「母の葬儀は全部自分の手でやりますので、火葬場に搬送だけお願いします」と言われて・・・。

 「市の斎場からそちらを伺ったのですが、自宅から火葬場まで運んでくれるだけでいい葬儀社を紹介してくれませんか。後は全部自分でやりますから」とのお電話を頂いた時、少し危惧しましたが当センターの賛同社が引き受けるとのことでお願いしました。
 依頼者は役所関係の手続きと火葬場を決めるまでを全てご自分でおやりになってから、葬儀社の担当者と打ち合わせに入り、周りの方々をかなり振り回したようです。
 
 
 依頼者は最初に決めた火葬場をキャンセルして別な火葬場に決めたため、場所や火葬日も変わり、申し込まれた霊柩車会社は暮れの混み合っている時期と重なりかなり困惑したようです。

 指定の火葬場は納棺済みに限りますのでご自宅での納棺ということになりましたが、団地の2階で階段が狭く、柩が運べない状態となり、まずはご遺体を団地の集会所まで担架で運び出すことになりました。
 しかし、男手は依頼者お一人だけとのこと、急きょ担当者は2人の助っ人を呼びなんとかここまでは事なきを得ましたが、ご遺体に気を使いながら狭い階段で運び出すのは
大変だったようです。
 ご遺体を集会所に安置し、そのまま翌朝火葬場にお連れする段取りでしたが、騒動は
これからが本番となったようです。続きは次回にご報告します。
 葬儀社の担当者からはご自分で役所の届出をする場合、死亡診断書等は複数枚コピーしておく必要があることを注意されました。

久しぶりにお会いする弔問客に、来ていただいたお礼を言いたいのです。

 葬儀・告別式の開式30分ほど前に立会いで伺った時のことでした。
 ご喪家代表者の長男と最終的な打ち合わせに余念のない葬儀社の担当者が、ふと式場に入られた喪主の奥様にお声を掛けられました。
 「せっかくいらっしゃった方から、なかなかお話しするチャンスがないとよく言われます。今のうちにいらっしゃっている方にご挨拶されておかれた方がよろしいかと思いますが・・・」奥様はそのままロビーの方に向かわれました。
 通夜、葬儀、告別式とも読経が始まると一般会葬者の方はご遺族の方々と話す時間はほとんどありません。
 お経は参列者全員のご焼香が終わる頃まで続きます。
 特に通夜に出席された方はご焼香が済めばそのままお清めの席に案内されて、中々自由が利きません。
 担当者はご遺族の方が弔問客と一言2言でも言葉を交わせられるようにと、色々工夫をされるようです。
 一般会葬者のご焼香が始まるとご遺族代表が通路にならんだり、狭い式場では途中後ろの席の方と入れ替わったりしながらできるだけ弔問客と接触できるように工夫されるようです。
 ベテランの担当者になると、通夜は会葬者といかに目線が合わせられるか、お話ができるかが大事であるとタイミングを見計らって喪主の方をお清め所にお連れしてご挨拶をすすめる場合もあります。
 先日の無宗教葬の時は担当者の「献花の時、ご家族の皆様にお声を掛けていただければ幸いです」の一言にご遺族、弔問客共々はげまされたようです。

無宗教葬での会葬者は共通の空間で故人を偲ぶことができる

 葬儀・告別式は繰上げ初七日法要と最後のお別れの儀までを含めて、通常1時間の中で行われます。
 仏式が大多数を占めるご葬儀での一般会葬者は開式10~15分後から始まるご焼香が済み次第、お帰りになるか出棺まで見送るために式場とは別室の控室でお待ちいただくことになります。特に会葬者多数の場合は事務的にも見えるくらいのご焼香となり、じっくり柩の前で故人と対話するような時間をとることは困難となります。
 
 その点、会葬者が故人と直接関係する人の多い無宗教葬の場合は、1時間という時間を会葬者全員で共有することができます。ご遺族の挨拶、友人・知人の弔辞、献花と続く最初から最後までの間、会葬者は式場内に留まります。献花を済ませて再び着席し、閉式までの共通の空間で故人を偲ぶことになります。
 
 仏式の読経に代わるものとして、無宗教葬では音楽が多く取り上げられていますが、先日お伺いした無宗教葬のご葬儀では50通以上の弔電が献花の間中音楽代わりのように読まれ、生前の人柄が偲ばれ印象的でした。

これからの季節、ご葬儀に伺う時は寒さ対策を十二分に・・・・

 先日立会いに伺ったご喪家の奥様は会葬の皆様に気を使われ、葬儀社に対しての1番のご要望は「おもてなしの心を大切に」ということでした。
 祭壇のお花や通夜と精進落しのお料理に気を配われるのは勿論ですが、「会葬者の皆様を戸外でお待たせするようなことのないように」と式場選びを慎重に、そのために1日ご葬儀を遅らせたほどでした。
  
 斎場は式場やお清め用の控室等に比してロビーが思いの外狭いところが多いようです。
 そのため会葬者の多い場合などテント内や戸外で待たされることもしばしばです。
 これから冬の季節、特に通夜のご焼香待ちの間等寒さは応えます。
 暖房機は置いてありますが、近くまで行って暖を取れるとは限らず、じっとしている分足元から冷えてくるようです。
 式場の状況は伺ってみないと分かりづらく、現場では葬儀社の担当者の指示に従って行動を取らざるを得ないので、寒いからといって勝手な行動は取りにくいものです。
 室内でもコートを脱ぎ、出入口のドア近くで待つ場合もありますので、特に女性の方はこれから冬に向かいご葬儀に伺う時は、寒さ対策を十二分にしてもし過ぎることはないと思われます。

遠方でお亡くなりになった場合の搬送は陸送それとも空輸で・・・・。

 出張先、旅行先で不幸にして不慮の死を遂げられた方のご遺族は取る物も取りあえず現地入りをし、悲しむ間も無くご遺体の処置を決める必要に急き立てられます。
 現地で荼毘に付して、お骨で持って帰り地元で本葬する場合と、ご遺体を直接地元まで搬送する場合があります。
 「一先ず自宅に帰り、ゆっくりさせたい」という場合、地元までの搬送手段は陸送か空輸になります。
 陸送の場合は、ご遺体をそのままでも棺に入れた状態でもよく、時間をかまわず準備が整えば何時でも現地を出発できます。
 一方の空輸の場合は、棺に入れた状態でなければならず、飛行時間外は翌日まわしになります。航空会社に頼む時は到着した空港に迎えに来てくれる葬儀社が決まっている必要があります。ご遺体は貨物扱いになるので貨物便がある飛行機に限られてしまったりと意外に時間が掛かるようです。
 但し、金額面では寝台車は距離で決まりますが、空輸の場合は現地の飛行場までの搬送代+航空運賃+飛行場から安置所までの搬送代になり、大阪~東京間を例にとると場所にもよりますがおおよそ陸送で30万円、空輸で10万円とかなりの差があるようです。

無宗教から仏式に、仏式から無宗教に、相談のやり取りの中で揺れ動く気持ちが整理されてくる

 電話でもメールでも最初のご相談で無宗教葬を希望される方がちょくちょく見受けられます。
 一口に無宗教葬といっても動機は様々で、すんなりできる場合ばかりではなく、後々トラブルの火種になりそうな場合もあり複雑です。
 特に菩提寺がある場合、納骨される時の菩提寺との関係が懸念され、しぶしぶ辞めざるを得ない場合が多いようです。
 東京郊外の依頼者の場合も最寄り駅近くの斎場と公営斎場の見積りを希望、無宗教葬をイメージして花祭壇で、ボーイスカウト活動を長年やってきたので、ボーイスカウトの方々を中心に葬儀を企画したいとのことでした。ただ会葬者はボーイスカウト関係者ばかりではないので、そのあたりも考慮したいが加減が分からずイメージも浮かばないのでアドバイスをと相談されました。
 ボーイスカウト葬にこだわらず、献花や故人の思い出を縁の方に語っていただき、「最後のお別れ」をお一人ずつされ、ボーイスカウト関係は思い出コーナーで写真や品物を飾ることができる旨をお話しました。
 気になっていた菩提寺のことを伺うと、なんと当センター賛同社の自社斎場隣にあるとのことでした。但し、無宗教葬はお父様の願いですので依頼者は複雑な心境のようです。
 結局、最後菩提寺とのかかわりもあり仏式に落ち着き、弔文をボーイスカウト関係者
が話されました。
 また、逆のケースもございます。  

 横浜の依頼者の場合は東北地方に菩提寺があり、菩提寺からは俗名で葬儀を行い、49日後、地元で戒名を付けて納骨するようにと言われたようです。メールのやり取りの中で葬儀イメージがハッキリしてきて最初は会葬者100名ほどでしたが、身内だけ15名にしぼり、家族葬の無宗教葬に変更されました。

1日だけのご葬儀を選んだ理由は・・・

 「葬儀」とは昔からの決まりごとが沢山あり、それに従っていかなければと思い込んでいた節があるようです。また突然のことゆえ独自の案も中々思い浮かばず、皆がやる方法でということになりがちでしたが、最近は都会を中心に自分達の意見を入れた、バラエティに富んだやり方も目立ってきているようです。
 
 その一つに「1日だけの葬儀」があります。
 通常ですと前の晩の通夜、翌日の葬儀・告別式、初七日法要までの長時間になります。それを葬儀・告別式のみにされるのです。
 1日だけですと費用の面もお清めのお食事代が省けますし、公営の時間貸し式場費、俗名でのお布施代等が減額され、式場によっては半額近くになるところもあります。
 列席される会葬者の方々もご高齢者の方が増えてきたので、昼のご葬儀のみに出席を希望される方が多くなりました。
 特に、無宗教葬の場合は1日だけの献花でのお別れ会にされるようです。
 中には棺を囲んだパーティ形式で故人を偲ぶやり方もありました。
 インターネット等から色々な情報を得て、自分流、我が家流の葬儀の仕方をはっきり打ち出すやり方が増えていくことでしょう。
 
 
 
 

騒音に消されたお孫さんの弔文

 ご葬儀の立会いに伺って気になることの一つに騒音の問題があります。
 たかが音ぐらいとおっしゃるかもしれませんが、傍から見ていますと大丈夫かなと気を揉む場面に出くわすことも度々です。
 式場の構造にも問題がありますが、大中小と自在に利用できる代わりに仕切りが簡単で、しかも横並びの式場は隣の音が筒抜けになってしまいます。
 先日伺った無宗教のご葬儀では、お孫さんが大好きだったお婆様へ宛てたお手紙を読み始めたクライマックスの時に起こりました。先に終わった隣の式場からの片付ける音と甲高い声にかき消されてしまい、肝心なお孫さんの声が周りに届きません。騒音防止のためにマイクが使えないのが更に残念でした。
 少し前のことでしたが、隣の式場からの読経の声でこちらの式場の読経の声が聞こず、ご喪家やご親戚の方々が戸惑われた事もありました。お隣はマイク付きの3人の読経に加え笛や太鼓での大音響です。場所や周りを見て少しは考慮してほしいものです。
 
 無宗教葬などで静かな雰囲気を創りたい場合は式場選びも重要なポイントになりますが、葬儀を司る側の配慮も必要です。プロも「慣れ」には気をつけたいものです。

「自分の葬儀を決めておきたい」

 「自分の場合だったらこのようにしたい」とご自分の葬儀をイメージされ、相談される方がこの1~2年目立ってきたようです。
 いざという時慌てないため、残された奥様やお子さん達が混乱しないようにと葬儀のやり方や葬儀社を決めておきたいという訳です。
 以前から思いつつも延び延びになっていたのがインターネットの普及で葬儀に関することが解りやすくなり、決心がついた方が多いようです。
 ご自分の最後をイメージし、決めるのも今が健康だからできることでもあります。
 
 第1条件にこじんまりした葬儀を望む方の場合、家族と近しい親族と親友という本当に別れを惜しんでいただける方のみにきていただきたい。
 これまでに多くの葬儀に参列されたが亡くなられた方とはほとんど面識もなく、ご家族への義理で伺ったことからの反省の意もあるようです。
 参列して頂かなかったお知り合いの方にはしかるべき時点で、ご家族から亡くなった旨をはがきで知らせてもらうようにするとのことです。
 予算、場所、サービスの順序も集まっていただくのは大切な方ばかりですので、まずは何をおいてもサービス第1。
 葬儀社の決め手も、いざという時当の本人はおりませんので、「約束を守り、誠実にやっていただけるところが第1です」とのことです。

 概算の見積りは当センターが依頼者のご要望を各葬儀社に連絡し、依頼者が直接葬儀社からお取りになり、その内容をもとに見積り内容の比較・サービスの評判等をアドバイスさせていただきました。
 「これでいざという時、子供たちには葬儀社に電話するだけで良いようにしておけます」とのことでした。

「本音は家族だけで静かに見送りたいのですが・・・・」

 「母の具合がかなり悪く、万が一の時を思って電話しました。自分たちは家族と親しい親戚のものだけで家族葬の形でやりたいのですが、母が地元の商店街にお店を出していましたのでお世話になった商店会のお知り合いの方達を無視する訳にもいかないし・・・」
お気持ちが揺れていらっしゃいましたが、電話口でしばらくお話しているうちに決意されたようです。
 万が一の後はご自宅にお帰りになる予定となると、ご近所に分かってしまい、たとえご葬儀前に、きっぱりとお断りしてご自分達の意見を通そうとしても難しい状況になりそうです。
 そんな中、概算の見積りを会葬者150名ほどでお取りした直後、急変されてしまわれました。
 お母様をご自宅にお連れした後、ご遺族は葬儀社との打ち合わせに入り、最終的に商店会、町内会の古くからのお知り合いを中心に会葬者300名までに膨れ上がってしまいました
 
 今回のように周りの状況で許されないような場合もあり、家族葬を希望されていても色々と制約があるようです。
 それでも地元や地域との密着度が薄い都会を中心に益々増えてきています。
 高齢で直接の友人知人もいないのでご家族だけで見送りたい、仕事関係の義理で来て欲しくない、費用があまり掛けられない等理由はそれぞれです。
 秘密時に葬儀を終えてから、ご喪家からご報告されるのが一番かと思いますが、どこかで情報が漏れてしまう可能性が往々にしてあるようです。 
 ならば始めにはっきりお断りすると言ってもいらっしゃる方はいるようです。
 「家族葬にしたいのですが、近所知人が来た場合どのように対応すればよいのか」心配のメールやお電話も度々頂きます。
 お断りしてもいらっしゃったお客様はそれなりに故人との関わりがある方ですので丁重にご案内し、通夜でしたら受付を済ませ、ご焼香の後礼状・返礼品を手渡し、お清め所にご案内します。葬儀・告別式も同様にご焼香の後、礼状・返礼品を手渡し、最後のお別れをし、ご出棺まで立ち会って頂くことになりますが、一連のことは全て葬儀社の担当者が誘導致しますのでお任せします。
 思わぬ人数になる場合もありますが、そこは担当者の腕のみせどころです。 
 礼状や返礼品は多めに持ち込んでいますので比較的トラブルはありませんが、通夜のお食事等は急に増やすにしても限度があります。ベテランの担当者は状況、条件を駆使して臨機応変に対応してくれることと思います。