葬儀のご相談の中で最近は互助会に関する質問が目立って多くなったように思われます。
急に多額の費用が必要になる葬儀に直面したものにとって、前払いで一定金額が納められているという安心感はとても大きなものです。全国に会員が2000万人とも言われているのも頷けます。そんな良いこと尽くめのはずの互助会への苦情を度々耳にするようになってきました。
最近受けたご相談の中でも、幾つかあります。
当センター賛同社の葬儀社から概算の見積りを取った後、お義母の持物を整理していると互助会に入っていた用紙が見つかり、急遽ご連絡をいただきました。
依頼者からは互助会関連の斎場で先に紹介した葬儀社での葬儀はできないのかとの問い合わせでした。互助会は解約すると掛け金が半額程度になってしまうとのことで、もしそうなったら折角見積りを取っていただいたが、互助会に依頼せざるを得ないとのことでした。
残念ながら互助会関連の斎場は互助会の葬儀社所有のものですので他の葬儀社は使用できません。
それにしても解約金額があまりに高いので、入会時の説明がしっかりなされていたかどうか心配です。
公正取引委員会の事業者アンケートではそのことについて説明している互助会が殆どとのことです。
互助会の説明の仕方で信頼がおけるかどうかの判断材料になるのではと申し上げたが、預けたお金を無駄にしたくないとのことで、そのまま互助会での施行となったようです。
互助会との契約金額でご葬儀が全てまかなえるわけではありませんのでご注意を申し上げたのですが、解約金にこだわって高い買物になってしまったようです。
オプション物が多く、結果当センター賛同社の葬儀社の見積りの倍近くの出費になってしまったとのことです。
投稿者: 松山
「娘に遺言として私の葬儀を準備しておきます」
「万が一の時はこちらに連絡してほしいと言っておきたいのでお電話しました」快活な声が電話口に飛び込んで来ました。
「来週癌の手術で再入院しますので、娘に遺言として手渡しておきます。まだ時間がありますので急がなくて大丈夫です」
こちらが一瞬言葉に詰まった空気を読み取り、依頼者に逆に励まされてしまったようです。
9ヶ月後、葬儀社にお嬢さんから連絡があり、葬儀社の自社斎場で1日だけのご葬儀を執り行うことになりました。
遺言代わりの葬儀社の見積り書といっしょにまず第1に無宗教で散骨にしてほしい、葬儀・告別式を1日だけにしてご家族ご親族のみで見送ること、できるだけ費用を掛けないシンプルな葬儀を心がけてほしい等が明記されていました。
見積り書は葬儀社の自社斎場と千葉市斎場の2種類をお渡ししていました。
ご自分の葬儀を事前に準備でき、ご家族にそれとなくお話しておくことができるのも元気なうちです。気持ちが強く、前向きの時でないとなかなか踏ん切りがつかないようです。
人生を見つめ直すためにも、これからの生き方を考えるためにも最後の準備を考えてみませんか。
「参列者の流れを如何にスムースにつくるか」は葬儀担当者の苦心のしどころです
「大勢の会葬者を如何にスムースに誘導できるか」葬儀担当者が式を進行する中で最も気遣いすることの一つです。縁の下の力持ちのようなことですが、これがうまくいくかどうかで式の印象もガラッと変わってしまいます。
一定の時間内にご焼香を終え、しかも参列者の皆様に余分な気を使わせず満足してもらう為には細心の注意が必要です。
特に民営の斎場は広さもまちまちで、色々な制約もあります。その中で如何に効率よく、会葬者同士ぶつからない様に流れをつくるか腕の見せ所です。
斎場の特徴をそれぞれ把握して増減する人数に照らし合わせて臨機応変に対応する。
テントで受付を済ませた会葬者を季節によりどこに並んでいただき、ご焼香台をどこに置き、ご焼香を終えた方をどちらにご案内するか気を配り、遅れていらっしゃった方最後のお一人にまで気が抜けません。
たとえば、広いロビーを使用した桐ヶ谷斎場での告別式の場合は半円を描くように携帯品預かり所、各方面受付からご焼香台へ、ご焼香が済んだ方の先は返礼品受け渡しの係りが待機するという流れをつくり、式場に直接出入りする方と交わらないように工夫されていました。
国分寺市東福寺での500名規模の会葬者の場合は一般記帳では間に合わなくなるため、カードに記入していただき名刺と一緒に出していただいたり、通夜のお清め所を一般会葬者用とご親族用を分け、ご親族を待たせることなくお清めができるようにされていました。
また、練馬の橋戸会館のようにロビーがないところでも軒下を利用して並んでいただき、ご焼香を済ませた方は脇の出入り口から2階のお清め所に行かれるような流れをつくることもできるようです。
担当者の采配ぶりが注目されるところです。
病院からご遺体の搬送先はどちらに?
事前に葬儀社を決めご相談されている場合は、いざというとき連絡を入れていただければすぐ葬儀社に連絡し病院に担当者と寝台車を向かわせることができます。
ところが死は予告なしに訪れたり、まだ大丈夫と思っていても何時急変されるか分かりません。お亡くなりになった後、周りの方があわててお電話されるというケースも多く見受けられます。
「病院からご遺体を運び出すのを早くしなければ」気持ちがあせり、周囲の雰囲気もそれに同調するような状況になり、病院サイドからもまだお決まりでないようでしたら葬儀社をご紹介しましょうかと追い討ちをかけられる始末。
お電話口での話しぶりでそんな光景が目に浮かびます。
まずは病院サイドの葬儀社さんにはお断りいただいて、搬送先を自宅か自宅以外のところかを決めていただき、式場、会葬者数、日程、式の規模等のご要望を伺い、もっともふさわしい葬儀社に連絡を取り、どの位で伺えるか依頼者に伝え、安心していただきます。依頼者には葬儀社の担当者に要約して話したことをつげ、直接担当者に連絡していただくようにします。
ある担当者は「依頼者との電話のやり取りで自宅以外の場合の安置所を決めてしまう葬儀社のかたもいらっしゃいますが、当方は病院に行って話しをお伺いしてから何処の安置所にするか決めます。直接お会いして、お話を伺うことで依頼者を安心させ、相手の人柄を感じ取りどの様に対処するのがよいか判断して、何処にするか決めます。公営の斎場などでその斎場を使用しない場合駄目な時もありますし、また寺院の安置所、寝台車会社の安置所等もあり、戸田サービス館のように色々と融通が聞く斎場もありますので」とのことでした。
地域の利用できる安置所を全て把握している担当者ならではの話です。
何処も塞がって困ったということはないそうです。お正月の場合でも式場を安置所にして大勢のご遺体をお預かりする形で切り抜けることが出来るそうですし、病院サイドも時間制限をしている訳ではないので気持ちを落ち着けて、まずはご安心ください。
「火葬のみ」で掛かる費用とは・・・・。
病院から一旦ご自宅にお帰りになり翌日火葬場へ向かう方、ご自宅以外の安置所から火葬場へ向かう方、病院から直接火葬場の安置所へ向かう方、火葬のみの方も丸1日それぞれのドラマがあります。
火葬のみに掛かる費用も火葬場の告別ホールでの読経代を含めて都内で30万円近く掛かると聞くとびっくりなさる方もいらっしゃいます。
火葬するだけになんでそんなに掛かるのだろうとおっしゃる方のために2~3の例を挙げてみます。
火葬のみを施行するに必要なものとしてはまず、お棺、収骨容器、施行管理スタッフ費、写真代、ドライアイス代、寝台車代、吸水シーツ代、遺体保管料、お別れ花代、火葬料、お心付け代、お布施・お車料等が挙げられます。
通常の祭壇コース等では施行管理スタッフ費用をコースの中に含んでいる場合が多いようですが、火葬のみの場合は別料金になります。お別れ花は最後棺に入れるお花のことです。
都内と周辺の神奈川、千葉、埼玉では火葬料の違いから料金に差が出てきます。
お棺からお別れ花までの費用としてざっと見積って17万円前後掛かるようです。たとえばお棺が5~6万円、収骨容器が約1万円、施行管理スタッフ関係2万円~3万円、写真2万5千円、ドライアイス1日6,500円、寝台車代2万円、吸水シーツ5千円、遺体保管料2万円、お別れ花1万円等。 この中でさらに省くことができるのは、写真代(ご自分で用意しておく)、お別れ花代、お布施・お車料あたりになります。
省くことができない火葬料と心づけは都内の場合で約6万円ほどになりますが神奈川、千葉、埼玉ですと公営になりますので3千円から1万円程度で済みます。
お布施代は告別ホールや火葬炉前にての読経代で約6万円ほどだそうです。
葬儀社によっては手続き等の用事を含め1日ではできないためにスタッフの人件費を2日分取る所もあります。
「火葬のみ」のお別れの仕方
少し前頃ですと葬儀・告別式をせずに火葬のみというのはまれで、何か特別な事情でもおありになるのかと一瞬でも伺う方にもためらいがありましたが、最近では相談に乗る機会がかなり頻繁になってきました。
状況が以前とはかなり様変わりをしてきたように思われます。
経済的理由だけでなく、故人の意思を尊重する形も増えてきたようです。
先日、当センターのスタッフがお受けしたのもそのような1件でした。
病院での長患いのため、1度ご自宅に帰り、翌日火葬にしたいとのご遺族の要望でした。
久しぶりにご自宅にお帰りになった夜は、故人を囲みご家族皆さんで積もる話をされ、1晩ゆっくりなさったようです。
翌日午後火葬場には遠方からのご親戚も集まり、告別ホールでの短い読経で最後のお別れをした後、ご遺体は火葬へと移されました。
火葬のみの場合は最後のお別れの読経も告別ホールあるいは火葬炉前と火葬場により違ってくるようです。
読経時間も5分以内から相模原市営斎場のように15分から20分位までできるところもあります。
大方は告別ホールで最後になりますが、八王子市営斎場のようにお花入れや読経を火葬炉前で行うことができるところもあるようです。
葬儀総予算(葬儀一式+実費費用+お布施代)はどの位掛かるのか
葬儀に関係する費用はいったいどの位になるのだろうか。
予期しない葬儀費用がどの位かかるのか見当がつかないと困惑される方からのご相談が当センターにも沢山寄せられます。
また葬儀後にどの位掛かるかわからないので、できるだけ葬儀費用を抑えたいと希望される方もいらっしゃいます。
イメージができ難く、見当がつきにくいのが現状でしょうか。
おおよその費用を少し当たって見ましょう。
勿論一口に葬儀費用と言ってもピンからキリまで様々ですが、東京都に例をとってもごく一般的な葬儀に関する費用では公正取引委員会が提示した金額に比べ、当センターの賛同社が施行した葬儀費用はかなり抑えられているようです。
まず葬儀社に支払う葬儀一式費用と葬儀社が手配して用意する式場費、霊柩車代、マイクロバス代、搬送代、飲食代、火葬代、骨壷代、返礼品代等の実費費用とお寺さんに払うお布施代が葬儀総予算になります。
よく葬儀社の葬儀一式とお葬式全体に掛かる費用一式を混同されている向きがあるようですので注意しましょう。この認識の違いがトラブルの原因になるようです。
また葬儀一式と言うのは、葬儀社により違いがでてきますが、祭壇一式、棺、人件費がメインの祭壇セットと呼ばれているものとセット以外の必要品でオプションになっているものになります。
お布施代は菩提寺がある場合、お寺さんのランク等でも戒名に差が出てきますので、お寺さんとのご相談になります。但し、葬儀社からの紹介ですと概算見積りの段階でおおよその金額が提示されます。金額的には俗名で25万円~30万円、戒名つきで35万円以上あたりになるようです。
会葬者50名(うち親族20名)の場合(例)
葬儀一式50万円、式場費20万円、車両関係費(霊柩車、マイクロバス、搬送車)12万円、火葬場関係10万円、飲食代22万円(通夜親族はお一人様ずつ、一般会葬者は人数の半分。精進落としは親族の人数分として計算。お布施代25万円
おおよそ140万円と言う見積りがでてきました。
葬儀担当者の極意とは・・・・
お葬式と言うと一般的に金額的なことに集中しがちですが、実際に施行される段になると担当者とのやりとりがいかに重要であるかが、身をもってお分かりになるようです。
通夜、葬儀、告別式と一連の式の流れや時間は同じでも担当者の采配ぶりで大いに差がでてきます。
担当者が責任を持って最初から最後まで丁寧に面倒を見ることを前提にしても、尚且つ違いがでてくるのはどんなところに要因があるのだろうか。
あるベテランの担当者は「個人経営なので1から10までやることになり、ご喪家の顔を見ながらやっていくので、接しているとその時その時何に困っているかが分かります。
予想外のことがあっても臨機応変に処理し、迷っているときにはアドバイスができることです。
この仕事は特にその場の判断能力が大切です」とのことでした。
傍で見ていると、いつの間にかご喪家の方々皆さんがこの担当者に頼りきっているようです。
別な担当者は「我々はサービス業ですから初めて会った方といかに短時間にこなれてしまうかが大切です。
この人は大丈夫だと言う安心感を持たせ、相手の方がもううちに入っていいよと言うようにすれば、相手も聞きやすいですし、その時間を如何に詰めるかにかかってきます。
十人十色で色々な事情を抱え葬儀を出そうという方々ですから、早めに打ち解けるのが大事。
日程から始まって色んな話を聞いて写真をお預かりする時には生前の人となりが分かってきます。
葬儀社によっては何でもリードする所もありますが、葬儀屋の葬儀ではないですからとことんご喪家と二人三脚で一緒に歩きましょうという姿勢です」。式には全て反映されるようです。
黒子に徹しながらも、その気配りとさりげない応対ぶりに定評があります。
ご自宅への搬送に特別支障がない限り、一度お帰り頂くのがベターだと思います。
当センターの賛同社から見積りを取り、郵送しようとした矢先に「父が急変しまして、今亡くなりました」との電話が入りました。
受話器をそのままにしていただき、その間すぐさま葬儀社に連絡いたします。
病院には1時間以内に到着できることを確認し、その旨を電話口に伝えると先ほどからの緊迫した空気が和み、少し落ち着きを取り戻したようです。後は搬送から火葬まで全て葬儀社の担当者が面倒をみてくれますのでご遺族は安心してお任せしていただきます。
私どもが緊急時から見積を取る時まで必ず初めにお聞きするのは搬送先。
自宅か自宅以外のところになりますが、都会では自宅以外が大多数を占めています。
昨今の集合住宅事情やら、地域のコミュニケーション不足等からかご遺体はご自宅を素通りして斎場の安置所、葬儀社の安置所、寝台会社の安置所等に預けられます。
したがって、故人にとって病院に入院する時が家との最後の別れになってしまうようです。
私事になりますが、10年ほど前伯父の葬儀の時自宅に戻らずいきなり斎場に安置されたことを聞き、ビックリしたのと同時になぜという疑問が残ったことが思い出されます。
ご自宅への搬送に支障がないようでしたらできるだけ一度ご自宅にお帰り頂き、住み慣れた我が家から出発されるのも故人への最後のプレゼントにならないでしょうか。
自宅以外の場所に搬送され、大勢の会葬者と豪華な祭壇に囲まれ、静々と執り行われる通夜・告別式がある一方で、このところ病院からご自宅に搬送され、一晩ゆっくりご家族と過ごし、翌日火葬に向われるというシンプルなケースが立て続けに見受けられました。
質素倹約だけではない家族の繋がりが感じられ、見送り方の多様性も芽生えてきたよう思われます。
葬儀社に電話をかけるまでの心の準備が大変です・・・。
日曜日の昼過ぎ、「あっ、今日はお休みではないですね」受話器を取ると一瞬の間があり、「5分後に掛け直します」いきなりガチャリと切られてしまいました。
しばらくして、意を決し緊張した口調で「先程、お電話したものですが・・・」と話を切り出された奥様はご主人が末期がんで予断を許さない状態との由。
当センターのホームページを見た友人からそろそろ準備をしておいた方が良いのではと背中を押され、掛けられたご様子です。
最初はどこからどう切り出して良いのか戸惑っていらっしゃったようですが、お話をお伺いしていくうちに、菩提寺も無いのでむしろ散骨を希望されていたこと等、ご主人がお元気な頃おふたりでよく話し合ったことを思い出され、気持も次第に整理されていらっしゃるご様子でした。
大好きなお花に囲まれ、ご親族だけで見送りたい。直接葬儀社の担当者とご相談したい等のご希望を踏まえ、ご要望に合う葬儀社をご紹介する頃には熱心に色々質問されていました。
「ご紹介頂いた葬儀社には明日必ずお電話致しますので、よろしくお伝えください」元気な声で受話器を置かれました。受話器の向こうのホッとした様子がこちらにも伝わってくるようです。
まずは第一関門を突破ですね・・・。