最優先にしたいことは?

 葬儀社を選ぶ際に、ご自身(またはお身内の方)が何を最優先にしたいかということが明確になると、選びやすくなると思います。

 費用を極力抑えたい、交通の便がいい式場で、温かい対応をしてもらいたいなどのほかにも、畳の部屋で安置してもらいたい、葬儀の日まであまり待ちたくない・・など。
 もちろん全てが叶えられることが一番いいのですが、環境によって叶えられないことなどもあると思います。

 以前、式場は自宅の近くにしたい、自宅には安置出来ないので、安置所を利用して、夜間の付き添いもしたいとご希望されたご相談がありました。
 ご自宅近くにちょうどいい規模の葬儀会館はありましたが、残念ながら、ご安置については夜間の付き添いに対応しておらず、それを叶えるためには少し遠くの安置所を利用するしかありませんでした。
 安置中の夜間付き添いという点を踏まえた提案をさせていただきましたが、よくお考えいただいた結果、夜間の付き添いはできなくても、「近い所」ということが最優先になり、ご安置中の面会は日中しかできませんでしたが、ご自宅から近い式場で葬儀を行うことができました。

 本来なら全ての要望が叶えられることが一番であるとは思いますが、それが難しい状況にある場合には、ご要望の中の何が一番大事なのかということを明確にして頂くと、葬儀社を比較して選ぶ時にも役立つと思います。

ご相談者の最近の傾向は・・・。

 少し前まではご葬儀についてのお話はタブー視され、話題にもぼることも少なかったようですが、昨今では団塊の世代を中心に、ご両親の看取り方やご自身の将来のこととして身近に受け止める方が増えて来ているようです。

 ネットによる情報が飛び交う中、葬儀社さん任せが多かった以前に比べ、当センターへのご相談も、各人それぞれのこだわりをお話しされる方が増えております。

 そのこだわりの中でも、永年住み慣れた町への愛着は、思い出と共に人一倍強いものがあるようです。

 最近は、遠方の介護付きの老人ホーム等に移られる方も多くいらっしゃいますが、新住民となられてもお付き合いが少なく、ご家族の方々からも、最後はおなじみの場所でおなじみの方々に見送っていただきたいとの強いご要望をお聞きします。

 先日当方がお受けした方も横浜でのご葬儀に強いこだわりをもっていらっしゃいました。

 当初、ご相談者のお母様は永年横浜に住み、6年程前に茅ケ崎の施設に移られましたが、茅ケ崎には知り合いも少なく、十数年前にお亡くなりになられ、横浜南部斎場にてご葬儀をされたお父様同様のお見送りされたいとのご希望をいただきました。

 しかしながら、横浜の場合、市営斎場は市民の方優先で、常に混み合い、市外の方の式場確保は至難の業と言われておりましたので、横浜にこだわるご相談者の為に民営の式場を確保させていただき、一方の火葬は昨年まで市外の方用に時間指定がありましたので、かろうじて確保できましたが、本年からは時間指定がなくなり、市内の方が1週間前からの予約受付に対し、市外の方は3日前からの予約というハンデのみになりましたので、心配しておりましたが、何と今回は予約を取ることが出来ました。

 万が一を鑑みて、横浜の式場と鎌倉での火葬も視野にいれておりましたが、横浜の長年のお友達に見送られ、無事旅立たれたとのご報告を頂いております。

対応できない地域の方からのご相談・・。

 当センターは、主に首都圏を中心に活動しておりますが、時々対応地域外の方からご相談を頂くことがあります。

 何カ月か前、近畿地方の方からお母様の状態が心配なのでとのご相談がありました。

 以前お父様のご葬儀の際に残念な思いをされた事、また、その際にお願いした寺院とのしがらみで今も悩んでいる、母の葬儀の時には来る人も少ないので簡素に行ないたいので、小さな葬儀でも親切に対応してくれる葬儀社を紹介してほしいとのこと。
 対応地域外でしたので、具体的なご紹介はできないことをお伝えしたうえで、どこの地域でも共通であろうと思う、ご自身で葬儀社を探すために、葬儀社を選ぶことが大切だということ、葬儀社を選ぶにあたって、気をつけて頂きたい事などの話しをさせていただきました。

 お葬式は地域によって風習やしきたりがあり、少し離れている地域というだけでやり方が全く違うという事もあります。
 心配な状況にある方からのご相談に、具体的なご紹介という対応が出来ないことはとてももどかしい思いもあるのですが、センターではスタッフがわからない地域や対応面での確認ができないようなところにおいて無責任な対応はできないと思っているため、広範囲の対応ではなく、地域を絞った深い情報を持って対応させていただいています。

担当者の腕の見せ所ですから・・・

  先日深夜、お父様が入居されている施設で亡くなられ、現在最寄りの警察にご安置されている状況なので、明朝、検案が済んだらお迎えをお願いしますとの電話を頂きました。

 急なこと故、ご家族の皆さんは手分けして、ネットで検索され、ご自宅にも近く、ご要望にも沿っていると思われる斎場を次々リストアップされて、この中からお決めになりたいとのご要望をいただきましたが、ネット上でお調べするのと、実際に式場を使ってご葬儀を執り行い、現場を熟知している葬儀社の担当者の目とは少し開きがあるように思われました。

 斎場もネットで検索されると大きさ、広さ、使い勝手の良さなども詳しく説明されており、一見ご希望に沿ってよさそうに見えますが、ご喪家のそれぞれのご事情やご要望に応じて様々な条件が加わりますので、思わぬことから向き不向きも出てくるようです。

 お伺いしたリストの斎場も、現場の担当者から見ると、ご要望とはかけ離れていたり、実際にはご喪家のご葬儀規模からすると大きすぎたり、ご予算に見合わなかったり、はたまたお仕事の関係でご葬儀の日時も限定される中、菩提寺のご住職のご都合もおありになり、総合的に判断して実際ご相談を受けた担当者が選び、推薦したのは、リスト外の式場でした。

 ご葬儀の時以外、あまり目につくことの少ない斎場に関しては、ネットの情報だけを鵜呑みにせず、地域の斎場を普段使い慣れている担当者にどのようなご葬儀を御希望なのか、胸の内をお話され、様々な角度から検討していただき、アドバイスを受けるのも必要かと存じます。

 担当者にとって、腕の見せ所でもあるのですから・・・。

斎場関係者の気持ち

 12月10日にリニューアルオープンしたばかりの練馬区の大泉橋戸会館へお邪魔してきました。
 以前は90名~100名ほどの方が着席出来る大規模葬に適したような式場でしたが、この度のリニューアルでは着席50名ほどの大式場と着席20名ほどの小式場の2式場に分けられ、最近希望される方が多い家族葬やこぢんまりとした葬儀に適した式場に変わりました。
 希望する葬儀の規模によって2式場のうちのどちらかを選べるのは利用者にとってもメリットが高いように思います。
 また、完全バリアフリーに対応し、1階部分の式場と2階にあるお清め室や控室の行き来もエレベーターを使用することができて便利になったうえ、トイレも多目的トイレが導入されていました。

 ご葬儀を行なう方や会葬者への配慮が感じられる式場でしたが、式場を管理されている方から、「どこか、使いにくいようなところはありませんか?」と尋ねられました。
 葬儀社さんなどにもお聞きしているとのこと。
 1階にある2つの式場は廊下をはさんだ近い位置にあることから、以前、葬儀社さんから両方の式場で一度に葬儀を行なうとなると、音が両式場に聞こえてしまうという点をご指摘いただいたとのことで、早速防音設備を発注されたそうです。
 
 斎場関係者の方は、他の式場をいろいろと見て回ったりなどの機会もあまりないでしょうから、普段色々な式場を使用している葬儀社さんの声はとてもありがたいもののようです。
 ご利用される方が気持ちよく使えるようにという、斎場関係者の方のお気持ちが感じられました。

以前住んでいた近くの式場に決まる

 たとえば、どこかの会社を訪問するような場合、前もって地図をプリントアウトし場所を確認、その紙を頼りに目的にたどり着くという、これまでのやり方は、スマホの地図機能の前に駆逐されていく方向かもしれません。地図機能で目的地まで、この方向にあと何メートルと案内してくれます。
 地図機能と検索機能が結びつけば、今自分のいる場所から、たとえばコンビニ検索で、どのコンビニが何メートルの距離かまでわかります。

 われわれも、紹介業務をするにあたって、距離は大事な要素です。住所地や病院などから、安置所の場所や、式場、火葬場、そして葬儀社店舗との距離などです。ただ、この距離は、スマホの地図機能が示す何メートルと数値化されたものだけを指すのではありません。それぞれの人の状況や経験に応じて、心理的な距離感というものがあるようです。

 橋を一本はさんだだけで遠くに感じたり、都心に向かっていく逆の方向の地域には遠さを感じたり、よく通っている所には近さを感じたり、以前働いていた場所には近さを感じたり、など様々です。

 先日、紹介社の施行した案件の中で、社の担当者が、この心理的距離感を踏まえて、式場の決定がスムーズに運んだ事例がありました。
 親類縁者がみんな集まれる日ということで、日程重視で、その日程に合わせるように式場を決めなければなりませんでした。担当者は、打ち合わせの中で、喪主が以前、隣接市に住んでいたことを聞き、少し遠いけれども、以前住んでいた近くの式場を提案しました。

 事後のアンケートにおいて、「故人と遺族の親しい関係やこれまでの付き合い方をくみとって、細やかな配慮やご提案をいただいた。必要な事はきちんと、でも押しつけがましい提案は一切無く、深く信頼できた。」とありました。

葬儀社さんと斎場の訪問

 しばらく内勤が続いていたので、先日、久しぶりに斎場見学とその近くにある賛同葬儀社さんのところに訪問してきました。

 久しぶりの外出だったので、まずは近場の戸田葬祭場へ。2年前に本館をリニューアルしてから、行こう行こうと思いつつ先延ばしにしてしまっていたのですが、やっと行ってきました。
 以前の戸田葬祭場は何度もお邪魔していて、多少不便に思うところなどはあったのですが、このリニューアルで全て改善されて、すっかり変わったところについては、利用者の目線で考えられていることがよくわかります。
 
 斎場の見学や葬儀社さんへお邪魔する際には、出来るだけ友引の前日に伺うようにしています。
 葬儀関連の業界では、お通夜をやらない友引の前日の午後は一息つける時間でもあると思います。せっかくのそんな日にお邪魔するのも少し気が引けるのですが、いつ、仕事が入るかわからない業界ですので、落ち着いてお話ができるのもこのタイミングかも・・と。
 斎場では、普段なら、告別式の片づけが終わって、通夜の準備に入るまでのほんの少しの時間しかウロウロさせてもらえませんが、通夜がないこの日は、担当の方がゆっくり付き合って下さり、隅々まで案内してくれるのでとてもありがたいです。

 いつも忙しくされている葬儀社さんも、この日は少しだけゆったりされているのではないでしょうか。もちろん、搬送などが入り、急遽キャンセルということもありますが、式前のバタバタした雰囲気はなく、ゆっくり話しをして頂くことが多いようです。

 葬儀社さんへ訪問するのは、スケジュールの調整がなかなか難しいところですが、せっかく外出するのですから、無駄なく、うまく調整してまわりたいと思います。
 気持ちいい季節なので、今のうちに・・・・。

出向いて打ち合わせしないといけないの?

先日、葬儀から少し経ってお願いしたアンケートにおいて、当センターを利用した理由について、次のようにありました。

「父の葬儀の時、内容や規模に対しての費用がとても高く感じ、疑問を持ったのがきっかけです。父の時は葬儀の知識もなく、亡くなってから探し始め、準備不足を感じたので、今回は自分自身納得の行く式を行ないたくて、紹介センターさんの抱負な情報と中立な立場から最適な葬儀社を選択していただきたく相談をしました。」

葬儀前の相談の時にお伺いした話では、「以前のお父様の葬儀の時に、両親の自宅のある○○区から遠いところの葬儀社を頼んでしまい、遠いので打ち合わせに行くだけでも大変だったので、今回は近いところにしたい」ということでした。

たしかに、一度経験しますと、何に注意しないといけないのかはわかると思います。いざ葬儀の打ち合わせをするときに、そのたびに葬儀社に出向いて打ち合わせしないといけないのか、など、どこにもそん情報は出ていません。この指摘と不快感は珍しいわけではなく、以前にも同じようなことが何回かありました。

また、ネットPRで広範囲に施行している所の中には、さまざまなところに営業所があるように見せかけていているが、実際には営業所のようなものはなく、都内の一か所にある会社から打ち合わせしないといけないので、対面での打ち合わせを極力しないようにしたり、事前の対面での相談をしないようにしているところもあります。

いずれにしても、そんな経験を一度もしなくてもいいように、われわれもより適切な情報提供の仕方で提案をしていきたいと思ってます。

お寺の貸式場。

 先日、「駅から近いところにある式場」を第一の優先事項に思われているご相談を承りました。
 あいにく、近隣駅の近隣には葬儀式場がない地域だったので、同じ沿線で少し離れた駅からは近い、お寺が管理する貸式場をご案内させていただいたのですが、提案をさせていただいた時点で、ご相談者のご家族が少し難色を示されていました。
 その会館は、貸式場として使用できるところで、宗旨宗派問わず、どなたでも利用できる式場なのですが、「お寺が管理する会館」というとで、そのお寺の宗派と違う宗派の方や、特に信仰が深くないような方にとっては少し違和感があるのでしょうか。
 ご相談では、どのような宗派の方でも使用できる貸式場になっている旨を説明させていただき、納得していただいたうえで、その会館でのご葬儀となりましたが、ご自分で調べているような場合などでは、きちんとした説明がないと躊躇されてしまうかもしれません。

 たしかに、お寺にある信徒会館などは檀家の方以外の使用ができないような所もありますが、貸式場として、どなたでも利用できるようにしている会館も数多くありますので、選択肢に入れられるような場合には葬儀社さんなどに問い合わせてみるのもいいかもしれません。
 センターでもそのようなお問い合わせに対応しています。

ローカル経済圏とグローバル経済圏

 「多摩地区で生活保護を受けている知り合いの人が亡くなったので、葬儀社を紹介してもらえますか」と相談がありました。
 一般の人からではなく、23区・城南地区内のお付き合いのある葬儀社の人からでした。対応が困難だという事です(故人の住民票は多摩地区でしたが、火葬場は所沢市斎場)。

 言うまでもなく葬儀業界は、お客さんとの対面が前提の労働集約的な地域密着型のサービス産業です。
 中には、拠点は都内に1か所の小さい会社でありながら、ネットで目立たせて相当広範囲に施行しているところもあるようですが、手厚いフォローはあまり期待できないと思われます。

 それはさておき、最近読んだ「なぜ、ローカル経済から日本は甦るのか」という本によりますと、今後の日本の経済成長は、地域密着型の産業(ローカル経済圏)の成長に大きく左右されると指摘しています。
 あれ? まずグローバル企業(グローバル経済圏)の収益や賃金が上がって、日本の経済成長を牽引し、それが周辺に影響を及ぼしていくんじゃなかったの? 
 どうも違うみたいですし、現実をみると、そうなっていない感じが強いですし、何年かたっても変わりそうもありません。

 日本経済でグローバル経済圏が占める割合は、GDPで3割、雇用で2割くらいだそうで、しかも、グローバル経済圏とローカル経済圏の関係も薄いので、グローバル経済圏がいくら良くても必要十分条件ではないというわけです。
 ちなみに、二つの経済圏は、様相も相当違うので、最適な政策も違うのではないかとも。たとえば、グローバル経済圏の規制緩和・自由競争一辺倒ではローカル経済圏はうまくいかない、と。

 さて、本書のテーマである、ローカル経済圏の成長のためには、どうすればいいのか? 生産性の低い企業の退出(廃業)促進により集約化を進めることだと提言しています。退出促進が勝負どころで、金融機関の協力や公の規制も絡ませても取り組むべきことだとしています。結果、労働生産性と賃金上昇が実現する。

 葬儀業界が、今後、退出・集約化により、労働生産性と賃金上昇がもたらされるかはわかりませんが、示唆に富みます。