分かりやすく解説しながら読経されるご住職

 通夜、葬儀、告別式、初七日法要と続く読経は信仰心のある方等を別にして、初めての経験という方も多いのではないでしょうか。
 まして子供達にとってはちんぷんかんぷんで、大人に混じって神妙な顔をして、ひたすら時間をやり過ごすのを待つことになってしまいます。
 昨年末、伺ったご葬儀ではご住職が一つひとつ丁寧に説明してから読経が始められました。
 定刻、席に着かれたご住職は「ご一緒にお勤め願いたいと思いますので、お配りした紙を見ながら木魚と一緒に般若心経を斉唱しましょう」まずはいきなり声を出すことで儀式の緊張感が和らぎ会場に一体感が生まれてきました。
 「仏様と一体になっていただくことを成仏と言いますが、まずは仏様とお弟子の約束を結んでいただきます」。
 1時間近くの儀式が斉唱、合掌、礼拝、般若心経と参加型になり、時間が足りなく感じるくらいでした、 

 「葬儀が終った時、私共もしばらくの準備が必要で、この世とあの世の間には49日間ほど掛かります。旅支度の49日間怪我が無いようにと死装束と一緒にわらじを入れてやります」
 お子さん達にも湯灌や納棺の儀を見せながら、分かりやすく説明されとても喜ばれたそうです。
 家族を中心にしたご葬儀がふえている関係もあり、お子さん達も参列されるケースが増えています。
 ご住職自ら説明されることでお子さんだけでなく、会葬者全員が葬儀という儀式の意味合いを理解されたようです。 

通夜ではもっとくだけて会葬者とお話をし、しっかり食べて満足してお帰り頂く位が望ましい。

 ご葬儀の立会いに伺うと、通夜の空気で早くも良し悪しが分かってしまう感があるように思われます。
 葬儀が終わった時、良いご葬儀だったと思われるのは決してお金を掛けたからでもなく、会葬者が沢山来てくれたからでもないことは皆さんご承知の通りです。
 故人とは直接面識のない方々ばかりが多数お集まりいただいても、一番戸惑われているのは故人かもしれません。
 そんな状況からか、近頃は都会を中心にご家族親族を中心に極親しかった方のみをお招きするケースも増えています。
 遠路はるばるの方、久しぶりにお会いする方、それぞれの事情を抱えながら万感の思いで故人を偲びに駆けつけます。
 喪主の方は参列者が多い時でもせめて目をあわせ、次に何時会えるか分かりませんので会葬者とはできるだけお話された方がよろしいのではないでしょうか。
 定刻どおり、通夜の読経から始まり約45分間の読経の間に、ご焼香の終わった一般会葬者は礼状と返礼品を受け取り、随時お清め所に案内され、型通りのお食事をされてお帰りになる。一つのパターン化された儀式に近いものを見ていると、通夜の席ではもっとくだけておしゃべりしても良いのではとまで思ってしまいます。
 
 会葬者に「通夜ぶるまいはしっかり食べたり、飲んだりしていって貰いたい。故人を弔う意味からも」と声をかけているベテラン担当者いわく「飲み食いは残る位がよろしいですよ。食べていってくれるのが供養になりますから」と。
 会葬者がゆっくり腰を据えて食べていかれた通夜はどこかあたたかな空気に包まれ、悲しみの中にもホットしたやすらぎをあたえてくれるように感じられます。
  
 

母の葬儀は全部自分の手で・・・の騒動その2

 先日のご葬儀騒動の続きです。
 依頼者お一人ですべてを取り仕切り、「葬儀社さんは運ぶだけお願いします。後は結構です」との要望を受けて、翌日のご葬儀の打ち合わせに葬儀社の担当者がご自宅に伺ったのは遅い時間になってしまいました。
 団地の2階にあるご自宅から担架で集会場に運び込まれたご遺体はひとまずこちらで納棺の段取りとなりました。

 関西からお姉さま、姪御さん達総勢5名が駆けつけられ、納棺に立ち会われましたが皆さんは何も準備されていないのにびっくりされたご様子。
 「旅立ちの衣装がない、今晩一晩灯しておくろうそくが無い、棺に入れるお花が無い、あれも無い、これも無い」と騒がれて依頼者もしぶしぶ承諾され、急遽通夜の準備が始められました。
 しかし、すでに時間帯も遅かったのでお花だけは翌朝1番で担当者が買いに走り間に合わせました。
 
 翌朝9時に出棺となりましたが火葬炉前でまた一騒動が持ち上がってしまいました。
 お寺さんが準備されていないとのことですが、これだけは今すぐというわけにいかず、収骨の後、担当者の知り合いのお寺に伺って、読経して頂くことでなんとか決着を見ました。
 火葬場の予約も依頼者がされたため、火葬中の待合室も取れてなく、お身内の方々をロビーの片隅でお待たせする羽目になってしまいました。お茶の用意もされず、お姉さま達には落ち着かない時間を過ごさせてしまったようです。
 決められた時間内のご葬儀を何もかもご自分で抱え込むには、お気持ちは分かりますが、依頼者にとって少し荷が重かったようです。
 ご葬儀のあり方を色々考えさせられ1件でした。
 
 
 
 
 

「母の葬儀は全部自分の手でやりますので、火葬場に搬送だけお願いします」と言われて・・・。

 「市の斎場からそちらを伺ったのですが、自宅から火葬場まで運んでくれるだけでいい葬儀社を紹介してくれませんか。後は全部自分でやりますから」とのお電話を頂いた時、少し危惧しましたが当センターの賛同社が引き受けるとのことでお願いしました。
 依頼者は役所関係の手続きと火葬場を決めるまでを全てご自分でおやりになってから、葬儀社の担当者と打ち合わせに入り、周りの方々をかなり振り回したようです。
 
 
 依頼者は最初に決めた火葬場をキャンセルして別な火葬場に決めたため、場所や火葬日も変わり、申し込まれた霊柩車会社は暮れの混み合っている時期と重なりかなり困惑したようです。

 指定の火葬場は納棺済みに限りますのでご自宅での納棺ということになりましたが、団地の2階で階段が狭く、柩が運べない状態となり、まずはご遺体を団地の集会所まで担架で運び出すことになりました。
 しかし、男手は依頼者お一人だけとのこと、急きょ担当者は2人の助っ人を呼びなんとかここまでは事なきを得ましたが、ご遺体に気を使いながら狭い階段で運び出すのは
大変だったようです。
 ご遺体を集会所に安置し、そのまま翌朝火葬場にお連れする段取りでしたが、騒動は
これからが本番となったようです。続きは次回にご報告します。
 葬儀社の担当者からはご自分で役所の届出をする場合、死亡診断書等は複数枚コピーしておく必要があることを注意されました。

久しぶりにお会いする弔問客に、来ていただいたお礼を言いたいのです。

 葬儀・告別式の開式30分ほど前に立会いで伺った時のことでした。
 ご喪家代表者の長男と最終的な打ち合わせに余念のない葬儀社の担当者が、ふと式場に入られた喪主の奥様にお声を掛けられました。
 「せっかくいらっしゃった方から、なかなかお話しするチャンスがないとよく言われます。今のうちにいらっしゃっている方にご挨拶されておかれた方がよろしいかと思いますが・・・」奥様はそのままロビーの方に向かわれました。
 通夜、葬儀、告別式とも読経が始まると一般会葬者の方はご遺族の方々と話す時間はほとんどありません。
 お経は参列者全員のご焼香が終わる頃まで続きます。
 特に通夜に出席された方はご焼香が済めばそのままお清めの席に案内されて、中々自由が利きません。
 担当者はご遺族の方が弔問客と一言2言でも言葉を交わせられるようにと、色々工夫をされるようです。
 一般会葬者のご焼香が始まるとご遺族代表が通路にならんだり、狭い式場では途中後ろの席の方と入れ替わったりしながらできるだけ弔問客と接触できるように工夫されるようです。
 ベテランの担当者になると、通夜は会葬者といかに目線が合わせられるか、お話ができるかが大事であるとタイミングを見計らって喪主の方をお清め所にお連れしてご挨拶をすすめる場合もあります。
 先日の無宗教葬の時は担当者の「献花の時、ご家族の皆様にお声を掛けていただければ幸いです」の一言にご遺族、弔問客共々はげまされたようです。

騒音に消されたお孫さんの弔文

 ご葬儀の立会いに伺って気になることの一つに騒音の問題があります。
 たかが音ぐらいとおっしゃるかもしれませんが、傍から見ていますと大丈夫かなと気を揉む場面に出くわすことも度々です。
 式場の構造にも問題がありますが、大中小と自在に利用できる代わりに仕切りが簡単で、しかも横並びの式場は隣の音が筒抜けになってしまいます。
 先日伺った無宗教のご葬儀では、お孫さんが大好きだったお婆様へ宛てたお手紙を読み始めたクライマックスの時に起こりました。先に終わった隣の式場からの片付ける音と甲高い声にかき消されてしまい、肝心なお孫さんの声が周りに届きません。騒音防止のためにマイクが使えないのが更に残念でした。
 少し前のことでしたが、隣の式場からの読経の声でこちらの式場の読経の声が聞こず、ご喪家やご親戚の方々が戸惑われた事もありました。お隣はマイク付きの3人の読経に加え笛や太鼓での大音響です。場所や周りを見て少しは考慮してほしいものです。
 
 無宗教葬などで静かな雰囲気を創りたい場合は式場選びも重要なポイントになりますが、葬儀を司る側の配慮も必要です。プロも「慣れ」には気をつけたいものです。

「通夜振る舞いは飲んで沢山食べてあげるのが供養になりますよ」

 よいお葬式だったと後々言われる大事な要素に通夜振る舞いのもてなしがよく挙げられます。
 通夜のお清めの料理は美味しくない上に、時間が経ってぱさぱさで・・・と時々小耳に挟みますが、昨今はこの食事にこだわりを見せる葬儀社の担当者も増えてきました。
  お式はできるだけ質素に、その代わりにわざわざお出で頂いた方には美味しいお料理で十分にもてなしたいと言うご遺族の気持を汲んで、今までに60社以上の仕出屋さんを当たり、一つひとつ吟味しながら、やっと満足するものになりましたと言う担当者もいます。
 
 先日立会いに伺った葬儀の担当者も「通夜ぶるまいは沢山食べてくれるのが供養になりますので、ご焼香を終えられた会葬者お1人おひとりに声をかけて食べて貰いました」。
 会葬者数の割には質素な会場でしたので、故人の会社関係の方は「密葬でやるつもりだったのかな」と耳打ちされていた位でした。
 ご焼香が済んで、二階のお清め所に上がるには、階段下でスリッパに履き替えるか、ビニール袋に靴を入れて持ち運ぶかになります。お客様も多く、少々面倒なので、そのまま失礼しますと帰られる方もでてきました。
 ところがまもなく皆さん引き返して来て、「やっぱり飲んでいくか」と2階に上がられました。
 フローリングの床に座布団を敷き、あぐらをかいてリラックスされ、ご自宅でもてなされている感じでゆっくりじっくり飲まれ、満足してお帰りになったようです。 
 
 初めの見積りでは100名分のお料理でしたが、会社関係からの問い合わせや供花の数からかなりの増員が見込まれそうなので、担当者から「飲み食いは残る位がよろしいですよ」と申し上げ、納得して頂いたとのことです。結果、ご親戚の方が美味しいからと少しお持ち帰りになり、喪主の分が足りない位でした。

親戚とのパイプ役にもなるマイクロバス

 葬儀には1台のマイクロバスが色々活躍します。
 通常、斎場からご家族ご親族を火葬場に案内するのに使われます。
 斎場で精進落としをする場合は斎場と火葬場の往復になり、火葬場の控室でお食事会やおときになれば最寄駅までお客様をお送りする役目になります。
 その他、最寄駅から通夜や告別式のお客様を斎場にお連れするのにも使われます。
 
 先日立会いに伺った葬儀社の担当者はマイクロバスを使ってご喪家の親戚の方々に大変感謝されたようです。
 斎場から火葬場に向い、火葬中の控室でおとき(精進落とし)を済ませたご親族に「帰りはマイクロバスでご自宅に寄り線香の一本でもあげて行きませんか」と進言されたそうです。
 「最初帰りの新幹線の時刻を気にされていたご親戚には3時半に最寄駅までお送りしますと約束し、一同でご自宅に伺うことになり、短い時間でしたがお線香をお1人ずつあげることができました。遠方のご親戚の方は初めてお伺いする方が多く、ホッとなさったようでした」。
 都会では特に結婚式からお葬式まで自宅に親戚を迎えることが殆ど無く、伺うきっかけがつかめないままになって気が咎めていたようです。
 故人が引き合わせてくれたような気配りに満足され、最寄り駅に降り立ったご親族の方々は一様ににっこりされ、担当者に労いの言葉をかけてお帰りになられたとのことです。

通夜の喪主の役目は駆けつけて来てくれたお客様にご挨拶とお礼をすること。

 お葬式の弔問客は地方の場合通夜よりも葬儀・告別式がメインですが、都会では友人知人の殆どが通夜に参列され、葬儀・告別式はごく身近な方中心になるようです。
 忙しい生活の中、なかなか会えない友人・知人も最後の別れには取るものも取りあえず駆けつけてくれます。
 ところが、折角駆けつけてきてくれたお客様に当の喪主は中々お礼を言う機会がありません。通夜の弔問客が来る頃には葬儀社との打合せ、ご住職との打合せに没頭され、時間が取れません。読経が始まれば喪主の役目を果たすべく、ご家族・ご親族の並ぶ最前列に着席し、遠方から会釈する程度になってしまいます。
 一般会葬者はご家族・ご親族の後ご焼香となり、そのまま係に誘導され簡単にお清めをし、お帰りになるので、ご挨拶もままならない状態です。
 
 葬儀の立会いに伺った時、ベテランの担当者にこのことを問いただすと通夜の式はもっとくだけてワイワイなった方がよいのではと。
 「通夜は折角来て頂いた会葬者とお話しすること、目を合わせることが大切」が持論とのことです。
 そのために通夜の喪主席は一般会葬者のご焼香台の手前になるようです。200名近くの前日の通夜でも喪主の方はお一人お一人に挨拶され、3人ほどは立ち話になってしまわれたようです。
 読経途中担当者は喪主の方を促してお清め所に行き、お客様にお礼を言うように進言されたようです。
 若い喪主の「有難うございました」のご挨拶に故人の友人・知人の方々は一様にホッとされたようで、ビールが随分出たとのことです。
 
 

心ばかりではなく目に見える小さなサービスに感激する。

 葬儀社は究極のサービス業とも言われ、気配りや思いやりの心遣いが要求されますが、具体的に目に見える小さなサービスにも思わぬ感動があるようです。

 神社境内の耳を劈く様な蝉時雨の声と太陽が照りつける雲一つない炎天下、先程まで冷房がきいた室内にいたとは信じがたいほどの暑さに頭がくらくらしてきます。
 先日お伺いした告別式では出棺をお見送りした会葬者に冷たいお茶のサービスがありました。
 控室にあてがわれた境内の客殿前には葬儀社の取り計らいでお茶のセルフサービスのセットが置かれ、皆さん思わず駆け寄りのどを潤していらっしゃいました。
 緊張し乾いた喉への一服の清涼剤はおもわぬ効果が発揮されたようです。最後のちょとしたサービスで葬儀に出席した印象もガラッと変わります。
 
 葬儀社の担当者は故人が日産系の部品会社を長年経営していらっしゃったことを伺い、霊柩車もぜひ日産でと思ったようですがリンカーン等が多く難しく、それではとご遺体を病院に迎えにいく葬儀社の寝台車の代わりに急遽霊柩車の会社に日産の寝台車での搬送を頼み、ご遺族から大変喜ばれたとのことでした。