お身内の最期はどのように・・・

 事前相談を受けた矢先、急変され帰らぬ人となられたお父様を、一旦は斎場の安置所にお連れしたが、にわかにご自宅に変更を希望されたり、そのままのつもりが綺麗にしてお送りしたいお気持に変わり、急遽納棺師の手配をされたりとお気持は揺れ動いています。
 
 葬儀社の担当者からの報告を聞きながら、自分に置き換えたらどんなだろうと思わず自問自答してしまいます。
 気持の中では決められていても、現実となった場合、これでよいのか、よかったのか判断は難しい。
 やり直しがきかない最後をもっと別な方法でしてあげられたのではと心が乱れます。

 ご葬儀当日の明け方近くにメールを頂いた方はご自身の判断でお父様の葬儀に火葬場併設の斎場を選んだが ご会葬いただく方の中に火葬場が近いことを嫌がる方もいらっしゃるのではと自分を責めていらっしゃる。

 事前相談でメールのやりとりをしていても、揺れるお気持が痛いほど伝わってお答えに窮することもしばしばです。
 そんな中、揺れる気持ちと正面からぶつかり格闘された方の報告には、大いに勇気付けられます。

 お父様の意志を尊重してご家族3人だけで見送るつもりだった方は、センターのHPでの「お参りしたい人の気持ちをくんであげるのも・・・」の言葉がずっと心に引っ掛かり、やがてかたくなだったお気持が少し傾きつつありますとのやりとりに変わって来ました。
 その結果、「お見舞いも拒否され、最期のお別れもできないなんて辛すぎる」とのご親戚・友人の言葉に「どうぞ、お願いします。来てください」と言えたことが、一生の悔いを残さずにすみました、とのご報告になりました。

 また、限界が近づく中、病院へ日参されながら一方でのご葬儀の相談に、自分は冷たい人間だと感じ、裏切った思いすらしましたが、やりとりの過程であらかじめ知っておくことがひいてはきちんと送ってあげることに繋がるんだと思えるようになりましたと揺れた心の葛藤をご報告された方もいらっしゃいました。
 
 あなたならどうなさいます。揺れる心の内側を・・・。

お参りしたい人の気持ちを酌んであげることも大切・・・。

 最近は家族葬を希望される方が多く、都会ではいつの間にか市民権を得てしまったかのようにも思えます。
 センターにいただく事前相談でも、ご高齢だから、ご近所とのお付き合いも殆どありませんので等の理由から御家族・ご親族のみ内輪の人間だけで静かに見送りたいと希望される方が多く見受けられます。

 しかし、ご両親の最期が近づくにつれ、万が一の時はと決めていても、「はたしてこれでよいのだろうか」と決心が揺らぎ始め、残された時間との格闘に頭を悩まされる方も多いようです。
 それでもお話をお伺いして行くうちに揺らいでいたご相談者ご自身の考えも次第にはっきりしてきて、思わぬ方向に発展して行くこともあります。

 少し前に頂いたお便りの中で、その心の揺れをリアルにお話され、親子の絆を強く印象づけたご報告に今でも忘れがたいものがありました。
 メールを頂いた時点では、まだご存命のお父様の相談に罪悪感すら覚えていらしたとのことですが、それでもその日のために御家族4名様だけでお見送りしたい旨のご相談をされました。
 ご相談者は「ご家族だけで」というお父様の意思を尊重しそのつもりでいらっしゃったのですが、当センターのホームページの「お参りしたい人の気持ちを酌んであげることも大切」のくだりがずっと頭の片隅にこびりついた状態で、ご相談のやりとりを始められたようです。
 こちらの質問にお答えになり、近親者の率直なお気持を伺っているうちに、お父様のご意思も病弱なお母様のお体を慮ってのことと思いに至り、参列者もご家族に加え13名ほどになりましたとの途中経過の報告を頂きました。

 それから間もなくの通夜の夜は遠方からのお客様も多数駆けつけ、斎場の広い和室に貸布団を敷き詰め、合宿所のような雰囲気の中で、お父様が皆を一層仲良くさせてくれたような思い出深い一晩を過ごされたようです。
 お別れしたい人だけが集まってくれた涙も笑いもあるご葬儀になりましたとしみじみお話されました。通夜、ご葬儀共会葬者は30名ほどになりました。

「残された家族がどれだけ気持に余裕を持っていられるか」で参りたい人の気持ちを受け止められるかが決まると実感され、全てが過ぎ去る前にそう気付かされたおかげで、一生の悔いが残らずに済みましたとのご報告でした。

便りの無いのは良い知らせ・・・?

麦藁帽子をかぶった白い服の少女がスケッチブックを片手にお花畑をゆっくりと歩いています。
小さな絵葉書の中の少女は後姿でもその凛とした空気が伝わってきます。
手元の絵葉書は2年程前に生前相談の折、いただいた方の自画像かもしれません。
お手紙でのやりとりに、その少女の姿がダブって見えました。
 以後、まだお便りは頂いておりません。お元気な証拠だと思います。

「その時は自分自身がもうすでに一生が終って何一つ そのことにたずさわることもございませんわけですのに、客観的に冷静に考えられまして、妙にすっきりいたしました。」
 お見積りを取り、生前予約をされた時のお手紙の一部です。
ご自身の生き方を問い、最期をどうされたいのかをお決めになることでそれがバネになって残された時間をお元気に過ごされていらっしゃるのでは・・・。

 この方のように最期をどのようにされたいのか身の処し方をご自分で決められ、自身のご葬儀のご希望を相談される方がポツポツと増えてきています。
 70代を中心に、まだまだお元気なうちにと80代、親を見送り還暦を迎えた団塊世代まで。
 それでも以前30歳の方のご相談には、さすがの担当者も「僕の方が先に逝ってしまうよ」と絶句されていましたが・・・。

最近の葬儀は形式的になりすぎている・・・?

 日本消費者協会の第8回「葬儀についてのアンケート調査」によりますと葬儀の内容についての意見で「形式的になりすぎている」と感じられた方が急増しているようです。
 確かにご葬儀の順序は無宗教葬を除いて、ほとんど決まっていますのでノウハウだけを丸暗記すればどなたでも出来ないことはありません。
 斎場でのご葬儀が大半になった昨今では、時間に縛られ、規則に縛られ、敷かれたレールの上を落ちないようにすれば1件落着の感があります。
 しかし、大切な方をお見送りするご喪家のお気持ちを酌み、どのようにお手伝いできるかは葬儀社の担当者の力量で大きく左右されます。
 ご葬儀の顔は一つひとつ違います。いち早くご要望を察知し、臨機応変に対応されているベテラン担当者にお会いすると、立会いで伺った部外者でもほっと致します。
 一見同じようなご葬儀でもその場の雰囲気は全然違ってきます。
 
 依頼者の皆様も目先の安売り価格だけに惑わされないよう、できましたら見積りを取った後、担当者と会いじっくりお話を聞かれることを希望します。
 人任せだけでない、納得のいくご葬儀になれること受け合いです。

30代の生前予約、生前契約は受けつけてくれるのか・・・?

 (4/6) 先日、メールでの事前相談の中で、お父様を亡くされた時大変苦労をされたので葬儀社と生前予約又は契約をしたい旨のご報告を受けました。
 ご紹介するにあたりご苦労された点をお教え願い、条件を伺っていると、実はまだ30代の若い方であることが分りました。

 こちらは勝手に中高年のご年配の方と想像していただけに、思わず言葉を呑み込んでしまいました。
 生前契約、生前予約と言っても50年先のことになるかもしれない。
 いや、もっと先かも・・・これだけは誰もわからない。相談を受けた我々はとうの昔姿を消しているはずだ。

 戸惑いつつも地域の賛同社に伺いを立ててみました。
 小規模ながらベテランの担当者がいるところです。
 矢張り、返ってくる答えは想像どうりでした。
 「ご相談には乗るけれども、順序からいっても僕の方がずっと先に逝ってしまうよ」
 ならば、大手だったら若くても大丈夫かな?。 
 しかし、こちらも同じような戸惑いの答えしか返ってきませんでした。ある程度お歳を召した方でしたら、いつでもお受け致しますが・・・・。
 
 確かに、これからどんな人生が待ち構えているかも分らないのだ。50年先の世の中だってどうなっているか分らない。会社だって、存続しているか分らない。
 でも、混沌とした世の中だからこそ、生前予約をしたい若者が増えてくるかもしれない。
 しかし、現実目の前の現状を説明せざるを得ませんでした。
 
 少しの時間が過ぎてからご連絡をいただきました。
 今の年齢で下手をすれば自殺願望と疑われかねないところを、丁寧に聞いてくださる方がいらっしゃって、見積りを作っていただきました。万が一の時は家族に説明しておきましたと。
 
 それは予約でも、契約でもありませんでしたが、ご安心されたようです。
 でも、よかったですね。よい葬儀社さんにお会いできて。

4ヶ月間の往復メール

 A氏からの事前相談をお受けして4ヶ月になりました。
 昨日、葬儀社の担当者から「これから長野に迎えに行きます」と連絡が入りました。

 お医者さんから奥様の容態が思わしくなく、覚悟の程を知らされたが、そのときに如何すればいいか分からないことばかりでと、ご連絡を頂いたのは昨年師走の声を聞く頃でした。
 
 自宅は神奈川県ですが入院先の病院は長野県。万が一の時は1度ご自宅に帰り、家族、親族、友人のみの家族葬で送りたいとのご希望でした。
  依頼者の最初の質問は搬送代は幾ら位を想定すべきかということでした。
 通常、業者に依頼すると距離から考えて10万円~15万円位だそうですが、見積りをお願いした葬儀社では自社の寝台車を半額以下でお出ししますとのことでした。ご要望等をお聞きして概算の見積りを取った後、依頼者との往復メールが始まりました。
 見積りは家族葬コース2種類をお見せしたのですが、そのコースの違いやお布施の金額に関すること、会葬者が増えた場合の金額の変化などの質問から始まりました。
 年が空け、次に心配なさったのは、お布施の俗名の意味、搬送用の車のこと、どのくらいで病院に迎えに来てもらえるか、納棺の時機等でした。
 その後、祭壇の写真やパンフレットを長野のお宅にお送りし、検討して頂きました。
 1ヶ月半ほどはご連絡が無く、便りの無いのはいい知らせとばかり思っていたのですが 葬儀社の担当者にはその間も何度か連絡が入、その都度持ち直しをされたようです。
 4月に入り、斎場での宿泊、お香典のことなどを心配なさっていた矢先、ついに帰らぬ人になってしまいました。依頼者のお気持の変化が質問を通して色々伺え、胸の詰まる思いです。合掌。

あさがお葬儀社紹介センターとは

 これまで葬儀社の紹介に先立って、ご依頼者のお話を伺っていて、ご依頼者がお尋ねになることで多いのは、費用に関することと、流れに関するものです。

 費用については、「だいたいどれくらいかかるものでしょうか?」というようなものから、「総額で○○万円を考えていますが、これですべてまかなえますでしょうか」「費用をあまりかけたくないのですが、どうすればいいのでしょうか?」

 また、「流れ」については、「万が一のときは、どのようにすればいいのでしょうか?」「事前に準備しておくことは、何かあるのでしょうか?」

 こうしたことを当センターにご質問になる根底にあるものは、葬儀社に直接話を聞いたり交渉することへの不安、もっと言えば、葬儀社への不信感があるのではないかと、思っています。

 世間で問題が起こっているように、「何の準備もしていず、病院で紹介された社に任せたらとてつもなく高かった」や「見積書もなく、いざ請求の時に請求書を見たらビックリした」、「見積りが安いと思って依頼したら、追加とかオプションとかで請求金額が膨れ上がって結局高いものについた」・・・、マスコミなどが取り上げる情報が背後にあることもまた確かです。

 ともあれ、ご依頼者の側にしてみれば、「自分の無知につけ込まれて足元を見られるのではないか、葬儀社の都合のいいようにされるのではないか」というところでしょう。

 あさがお葬儀社紹介センターは、 こうした不安や問題がおこっていることに対する一つの解決方法として、非営利第三者機関として設立されました。

 センターが、依頼者と葬儀社の間に入ることにより、たとえ、ご依頼者が葬儀に関する情報を持たない中で葬儀社とやり取りをしても足元を見られることのないような仕組みにしています。さらに、各葬儀社の特徴を調査・把握していますので、それを踏まえて、ご依頼者の要望・予算に合った適切な葬儀社で納得のいく葬儀をあげられるようにしています。

あさがお葬儀社紹介センター

 ↑↑↑ あさがお葬儀社紹介センターの本体のホームページになります。

ベテラン女性担当者はご喪家のスーパーお母さんの様

 葬儀社の担当者も近年は女性の進出が目につくようです。細やかな気配りなどは意外に女性に向いているかもしれません。
 当センターの賛同社の中にもこれが天職みたいな担当者がいます。
 例えて言うと他の葬儀社を赤ちゃん誕生の時の産婦人科病院とすると昔から地域にいるベテランのお産婆さんのような存在の方です。

 自宅併設の葬儀社内に安置所が設けられていて、お客様は線香をあげに来たついでにお隣の居間でおしゃべりをしながら食べて行かれ、自分の家と同じで安心しましたとホッとされる方が多いと聞きました。
 つまり、自宅に葬儀社のプロが四六時中ついてくれるようなもので、ご喪家にとっては力強いものがあるようです。
 葬儀社仕事で大事なことは、その場の判断能力が大切で、どういうところに目を付けてやるのかにつきます。
 個人経営みたいなものですから1から10までやりますよ。ご喪家の顔を見ながらやってきましたので接していると分かりますとはベテランらしい言葉です。
 立会いに伺った時何気なく見ていると、ご喪家のみならずご親戚の方々も皆お母さんに頼っている感じです。
 おばさん感覚で聞きやすいと言われますが、迷っている時にはこうしたらいいですよと判断できる歳になったんですよと笑っていました。
 以前こんなこともありました。
 葬儀中に緊急電話が入りました。読経中のご住職の奥様が危篤状態だとのこと。ご住職は火葬場までお付き合いするつもりのようです。
 「初七日の法要も終ったのだからご住職にお帰り願ったらどうですか。生きていらっしゃるうちにお会いした方がよろしいのではとご住職に申し上げたらどうでしょうか」
 喪主の方も納得なさったようです。
 

越谷市斎場での密葬の具体的な相談の流れ

 お父様がお亡くなりになる一週間前に、越谷市にお住まいの、ご長男の方よりメールにて相談を受けました。

 「病院によれば重篤状態から回復はしましたがいまだ不安定とのことです。貴センター経由で必ずお願いできるかどうか今の段階ではわかりません。それでもよろしければなにかとお力添えおねがいいたします。宗教者の手配や祭壇、装飾などよくわかっていないことがたくさんあります、よろしくお願い申し上げます」ということで、質素に家族葬でおくりたいという内容でした。

 ご質問にあった、宗教者の手配や祭壇、装飾についての基本的な事柄にお答えすると同時に、さらにセンターからの質問として、斎場のことや内容、お父様の住民票のある場所、予算、紹介の方法、事前見積りなどについて、わかる範囲と差し支えのない範囲でお書きくださいとして、お伺いするメールを30分後ぐらいに返信しました。

 そうしましたら、また、30分後ぐらいにご相談者よりメールで返信がありました。一つ一つの質問に対して答えられていて、越谷市斎場を利用したいことや概算の見積りを見たいとありました。また、最後に、「葬儀は、対象者は私の父親で喪主は母親になります、母親の意向にそってすすめたいとおもっておりますが現在母親は、葬儀のことを考えたくないとおもっているのは明らかですので、メールで貴センターとやりとりをしてすすめさせていただきたいと思います。」とありました。

 早速、越谷市斎場を想定して賛同社より概算の見積りをとって、センターの説明書をつけて送ったところ、すぐまた返信のメールをいただきました。

 「本日の段階で父の容態が医師の予測よりはかなりよい方向で改善していることもあり、今の段階では、とりあえず大切に保管させていただくこととさせてください。必要な状況になりつつなりましたらまた連絡、内容の問い合わせ等させていただきます。」

 ふたたび、ご相談者より連絡がありましたのは、お亡くなりになる数時間前のことでした。以前のやりとりの内容確認と見積りをとった葬儀社と直接話をしたいというものです。葬儀社へは、これまでのセンターとご相談者のやりとりの概略を伝えるとともに、提出された見積り内容の確認をして、相談者と直接打合せしてもらうことにしました。

 これによって依頼する葬儀社が決まりました。