火葬場併設斎場への交通アクセス

 火葬場併設の斎場は通夜から火葬、繰上げ初七日の法要まで1ヶ所で執り行うことができ、出棺後の車での移動もなく便利な為、利用頻度が高く、時として1週間待ちのこともあるくらいの人気ぶりです。
 これらの斎場は都内23区以外ほとんどの場合公営になります。
 但し、都内23区は臨海斎場(港区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区共同設備施設)以外の斎場は民営になり、費用の面でも一長一短があるようです。
 公営の場合の式場費は民営に比べ2分の1から3分の1位になりますが、都内の火葬場併設斎場は他の民営斎場と変わりません。それでも霊柩車代、火葬場往復のマイクロバス代等が掛かりませんので費用が抑えられます。
 
 交通アクセスに関しては都内23区の場合、板橋区にあります戸田橋斎場以外は、最寄りの駅より徒歩数分内にあり大変便利な半面、駐車場が狭く、斎場サイドでも公共交通機関の利用を呼び掛けているくらいです。
 一方、都下及び神奈川、千葉、埼玉の公営斎場は市の郊外にあり、自家用車以外で行く場合は最寄の駅からバスかタクシーを使うことになります。
 タクシーを使う場合はタクシーを捕まえ易い最寄り駅であることが大切です。うっかりすると空車待ちに思わぬ時間が掛かってしまいます。
 問題はバスの便です。1時間に1~2本というところが多く、中には1日数本しか出ていないので事前に発車時間の確認が必要になります。またバスを降りてから更に歩く場合があり、周りに人家がなく、特に通夜に伺う時間帯は真っ暗闇の状態になることがありますのでお勧めできません。
 以前通夜の立会いに伺った時、まだ明るい内に最寄りのバス停に降り立ったのですが、当日は友引のため辺りに人影もなく、山の中に放り出された格好になり、慌てて近くのガソリンスタンドまで引き返し、タクシーを呼び出す破目になったことがありました。
 通夜も告別式も待ってはくれません。くれぐれも時間に遅れませぬように!
 
 
  
 

花祭壇は式場の祭壇間口に左右される

 式場の中には大きさに比べ、間口が広くとられているところもあります。
 葬儀社から渡された祭壇のサンプル写真だけを見て祭壇を決めると、両脇が開いたちょっと間の抜けた祭壇になってしまう可能性がありますので、注意が必要です。事実、間口の広さによってかなり左右されてしまうようです。
 最近立ち会った葬儀の斎場の中にも祭壇スペースが横長にとられているものが目につきました。
 一つはご喪家の意向で式を急がれ、駅の近くなら何処でもということで押さえた斎場は社葬まで出来る大型式場。お花もサンプルの中から選びましたが、少々こじんまりしたものになってしまいました。
 葬儀社の担当者はしきりに他の会場では大きく見映えがする作品なんですがと強調されていました。
 依頼者の方ももう少し高いのでもよかったかしらとおっしゃっていたようです。
 
 一つはご遺体を4日後にご自宅から搬送され、ゆっくりと打合せが出来、式場の横長サイズに合わせ見映えの良い祭壇になりました。
 こちらも最初の見積りの段階では家族葬用のこじんまりした祭壇でしたが、依頼者が写真を見て、もう1ランク上の祭壇を希望され、それでも両横が少しさびしい感じがしたので、葬儀社の担当者は供花が10基以上出ると祭壇に組み込み式のやり方もあることをアドバイスしたそうです。
 最終的には19本の供花が出され、祭壇に組み込まれ、華麗なイメージを出すことが出来ました。ご希望のブルーを基調の洋花の中で、菊を使いラインを強調しより横長なイメージを出したようです。

お清めは読経後にお願いします

 以前、神奈川県大和市にあります大和斎場に立会いで伺った時、式場入口脇の看板に書かれた「厳粛な儀式を行うため、会葬者の通夜のお清めは読経終了後とさせていただいております」の文字を見て思わず頷いたものでした。
 仏式の通夜の場合、一般会葬者はご焼香が終ると、式場から退場し、お清め所に誘導され通夜ぶるまいを受けます。
 先ほどまで沢山の会葬者に見守られていた式場も御家族・親族だけになり、一気にガランとした雰囲気になるのは否めないようです。
 ご焼香が済んだのだからと言えばそれまでですが、脇で立会っている者から見るとせめて通夜式が終るまで集まった方々と故人が共有の時間を過ごせないものかと思っていた折でした。
 式場担当者に伺うと、こちらの思惑とは多少ニュアンスが違って、式場とお清め所が隣接しているため、ご家族が悲しんでいる時、隣で騒いでいるのは如何なものかということから通夜ぶるまいは読経後となったようです。
 理由はともあれ結果、大多数の参列者が式場に残り、通夜の読経が終るまで一緒に故人を偲ぶことができ、好評とのことです。
 一方の無宗教葬やキリスト教葬の通夜では、式の最初から最後まで会葬者全員が共通の空間で悲しみを共有することができ、その点では参列した人の感銘度も高いように伺っています。
 
 

ご喪家をお守りすることが第一です

 ご喪家から身内だけの家族葬で見送りたいとのご要望が増えています。
 この場合、故人の会社関係、知人関係には後でお知らせするということで内密にしていたのが何処からか漏れてしまい、当日葬儀社の方に問い合わせが殺到するはめになることも多いと伺いました。
 葬儀社の担当者もご喪家に実情を説明しますが、ご喪家側もそれぞれの事情があって初めの家族葬の見積り予算以上は無理という方もいらっしゃいます。
 特に通夜が始まってお清めの料理等の追加ができない場合もあります。
 そういう時に担当者は先ず葬儀社の使命としてご喪家を守ってあげることを第一に考え、「ご喪家に恥を掻かせない」これが鉄則だそうです。
 訃報を聞いた、故人と縁のある方々が取る物も取りあえず駆けつけて来てくれました。ある程度は覚悟していたとはいえ予想以上の会葬者数になってしまいました。
 こんな時もベテラン担当者は慌てず騒がず、まず会葬者をお清め所に行かせない作戦を取ります。
 ご焼香が済んだ後、一般会葬者はお清め所でお清めの食事をします。この時間を遅らせて、なるべく式場にとどまって頂くようにします。
 例えば無宗教などで、ご焼香の後、柩の蓋をあけて告別式に来られない方々にお別れの献花をして貰います。
 人数が多いのでこれだけでもかなりの時間が掛かります。
 結果、ご喪家側としては、お食事時間が少なく済み、予算内で収まり、会葬者は故人と最後のお別れがゆっくりできることになります。
 
 
 

ベテラン女性担当者はご喪家のスーパーお母さんの様

 葬儀社の担当者も近年は女性の進出が目につくようです。細やかな気配りなどは意外に女性に向いているかもしれません。
 当センターの賛同社の中にもこれが天職みたいな担当者がいます。
 例えて言うと他の葬儀社を赤ちゃん誕生の時の産婦人科病院とすると昔から地域にいるベテランのお産婆さんのような存在の方です。

 自宅併設の葬儀社内に安置所が設けられていて、お客様は線香をあげに来たついでにお隣の居間でおしゃべりをしながら食べて行かれ、自分の家と同じで安心しましたとホッとされる方が多いと聞きました。
 つまり、自宅に葬儀社のプロが四六時中ついてくれるようなもので、ご喪家にとっては力強いものがあるようです。
 葬儀社仕事で大事なことは、その場の判断能力が大切で、どういうところに目を付けてやるのかにつきます。
 個人経営みたいなものですから1から10までやりますよ。ご喪家の顔を見ながらやってきましたので接していると分かりますとはベテランらしい言葉です。
 立会いに伺った時何気なく見ていると、ご喪家のみならずご親戚の方々も皆お母さんに頼っている感じです。
 おばさん感覚で聞きやすいと言われますが、迷っている時にはこうしたらいいですよと判断できる歳になったんですよと笑っていました。
 以前こんなこともありました。
 葬儀中に緊急電話が入りました。読経中のご住職の奥様が危篤状態だとのこと。ご住職は火葬場までお付き合いするつもりのようです。
 「初七日の法要も終ったのだからご住職にお帰り願ったらどうですか。生きていらっしゃるうちにお会いした方がよろしいのではとご住職に申し上げたらどうでしょうか」
 喪主の方も納得なさったようです。
 

1日だけの家族葬

 通夜に宗教者や会葬者を呼ばずに御家族だけで故人を偲ぶ。
 あるいは葬儀・告別式の1日だけの式にするという形態が増えつつあります。
 特に菩提寺を持たないで家族葬をご希望の方の中に多いようです。
 お身内だけで静かに見送りたい点、また費用の点でも抑えることができます。
 読経代も1日だけですし、通夜のお料理等は要らず、式場費も公営の斎場ですと時間貸しのところや通夜と告別式を分けているところもあり、民営の貸斎場の中にも費用の全体の3分の2位になるところもあります。

 昨年立ち会った葬儀の中にも幾つか見られました。
 岩子会館(東京都町田市)での式の場合は通夜は御家族3名がご遺体のそばで過され、翌日の葬儀告別式をご親族だけで執り行いました。
 
 また、中道寺会堂(東京都杉並区)での式の場合は告別式当日朝9時にご自宅で納棺され、そのまま自宅から式場に搬送されました。
 前夜ご自宅で家族だけの通夜を行ったそうです。
 12時からの葬儀・告別式の後、繰上げ初七日が行なわれ、13時出棺となり、出棺後は斎場に戻らず、近くのホテルでのお食事会となりました。
 この方の場合はご遺族の仕事の関係で時間が取れず1日だけの式になったようです。
 読経代や通夜の食事代の浮いた分で火葬料を特別室にしたり、ホテルでのお食事会代にあてたそうです。
 
 新井白石記念ホール(東京都中野区)での無宗教葬でお別れ会の場合はパーティ形式で全てご喪家が取り仕切り、葬儀社の担当者は黒子に徹してご喪家を支えました。式場にご喪家手作りの料理を持ち込みましたので階下のお清め室も利用せず、式場と親族控室のみの使用となりました。
 岩子会館、中道寺会堂の場合は式場の使用料は1日でも2日でも変わりませんが、新井白石記念ホールの場合は半額になりました。

ご夫婦で事前相談

 年が明けてまもなく、「自分達夫婦のお葬式のことで」というご相談を電話で頂きました。
 今は2人とも健康ですが、高齢ですので、子供達のためにも準備をしておきたいとのことでした。
 以前、お母様を見送った時、駅から斎場までが遠くてお断りした経緯があるので、交通の便利な小田急線沿線の駅近くの式場がご希望とのこと。
 20年前に霊園墓地を購入済みなので本当は無宗教でも良い位。お墓もありがとうの文字で本名でやりたい位なんですとおっしゃっていました。
 他のことは質素に、ただ葬儀に来ていただいた方には、お料理だけは十分堪能してもらいたい。お返しも会葬者は身内だけですので、礼状とお清めのお塩で十分ですとのご要望でした。

 早速、家族葬を得意とする地元の賛同社に連絡して、見積りをお願いしてみました。
 ところがこの地域にはあいにく駅近くに民営の小規模貸斎場が見当りません。その旨で依頼者とのやり取りの後、結局火葬場併設の大和斎場での見積りをお出ししました。
 大和斎場は小田急線南林間駅からタクシーで10分余り。以前立会いで伺った時は1000円前後でした。
 依頼者の奥様から、早速ご主人の車で斎場を見に行きますとの連絡が入りました。
 その後、葬儀社の担当者と連絡をとり、先日大和斎場の下見に行かれたそうです。
 式場を見学され、見積りでは小ホールでしたが、「実際の時は2万円の差だから空いている式場何処でもいいわね」ということになったようです。
 式場が綺麗なのが気に入られ、骨壷も好みの青磁のものに変更され、大食漢のお孫さんのためにお食事をワンセット追加されました。
 ご自分達の目で確かめ、より具体的なことを一つ一つ決められ、これで安心しましたとお2人共とても晴れ晴れとした表情でしたと担当者は話していました。
 「こんなことがお話しになれるのも、お元気な証拠ですね」と思わず担当者が問いかけると「何しろ前に亡くなった母は100歳まで生きましたから」とお2人の笑顔が返ってきましたとの由。
 
 

葬儀の準備と段取り

 葬儀を前に、以後にやらなければならいと思う葬儀の段取りや手配のことを考えただけで不安になるかもしれません。

 しかしながら、現状の葬儀においては、葬儀社の担当者が斎場選びからご喪家がしなければならないことまで適切にアドバイスしてくれますので、葬儀の流れや葬儀の段取りについて把握したり心配する必要はありません。

 裏をかえせば、ご相談者にとって「よい葬儀」にすることができるかどうかは葬儀社選びにかかっているといっても過言ではありません。

 問題はどうすれば、よい葬儀社選びができるかです。

 「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という孫子の言葉があります。適切な葬儀社を選び、よい葬儀にためにもこの考え方が参考になると思っています。

 彼 ⇒ それぞれの葬儀社の特徴
 己 ⇒ どのような葬儀にするのか、したいのか

 おおかたの葬儀社(彼)は、「家族葬から社葬まで何でも施行できます」や「どのような宗教宗派にも対応できます」、「一都三県ならどこででも施行できます」、「低価格でサービスの質は最高」「具体的な葬儀の準備より前の段階での抽象的な事前相談でも快く相談に応じます」などとPRしますが、価格・場所・サービスに照らし合わせて、やはり一長一短があります。

 たとえば、「駅前に立派な斎場を持っているが、価格は安くない、スタッフの対応は機械的」などです。

 一方、どのような葬儀(己)とは、たとえば、「会葬者が300人ぐらい予想されるので、交通の便がよくて、駐車場があり、設備がととのっている斎場で、地域の習俗もきっちり踏まえた仏式」などです。

 それぞれの葬儀社の特徴・得意分野をよく見極め把握し(彼を知り)、どのような葬儀にしたいのかを整理できれば(己を知れば)、よい葬儀になります(百戦殆うからず)。

 ●葬儀の準備
  ↑↑↑ 当センターのホームページにおいて、葬儀社の特徴(彼)と、どのような葬儀(己)の具体的な実例について取り上げています。
 ●葬儀の流れと段取り では、一般的な葬儀の流れと段取りについて説明しています。
 

 

 
 

葬儀のプロから伺ったこと・その3

 葬儀社の人手は多ければ多いほうが良いと思われてしまいがちですが、そうとばかりは言い切れないようです。
 ある担当者はむしろご遺族の方にも手伝って頂きますとまで断言します。「もうお会いできるのは最後だから、触ることができるのは最後ですから。病院のベットからご遺体を下げ、車に乗せるなど此処で手伝わなかったら永遠に触ることはありません。世話をかけさせた方が後々記憶に残るのではないでしょうか。我々担当者はそれをサポートする位でよいと思います」との由。ベテランらしい気遣いも見せます。
 又、少人数の葬儀にスタッフばかりが目につくのも目障りになるので、その規模に合った人員で、適材適所必要なポジションにいれば良いとのことです。

 担当者が異口同音にいうことは1回しかできないので後々後悔することのない式をお手伝いしたい。その為には葬儀の日を日程最優先でない限り、少し空けるようにします。中、1~2日はあえて置く。但し5~6日までに終るようにします。病院からのご遺体の搬送が終った後、ご遺族も疲れきっていますのでその日はまずお休み頂き、翌日少し落着きを取り戻し、冷静な判断ができるようになった段階で打合せに入りますとのことです。慌てないことが第1です。

葬儀のプロから伺ったこと・その2

 葬儀社の担当者からみると全てプロに任せるのもさじ加減が必要なようです。
 無宗教葬の司会などはプロに頼まず、担当者自身が時間の配分を見ながら臨機応変にやってしまうことが多いという。金銭的な問題だけではなく、例えばプロの司会者に頼むと、良く調べているので全て話してしまい、肝心なところを先に言ってしまって、他の会葬者の話そうと思うことまで先取りしてしまうことが多々見受けられるようです。「司会者は会葬者が喋った後をフォローして皆の前で持ち上てやる方が良いのでは。我々は葬儀屋ですから納棺から全て細かい話を聞いていますので言わないようにします。葬儀屋が喋ってしまっては誰の葬儀かということになってしまいますので」とはベテラン担当者の一言でした。