思い出コーナー

 ご喪家のご要望で生前故人が愛用したものや趣味の作品、家族との思い出の写真を式場のコーナーに飾り、葬儀に出席していただいた友人知人に見ていただくことがよくございます。
 通夜や葬儀の始まる前、悲しみの中にもそのコーナーの周りはおしゃべりと時には笑い声さえ聞えます。
 生前、なかなかお会いできなかった故人との思い出が、1枚の写真を巡ってよみがえって来るようです。
 1枚1枚の写真はごく普通の家族のスナップ写真であっても、その時代に関わった友人にとって貴重な最後の1枚になります。
 
 昨年、ご喪家からいただいた礼状の中で思い出コーナーに触れたものも幾つかございました。
 なかでも、コーナーの作成を葬儀社のほうで全てやる場合と、ご家族の皆様に手伝ってもらい、少しでも自分達の葬儀である実感を味わっていただくやり方があります。
 頂いた礼状は後者の方でした。通夜の当日午後2時くらいから準備に入りました。
 
「母や妹夫婦と思い出コーナーなどをあれこれ準備しておりますと、親族の結束も深まるようで、また、展示した若き日の父母や、幼い私どもの写真を間に会葬者との話も弾み、親父がおれも話にいれてくれと話しかけてくるような心温まる葬儀になりました。」とのことでした。 

お葬式も宗教戦争?

 依頼者は故人の妹さんでした。
 第1報では区営斎場をお借りして、キリスト教・プロテスタントでの家族葬をご希望され、牧師さんの手配もお願いしますとのことでした。
 もしも牧師さんの紹介が煩雑であれば無宗教もしくは火葬のみのこともありえるとのこと。  少々切迫感があり、事情がありそうなご様子でした。
 葬儀当日、葬儀社の担当者に伺うとご家族の方々の信仰の対象が違い、それぞれが主張なさっているようです。
 お父様はキリスト教が大嫌い。
 その為に故人と妹さんとお母様は隠れキリシタンのようにお父様に内緒で教会に通っていらっしゃったようです。それでも最後に事情が分かってしまい、お父様は大層ご立腹で、葬儀をぶち壊すとまで言う始末。
 キリスト教関係の場合は通っていらっしゃる教会での牧師さんによって執り行われることが殆どですが、それも出来ずのご相談でした。
 葬儀社がお願いした牧師さんによると、信者の方でもしばらく教会を離れている場合などで、時にはこういうこともあるそうです。
 葬儀予算も火葬のみ位でしたが、費用を抑えたコースで、1日だけのキリスト教プロテスタントの葬儀・告別式がおこなわれました。
 柩にお花をいれるお別れの儀の後、柩の蓋を閉めるのを待ってもらい、お母様と妹さんは声を掛け合い暫しの間、故人と3人で無言の話し合いをしているようでした。
 お父様はとうとう最後までお見えになりませんでした。
 病院での最後のお別れを覚悟なさったようです。
 

葬儀費用のこと

 葬儀の立会いに伺うと、受付横にご遺族のご意思によりご香典をご辞退する旨の看板を目にすることがあります。

 しかし大方の場合、葬儀総費用に関して見積る時は香典を考慮していらっしゃる方が多いようです。 ご家族のみの葬儀を除けば、葬儀に掛かる費用の内、変動の激しい飲食代(お清め、精進落し)と返礼品は人数が増えた分、頂いたご香典で賄うことができます。

 費用を幾ら位に抑えるかの目安として、日本人の90パーセントは仏式ですので、お坊さんを第1に考え、先ずお布施を先に考えて、後残った費用で葬儀を考えます。
 次に、社会通念上必要な通夜の飲食費(特に近所付き合いの中では比重が高い)を考え、お布施と飲食代を除いた費用が葬儀費用になります。
 極端な話、火葬場と霊柩車と柩があればお葬式ができます。
 やりくりは如何様にもできます。

菩提寺様の言い分とは・・・

 「まず始めに菩提寺に丁寧に連絡してくださいと申し上げたのに、若い喪主さんはこともあろうにFAXで連絡を入れてしまった。事の発端はここから始まったの」葬儀社のベテラン担当者から菩提寺との攻防戦の顛末を聞かされました。

 FAXで初めて事の次第を知った菩提寺のご住職はへそを曲げてしまわれた様です。かってのお寺は地域の中心的役割をして、地域の葬儀を取り仕切っていたので、万が一の時はご遺族がすぐ菩提寺に出向くのが当然と思っていらっしゃる。
 ご住職にとってご喪家の方は何事も先ずは菩提寺にお伺いをたててからと思っていらしたのに、勝手に葬儀社を決めたことにまずはむくれてしまったようです。
 まくら経の日、葬儀社の担当者もご挨拶に伺った。案の定、ご住職はご機嫌斜め。
 まくら経を終えるや否や、開口一番「葬儀屋は俺の知り合いでなければ」と散々叱られ、お母様は泣き出す始末。
 「お経を途中で終らせてはいけないので降ろさせていただきます」と申し上げると、見積書を見せろとおっしゃる。見積書を見るや否や今度は「俺はこんな安い仕事は出来ない」とご親族が居並ぶ前で怒鳴りだす。
 「その前にお前の葬儀社なんかぶっ潰れてしまえ」とまで悪態をつく始末。 
 ついにご親戚のおじ様たちもおかんむり。間に入った喪主のご子息も途方にくれるばかり。
 お布施も地域の相場は東京よりも高め。ところがこちらのお宅は引っ越したばかりでご主人が亡くなり大変そうなので少し低く見積った。
 ついに「こんな安くては明日の告別式は行かないぞ」とまでエスカレート。
 内心「こんな坊さんがいらっしゃるから、檀家離れが起きてしまうんだ」と思いましたよ。
 
 「ところであんたはどんな葬儀屋さんだ」というので、説明すると、今度は一転してご住職の方から身の上話を始められた。息を詰めて事の成り行きを見守っていたご親族はあっけに取られている様子。
 ついには「俺も安い葬儀があったらそちらに回すか」とまでになり、「帰りは会社まで送っていくから」とおっしゃる。一旦は丁重にお断りしたが結局仲直りのためにも同乗させていただいたとのことでした。
 

密葬+お別れ会は著名人のみにあらず

 新聞などの死亡欄に近親者のみの密葬で済ませました。後日お別れ会を致します等の記事がよく掲載されていますが、著名人だけでなく最近は一般の方々の中にもぽつぽつと見受けられてきました。
 
 地縁が薄くなった都会生活者にとっての心のよりどころは仕事や趣味や遊びを通して知り合った友人知人に負うところが多くなってきました。
 遠い親戚縁者よりも故人と直接関係のあった人達に偲んでもらいたいという意向がよりはっきりしてきているようです。
 一般的にご家族ご兄弟だけで密葬をして、後日、日を改めてお別れ会の場合は密葬とお別れ会それぞれに祭壇を2回飾るのではなく、式はあくまでお別れ会のみになります。
 勿論2回祭壇を飾ってもかまいませんが、葬儀費用も倍近く掛かってしまいます。
 
 ご自宅にて近親者のみで最後のお別れをし、翌日直接火葬場に集合となります。収骨後、お集まりいただいた皆さんでお食事をなさり、内々で故人を偲びます。
 後日のお別れ会は故人の友人知人が中心になります。
 ご焼香なり献花が済んでも会葬者の皆さん全員で故人との時間を共有してもらいます。
 通常、通夜ではご焼香や献花が終わり次第、順次お清めのお食事になりますが、お別れ会は式が終ってから改めて喪主の音頭でお食事会になります。歓談の中で故人を偲んで頂くようになります。

菩提寺との関係は?

 電話で依頼者の最もご要望に沿った葬儀社を紹介するにあたり、色々ご質問をさせていただいています。
 なかでも概算見積りをとる時、仏式の場合には菩提寺の有無を必ず伺います。
 
 菩提寺がない場合は通夜、葬儀告別式、繰上げ初七日の法要までの読経をどうするかで済みますが、菩提寺のある場合は先ず第一に菩提寺にお伺いをたてます。今まで疎遠だった菩提寺とも今後あれやこれやと長いお付き合いが始まります。

 火葬にして故郷の菩提寺でご葬儀とご喪家が思っていても、菩提寺からご遺体を運んで故郷で葬儀をしてほしいと言う場合もあるようです。
 また、菩提寺が遠方で来れない場合でも、ネットワークで菩提寺よりの紹介ということもありますので、事はそれからとなります。

 直接伺えないのでそちらでどうぞということになり、始めて葬儀社もお坊さんの手配が始まります。
 この場合は通常、戒名無しの俗名になります。お布施代は通夜から繰上げ初七日法要までの2日間の読経代と思って頂いて良いようです。49日の納骨の時、戒名は菩提寺にてつけられます。
 

NPO法人による非営利第三者機関とは

 NPO法人は特定非営利活動法人とも言います。「非営利」は、その名が示すとおりNPO(Non Profit Organization)法人の本質をなすものです。市民活動などの社会貢献活動を行う主体として公益の増進に寄与することが目的です。

 さてその次の「第三者」とは、取引や契約の当事者でない主体のことを意味しています。葬儀依頼者と葬儀社がそれぞれ第一者か第二者のどちらかになります。

 非営利の第三者機関の必要性が出てくるのは以下のような事情によると思われます。これまで葬儀において、その特殊性から依頼者と葬儀社との間のコミュニケーションがスムーズに行われにくく、どうしても情報格差が生じてしまい、依頼者側からすると葬儀社選択が難しいだけではなく、不利になることが多々ありました。この問題の解決の一つの方法が、依頼者と葬儀社の間に第三者機関が入って、依頼者を適切にサポートするというやり方です。

 適切にサポートするために第三者機関は、依頼者に対しては、その意をよくくみとり、葬儀社に対してはその能力を把握する能力をもっていなければなりません。

 だからといって、葬儀社側の利益を代表する人が含まれている機関は第三者機関とは呼べません。 単独では集客できない葬儀社が集まって、何らかの機関を作って、第三者機関と謳っている場合がありますが、結局は集客のために利用するというだけなので、これは第三者ではありません。
 
 要するに、第三者機関は非営利として運営されるべきだと思うのです。

密葬

もともとの意味合いは本葬があり、その前にご家族・ご親族・ごく親しい方々だけで内々のご葬儀を執り行うことを密葬と呼んでいましたが、昨今は家族葬と同義語のようにも使われています。

例えば新聞等の著名人の死亡欄で度々「葬儀は近親者のみで行った。後日お別れの会を開く予定」という文面が見られますが、これらが従来から言われている密葬になります。

また、同じ少人数でも家族葬が家庭的なイメージに対し、密葬はひっそりと執り行いたいという願望が強くでているようにも思えます。

本来の密葬は後日に行われる社葬やお別れ会が会社・学校等の組織中心に行われるためにそれに先立ち内々で御家族・ご親族の手でもお見送りがしたいというお気持からきています。
それゆえに、会葬者も少人数ではありますが、家族葬よりも少し人数に巾があるようです。

その他は家族葬同様にどの方までをお呼びするかが重要ポイントとなり、後々失礼のないように気をつけることが大切になってきます。

 ●密葬
  ↑↑↑ 当センターのホームページにて密葬についての特徴・注意点等を説明をしています。

火葬のみでお願いしますの場合

 葬儀社の紹介を担当して間もない頃、恐る々電話を取った途端に「友人が自殺して、まもなく警察からもどってくるが、葬儀ができないので火葬のみにしたいのですが」と言われ、余りの事に電話口で暫し絶句してしまったことがありました。

 このところ、立て続けに火葬のみの依頼を受けて当時のことが思い起こされました。
 勿論、一口に火葬のみでお願いしますと言ってもそれぞれの事情は異なります。
 東京で火葬にして故郷に帰って葬儀をする場合、周りに余分なご迷惑をかけたくないからという本人の堅い意思のもとでの場合、経済的な理由での場合等etc.
霊安室や安置所での最後のお別れ、柩に花を入れてのお別れは盛大な葬儀でも皆同じ。
 別れ方は人それぞれ。心の持ち方ひとつでどんな葬儀にも負けはしない。
 
 当センターの賛同社は皆さん快く引き受けてくれますのでどうぞご安心を。

区営斎場は穴場の一つです

 当センターの問い合わせの中には葬儀社に支払う葬儀費用が葬儀に掛かる全費用と思っていらっしゃる方が時々見受けられます。
 実は、その他にざっと見積っても式場費、搬送代、霊柩車代、会葬者を火葬場に運ぶマイクロバス代、返礼品代、通夜のお清め及び初七日の法要後の精進落とし等の飲食代、火葬代、お布施代等が掛かります。その為、葬儀社に支払う金額の約2倍から3倍近くまで跳ね上がってしまいます。
 中でも式場費の占める割合は大きなものがあります。
 とりわけ都内23区の場合は火葬場併設の斎場も臨海斎場以外全て民営なので、他の民営斎場と同じくらい費用が掛かってしまいます。
 
 そんな中で区営の斎場がクローズアップされてきたようです。
 区営の斎場というと少し地味な印象を持ちがちですが、比較的新しい所もあり、綺麗な斎場も出てきています。
 規模としては家族葬から100名、200名前後の一般葬までおこなわれますが、何といっても費用の点が最大の魅力です。民営の半分以下、斎場によっては何分の一以下というところも見受けられます。
 但し、こちらを利用できるのは、故人や喪主が最寄りの区民であるという条件がつきますがその他に関しては比較的規定がゆるく、臨機応変に対処してくれるようです。安置所での面会も葬儀社立会いの下で他の葬儀の邪魔にならない範囲でできるようです。
 斎場の担当者がおっしゃるには、時々葬儀社経由ではなく、斎場の方へ直接申し込む方がいらっしゃるそうです。その場合も葬儀社を通さないと受け付けないと拒否するのではなく、階により出棺時間が決まっていることを伝え、それを了解して仮予約をしていただくそうです。
 又別な斎場では守衛さんがいるので夜遅く11時ごろまでの弔問も受け付けるとのことでした。
 立会いで伺った幾つかの区営斎場を思い起こしてみますと、担当者の皆さんの丁寧な対応ぶりが印象的でした。