伺いました。別棟の別館は老朽化がみられ、スチールパイプのイスで少々味気ないうえに式場は幕も張れないとのことでした。
 葬儀社の担当者は入口や焼香台や受付に水引幕を張り、ご葬儀の雰囲気をなんとか出せたようです。
 後に依頼者から頂いたアンケートでも古さを指摘され、前もって分っていれば別な会場にしたかったと言われ、やり直しのきかないご葬儀だけに市側の配慮がほしいところです。
 ご葬儀では特にその場の雰囲気や空気が故人とともに後々まで思い返されます。
 明るく、気持ちよいお見送りができる会場もご葬儀の大切な要素だと思います。

「葬儀代金の分割払いはお受けできません」

 都内の火葬儀(直葬)に特化した葬儀社さんと、昨日、初面談しました。一般向けの資料に「葬儀代金の分割払い、後日払いに関しては一切お受けできません」という記述が目に留まりました。

 こうした文言を明記せざるを得ない事情もよくわかります。

 特に中小の葬儀社にとって葬儀代金の未回収は経営を揺さぶる大問題に直結します。未回収に至らなくても、ご喪家からお支払いしてもらうまでの期間が長くなれば、葬儀社は取引業者への支払いを先に立て替えているなど、資金繰りは悪化してしまいます。

 これからの時代、未回収の管理はますます大事になってきます。どんな業界でもそうでしょうが、そもそも、債権回収と呼ばれるようになってしまった回収業務は気分のいいものでもありません。

 当日支払う必要のある貸式場費や火葬料など喪家に直接現金でその場で支払ってもらい、立て替え金を少なくしたり、クレジット決済を導入するなど、葬儀社は、できるだけリスクを少なくしようとしたりしています。

 逆に、喪家側からみますと、葬儀社によって精算方法も違いますので、確認しておくことも必要です。お布施以外全額を後日支払いでいいのか、それとも、当日現金払いの部分がどれくらいあり現金準備はどれほど必要なのか、クレジット決済はどの部分で可能なのか・・・などです。

 ちなみに、当センターでこれまで紹介して施行した約1000件の中で、葬儀社さんが債権未回収になってしまったものが、自己破産などが理由で2件(火葬儀)ありました。

市民以外の方は市営斎場お断り・・・?

 先日、町田在住の方から頂いたお便りの中に「かなり待って南多摩斎場でのご葬儀が終ったが、高齢のご親戚の方々がお見えになるのに、場所が不便で難儀しました。場所としてはむしろ相模市営斎場の方が近くて便利だけれど、市外の者は使用できないのか」とのお問い合わせがありました。
 お住まいの場所によっては確かにお隣の市営斎場の方が、はるかに近く、しかも便がよいところにある方もいらっしゃいます。
 しかし、市営斎場は市民の方々の税でつくられた斎場である以上、市民最優先が前提になってしまいます。
 使用料も市民と市民以外の方では倍あるいは数倍も掛かり、火葬代にいたっては10倍というところまであります。
 それでも葬儀費用全体から見れば抑えられた金額なので、多少のお金を払ってもより近くて交通の便が良い方の斎場にと目が向いてしまいがち。
 そこで、さらにふるいに掛けるべく次なる案が出てきます。
 時間差攻撃です。
 相模原市営斎場の場合を例に取りますと、通夜当日の午後3時までに市民の申込みがない場合に限り市外の方を受け付けるというものです。
 午後3時というのは葬儀社が通夜のセッティッグを始める時間帯です。
 現実それから発注に取り掛かり通夜に間に合わせるには少々むりがあります。さらに、市民の申込みは多く、4~5日は待たされるとのこと。現実無理な話です。
 その他同じように横浜市、立川市等も、ぎりぎりまで市民の味方で、実質市民以外の方の締めだしともとれなくはないようです。

 一方で、逆のケースもまれに見受けられます。例えば、かわさき南部斎苑などは市外の横浜市鶴見区近辺の方はよく利用されるようです。
 市外扱いでも民営斎場使用の場合よりも費用が抑えられ、火葬場併設で移動がないメリットが交通の便のデメリットを上回っているようです。
 これから益々会葬される方も高齢化を迎え、少しでも行きやすい斎場を希望され、その一方で、住宅地区での火葬場建築反対運動が各地で起きていると伺います。
 ただ単に忌み嫌うのではなく、死について考え直すよいきっかけになるかもしれません。
 
 
 
 
 
 
 
 

家族だけでなく、お別れしたい人の気持ちもくんであげることが大切では・・・。

 ご家族だけで静かに見送りたい。特に都会のご高齢者の場合はそれが顕著のようです。
 ご本人の意思にご家族も同意され、ひっそりとお見送りする。
 これも一つの方法です。
 しかし、ご葬儀が終った後、日が経つにつれ、残された者は果たしてこれでよかったのかどうかと揺れ動くのも事実です。
 やり直しがきかない以上、自分に納得させる以外に方法はないようです。
 
 覚悟を決めなければいけない時期に差し掛かり、見舞いながらご葬儀の準備をする二律背反の行動に悩みながらも、前もって知っておくことが、ひいてはお父様をきちんとお送りすることができると納得された方からお便りを頂きました。

 お父様からはご家族だけでと申し渡されていましたが、最後の決断は親しかった方皆様にお出でいただくことになりました。
 見積りの段階でも揺れ動くお気持ちを隠さずお話され、納得のいく形を模索し結論をとお考えのようでしたが、死はある日唐突にやってきます。
 色々な思いが一気に吹き飛んでしまいます。それでも、思考錯誤されてきたことが土台となっています。
 その一つが、当センターのホームページに書かれていた「おまいりしたい人の気持ちをくんであげるのも・・・」の言葉だったそうです。
 お父様はお母様のことをご心配され、ご家族でということを強調されていらしたが、
長年のお友達、親しかったご親戚の方々、皆様それぞれの思いがあります。ひょっとしてご家族以上のものがあるかもしれません。お別れしたい人の思いを、ご家族という名のもとで断ち切っていいものか。悩み、そして英断されました。皆様に来ていただくことに。

 今回「残された家族がどれだけ気持ちに余力を持っていられるか否か」で参りたい人の気持ちを受け止められるかが決まると実感されたそうです。
お便りを読みながら、思わず「よかった」と我がことのように安堵いたしました。

人間1人では生きられない・・・。

 長患いの奥様を亡くされ、覚悟していたとはいえ、現実になったショックはいかばかりか。
 アンケートにお答え頂いた中に「葬儀終了までの時間、無我夢中の中でやりまして、今冷静に振り返ってみても、その感想は如何に・・・と聞かれてもそれは解りません」とありました。
 読みながら、思わず「うん、うん」と頷いてしまいました。正直な気持ちでしょう・・。これが、万人本当の気持ちかもしれません。
 しかし、いつまでも悲嘆ばかりにくれていては、日常生活に支障を来たしてしまいます。
 とは言っても、悲しみを癒すマニュアルがあるわけではありません。
 寄り添い、気持ちをおもんばかってやる心の交流が必要です。
 かっては、日本の大家族の中で、また村落の人とのつながりの中で癒し癒されながらお互いの気持ちを孤立させないような仕組みが出来ていました。
 都会に出てきた人は知らない内にそれを切捨て切捨てて、核家族化だけが進行し、いざとなった時に周りを見渡せば皆知らんぷりを決め込んでしまっている状態です。
 しかし、人間1人では生きられない。
 そう気づかされた時、新たな第3者の寄り添う力の必要性が芽生え、それが最近になってあちこちで息づき始めてきています。
 それは悲しみにくれる人たちに寄り添うグリーフケアだけでなく、日常からコンテンポラリー・アートの世界にまで応用され浸透しつつあるようです。
 1人で完結するのではなく、人とつながり、受け止めてもらうエネルギーの交流こそが、全ての原点であるかのように。 

女性パワーによる自由な形式の葬儀が増えてきた・・・。

 「ホームページを見てお電話しているのですが、ご葬儀の祭壇、お食事、返礼品は我が家で調達して、葬儀社さんには搬送、進行、火葬場の案内をお願いしたいのですが・・・」
 「レストランで200名ほどの立食パーティでのお別れ会にしたいので、ご相談に乗ってくれる葬儀社さんをご紹介ください」

 ご両親や伴侶のご葬儀のイメージを具体的に持ち、周囲の目を気にせずに主張される女性の方が目立って来ています。
 ご両親に頼まれたご葬儀プランも男性の依頼者ですと、世間の目を意識し一般的な無難なお式に変更されるケースが多いようですが、女性はそのまま素直に受け入れ、さらにご自分の意見をプラスしてご希望を膨らませていらっしゃるようです。

 「ご葬儀中心のセレモニーホールではなく、お料理もお寿司の類ではなく、お礼の品はこちらでご用意したものを」と言うように、世間というしがらみを取っ払い、自由な考えのもと、いろいろなアイデアが浮かんでくるようです。
 女性の生活者の視点でご相談を開始し、そこから可能な限りの実現をめざしていく姿勢は、規則に縛られた仕事人間の男性よりも柔軟でパワフルです。
 規格品型の葬儀社主導のご葬儀も女性のパワーでその人・その家に合ったやり方に、葬儀社がお手伝いするという方向に向いつつあるようにも感じられます。
 
 

 

ご家族ご親族だけでのお見送りは本葬だけで十分・・・?。

 (4/12) 高齢化社会に突入し、最近では定年を迎えた団塊世代が親の死を看取ることが多くなってきました。
 子供達でさえ会社や組織を離れる時期、その親御さん達にとっては付き合いも殆ど限られ、お知り合いもすでに姿を消してしまっています。
 勢いご家族、ご親族、後はほんの少数の友人達のみで見送るケースが都会を中心に伸びています。
 それと同時に、1日だけのご葬儀、本葬だけをされるケースも急激に伸びているとのことです。
 以前、そのことで菩提寺の方からクレームが寄せられ、結局一般的なご葬儀に落着くようですと葬儀社の担当者から聞いていたことが思い出されます。
 しかし、今や世の中の情勢と相まって勢いはさらに加速されているようです。
 菩提寺からの苦情の主たる原因だった通夜の読経も、家族が参加する枕教で済ませ、
 後はお身内だけでゆっくりと最後の夜を過ごしたいと。
 ご遺族も見送り方にこだわりを持ってきているようです。

 家族葬での1日葬と通夜・葬儀・告別式を2日間かけてやるのとでは通夜の料理代が浮く位で金額的な差はあまり感じなかったのですが、ある葬儀社の担当者は式場費が半額近くになる斎場を確保しているとの由。
 その分、ご家族だけで供花が出ない場合など、お別れ花にまわすこともでき、色々融通を利かせることが出来ます。
 粘り強く式場との交渉の結果、賛同してくれる式場もかなりな数に上ってきた模様。
 斎場側も表向き、なかなか2日間の使用料を変えることは難しい。
 これは信頼を得た、選ばれた葬儀社に与えられた特典なのか。
 注目されてきた分、ご葬儀も臨機応変な対応が求められてきているようにも感じられます。

 

火葬場に関するトラブルを追ってみると・・・。

 (4/3) 先日、富山県高岡市が建設した高岡斎場の一般利用が始まった日に、建設反対派の地元住民約30人が建物入口に座り込み、職員らと小競り合いになった際、反対派住民が入口窓ガラスを割ったとして器物損壊容疑で高岡署に現行犯逮捕されるという事件が起きてしまいました。
 反対派は「なぜこの土地にしたのか、十分な説明の無いまま着工された」と市に慰謝料支払いを求めていたと言います。 
 
 早速TBSラジオのトーク番組アクセスではこの件に関連して、地元に火葬場が建設された場合への是非を問いかけていました。
 結果約2対6で圧倒的に建設賛成派多数でしたが、ラジオを聴いている限りでは少し建前が前面に出て、切実感にとぼしいようにも感じられました。
 意見を述べられた方は逆に反対意見が多く、
 土地の表価格が下がり売れなくなるから人里離れた郊外に建設してほしい。
 施設が出来ると車の出入りが多くなるので安全面で受け入れられない。
 黒い服の方が多く集まると暗い印象が強い。
 昔からのイメージで煙突からの煙は生理的に受け入れられない等、感情論の中にも本音が見え隠れしているようでした。
 
 実際面として関東近辺でも新しく建設された火葬場は市街地からかなり離れた地域にあり、車での移動なくしては動きがとれないという箇所が多く見受けられます。
 最寄のバス停から15分程となっていても人里離れた山の中で、うっかりすると迷子になってしまいかねない危険性もあります。
 ご葬儀に行かれる方は地元の方ばかりではありませんので、あまりに遠方というのも不案内になってしまいます。
 
 さらに、遠方には新たな問題がはらんできそうな気配です。
 司会者の方も指摘されていましたが、「インフルエンザ・パンデミック」などで亡くなり一定区域を封鎖された場合、地域に火葬場がないと空き地を使って荼毘に付すしかなくなってしまう恐れがでてくるとのこと。
 感情論を飛び越えたところに強力な火種が隠れているようです。
 冷静な話し合いが課題です。

ご葬儀も祭壇、お料理、返礼品は故人の趣味趣向のものにこだわる兆しが出てきたようです。

 (3/28) 自身のご葬儀をイメージしご家族に託す方、また親御さんのご葬儀を前もって準備される方の中に、趣味趣向をよりはっきり打ち出してこられる方がでてきたようです。
 少し前までは、葬儀社の担当者にこのようにしたいというご要望を出し、担当者はできるだけご希望に沿うようにアドバイスされたりしてきましたが、最近ではご喪家自身の手によって準備される場合も出てきました。
 
 ご喪家主導型のご葬儀と言えば今までは市民葬のようにお値段を抑えることを目的にされることが多かったのですが、近頃は少し事情が異なってきています。

 さりとて時に見られる奇抜なイベント化されたご葬儀とも違うようです。 
 ご葬儀の儀式そのものは従来通りに執り行われます。
 違うところは祭壇やお食事、返礼品をご喪家の好みのものにする。
 葬儀社がご用意した中から選ぶのではなく、好きなものをご喪家自身が発注する。
 祭壇も生前好きだったお花を購入し、知り合いのお花屋さんにお願いするという。
 お料理も、返礼品も故人の好みに合ったものをお出ししておもてなしをしたいとのこと。
 
 結婚式と違い、ご葬儀は短期間に滞りなく終えるためにもいつの間にか葬儀社さん主導型になってしまいましたが、故人と繋がりの深いご葬儀にお見えになる方のためにも
ご喪家の意向をはっきり出す傾向がみられるようです。
 葬儀社が全て執り行うのではなく、あえて個を出せるところはご喪家自身の手でいきたいと。
 葬儀社サイドも柔軟な姿勢を見せはじめているようです。