霊柩車?

 子供がまだ小学生の低学年だった頃、よく荒川の土手に遊びに連れて行っていた時期がありました。
 そこの近くには火葬場併設の斎場があるので、火葬の時間が近くなると、数台の霊柩車が通ります。

 今ではあまり見なくなった宮型の霊柩車を初めて見た娘、「あの車はなんで派手なお神輿を乗せてるの?どこのお祭りに持っていくの?」と。
 たまたま一台ではなく、3台続けて通ったので、この先でお祭りをやるためにお神輿を運んでいるんだと思ったようです。

 あれは「霊柩車」だよと説明をすると、霊柩車とは何か?ということは知っていたので、「あんなにきれいな霊柩車があるんだ〜」と感心していました。

 最近では宮型の霊柩車が走っているのをあまり目にすることもなく、テレビのニュースなどで出棺の映像を見ても、ほとんどが洋型かバン型なので、子供の目にはとても珍しい車に映ったようです。
 
 宮型の霊柩車の利用が多い地域もあるそうですが、都内近郊では「目立ちすぎる」などの理由から、最近では利用する数も減っているようです。また、式場などでも宮型の霊柩車を禁止しているところもあります。

 私が子供の頃には、霊柩車と言ったら一目瞭然の「宮型」でした。
「霊柩車が走っているのを見たら親指を隠すんだよ」という意味のない迷信も、洋型やバン型では、他の車とあまり見分けがつかないので、今の子供たちに言っても「???」なことのようです。

結婚式とお葬式

 今週末、久しぶりに会う友人と食事をする予定だったのですが、今日、キャンセルの連絡がきました。
 お世話になった方が急逝され、土曜日がお通夜になってしまったとのことでした。私たちの予定はたかがお食事。一生懸命謝ってくれる友人に、お世話になった方なら、最後にきちんとお礼言っておかなきゃだめだよと伝え、友人とのお食事はまた次の機会に持ち越しになりました。

 お葬式は予定を立てられることではないだけに、急な連絡で予定を返上してご会葬に駆けつける方も少なくないと思います。

 私の結婚式の時にも、招待させていただいていた先輩ご夫婦が身内の方のお葬式と日程が重なってしまい、結婚式の前日にやむを得ずキャンセルの連絡がきたということがありました。式の当日にご挨拶だけでもと思い、お宅に伺ったのですが、ご主人は「白いネクタイの方が気分良くしめられるんだけどね」と。また、奥様は「せっかくドレス買ったのに。もう一回結婚式やらない?」など、私たちに気を使ってお話しをしてくださいました。

 まさに冠婚・葬祭。

 まだ、私がお葬式のことを何も知らなかった頃だったので、もし、これが自分達、新郎・新婦の親戚関係の方の不幸と重なってしまったらどうなるのだろう…と、漠然と考えて、結局その時には答えが出せなかったことを思い出しました。
 
 ご葬儀に係る仕事に就いて、改めて考えると、気持ちは複雑なことでしょうけれど、結婚式もお葬式も親族一同が集まる大切なセレモニーなので、事情が許すのならば、やはりお葬式の日程をずらして対応することをお勧めするのかな…と思いました。

お墓参り

 先日、ずっと気になっていたお墓の引越しのことを両親に話してみました。
 反対されるかなと思っていたのですが、両親とも近いところに引越しをしたいと、私と同じことを考えていたようです。
 
 車で2時間。実家では運転できるのは父だけ。御彼岸やお盆は渋滞に巻き込まれるため、余計に遠く感じます。高齢のため、さすがにマメにお参りに行くことも難しくなってきたそうで、今年のお盆はお参りに行けなかったと言っていました。

 少し離れていても、せめて沿線内でもっと気軽に行けるところに引越しをしたいと思っていたらしく、霊園管理事務所から外柵の補修をしたほうがいいと言われているのをずっと拒んでいるんだそうです。

 調べてみれば、近隣にも霊園があちらこちらにあり、まだ、具体的に話を進める段階ではありませんが、見学に行ってみるのもいいかもなと思い始めました。
 
 実家では、私たち姉妹が最後で、基本的にはお墓を継ぐ人がいません。今は私の娘がみていくと頼もしいことを言ってくれていますが、将来はどうなるかわかりません。こればっかりは押しつけることもできませんし…。

 今のお墓が比較的自由のきく霊園にあることは幸いだったのかもしれません。両親が健在のうちに、引越しができればいいなと思っています。

あと一週間。

 8月も残すところあと一週間になりました。
 子供さんたちは宿題をかたずけるラストスパートに入っている頃でしょうか。我が家でも、一人、宿題に追われている人がいます。
 毎年、夏休みに入ったばかりの頃に「今回の宿題は7月中に全部終わらせて残りの休みは心おきなく遊びまくる」と言うのですが、実現したことは一度もなく…。
 数十年前、同じことを言っていた自分に思い切り重なるのですが、自分のことは高い棚の上にあげて娘に発破をかけています。

 子供が小さかった頃、田舎がなく、帰省という手段がない我が家はどこかへ連れて行ってあげなくてはと、混んでいる中、あちらこちらと遊びに連れていったりするのが大変でしたが、大きくなった今は、勝手に遊びに行ってくれるので、かなり楽になりました。長期の休みも、イライラすることなく過ごせています。
 ただ、楽になった分、少し寂しい気もしますが…。

 今年の夏は、オリンピックも高校野球も気が付いたら終わっていたという感じで、さらっと終わりそうな気がします。

 夏休みもあと一週間しかないので、たまには公園で花火でも…
 子供を誘ってもフラれてしまいそうですが…。

お盆の風習

 お盆休みに入られている方も多いのではないでしょうか。私は帰省ラッシュのニュースを見て、「もうお盆休みなのか」と気がついた次第です。
 お墓参りに行かなくてはと思いながら、お盆が過ぎてしまいそうな感じもあるのですが。

 東京でも代々ずっとその土地で暮らしているご家庭ではきちんとお盆の行事をされていると聞いたことがあります。
 お墓参りの際にご先祖様をおんぶして(本当におんぶをする格好をするそうです)提灯を持って各親族の家をまわるそうです。
 地方によって、風習ややり方は違うのでしょうが、この時代でもでもきちんと弔ってもらえるご先祖様はさぞお喜びになっていることでしょう。代々受け継がれている風習は、できることならずっと後世につながっていけばいいなと思います。
 
 私の実家では、両親の田舎の家はもう無くなっていて、親族も皆関東近辺で暮らしているため、お盆の行事をしたことがありません。親戚関係は良好ですが、みんな忙しく、お盆だからと言ってわざわざ集まることもしません。
 ただ、ご先祖様はいつか、お墓参りで久しく会っていない親戚にばったり会わせてくれるような粋な計らいをしてくれるかもしれないな、なんて思ってみたりしているのですが…。

パソコンの中

 断捨離を兼ねて、少しずつ夏の大掃除を始めました。2カ月くらいかけてゆっくりなペースでやっていこうと思います。
 私は整理下手なので、まずは自分の身の回りからと、書類棚やデスクの中を整理していると、保険証券やらマンションの契約書やら、大切なものがあちらこちらから出てきました。これ、私に何かあったとき、家族は見つけ出せないな…。
 とりあえず、大切なもの、家族で必要なものはひとまとめにして誰もがわかるところに収納しておきました。

 葬儀のご相談でも、「互助会に入ってたはずなのだが、契約書が見つからず、どこの互助会にはいっていたのかもわからない」や、「印鑑や通帳のあるところがわからない」など、もう聞くことができない状況でご家族が困っているというお話しをうかがいます。
 
 今の時代、パソコンの中にも大切なものが入っていたりします。
 ご主人と二人暮らしだった妻が、急に旅立ってしまい、妻が遺したパソコンを開いたとき、ご主人に内緒でブログをやっていたことを知りました。内緒でやっていたので、そのたびにログアウトしていたのでしょう。ご主人はIDやパスワードがわかりません。やっとのことでメモを見つけ、ログインすることができたそうです。ご主人に内緒でやっていたことなので、見つかってしまって、天国の彼女はどう思っているのかなと思いますが、ご主人にとっては、彼女の大切な思い出が一つ増えたと喜んでいたそうです。
 これは私の知り合いのお話しですが、これを聞いたとき、私もパソコンの中をなんとかしておかなくては!と思いました。

 そんなことを思ってそろそろ一年が経ちますが、パソコンの中は今や大変なことになっています。パソコンの大掃除が一番大変かもしれません。

 家族や身内に知っておいてもらった方がいいもの、知られたくないもの、いろいろあると思います。そんなものの整理もきちんとできたらいいのですが…。

夏休み

 子供が夏休みに入り、早2週間。子供が成長し、勝手に過ごしてくれるようになったからか、長期の休みがそれほど大変ではなくなってきたようです。
 こんな長期の休みを過ごせるのもあと数年。今のうちに大いに楽しんでもらえればと思っています。

 この土日、近所の公園で少し早目の盆踊りがありました。盆踊りの音楽につられて、買い物がてら、夕方様子を見にいったのですが、時間が少し早かったせいか人もまばらで、やぐらの周りに踊っている人の姿はなく、音楽が流れているだけ。
 町会の役員さんたちでしょうか、テーブルの席で数名が盛り上がっていましたが。

 盆踊りは本来、お盆にこちらに帰ってきた先祖様の精霊のために踊る行事だそうですが、誰も踊っていない盆踊りに、ご先祖様たちはどう思っているのでしょうか。

 8月のお盆の頃になれば、また、あちらこちらの公園で盆踊りが開催されることでしょう。今度は少し遅い時間に見に行ってみようと思います。

お参りするのも大変です。

 先日、「お墓を近所に移動したいんですが…」というご相談を受けました。
 お話しを伺うと、今のお墓はそんなに遠方なわけではないのですが、行く気にならないと行けない距離で、これから先、お参りに行くのが大変になってしまうので、できれば家の近所のお寺に移して、お散歩したときなどにちょくちょくお参りしたいとのことでした。
 お墓のことは専門ではありませんが、私の知っていることと、その場でお調べしたことをお話しさせていただきました。

 今あるお墓は霊園などではなく、菩提寺様とのことでしたので、まずはお寺に相談しなくてはならないこと、新しくお墓を作りたいお寺にもお話しをうかがわなくてはいけないこと、他のご親族などの御遺骨もある場合には、ご親族の了承を得なければならないこと、また、移転が可能になった場合には役所などでの手続きが必要なこと、墓石ごとのお引越しは難しいかもしれないこと、などなど…をお伝えしました。

 ご相談者様はお電話口で、「やはり簡単なことではないんですね。今度お墓参りに行った時に、それとなくお話しをしてみます。」とおっしゃっていました。

 あまりお役に立てる回答ができなかったのですが、実は私自身も実家のお墓のことで、少し考えたことがありました。
 今あるお墓は霊園なのですが、家から車で約2時間ほどかかります。今は父が運転をして、母と二人でお参りに行っているのですが、その父ももう高齢。そろそろ運転が危なくなってきました。
 また、母も高齢ですから、この先、どちらかがそのお墓に入ることになった時、一人になった親は、つれあいのお参りに行くのも困難になってしまうでしょう。

 最近ではすっかりそのことも忘れていたのですが、両親が健在なうちに一度提案してみようと思いました。

 今年のお盆も、お墓参りは父が運転して行くことでしょう。
 そろそろ近所の霊園を調べてみようと思います。

希望する斎場は。

 以前、斎場取材でうかがった際、斎場の担当者が「新しく市営斎場ができた関係で、最近はこの斎場を利用する人がめっきり減ってしまった」とおっしゃっていました。
 『おばあちゃんのお葬式はここを使わせてもらうからよろしくね』とおっしゃっていたご近所の方も、つい先日、市営斎場でご葬儀をされたそうです。

 斎場として使っていた建物を他の施設に建て替えて、規模を縮小し、ご葬儀は本堂でされるようになった斎場もあります。

 やはり、公営の斎場は適用地域に居住されている方にとって、多少遠くても費用が抑えられることや利便性が良い(ほとんどの場合、火葬場が併設されている)ので利用を希望される方は多いようです。

 ご相談の際、その方にとっての優先順位をお聞きしていますが、やはり、この時代ですから「費用をできるだけ抑えたい」という方が多い中、「費用は気にしないから、とにかく新しくて近代的な設備があってきれいな斎場がいい」「親族が皆遠方からくるので、駅に近い斎場がいい」など、斎場を第一の優先順位にされる方も多くいらっしゃいます。

 先日、「親族と近隣の方で40名くらい、費用は抑えたい。斎場は○○斎場が希望」というご相談がありました。その斎場は大型葬でも対応できるほど広く、斎場費も比較的高めだったので、『費用は抑えたい』というご希望もあったことから、比較対象として葬儀社さんには市営斎場での見積もりも作っていただきました。
 見積書をお渡ししたところ、ご相談者様は「費用は市営斎場より高くなりますが、近隣の方が会葬に来てくれるし、(ご対象者も)地元で活動していたので、家に近い○○斎場のほうにします。」とのことでした。

 寺院の斎場も檀家さんだけでなく、宗旨宗派問わずどなたでも利用できるところが多くあり、費用も以前より下げている場合もあります。
 比較のために別の斎場での見積もりも作っていただけますので、ご近所に利用できる斎場があれば、見積もりをとってみるのもいいかもしれません。

感謝のことば

 私が相談員として直接ご相談者様との対応をしはじめたころのことです。
 電話口で、お若そうな男性が「葬儀社って紹介してもらえるんですか?」焦った様子で話し始めました。お話しを伺うと、入院していたお母様が退院した翌朝、急逝されたとのこと。
 何をどうしたらいいのか、まったくわからず、たまたまインターネットで見かけた当センターへ電話してみたとのことでした。

 急なことだったので、費用はあまりかけられないということや、そのほかの状況をお聞きした上で、とりあえず、まずはドライアイスの処置をしてもらいましょうということで、一社ご紹介させていただきました。
 
 その後、葬儀社さんから一日葬でのご葬儀になりましたとの報告をいただき、ほっとしたところ、今度はご相談者である息子さんから電話がきました。

 「今朝はどうしたらいいのかわからなくて電話してしまいましたが、本当に助かりました。ありがとうございました。」

 これからご葬儀の準備という慌ただい中、わざわざお礼の電話をいただいたとき、「この仕事に就いてよかった」と心から思ったこと、そして、その時の息子さんの声は今でも忘れていません。

 「ありがとう」という言葉を聞くと、少しは安心されたんだなと思い、また、自分の励みにもなります。
 私自身もたくさんの「ありがとう」を発信していきたいと思っています。