搬送先の霊安室はどこがベストか

 「先程母が亡くなり、病院からご遺体を何時までに引き取れるのかと聞かれているのですが・・・。とにかく家は狭いので自宅以外のところにお願いしたいのですが・・・。」受話器をとるといきなり緊迫しきった声。
 「1時間位は事後処置に掛かりますので慌てなくても大丈夫」と申し上げ、その場で地域の葬儀社に連絡しどの位で伺えるか伝えると電話口で皆さん一様にほっとされるようです。
 病院からの搬送先が自宅以外の場合は公営斎場の霊安室、葬儀社所有の安置室、各民営斎場の霊安室、寝台会社の安置室などになります。場所や時間や空き具合等を考慮して葬儀社の担当者は手配してくれますのでご希望等を話され、後はお任せすることになります。
 しかし、希望斎場の霊安室にすんなり収まる場合ばかりとは限らず、一時的に別な安置所になることもあります。
 安置所もそれぞれ一長一短があるようです。
 市営斎場の霊安室使用料は大方1日千円~3千円ですが、面会時間が限られ、中には通夜まで対面できないところ(ウイングホール柏斎場等)もあり、式場使用者のみ利用可能の場合が多いようです。納棺の状態であることが条件になります。
 公営斎場でも区営の場合は区内在住と限られますが、面会時間は比較的融通がきくようです。納棺が条件です。
 火葬場併設の民営斎場の使用料は1日7千5百円程で、面会時間も市営斎場並みに限られますが、こちらは霊安室にて納棺できます。
 民営の寺院斎場の使用料は1日数千円から2万円位まで巾が有りますが、連絡があればご希望の時間に面会できる自由さはあります。
  葬儀社所有の安置室は面会時間などにわずらわされることなく、一時的な安置所にもなり、使用料は無料から数千円ほどとこちらも巾があります。
 通夜までの限られた時間、故人とどれだけ心の対話ができるだろうか。
 
 

 

 

「納棺夫日記」という本を読みました。

 われわれは葬儀社紹介センターなので、実際の施行はしませんが、葬儀社の担当者がする実際の現場をすべて見ているわけでもありません。立ち合いに行ったときなど一部分を見ているにすぎません。

 葬儀社の人が、現実の場面で、どんな意識や感情でもってやっているのかを知るために話を聞いたりします。

 そのためということではありませんが、よりいい話を聞けるように、葬儀社の人が書いた本などを読んだりします。今日は「納棺夫日記」(青木新門・著、文春文庫)という本を読みました。

 湯灌や納棺といった作業において、自分自身の心を鎮めるための、死や死体や死者との心の葛藤などをつづっています。「死というものと常に向かい合っていながら、死から目をそらして仕事をしてい」た著者が、どのようことがきっかけで、真正面から向き合うようになったのかが描かれていて、興味深い本でした。

千葉県内の葬儀には「無料」特典が色々あります。

 一口に冠婚葬祭と言いますが金銭的に片方は準備万端整えることができますが、もう片方は何時来るか予測できず、いざと言う時に慌てふためくことになってしまいます。
 また病院支払いで使い果たしてしまい、予算がないのですがなんとか・・・と電話口で懇願され、思わずこちらも力が入ってしまうこともあります。
 こんな市民の要望に答えて少しでも安くと公営斎場では色々な特典を出しています。
 
 中でも千葉県では「無料」の二文字が目につきます。
 野田市斎場と関宿斎場は火葬料が無料。火葬中の待合室の無料は馬込斎場(船橋市、習志野市、八千代市、鎌ヶ谷市)、ウイングホール柏(柏市、流山市、我孫子市)、市川市斎場、関宿斎場(火葬のみの場合)、野田市斎場(火葬のみの場合)、市川市斎場塩浜式場等があります。
 さらに、千葉市斎場と浦安市斎場では葬儀費用の中でも大きな比重を占める祭壇が備え付けで無料になります。
 
 備え付けの祭壇は他にもみられ、低価格で借りられます。
 馬込斎場では1回3,700円から、ウイングホール柏では15,000円、関宿斎場では10,500円、野田市斎場では10,500円になります。これらの祭壇は仏式の他に、神式、キリスト教等にも対応しています。
 仏式の祭壇は白木祭壇になりますが、周りには供花を含めて生花で華やかさを出し、いづれも見映えのよい祭壇です。
 

心ばかりではなく目に見える小さなサービスに感激する。

 葬儀社は究極のサービス業とも言われ、気配りや思いやりの心遣いが要求されますが、具体的に目に見える小さなサービスにも思わぬ感動があるようです。

 神社境内の耳を劈く様な蝉時雨の声と太陽が照りつける雲一つない炎天下、先程まで冷房がきいた室内にいたとは信じがたいほどの暑さに頭がくらくらしてきます。
 先日お伺いした告別式では出棺をお見送りした会葬者に冷たいお茶のサービスがありました。
 控室にあてがわれた境内の客殿前には葬儀社の取り計らいでお茶のセルフサービスのセットが置かれ、皆さん思わず駆け寄りのどを潤していらっしゃいました。
 緊張し乾いた喉への一服の清涼剤はおもわぬ効果が発揮されたようです。最後のちょとしたサービスで葬儀に出席した印象もガラッと変わります。
 
 葬儀社の担当者は故人が日産系の部品会社を長年経営していらっしゃったことを伺い、霊柩車もぜひ日産でと思ったようですがリンカーン等が多く難しく、それではとご遺体を病院に迎えにいく葬儀社の寝台車の代わりに急遽霊柩車の会社に日産の寝台車での搬送を頼み、ご遺族から大変喜ばれたとのことでした。

 

 

葬儀費用は単純には価格比較ができないのでは

 葬儀費用について、これまで、消費者は葬儀の費用に関する情報を知る手立てがほとんどなかったのですが、インターネットにより情報がオープンになり知ることができるようになってきました。葬儀社サイドも、費用を含めた情報を出さざるを得なくなってきましたので、これまでのように、依頼者の無知を前提とした葬儀社主導のどんぶり勘定が通用しなくなってきているという流れにはなってきています。

 そうすると今度はその反動で価格競争のようなことがおこるのはどの業界でも同じです。規格が同じものであれば単純に価格は比較ができますが、サービスにつていはそういうわけにはいきません。内容を踏まえないと価格が低いのがいいとは一概に言えません。

 われわれはこれまでの多数の事例を踏まえて、葬儀社の価格を見るときは、単純に価格が安いかどうかよりも、依頼者とのコミュニケーションを踏まえたサービス面、提供される内容、満足の度合いなど総合的にみて、価格が適切かどうかのほうがより重要だと思っています。

旅支度は念願のビールを口に含ませ、念入りなメーキャップと愛用の着物で最後のおしゃれを・・・。

 お亡くなりになった後、ご家族や近親者の手で最後の水を口に含ませる「末期の水」という行事があります。
 この水がビールになり日本酒になりと言う話をよく耳にします。
 葬儀社の担当者は「長い入院生活で大好きだったビールを我慢していた」と伺えば、最後はビールでと提案し脱脂綿やガーゼに含ませたビールで故人の唇を潤します。
 また、病気でお酒を止められていた故人が寝台車でご自宅に戻られる時、担当者は奥様にビールの有無を尋ね、途中のコンビニによって買い求めたビールを枕付けに置き、大変喜ばれたという話も伺ったことが有ります。
 
 末期の水は病院でやる場合とご自宅でやる場合がありますが、着付けだけはできるだけ早く、死後の硬直が来る前に済ませなければなりません。
 以前、愛用の着物を着せたかったのですが、申し出が遅くて泣く泣くご遺体の上に掛けざるを得なかったことがありました。

 末期の水をとったらご遺体を清めます。
 これを湯灌と言い、アルコールや湯でご遺体を拭く略式のものから、専門業者がきてきれいに仕上げてくれるものまであります。
 名前だけを聞いて消極的だったご遺族の方々も仕上がりをみて殆どの方が「やって良かった」という印象に代わられるようです。
 特に長患いでできた管の傷跡等の処理をして綺麗になった姿には感激するそうです。
 頭髪を整え、男性はひげをそり、女性にはきれいにお化粧を施します。顔色の悪い場合はマッサージをして下地を整えます。

 但し、気をつけなければいけないことがあります。結核などの感染症で亡くなられた方の場合、体液から感染することもありますので、処置をすばやくする必要がありますし、身体をやたらに動かしてはいけません。

 お別れの儀ではご家族ご親族だけでなく、会葬者全員とご対面し、最後のお別れをする機会が増えていますのできれいな顔で安心して送り出せるようなおしゃれに気を使ってあげたいですね。 

偲ぶ会やお別れ会は今や著名人だけのものではありません。

 お亡くなりになった後、ご家族ご兄弟だけで密葬または火葬のみをして、後日、改めて偲ぶ会やお別れ会を催すやり方が最近目につくようになりました。
 偲ぶ会やお別れ会と言えば社葬や社会的に著名な方の場合と思いきや、ごく一般的な葬儀にもやられるようになってきました。
 一般の方の場合は通常このやり方ですと無宗教葬を希望されている方が多いようです。

 先日見積りを依頼された例としまして、ご当人の意思でモーツアルトの音楽葬を希望されているので、近所の式場にて双方のご兄弟だけの密葬にし、後日友人を招いてお別れ会をしたいとのことでした。
 これですと祭壇が2回必要になってしまいますので、葬儀社の担当者は火葬当日ご兄弟の方々に直接火葬場の方へお越し願ってお骨を拾った後、斎場近くの料理屋さんでお食事会を催すやり方を提案されました。
 別な日のお別れ会は1日だけですので朝から祭壇作りとなり、祭壇上にはお骨と遺影とお花が飾られ、会葬者は献花していただくことになります。

 同じような例としまして、すでに火葬は済ませているのでご親族だけで偲ぶ会だけをなさりたいと言う依頼がありました。
 葬儀社によっては祭壇コースとして一括の値段になっている場合と、一品目ずつ値段を表示している場合がありますが、依頼者のご要望は柩などすでに要らないものは全て省きたい。そのためにはコンパクトに1品1品価格が表示された葬儀社の見積りが欲しいとのことでした。
又祭壇コースのなかの品は値引き対象にならない場合もあるようです。
 当日はご親族が集まり、故人を偲びながらお食事をなさりたい意向とのことでしたです。
 
 このように葬儀のやり方が多様化しつつある現在、葬儀社サイドの対応にも臨機応変ぶりが
より要求されるようです。

 

横並びの式場で、騒音は意外なところからやってくる

 1ご喪家のみ使用の斎場では気がつかないが、幾つかの式場を持っている斎場では1日に式場数だけ葬儀があり、隣りの騒音に悩まされることがしばしばです。
 特に音がよく響くのは横並びの式場の場合です。
 斎場サイドからは音楽を奏でないでほしい、マイクを使わないでほしいと葬儀社を通じてご喪家にご注意がありますのでそちらは守られているのですが、実際はそれ以外の音の方が気になるようです。

 例えば、以前八王子市営斎場での葬儀に立ち会った時は隣りの式場と同時刻に開式。間もなくお隣からは鉦や太鼓の音に加え3人のお坊さんの読経の声が響き渡り、こちらの読経の声が掻き消されてしまい、式の進行を妨げるほどでした。
 傍で見ていても落着かずいたたまれない気持にさせられました。
 ご自宅での葬儀の形をそのまま式場にもってきたようで、ご住職サイドも斎場での読経方法を考慮すべきではと思わせた事例です。

 式場隣がロビーやエスカレーターなどの出入り口の場合は、他の式場にいらっしゃった会葬者どうしの会話に悩まされる時があります。
 突然のけたたましい笑い声や遠くから大声で呼ぶ声など、久しぶりにお会いするご親戚の方々が斎場という特殊空間に迷い込み、平常心を失ったように大声で喋り捲る光景がよく見受けられます。もう少し周りを見渡していただきたいものです。

 お隣どうし開式をずらして行えば大丈夫かと思えば意外な音で悩まされることがあります。
 原因は葬儀のプロのはずの葬儀社さん自身からです。
 悲しみの中で静かにご焼香をしている最中、先に終った隣の式場からかたずけ作業の音が遠慮会釈なく響く場合が往々にしてあります。
 
 お互いご自分の置かれている立場をちょっと立ち止まって見直しましょう。
 
 雑音に悩まされることなく悲しみの中にも心静かにお見送りしたいものです。 
 
 

故人の遺骨は誰のものか

 マスコミをにぎわすことがたまにあるのですが、亡くなった人の遺骨をめぐって、配偶者と親が争いをしていることがあります。そもそも亡くなった人の遺骨は誰が処分する権利をもつものなのでしょうか。

 結論を言ってしまいますと、故人の遺骨をどうするかは、祭祀継承者が決める権利を持っています。祭祀継承者とは、お墓など祭祀財産を継承する人のことです。旧民法で「直系の男子優先」とされており、つまり長男が継承するものと定められました。ただ現民法では、「慣習に従って」もしくは「被相続人の指定に従って」となっています。被相続人とは故人のことで、遺言などで指定すれば、誰でも継承者にすることができます。

 要するに、故人の遺骨をどうするかは、祭祀継承者が決める権利を持っていますので、例え故人が故郷での納骨を望んでいても、必ずそれを実行しないといけないわけではないのです。それゆえ、亡くなる人との側から言うと、望むことがある場合、祭祀継承者にその旨よく理解してもらうことも必要になります。

よりよい葬儀にするためには地域の斎場に精通した葬儀社選びが大切です

 先日会葬者200名ほどの概算の見積りを依頼された方が会葬者全員テントではなく冷房が効いた室内で、イスに腰掛けられる斎場を希望する旨のお話をされていました。
 一見当たり前のことのように思われますが、式場は葬儀に出席されるご家族ご親族の方を除くとイス席が足りない場合が殆どといっていいくらいです。会葬者が多い場合は特に顕著です。
 一般の会葬者の方は告別式に出席なさるのですから少し遅めにいらっしゃっても大丈夫ですが、大方皆さん定刻前にいらっしゃいます。
 来られた方から順次にスタッフに案内され着席されますが、式場定員以上の方はロビーかテントで告別式のご焼香までお待ちいただくことになります。
 ご焼香が済んだあとも最後のお見送りまでお待ちいただくために再びロビーやテントに待機いただくことになります。
 ロビーでじっと立っていらっしゃる年配の方をよくお見かけします。たとえ短い時間でもじっとしているのはお年寄りにとってかなりきついようです。
 またテント内で暑い中、イスに腰掛けていらっしゃる方も大変ですが、先の二つの要素を満たしてくれるイスのある広いロビーの斎場は以外に少ないものです。
式場も公営、民営それぞれ特徴がありますが公営に例をとりますと、式場や建物が立派な割りにロビーや特にお清め所の飲食スペースが狭いところが多いようです。お清め所として中には幅広の廊下を立食用にしている所もありますので、多数の会葬者を見込んでいる場合は難しいようです。
 外観だけではなかなか判断できない場合も有ります。
 地域の斎場に精通した葬儀社にお尋ねするのが1番です