葬儀の規模と式場の広さ

 ご相談の際、希望する式場があるかどうかをお聞きしています。
 ある程度事前にお考えになられている場合、近いからなどの理由で具体的な葬儀場をお伝えいただくこともあるのですが、ときに、その葬儀場とそのほかのご要望がうまい具合に一致することが難しくなる場合があります。
 たとえば、家から近いところにある葬儀場を使いたい、ご家族とお身内だけの10名ほどの家族葬を希望しているとした場合、その葬儀場が100名規模でも対応できるような大きな式場だったとしたら・・。式場費用もおそらく高いものになってしまうでしょう。
 もちろん、「家から近い」ということを最優先にされていて、ご承知の上での要望であれば全く問題はないのですが、ご希望する葬儀に適した式場をお選びいただける環境であれば他の式場も選択肢の中に入れていただくこともできるかと思います。

 先日のご相談で、ご相談者はその土地に引っ越してきてまだ間もなく、どのような式場があるのかよくわからないが、近所にお寺の会館があるのでそこを使いたいというご相談がありました。
 ご家族・ご親族のみで15名ほどのご葬儀だったのですが、そこの会館は80名ほどが着席できるような広さ、また、式場使用料もお考えになられていた以上の金額でした。
 地元に詳しい葬儀社をご紹介させていただき、担当者からの提案で、ご自宅からは少し離れてしまいますが、丁度よい規模で費用も抑えた式場を使用されました。
 ご葬儀後にご回答いただいたアンケートでは、「駅から近く式場も丁度よい広さだった」葬儀社については、「いろいろな局面で臨機応変に対応してもらえた」と好評価をいただきました。

 また、別のご相談では、ご希望された近所の会館はバリアフリーに対応していないため、車いすでの移動が必要なご親戚がいらっしゃるということから、担当者の提案で他の便利な式場へ変更された例などもあります。

 普段、一般の方は葬儀式場の中まで見ることはあまりないと思います。また、見学に行かれたとしてもご葬儀の準備をしていない式場だけを見ても、どのように飾られるのかなどはあまり想像がつかないかもしれません。
 式場を選ぶには、その地域の式場に精通した葬儀社を選び、他のご要望と合わせてご検討されるのがよいかと思います。
 センターでは、ご要望を踏まえたうえで、その地域に精通している葬儀社をご紹介いたします。

遠方からのご相談

 センターでは対応地域を東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県に絞って活動をしているのですが、時々、関西や東北などの対応地域外からご連絡を頂くことがあります。
 お話しを伺うと、センターの対応地域にお住まいの身内の方が心配な状況にあるため、遠方にいらっしゃっても葬儀を仕切らなければならないお立場の方や、インターネットなどで調べることが出来るということで情報の収集を任された方がご相談をされるというケースが多いようですが、このような場合には、是非、ご対象の方の近隣にいらっしゃるお身内の方や信頼のおけるご友人などがいらっしゃいましたら、情報を共有していただくことをお勧めしています。
 万一の際に連絡を受け、すぐに病院へ駆けつけることができる方がいらっしゃる場合には、その方と共有して頂くのも良いかと思います。
 依頼する葬儀社を決めてあるということが分かっていれば、病院に駆け付けた方も安心されるかと思いますし、ご要望をお聞きしている葬儀社の担当者が対応することにより、ご遺族の負担も軽減することにつながるかと思います。
 もし、近隣に頼れる身内の方などがいらっしゃらない場合には、ご逝去の連絡を受けられた際に、依頼する葬儀社が決まっている事をお伝えしておくだけでもよいかもしれません。
 良い葬儀にしたいというご相談者の気持ちが叶うよう、事前にご相談される際には、是非万一の際の連絡までを把握しておいていただければと思います。

年末年始の混雑・・・

 毎年、年末年始は斎場や火葬場がとても混雑し、地域によっては10日くらい待たなければ葬儀ができない状況にあるところもあるようです。
 特に公営の斎場は利用希望者が多く、年間を通して混雑している状況ですが、年明けは年始のお休みもからんでくることから、通常以上に混雑が激しく、ご喪家の日程の調整も難しくなることも多いようです。
 1月ももう半ば、そろそろ緩和してくる頃かと思うのですが、一部の地域では引き続き混雑が続いており、現在でも一週間以上お待ちいただいている方がいらっしゃるそうです。

 葬儀の日程までの待機日数が長くなると、それに伴い、安置料(安置所をご利用の場合)やご遺体保全のためのドライアイスの使用料などが日数分かかってしまいます。
 せっかく近隣にリーズナブルに使用できる斎場があっても、日程次第では少し離れた火葬場を使用した方が費用を抑えられる場合も出てくることから、少し遠くても早く葬儀ができる所を選ぶ方もいらっしゃるそうです。

 先日、神奈川県の葬儀社の担当者から伺った話しでは、ご喪家の希望日程では市内の火葬場を利用することができず、東京の火葬場まで行ってきたとのこと。
 
 人の死は時も場所も選べません。
 こればかりは予測をつけることができないことだけに、葬儀を出すご家族にとっては大変な悩みになってしまう事もあるかと思いますが、どこを一番に優先したいかという所だけでも決めておくとよいのかもしれません。

方向だけでも決まっていれば・・。

無事にご納骨を終え、落ち着きましたので・・・と、以前ご相談に対応させていただき、ご葬儀を行なわれたご相談者からわざわざのお電話をいただきました。

ご入院先が都内の病院で、お子様たちは都内にお住まいになられており、ご実家は他県で、菩提寺もそちらにあることから、都内で火葬を行なってからご実家の地域で改めて葬儀を行なうか、もしくはご実家の方へ長距離になってでも搬送し、そちらで葬儀を行なうかを迷われてたご相談でしたが、事前相談の段階で、都内の火葬場で火葬するという方向に決まり、ご葬儀ではご家族やご親族が大勢が東京の火葬場にお集まりになられてのご火葬となりました。

ご相談の時点では、先に火葬を行なってしまっていいのだろうか、長距離のご搬送についてもお身体の面や費用の面でも心配であり・・など、色々と悩まれていましたが、先日いただいたお電話では、「東京で火葬を行ない、地元に戻って時間をおいてからの家族葬という形は気持ちに整理がつき、私たち家族にとっては最善のかたちだったと思います。」と、迷いながらも事前にお決めになられていたことが、ご家族のご満足のいく形でお母様をお見送られることにつながられたようでした。

たとえ余命を知らされていて、覚悟はできているつもりでも、ご家族がお亡くなりになられた現実はなかなか受け入れがたいものがあるかと思います。
葬儀はお亡くなりになられてから数日間と短い間に準備を行なわなければならず、その間に決めなくてはならないこともたくさんありますので、方向性だけでも事前に決めておけば、お気持ちのうえでの整理もつきやすくなるのではないかと思いました。

葬儀屋さんの地元活動

 センターの賛同葬儀社さんで、定期的なペースでお葬式のセミナーを行っている所があります。
 先日、あるご縁のおかげでそのセミナーに参加させていただけることになり、新しい担当者さんへのご挨拶も兼ねておじゃまさせていただきました。

 昔から地元に根付いた営業活動をされている葬儀社さんらしいセミナーで、お客様はほぼ地元の方。顔見知りの方などもいらっしゃったようです。
私もその中に混ぜていただき、話しを聞かせていただきました。

 テーマは、多くの方が興味を持っているであろう「家族葬」でした。
 家族葬を望む人が多いというのはどのような理由からなのか、とか、家族葬で葬儀を行った場合の費用についてなど、いくつかのテーマに分けて分かりやすく話しをしていただき、参加した方々は真剣に話を聞かれていました。

 「家族葬とは」などの疑問は今の時代、今の時代、誰でもインターネットなどで詳しく調べることができます。知識だけが必要ならば、なにもセミナーへわざわざ出向かなくてもいいのでは・・などと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
 私自身はもちろん仕事上知っていなくてはならないことばかりですので、本来ならば参加する必要はないのですが、お話しの中でときどきはさまる、「葬儀屋さんが体験した話し」はとても興味があり、勉強にもなりました。

 一般の方々は、葬儀について調べなくてはならない状況になるまで、葬儀屋さんと接したことがないという方も多いと思います。
 このような、地元の葬儀屋さんが開催するセミナーは、地元の人たちとのコミュニケーションを図ると同時に、なんとなく不安があるような気持ちが少しでも軽くなるような場になるのかもしれません。

いざというときに。

 「先ほど身内の者が亡くなり、病院から葬儀社のリストを見せてもらったのですが、このあたりの事情がわからず、どの葬儀社に頼んだらいいのかわからなくて…」というご相談がありました。
 お話しを伺うと、故人様は一人暮らしだったとのことで、病院からご危篤の連絡を受け、身内の方は他県から駆け付けたとのこと。リストの社名だけでは判断がつかず、センターにご相談されました。

 他県にお住まいでは、その地元での評判も耳にすることはなく、いきあたりばったりで依頼することに大きな不安があってもおかしくありません。
 このご相談者は、突然のことだったので費用面での心配があり、できるだけ費用を抑えたかたちでの葬儀を希望されていたので、火葬のみのような小規模なご葬儀でもご遺族の要望を聞いてくれる地元の葬儀社さんをご紹介させていただきました。
 
 センターでは、ご相談の際にご要望をお聞きし、それにあうような葬儀社をご紹介させていただいていますので、知らない葬儀社にいきなり依頼するという不安感はかなり軽減できるかと思います。 
 
 一方、「入院している家族が心配な状況で、病院から複数の葬儀社を紹介されたのですが、万一の時には病院から紹介された葬儀社に依頼しなければならないのでしょうか」という事前相談がありました。
 お話しを伺うと、葬儀社を選ぶために、病院から紹介してもらった葬儀社、数社に事前の相談をしようと連絡を取ったところ、電話の対応に違和感を持ち、できればそこへは頼みたくないと思われたとのことで、葬儀についての要望という以前に、一番最初のコンタクトで不安が大きくなり、センターへご相談されました。
 このご相談者のように、お気持ちに余裕があるうちに、病院から紹介してもらう葬儀社さんでも、できれば事前に直接コンタクトをとっていただくのが良いと思います。
 
 病院から紹介される葬儀社全てがよくないということではありません。
 大事なのは、自分が考えている葬儀の要望や対応に合うか合わないかということが、葬儀の満足度につながってくるのだと思います。

火葬場併設の斎場を選ぶ理由は・・・。

 火葬場併設の斎場は、ほとんどの場合ご出棺後に霊柩車やマイクロバスなどの車両が不要になることや、移動の負担が少なくて済む等の理由から、ご高齢の方のご会葬が多い場合などは特に希望されることが多いのですが、先日のご相談では、故人様のご友人の方にも火葬場へご一緒していただきたいとの理由から、火葬場併設の式場を利用したいとのご要望をお聞きしました。

 通常であれば一般のご会葬の方へは通夜料理でおもてなしすることができるのですが、通夜を行わない一日葬のご葬儀を希望されていたことから、お世話になった方々にも火葬場へご同行いただき、その後の精進落しのお食事でおもてなしをさせていただきたいというお身内の方からのご要望でした。

 通常、火葬場へはお身内の方だけが行くものと考えられている方も多いかと思いますし、一般の会葬者は告別式に参列してもご出棺のお見送りでお帰りになることが多いのではないでしょうか。

火葬場併設の斎場が混み合う場合を考えて、民間の式場の利用も視野に入れていただければと思いましたが、火葬場から離れている式場を利用した場合、通常はマイクロバスや自家用車などで火葬場へ移動するので、ご家族からの要請があったとしても、ご親族以外の方にとっては「ご一緒していいのだろうか」などと迷われてしまうのではないかという心配があり、火葬場併設の斎場のみでの提案となりました。 ご出棺後にそのままの流れでご友人たちも気兼ねなく火葬場へ向かうことができるということがそのご相談者にとって火葬場併設の斎場を選んだ一番の理由でした。葬儀にもいろいろなかたちがありますが、葬儀をおこなう方にとってのメリットについても様々であることを感じました。

まるで自宅のような…。

 先日、ご葬儀の立会いに伺った際に、あわせて斎場の取材もさせていただきました。

 昨年末に一度訪れた斎場でしたが、その時は社葬で全館貸し切りだったため、普段とはまったく違う使い方だったので、今回改めて取材をさせていただいたのですが、昨年末におじゃました時に工事中だった家族葬用の式場も完成し、その日はその式場が空いていたので、係の方に詳しく案内していただきました。

 家族葬用のその斎場は、一軒家をまるごと斎場仕様に改築し、一階に式場・お清め所、2階は控室になっていました。
 宿泊にも対応していてバス・シャワーなどの設備が整っており、2階の控室はとても広く、2間あるのでご親族など人数が多くても対応できるようです。

 家の中は、とても広くてきれいに整っているので、案内をしてくれた係の方は、「広いでしょ、きれいだし、おしゃれな家だし、もう、ここに住みたいくらいだわ」と扉を開けるごとにおっしゃっていました。
 私も「なかなかこんなに広くてきれいな家には住めないですよね」と。

 たしかに、家の中にあるのは必要最低限なものだけ。祭壇を飾っていなければ斎場とは思えない雰囲気です。もちろん、常に整理されていて、清掃もきちんとされているわけですから、こんな家に住めたら…と憧れます。

 以前、賛同葬儀社さんの自社斎場で、マンションの一室を丸ごと再現し、まるで自宅にいるような雰囲気のなかで見送ることができる式場を拝見させていただいた時にも、モデルルームのような部屋で、「ここに住みたいくらいですね」と言ったのを思い出しました。

 もし私がその式場を利用したとしたら…
自宅とのギャップがあまりにも激しいので、葬儀が終わっても自宅に帰りたくなくなるかもしれない…。と、かすかには感じたのですが、他のご喪家に気をとられることなく、リラックスした雰囲気で見送ることができるので、そのご家族らしい温かい雰囲気のご葬儀ができるのでしょう。

これからもこのような斎場は増えていくのかもしれません。

山の上の火葬場

 先日、親戚の葬儀に参列しました。
親戚たちは各方面から葬儀場にかけつけ、久しぶりに会う身内は近況を報告し合っています。故人の思い出話しにも花が咲き、家族葬ならではの、くつろいだ感のある葬儀でした。

首都圏から少しだけ離れた場所だったのですが、告別式が終わり、マイクロバスで火葬場へ。
山に入り、上の方まで登ったあたりだったでしょうか、火葬場は山の中にポツンとありました。おそらく、火葬場に用がある人以外はここまで来ないのではないかと思うような場所です。

駐車場に入り、すぐにある建物の正面にはいきなり火葬炉があります。そこで故人と最期のお別れをするのですが、2つある火葬炉の扉は外からはまる見えの状態です。
火葬は東京の火葬場より時間がかります。休憩室では親戚たちがまた思い出話しをして懐かしみ、こういう時間をゆっくりとれるのもいいものだと思いました。

火葬が済み、収骨の時間です。別室の収骨室などは無く、収骨も外から丸見えの火葬炉の前でした。遺骨が乗っている台はまだ熱く、近づくのも大変なくらいでしたが、火夫さんがゆっくりと遺骨の説明をしてくれました。(つい、夏場は大変そうだなと思ってしまいました)

私たちが収骨していると、他家の方が休憩で散歩をしている姿と出くわしました。先方は気まずそうな顔をして、会釈をしてまた建物の中に入って行きましたが、きっとここではこういうことはよくあることなのでしょう。

都会の設備が整った火葬場を使うのは、安心感があり、時間も短く、忙しい私たちにはよいのもしれませんが、山の中の自然に囲まれた火葬場でゆっくりと最期のお別れができたのは、私にとってよい経験でした。

不満を残さないためには。

 この数日間の問い合わせの中で、「葬儀社なんてどこも同じじゃないの?電話帳みて近いところを選べばいいじゃない」というお話しを2件、立て続けにお聞きしました。

 お話しを伺うと、ご葬儀は既に終えられていて、依頼した葬儀社に対して疑問を持ち、当センターに問い合わせをしてみたとのことで、「こんなことは普通あることなのか?」というようなお問い合わせでした。
少し詳しくお聞きすると、「費用が高いと思うが、これは正当な値段なのか」とか「故人に対しての扱い方がひどかった」など、事前に少しでも知識があれば避けられたかもしれないことでした。

 費用が正当だったのかどうかは、打ち合わせや見積などの段階で、担当者がきちんと説明をしなかったのか、説明をされても、ご遺族の方がうまく理解できない状況の中で話しが進められてしまったのかなど、いろいろな状況が考えられることです。
 故人様に対しての扱いについては、後で「こんなことをされた」と訴えたとしても、それは当事者でないとわからないことであり、証拠などが無い限り、後になって解決するのは難しいことです。

 「葬儀社なんてどこも同じ」とおっしゃっていたくらいなので、事前に相談するつもりはなかったというご様子でした。事前に相談できるということをご存じなかったのかもしれません。どちらにしても、依頼した葬儀社に対して大きな不満が残るご葬儀だったということは残念でなりません。

 なんでも実際に経験してみることはそれなりに意味のあることなのかもしれませんが、葬儀については人生の中であまり何度も経験するということではなく、また、その故人様をお送りするのは一度きりのことです。

 ご葬儀を終えて落ち着いた頃、納得できない気持ちが出てきても、やり直しができないのがご葬儀です。
 事前に相談してみること、また相談するという気にはならなくても、事前に少しだけでも調べておくことによって避けられるトラブルは沢山あるということをもっと多くの方に気づいてもらえればと強く感じたと同時に、私たちも、もっと広く発信していかなくてはいけないと思いました。