先日千葉県の印西斎場で行われた葬儀に立会いました。
昨年6月に落成されたばかりの木の柔らかな温もりが感じられる斎場は火葬場併設でこの地区の方々の悲願だったと伺いました。新しい建物はなによりも気持ちのよいものです。
山の斜面を利用して造られ、1階式場でのご葬儀の後、火葬場の告別ホールでの別れを済ませて、左脇の廊下に出ると外光がまぶしいくらいに感じられ、その明るさは気持ちの切り替えに一役買っているのではと思わせるほどでした。建物を1周して式場手前の階段を降りるとそこは地下であるはずなのに太陽がサンサンとふりそそぐサンルームのような待合ホールで、しばし不思議な錯覚を覚えました。
さすが新しい斎場だと感心しておりましたが、傍でじっくり観察していると見た目と使い勝手は少々異なるようです。
出来上がった箱物に対して使用する側の違和感は劇場を始め、よく言われていますが
矢張り現場の声も入れて欲しいものです。
一見ささいなことでも時として進行に支障をきたすことになりかねません。
たとえばイスを片付ける時、イスとイスを重ねられません。
素敵なイスですが、イスをデザインされた方はそのような使われ方まで把握されなかったように思われます。
告別式が済んで最後のお花入れの儀では棺を真ん中に出して会葬者が周りを取り囲む形になりますので、出来るだけ両サイドのイスを片付けなければなりません。イスを式場外に出せませんので出来るだけ積み重ねて両脇に置き、空間を創ります。ところがそれができないので、あまり空間を期待できません。ご家族だけで花を入れた後、一般会葬者にお花を入れていただく間、ご家族は後ろに待機するはめになったり、会葬者が多い場合は時間が掛かります。喪主のご挨拶の時も、会葬者はロビーにはみ出る形になってしまうようです。
また、第2、第3式場の業者用駐車場が1つのため、色々な業者がひしめくはめになるようです。通夜の準備時間が短いため尚の事大変そうです。
ご葬儀から火葬まで建物を1周する形になりますが、足の不自由な方には少々きついように思われます。スマートさを選ぶか難しいところですが・・・。
投稿者: 松山
社葬は最も個性がきわだつ葬儀です。
皆さんは社葬のお手伝いをしたことがありますか。
開式1時間以上前斎場に集合し、社員としてこれから始まる社運を賭けた儀式に緊張の面持ちで臨んだことと思います。
不慣れな上に会社主体の組織的な儀式となれば表面的で無個性さが目立つように思われがちですが、傍から見ていると意外に個性的な面が浮き彫りになり故人の人となりがでるように思われます。
というのも永年経営にタッチされたり、ご自身で創業されたりとその社を牽引されてきた方々ですので、会社の空気が故人とイコールになっている場合が多く、強い個性は組織をも包み込んでしまわれているようです。
先日立会いましたお別れ会は豪放磊落でならした弁護士さんでした。
ご葬儀は思い出コーナーやお食事、返礼品の類は一切ありませんでしたが、多くの先輩後輩に慕われた故人の想いが集まった参列者に十分伝わった式になったように思われました。
シンプルであるゆえに最後のお別れに集まった方々と故人との繋がりがすっきりと浮き出たご葬儀になったようです。
護国寺で行われましたお別れ会の場合は故人の墨絵、油絵、写真等の作品がロビーいっぱいに飾られている中、社員一同一丸となってきびきびと動いている様は傍から見ていてもよく分かりました。
創業者が亡くなられ、長男への引継ぎ最中で当日は大切なお披露目の日でもあるわけです。関連会社にあいさつ回りの間をぬって行われた葬儀社との打ち合わせの中にもこれからの新体制の会社をいかにアピールすることができるか気にかかっていらっしゃるご様子。先代社長に成り代わって100名の社員が総出で新社長をバックアップしながら、団結力の強さを見せた葬儀になりました。
社葬とは威厳をもって静々と進行するものだと言われるが、故人の個性が際立つ葬儀
でもある。
学友の弔辞からお孫さんの手紙まで肉声は強力な演出です
斎場での葬儀・告別式は通常1時間を予定している場合が殆どです。
この1時間の中に繰り上げ初七日法要、柩にお花を手向けるお別れの儀まで含めると時間一杯になってしまいますが、時には開式を5分早めて生前故人と交わりの深かった方々に弔辞を述べて頂くことがあります。お孫さんの手紙の朗読だったりもします。
そのわずかな時間が会葬者にとって不慣れな読経をじっと聞いている緊張感のなかで唯一ほっとする場面でもあります。
同時に故人を会葬者全員で偲ぶという一体感が生まれ、式場全体の空気も前後では変わってくるように思われます。
社葬の弔辞のようなどちらかといえば公的なものであっても、内輪の式でのほのぼのとしたお孫さんのお話からでも故人の人となりが垣間見られ、会葬者各人の想いと重なって密度の濃いお見送りになるようです。
以前事情があり、故人のご実家からは妹さん一人がお見えになったご葬儀の終盤「突然ですが別れの手紙を書いてきたので読ませていただいてよろしいですか」と遠慮がちに立ち上がりお話になりました。
「あんちゃんらしく生きた人生でしたね。父も母も早く亡くなったのであんちゃんにぶらさがってました。いつも心の支えはあんちゃんでした。二人の娘も私があんちゃんと言っているので伯父さんではなくあんちゃんでした。やっと実家の重圧から解き放されましたね。実家のお墓は弟が守っていきます。あんちゃんは幸せ者でした。安らかに眠ってください。義姉さん、有難うございました」
最後のお花入れの儀では出席者一同泣き笑いながら和やかな出棺となりました。
葬儀の良し悪しは葬儀社の担当者の気配りが左右する
以前、葬儀社訪問をしていた時、担当者から印象的な話を伺ったことがありました。
国鉄に永年勤務されていた方のご葬儀の時、音響設備のある斎場でしたのでD51の音を最後「ご出棺です。ポー」と流した途端、会場中に号泣が響き渡ったとのことでした。
また、船のドクターを永年おやりになっていた方の場合は船をイメージした花祭壇を創りました。二人の思い出の写真を飾るのは生々過ぎてとおっしゃる奥様のご要望にベテラン担当者は船の写真を預かり、花屋さんに相談されたようです。通夜当日お集まり頂いた嘗ての船の仲間はあっと驚いて、大感激されたそうです。
私が伺ったご葬儀では故人の女学校時代からの友人が多数参列されていました。
喪主のご主人はご挨拶で「60年の長きを仲良くしていただき有難うございました」としめくくられました。
告別式が終り、これから最後のお別れの儀が始まります。
中央に出した柩の斜め前にはテーブルが置かれ、ブルーのテーブルクロスの上には微笑んでいる赤い服の奥様の遺影が飾られていました。
小さなお花に囲まれた遺影は、正に皆さんをお迎えしているように並べられています。
通常荷物の置き場となっているテーブルもちょとした心遣いで会葬者の心を掴んでしまう小道具になりました。
葬儀社の担当者の気配り具合がこれからの葬儀にはより一層欠かせない大切な要素になるようです。
分かりやすく解説しながら読経されるご住職
通夜、葬儀、告別式、初七日法要と続く読経は信仰心のある方等を別にして、初めての経験という方も多いのではないでしょうか。
まして子供達にとってはちんぷんかんぷんで、大人に混じって神妙な顔をして、ひたすら時間をやり過ごすのを待つことになってしまいます。
昨年末、伺ったご葬儀ではご住職が一つひとつ丁寧に説明してから読経が始められました。
定刻、席に着かれたご住職は「ご一緒にお勤め願いたいと思いますので、お配りした紙を見ながら木魚と一緒に般若心経を斉唱しましょう」まずはいきなり声を出すことで儀式の緊張感が和らぎ会場に一体感が生まれてきました。
「仏様と一体になっていただくことを成仏と言いますが、まずは仏様とお弟子の約束を結んでいただきます」。
1時間近くの儀式が斉唱、合掌、礼拝、般若心経と参加型になり、時間が足りなく感じるくらいでした、
「葬儀が終った時、私共もしばらくの準備が必要で、この世とあの世の間には49日間ほど掛かります。旅支度の49日間怪我が無いようにと死装束と一緒にわらじを入れてやります」
お子さん達にも湯灌や納棺の儀を見せながら、分かりやすく説明されとても喜ばれたそうです。
家族を中心にしたご葬儀がふえている関係もあり、お子さん達も参列されるケースが増えています。
ご住職自ら説明されることでお子さんだけでなく、会葬者全員が葬儀という儀式の意味合いを理解されたようです。
通夜ではもっとくだけて会葬者とお話をし、しっかり食べて満足してお帰り頂く位が望ましい。
ご葬儀の立会いに伺うと、通夜の空気で早くも良し悪しが分かってしまう感があるように思われます。
葬儀が終わった時、良いご葬儀だったと思われるのは決してお金を掛けたからでもなく、会葬者が沢山来てくれたからでもないことは皆さんご承知の通りです。
故人とは直接面識のない方々ばかりが多数お集まりいただいても、一番戸惑われているのは故人かもしれません。
そんな状況からか、近頃は都会を中心にご家族親族を中心に極親しかった方のみをお招きするケースも増えています。
遠路はるばるの方、久しぶりにお会いする方、それぞれの事情を抱えながら万感の思いで故人を偲びに駆けつけます。
喪主の方は参列者が多い時でもせめて目をあわせ、次に何時会えるか分かりませんので会葬者とはできるだけお話された方がよろしいのではないでしょうか。
定刻どおり、通夜の読経から始まり約45分間の読経の間に、ご焼香の終わった一般会葬者は礼状と返礼品を受け取り、随時お清め所に案内され、型通りのお食事をされてお帰りになる。一つのパターン化された儀式に近いものを見ていると、通夜の席ではもっとくだけておしゃべりしても良いのではとまで思ってしまいます。
会葬者に「通夜ぶるまいはしっかり食べたり、飲んだりしていって貰いたい。故人を弔う意味からも」と声をかけているベテラン担当者いわく「飲み食いは残る位がよろしいですよ。食べていってくれるのが供養になりますから」と。
会葬者がゆっくり腰を据えて食べていかれた通夜はどこかあたたかな空気に包まれ、悲しみの中にもホットしたやすらぎをあたえてくれるように感じられます。
遠方から駆けつけてくれた親族の皆さんの宿泊先は大丈夫ですか?
葬儀社の紹介を依頼される時、ご要望の中で「ホテルも紹介してもらえますか」との
質問が度々訊かれます。
通夜の席に遠くから駆けつけていただいた親戚の方々をお泊めする場所を確保しなければなりません。
特に都会では住宅事情もあり、中々「自宅へどうぞ」と簡単に言うことが難しい状況です。
時には田舎から大人数でいらっしゃる場合もあり、ご喪家は予想外の出費に悩まされるようです。
少しでも倹約するために宿泊施設ではありませんが、故人をお守りするということで斎場に仮宿泊することはできます。この場合の費用は式場費に含まれますので、貸し布団代と朝食代だけで済みます。
しかし、通夜の仮宿泊ができる斎場は親族控室に平均5名前後までと人数制限されているところが多く、ご家族が付き添うだけで手一杯の感があります。
そんな中、少数ですが意外なところで受け入れてもらえるようです。
区営の斎場です。
細かな規則に縛られるのではと思いきや、通夜・告別式の間をお貸ししているのでその範囲では自由にお使いくださいとのこと。
例えば、品川区のなぎさ会館では3階の28畳の和室、家族控室、住職控室を自由に使えますし、世田谷区のみどり会館の場合はお清め所用・定員30名収容の和室を使用でき、宿泊人数に制限がありません。厨房もあり、簡単な食事も作れ、冷蔵庫・食器等も自由に使用できます。
北区のセレモニーホールではお清め所用の和室30畳を仮宿泊に利用できます。10名以上でも大丈夫とのことです。こちらは夕方、業者の方が貸布団と朝食の注文を取りに来てくれます。
中央区の中央区立セレモニーホールも家族控室の和室14畳に4組の蒲団画用意されていますが、宿泊人数の制限はありません。
対象が区民のみというハンディはありますがいずれも臨機応変な対応が好評とのことです。
斎場は清潔が第1。そのためには女性の細やかな気配りが不可欠です。
以前、当センターからご葬儀の依頼者にお願いしたアンケートの中で、10点満点のうち8点とつけた方がいらっしゃいました。
葬儀社の方には親身になってやっていただき大変感謝しているが、-2点は斎場の親族控室の掃除が行き届いていなかったことによるそうです。部屋の四隅の埃が気になってしまわれたようです。
神経がナーバスになっていると普段以上に物事が気になるものです。
お掃除に関しては女性の出番です。
葬儀社のベテラン女性担当者にある斎場の使い勝手の程を伺うと、開口一番「管理人さんのお掃除が行き届いていて、特にゴミ箱、トイレ、台所がきれいなことです」とのことでした。
別な斎場でも女性の担当者は「うちの特色は強いて言えばお掃除が隅々まで行き渡っているところでしょうか」と掃除機の手を休めることなく話していました。
いずれの斎場も建物は古いが、内部は清潔で落ち着きがあり、どこかホットする雰囲気が共通していたように思われました。
年明けのご葬儀に立ち会った式場の女性担当者は「お掃除を徹底して皆様に喜んでもらえるよう心がけています」ときっぱり。
式場が建てられた当初は靴のまま上がっていましたが汚れが激しいのでスリッパに履き替えるように変更。
200足以上のスリッパを清潔に保つのは大変だが人任せにはできなく、常に気を配っているとのことです。
また、玄関前の花壇も花を絶やさないように気をつけているので、何時来ても綺麗と評判だそうです。
家族葬用の斎場の担当者はトイレにこだわり、トイレには女性の生理用品とストッキングを用意しているとのことでした。突発的に起こりえるアクシデントに対処する女性ならではの気の配り方が会葬者の心を捉えるようです。
家族葬は自宅から離れた斎場の方がよい。
先日お伺いした斎場は東京下町にあるビルの1,2階だけを使用し、表からはレストランと間違えそうな創りの式場でした。
総勢30名様位までの家族葬用として、ご家族を中心に親しい方のみでお見送りしたい向きにはピッタリの雰囲気でした。
というのも、経営者の方は長年ご葬儀にかかわった仕事をされ、傍から数多くのご葬儀場面を見てきた経験から、家族葬だったらこうしてあげたいとの思いが膨らんでご自宅を改造されたとのことです。
1階が白を基調にした式場、2階はリビングと和室の家庭の雰囲気そのままからなり
こちらが控室とお食事室に使用されます。
会葬者の中には2階の居心地の良さに朝早くから、夜の9時頃までいらっしゃった方もおいでとのことです。
依頼者は地元の方以上に遠方の方が多いのが目立つようです。
千葉方面から世田谷区、千代田区と広範囲に渡っていました。
家族葬の場合内密にしても、自宅にご安置したり町内の葬儀社さんにおまかせしたことでご近所に洩れてしまい、意に反したご葬儀になってしまったり、挙げ句ご近所との関係もギクシャクしてしまうことが多いと伺います。
近親の方々が集まれる場所でしたら地元にこだわる必要はないかもしれません。
式場の担当者も全てをゆっくりゆっくり運び、暖かい家族葬の本来の良さを出すことをこころがけていますとのこと。
家族葬の式場選びはより重要になってくるようです。
母の葬儀は全部自分の手で・・・の騒動その2
先日のご葬儀騒動の続きです。
依頼者お一人ですべてを取り仕切り、「葬儀社さんは運ぶだけお願いします。後は結構です」との要望を受けて、翌日のご葬儀の打ち合わせに葬儀社の担当者がご自宅に伺ったのは遅い時間になってしまいました。
団地の2階にあるご自宅から担架で集会場に運び込まれたご遺体はひとまずこちらで納棺の段取りとなりました。
関西からお姉さま、姪御さん達総勢5名が駆けつけられ、納棺に立ち会われましたが皆さんは何も準備されていないのにびっくりされたご様子。
「旅立ちの衣装がない、今晩一晩灯しておくろうそくが無い、棺に入れるお花が無い、あれも無い、これも無い」と騒がれて依頼者もしぶしぶ承諾され、急遽通夜の準備が始められました。
しかし、すでに時間帯も遅かったのでお花だけは翌朝1番で担当者が買いに走り間に合わせました。
翌朝9時に出棺となりましたが火葬炉前でまた一騒動が持ち上がってしまいました。
お寺さんが準備されていないとのことですが、これだけは今すぐというわけにいかず、収骨の後、担当者の知り合いのお寺に伺って、読経して頂くことでなんとか決着を見ました。
火葬場の予約も依頼者がされたため、火葬中の待合室も取れてなく、お身内の方々をロビーの片隅でお待たせする羽目になってしまいました。お茶の用意もされず、お姉さま達には落ち着かない時間を過ごさせてしまったようです。
決められた時間内のご葬儀を何もかもご自分で抱え込むには、お気持ちは分かりますが、依頼者にとって少し荷が重かったようです。
ご葬儀のあり方を色々考えさせられ1件でした。