増加傾向にある無宗教葬

 2年前ほど前に行われた読売新聞の「宗教」世論調査によりますと、「自分の葬式は無宗教にして欲しい」と望む人は40%に達し、中でも大都市では実に50%を占めています。

 1998年に行われた同調査で「葬式が形式化してあまり意味がないので、宗教にかかわりなく行うほうがよい」という人が12%だけだったので、いかに、ここ数年の変化が激しいかおわかりいただけると思います。

 現実的には、この意識に直結して無宗教葬が多いのかといいますと、そうではありません。依然、仏式の葬儀が8~9割ほどを占めるのではありすが、無宗教葬が徐々にではありますが、増加傾向にあることだけは間違いないということです。

 この読売新聞の調査を受けて、宗教学者の石井研士・国学院大教授は、無宗教葬の希望者が多い背景として、①「家」制度の崩壊による祖先崇拝の希薄化、②戦後生まれの高齢者の宗教離れ、③宗教団体への批判の高まり、の三つを指摘しています。

「自分の葬儀を決めておきたい」

 「自分の場合だったらこのようにしたい」とご自分の葬儀をイメージされ、相談される方がこの1~2年目立ってきたようです。
 いざという時慌てないため、残された奥様やお子さん達が混乱しないようにと葬儀のやり方や葬儀社を決めておきたいという訳です。
 以前から思いつつも延び延びになっていたのがインターネットの普及で葬儀に関することが解りやすくなり、決心がついた方が多いようです。
 ご自分の最後をイメージし、決めるのも今が健康だからできることでもあります。
 
 第1条件にこじんまりした葬儀を望む方の場合、家族と近しい親族と親友という本当に別れを惜しんでいただける方のみにきていただきたい。
 これまでに多くの葬儀に参列されたが亡くなられた方とはほとんど面識もなく、ご家族への義理で伺ったことからの反省の意もあるようです。
 参列して頂かなかったお知り合いの方にはしかるべき時点で、ご家族から亡くなった旨をはがきで知らせてもらうようにするとのことです。
 予算、場所、サービスの順序も集まっていただくのは大切な方ばかりですので、まずは何をおいてもサービス第1。
 葬儀社の決め手も、いざという時当の本人はおりませんので、「約束を守り、誠実にやっていただけるところが第1です」とのことです。

 概算の見積りは当センターが依頼者のご要望を各葬儀社に連絡し、依頼者が直接葬儀社からお取りになり、その内容をもとに見積り内容の比較・サービスの評判等をアドバイスさせていただきました。
 「これでいざという時、子供たちには葬儀社に電話するだけで良いようにしておけます」とのことでした。

「本音は家族だけで静かに見送りたいのですが・・・・」

 「母の具合がかなり悪く、万が一の時を思って電話しました。自分たちは家族と親しい親戚のものだけで家族葬の形でやりたいのですが、母が地元の商店街にお店を出していましたのでお世話になった商店会のお知り合いの方達を無視する訳にもいかないし・・・」
お気持ちが揺れていらっしゃいましたが、電話口でしばらくお話しているうちに決意されたようです。
 万が一の後はご自宅にお帰りになる予定となると、ご近所に分かってしまい、たとえご葬儀前に、きっぱりとお断りしてご自分達の意見を通そうとしても難しい状況になりそうです。
 そんな中、概算の見積りを会葬者150名ほどでお取りした直後、急変されてしまわれました。
 お母様をご自宅にお連れした後、ご遺族は葬儀社との打ち合わせに入り、最終的に商店会、町内会の古くからのお知り合いを中心に会葬者300名までに膨れ上がってしまいました
 
 今回のように周りの状況で許されないような場合もあり、家族葬を希望されていても色々と制約があるようです。
 それでも地元や地域との密着度が薄い都会を中心に益々増えてきています。
 高齢で直接の友人知人もいないのでご家族だけで見送りたい、仕事関係の義理で来て欲しくない、費用があまり掛けられない等理由はそれぞれです。
 秘密時に葬儀を終えてから、ご喪家からご報告されるのが一番かと思いますが、どこかで情報が漏れてしまう可能性が往々にしてあるようです。 
 ならば始めにはっきりお断りすると言ってもいらっしゃる方はいるようです。
 「家族葬にしたいのですが、近所知人が来た場合どのように対応すればよいのか」心配のメールやお電話も度々頂きます。
 お断りしてもいらっしゃったお客様はそれなりに故人との関わりがある方ですので丁重にご案内し、通夜でしたら受付を済ませ、ご焼香の後礼状・返礼品を手渡し、お清め所にご案内します。葬儀・告別式も同様にご焼香の後、礼状・返礼品を手渡し、最後のお別れをし、ご出棺まで立ち会って頂くことになりますが、一連のことは全て葬儀社の担当者が誘導致しますのでお任せします。
 思わぬ人数になる場合もありますが、そこは担当者の腕のみせどころです。 
 礼状や返礼品は多めに持ち込んでいますので比較的トラブルはありませんが、通夜のお食事等は急に増やすにしても限度があります。ベテランの担当者は状況、条件を駆使して臨機応変に対応してくれることと思います。

特別な形式での葬儀が家族葬?

 家族葬に関する相談や要望する人が増えています。

 家族葬と言うと、何か特別な形式で葬儀をするのではないかと考えている人も中にはいるのですが、実際には、家族葬は、多くの会葬者への対応など慌しさをできるだけ避けて身内でゆっくりとお別れする、ぐらいの意味合いですので、仏式であれば僧侶、キリスト教であれば牧師あるいは神父、神式あれば神職にお願いして葬儀をします。

 家族葬の葬儀施行の宗教形式の割合で見ますと、一般葬と変わることなく、仏式で行われることが多いようです。

互助会の解約金に関する疑問

 葬儀のご相談の中で最近は互助会に関する質問が目立って多くなったように思われます。
 急に多額の費用が必要になる葬儀に直面したものにとって、前払いで一定金額が納められているという安心感はとても大きなものです。全国に会員が2000万人とも言われているのも頷けます。そんな良いこと尽くめのはずの互助会への苦情を度々耳にするようになってきました。
 最近受けたご相談の中でも、幾つかあります。
 
 当センター賛同社の葬儀社から概算の見積りを取った後、お義母の持物を整理していると互助会に入っていた用紙が見つかり、急遽ご連絡をいただきました。
 依頼者からは互助会関連の斎場で先に紹介した葬儀社での葬儀はできないのかとの問い合わせでした。互助会は解約すると掛け金が半額程度になってしまうとのことで、もしそうなったら折角見積りを取っていただいたが、互助会に依頼せざるを得ないとのことでした。
 
 残念ながら互助会関連の斎場は互助会の葬儀社所有のものですので他の葬儀社は使用できません。
 それにしても解約金額があまりに高いので、入会時の説明がしっかりなされていたかどうか心配です。
 公正取引委員会の事業者アンケートではそのことについて説明している互助会が殆どとのことです。
 互助会の説明の仕方で信頼がおけるかどうかの判断材料になるのではと申し上げたが、預けたお金を無駄にしたくないとのことで、そのまま互助会での施行となったようです。
 互助会との契約金額でご葬儀が全てまかなえるわけではありませんのでご注意を申し上げたのですが、解約金にこだわって高い買物になってしまったようです。
 オプション物が多く、結果当センター賛同社の葬儀社の見積りの倍近くの出費になってしまったとのことです。
 

「娘に遺言として私の葬儀を準備しておきます」

 「万が一の時はこちらに連絡してほしいと言っておきたいのでお電話しました」快活な声が電話口に飛び込んで来ました。
 「来週癌の手術で再入院しますので、娘に遺言として手渡しておきます。まだ時間がありますので急がなくて大丈夫です」
 こちらが一瞬言葉に詰まった空気を読み取り、依頼者に逆に励まされてしまったようです。
 
 9ヶ月後、葬儀社にお嬢さんから連絡があり、葬儀社の自社斎場で1日だけのご葬儀を執り行うことになりました。
 
 遺言代わりの葬儀社の見積り書といっしょにまず第1に無宗教で散骨にしてほしい、葬儀・告別式を1日だけにしてご家族ご親族のみで見送ること、できるだけ費用を掛けないシンプルな葬儀を心がけてほしい等が明記されていました。
 見積り書は葬儀社の自社斎場と千葉市斎場の2種類をお渡ししていました。

 ご自分の葬儀を事前に準備でき、ご家族にそれとなくお話しておくことができるのも元気なうちです。気持ちが強く、前向きの時でないとなかなか踏ん切りがつかないようです。
 人生を見つめ直すためにも、これからの生き方を考えるためにも最後の準備を考えてみませんか。

 
 

 

「参列者の流れを如何にスムースにつくるか」は葬儀担当者の苦心のしどころです

 「大勢の会葬者を如何にスムースに誘導できるか」葬儀担当者が式を進行する中で最も気遣いすることの一つです。縁の下の力持ちのようなことですが、これがうまくいくかどうかで式の印象もガラッと変わってしまいます。
 一定の時間内にご焼香を終え、しかも参列者の皆様に余分な気を使わせず満足してもらう為には細心の注意が必要です。
 特に民営の斎場は広さもまちまちで、色々な制約もあります。その中で如何に効率よく、会葬者同士ぶつからない様に流れをつくるか腕の見せ所です。
 斎場の特徴をそれぞれ把握して増減する人数に照らし合わせて臨機応変に対応する。
 テントで受付を済ませた会葬者を季節によりどこに並んでいただき、ご焼香台をどこに置き、ご焼香を終えた方をどちらにご案内するか気を配り、遅れていらっしゃった方最後のお一人にまで気が抜けません。
 たとえば、広いロビーを使用した桐ヶ谷斎場での告別式の場合は半円を描くように携帯品預かり所、各方面受付からご焼香台へ、ご焼香が済んだ方の先は返礼品受け渡しの係りが待機するという流れをつくり、式場に直接出入りする方と交わらないように工夫されていました。
 国分寺市東福寺での500名規模の会葬者の場合は一般記帳では間に合わなくなるため、カードに記入していただき名刺と一緒に出していただいたり、通夜のお清め所を一般会葬者用とご親族用を分け、ご親族を待たせることなくお清めができるようにされていました。
 また、練馬の橋戸会館のようにロビーがないところでも軒下を利用して並んでいただき、ご焼香を済ませた方は脇の出入り口から2階のお清め所に行かれるような流れをつくることもできるようです。
 担当者の采配ぶりが注目されるところです。
 

「お墓に入りたくない人、入れない人のために」

 「お墓に入りたくない人、入れない人のために」(徳留佳之・著、はまの出版、1500円)という本を読みました。

 書名のとおり、お墓に入りたくない人や入れない人のために、お墓以外の選択肢を紹介しています。具体的には、散骨や樹木葬、手元供養などを詳しく解説しています。また、こうしたことが求められるようになってきた背景も整理し、そもそもお墓とは何なのかを問いかけています。
 関心がある方はどうぞ。

病院からご遺体の搬送先はどちらに?

 事前に葬儀社を決めご相談されている場合は、いざというとき連絡を入れていただければすぐ葬儀社に連絡し病院に担当者と寝台車を向かわせることができます。
 ところが死は予告なしに訪れたり、まだ大丈夫と思っていても何時急変されるか分かりません。お亡くなりになった後、周りの方があわててお電話されるというケースも多く見受けられます。
 「病院からご遺体を運び出すのを早くしなければ」気持ちがあせり、周囲の雰囲気もそれに同調するような状況になり、病院サイドからもまだお決まりでないようでしたら葬儀社をご紹介しましょうかと追い討ちをかけられる始末。
 お電話口での話しぶりでそんな光景が目に浮かびます。
 まずは病院サイドの葬儀社さんにはお断りいただいて、搬送先を自宅か自宅以外のところかを決めていただき、式場、会葬者数、日程、式の規模等のご要望を伺い、もっともふさわしい葬儀社に連絡を取り、どの位で伺えるか依頼者に伝え、安心していただきます。依頼者には葬儀社の担当者に要約して話したことをつげ、直接担当者に連絡していただくようにします。
 ある担当者は「依頼者との電話のやり取りで自宅以外の場合の安置所を決めてしまう葬儀社のかたもいらっしゃいますが、当方は病院に行って話しをお伺いしてから何処の安置所にするか決めます。直接お会いして、お話を伺うことで依頼者を安心させ、相手の人柄を感じ取りどの様に対処するのがよいか判断して、何処にするか決めます。公営の斎場などでその斎場を使用しない場合駄目な時もありますし、また寺院の安置所、寝台車会社の安置所等もあり、戸田サービス館のように色々と融通が聞く斎場もありますので」とのことでした。
 地域の利用できる安置所を全て把握している担当者ならではの話です。
 何処も塞がって困ったということはないそうです。お正月の場合でも式場を安置所にして大勢のご遺体をお預かりする形で切り抜けることが出来るそうですし、病院サイドも時間制限をしている訳ではないので気持ちを落ち着けて、まずはご安心ください。
 

「火葬のみ」で掛かる費用とは・・・・。

 病院から一旦ご自宅にお帰りになり翌日火葬場へ向かう方、ご自宅以外の安置所から火葬場へ向かう方、病院から直接火葬場の安置所へ向かう方、火葬のみの方も丸1日それぞれのドラマがあります。
 火葬のみに掛かる費用も火葬場の告別ホールでの読経代を含めて都内で30万円近く掛かると聞くとびっくりなさる方もいらっしゃいます。
 火葬するだけになんでそんなに掛かるのだろうとおっしゃる方のために2~3の例を挙げてみます。
 
 火葬のみを施行するに必要なものとしてはまず、お棺、収骨容器、施行管理スタッフ費、写真代、ドライアイス代、寝台車代、吸水シーツ代、遺体保管料、お別れ花代、火葬料、お心付け代、お布施・お車料等が挙げられます。
  通常の祭壇コース等では施行管理スタッフ費用をコースの中に含んでいる場合が多いようですが、火葬のみの場合は別料金になります。お別れ花は最後棺に入れるお花のことです。
 都内と周辺の神奈川、千葉、埼玉では火葬料の違いから料金に差が出てきます。
 お棺からお別れ花までの費用としてざっと見積って17万円前後掛かるようです。たとえばお棺が5~6万円、収骨容器が約1万円、施行管理スタッフ関係2万円~3万円、写真2万5千円、ドライアイス1日6,500円、寝台車代2万円、吸水シーツ5千円、遺体保管料2万円、お別れ花1万円等。 この中でさらに省くことができるのは、写真代(ご自分で用意しておく)、お別れ花代、お布施・お車料あたりになります。
 省くことができない火葬料と心づけは都内の場合で約6万円ほどになりますが神奈川、千葉、埼玉ですと公営になりますので3千円から1万円程度で済みます。
 お布施代は告別ホールや火葬炉前にての読経代で約6万円ほどだそうです。
 葬儀社によっては手続き等の用事を含め1日ではできないためにスタッフの人件費を2日分取る所もあります。