葬儀費用は、同じ会社が施行したとしても、条件により変化します。

 葬儀費用は、地域やどこの斎場を利用するか、会葬者数、祭壇のグレードをどれくらいにするかなどによっていかようにも変化します。葬儀社によって見積書・請求書の書き方はバラバラですが、次のように整理して考えるとわかりやすいです。

 葬儀費用は、仏式の場合、大別すると、1・葬儀一式(葬儀に関わる基本のもの)、2・飲食、3・お布施、4・香典返し、になります。

1、葬儀一式(葬儀に関わる基本のものです)
・葬儀関係  祭壇、棺、飾りつけ、遺影、ドライアイス、焼香用具、白木位牌、受付設備、看板、枕・後飾り、骨壷、喪主花、遺体保管料、会葬礼状、役所手続き代行など
・火葬場関係  火葬料、待合室費
・車両関係 寝台車、霊柩車、マイクロバス、ハイヤー
斎場関係 式場使用料
・返礼品関係 会葬御礼品、(後日、香典返しをしないで、式当日、香典返しをする場合もあります。その場合、4の「香典返し」は必要ありません)
・そのほか 心づけなど

2、飲食
通夜ぶるまいと、精進落し、飲物などです。

3、お布施
読経料や戒名料です。

4、香典返し

「変わるお葬式、消えるお墓」という本を読んで

 最近発行された「変わるお葬式、消えるお墓」(小谷みどり・著)を読みました。著者は、テレビなどでお葬式がテーマのときにコメンテーターとしてよく出ているので知っている方もいるかもしれません。

 同書の中で、長寿化の影響により、故人や遺族が望もうと望まざると自然な流れで密葬になる傾向もある、と指摘しています。

 大きな理由としては、親が亡くなったときにはすでに子供も高齢化し定年になっている場合もあり、仕事関係など義理でやってくる参列者はほとんどいない、ということを挙げています。

 お葬式やお墓について、現状や問題点、これからのことを知る上で非常に勉強になる本です。

斎場と火葬場の関係について

 斎場とは、通夜や葬儀・告別式を行う場所のことです。火葬場は字のごとく火葬をする場所です。

 これも一致する場合と一致しない場合があります。一致する場合とは、多くの公営の施設の場合がそうで、斎場と火葬場が併設されているところです。つまり、同一施設の中で式と火葬もできるということです。

 それゆえ、斎場と火葬場との間の移動の必要がなく便利な面があります。公営の火葬場・斎場施設は一行政区に一つ(まれに複数)ある場合と、複数行政区で連携して一つ持っている場合があります。

 ただ、東京は少し事情が違います。東京23区内と周辺においては都営の瑞江火葬場は斎場が併設されていませんし、臨海斎場は併設ですが5区共同運営です(港区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区)。これらを除く23区内と周辺の火葬場は民営になります。これら民営火葬場には斎場も併設されています。(町屋斎場、落合斎場、代々幡斎場、桐ケ谷斎場、四ツ木斎場、堀ノ内斎場、戸田葬祭場、日華多摩斎場、谷塚葬祭場)

千葉県野田市の関宿斎場での葬儀に立ち会いました。

 千葉県野田市北部の関宿斎場のある田園地帯のこの辺りも新しい住宅が建てられ、家族葬が多くなり、周りの方にあまり知られたくない場合が出てきたようです。ご遺体は今回病院からご自宅に搬送されましたが、関宿斎場は棺の安置ができないので葬儀社の方でお預かりするケースが増えています。

 会葬者30余人の葬儀告別式に伺いました。ご喪家からは地方のご親族のために、土日を希望されたので、葬儀までに少し日数がありました。はじめ内々だけでやりたいとのことでしたが、葬儀社の担当者は内々で家族葬でやる場合でも、なるべく町内の方々にその旨をご連絡して下さいと申し上げていますとのこと。地域性もありますが、喪主の方の会社関係だけでなく、今回も町内会の方が2人ばかり手伝いにいらしたようです。

 親族のご焼香は着席のままなので、担当者は一人一人に配慮しながら焼香台をまわします。葬儀社の担当者は小規模でやっているので、以前施行した顔見知りの方に頼まれるとつい無料サービスしてしまってと言いながらも、色々と気配りしているようでした。

 お別れ花の後、ご遺族を代表してのご実家のお兄様の挨拶は、60代の若さで亡くなった弟への無念さが出席者の涙を誘っていました。棺は台車で隣棟の火葬場へと移ります。

 こちらの火葬場の場合、釜が古いので電気ではなく、自然に冷ますため、他の火葬場より少し時間がかかるとのことです。集骨のアナウンスから大分時間が経ちましたが、雲ひとつ無い青空と木立に囲まれた前庭では、ご親族同士の語らいが続いています。辺りはゆったりした時間が流れていました。

 都会と違いまだ地域性も残っていて、地域によっては前火葬も多く、火葬をしてから告別式をやり、土葬にする場合もあるようです。火葬を9時から、告別式を12時からやるような場合、時間が空くのでこの間に精進落しに代わる本膳「食事会」を済ませることもあるとのことです。

※関宿斎場の斎場案内は、関宿斎場のページになります。

イベントとしての葬儀について

 「葬儀」のカテゴリーで前回取り上げたアンケートの回答のほとんどは、葬儀のイベント化に対する批判とも言えます。葬儀をすべて葬儀社に任せた結果がイベントになってしまうと言い換えてもいいでしょう。そして、葬儀が日常生活とはかけ離れた斎場で行われることが多くなることにより、非日常としてのイベント化をよりいっそう推進しています。

 依頼する側としても、日常の延長線上にないイベントのため、そういうものだと無批判に思い込んでしまったり、一般的な相場感覚を持ちにくいことや、冷静な判断を行いにくい精神状態のもとで契約しなければならないという状況があるとともに、世間並みに恥ずかしくないものにしたいという見栄がからんでくる場合さえあります。こうして葬儀社主導のイベントが強力に形作られていきます。

 ただ、ここでいくら それを強調しても意味はありません。では、どうすればいいのかということです。自分にひきつけてとらえれば、こう言い換えてもいいでしょう。よっぽど気をつけていないと、イベント化の流れに知らず知らずうちにのってしまうということです。つまり、このことを意識しているだけでも、たとえば見積書をみる眼も、葬儀社の担当者の話を聞く姿勢も大分違ってきます。

 ただし、あわてて付け加えて言わなければならないことは、イベントは悪い意味ばかりではないということです。アンケートにおいて「形式的」とか「不必要」と批判されていることでも、それは現代人の合理的とする見方からのことであって、歴史を経て伝わってきていることには、それ相応の意味があると考えたほうがよいということです。同じことをやっても形式的と捉えるかどうかは意味を理解しているかどうかの違いも大きいのです。とすれば、こうした、意味とか価値とかの話をしてくれる葬儀担当者の話は聞くに値すると思います。

逗子市にある延命寺遍照閣会館での葬儀に立ち会いました。

 故人が50代の女性の葬儀告別式に立ち会いました。通夜の会葬者はご主人の会社関係を中心に250名程になりましたが、告別式は親族、故人の友人等40人程が集まりました。

 菩提寺のご住職の関係で1日しか間が空けられなく、すぐ通夜になり、告別式も午後1時と指定され少しあわただしいものになりました。喪主のご主人も会社の経営者のため時間が十分取れないという事情もありました。葬儀社の担当者は「葬儀費用が決められ、金額を優先していったので心配しましたが知り合いの延命寺が借りられて良かったです。常に 金額以上のものを心がけています」と語っていました。

 ご主人は奥様の好きなブルーの色合いを中心にした花祭壇を大変喜ばれたようです。葬儀告別式の後そのまま続けて初七日の法要が行なわれました。葬儀の途中、火葬場の南部斎場より葬儀社サイドに火葬時間が知らされ、時間が少し引き延ばされましたが、そのため最後のお別れ花の時間はたっぷりとることができました。ご家族、ご親族の皆さんがそれぞれ柩の故人としばしの間ご対面し、思い出のアルバムなどを納めた後、お一人づつゆっくりとお花を手向けていました。柩の蓋を閉めたあともご主人と一人息子さんが身じろぎもせずじっと見入っている姿は胸が締めつけられるようでした。

 一般の会葬者の方はロビーでしばらくの間お待たせすることになりましたが、あくまでご家族、ご親族が中心なのであえてこのようにしたようです。南部斎場までは高速に乗ると5分ほどで着いてしまうので、ご喪家の了解の元、火葬場で順番を待つよりもこちらでのお別れ時間を十分取ることにしました。車でいらしたご親族もマイクロバスで南部斎場を往復、火葬を待つ間に休憩室でお食事会をして、こちらで解散ということになります。

※延命寺遍照閣会館の斎場案内は、延命寺遍照閣会館のページになります。

合同葬により施行された社葬の具体的な相談からの流れ

 ある会社の専務さんから社葬について事前相談の電話がありました。「社長である父親が先が長くないようなので、葬儀の準備をしたい。社葬をするにはどうすればいいのか」というものです。社葬の流れについての概略を説明した後、実際に葬儀を仕切ることになる、葬儀社選びについて話は進みました。

 その結果、次のような流れで葬儀社を決めていくことになりました。1、社葬を前提にして、センターが社葬実績で満足度の高い葬儀社3社から、あくまで概算として見積りを取る。2、センターがその見積書を説明する。3、専務は見積書の見方を理解し、センターのアドバイスを参考にして要望をさらに整理する。4、要望がまとまったら3社と面談し、その要望を伝え詳細な見積りを作成してもらう。5、3社に詳細な見積書について説明してもらう。6、それらのことを踏まえて依頼する葬儀社を決定する。

 斎場については、葬儀社3社との面談において詳細な説明を聞いた中で、もっとも安心ができそうだと感じた葬儀社に、事前に寛永寺や築地本願寺第二伝道会館などを案内してもらい、 最終的には築地本願寺第二伝道会館が斎場に決まりました。と同時に、葬儀社もそこに決めました。

 葬儀の後、専務さんから「初めての経験でしたが、葬儀社の担当者の方にはいろいろ教えていただきました。社葬を全般的に滞りなく進めることができて本当に良かったです」と感謝のお手紙を頂きました。

 社葬の基礎知識はこちら

社葬

 社葬は会社主導で執り行われるご葬儀であるところが通常のご葬儀との大きな違いになります。

 会社に貢献された方(創業者、会長、社長以下役員の方等)、又は公務中の事故等で社内に複数の犠牲者が出た場合のご葬儀をご喪家の意向をふまえて会社が執り行います。
 この場合の費用は会社負担(故人の業績等により割合は異なる)になりますので、早急に取締役会議で決定し、葬儀委員長のもと色々な取り決めをして、議事録に残すことが必要になります。

 ご葬儀は通常ご逝去された後、ごく内輪の方々のみの密葬で執り行われ、その後、約1ヵ月後位をめどに、故人の業績をたたえる社葬が営まれます。

 社葬のもう1つの方法として、ご逝去後日にちを置かず一般葬と同じようなお見送り方でご喪家と折半の形をとり、合同葬として執り行われることもあります。
 合同葬はどちらを主にするか否かで趣がガラリと変わってきますので、ご喪家と会社のバランスを取ることが非常に重要になり、ご葬儀全体を左右しかねないほどで、葬儀社の担当者の采配振りが大きく問われます。

 社葬はご葬儀の規模も大きくなり、会葬者も多くなりますので、葬儀社も社葬のノウハウを持ち、実績のある社を選ぶことが重要になってきます。

 いずれにしても社葬の意味合いは故人の業績を称えた上で会社の引き継ぎを行い、対外的には会社の今後をお見えになった方々にアピールする重要な役割があります。

 ●社葬
  ↑↑↑ 当センターのホームページでは社葬についての心得や費用分担・経費処理、傾向等を詳しく解説しております。
また、費用例については社葬から社葬費用例1・築地本願寺と社葬費用例2護国寺をごらんください。
具体的斎場例についても社葬から護国寺桂昌殿 築地本願寺第二伝道会館、寛永寺輪王殿をごらんください。

家族葬で行われた葬儀の具体的な相談からの流れ

 「今、病院で母が息を引き取りました。前にインターネットで調べてそちらを知ったので、電話をしていますが、葬儀社を紹介してくれますか」と連絡がセンターに入りました。

  松戸市在住のお母様がお亡くなりになり、転勤で広島在住のご長男からのご相談です。
 「病院から何時ごろ、お引取りにいらっしゃいますかと言われている」と慌てていましたので、まず、あわてる必要はないので落ち着くことが大事だとお伝えし、その場でご要望を整理していきました。
 その結果、1、会葬者は近親者だけで多くて20名位にし内々だけの家族葬でやりたい。2、二年前父が亡くなった時、大手葬儀社に頼み、かなり費用が掛かったので、できるだけ費用がかからないようにしたい。3、松戸の近辺の斎場。4、自宅には安置ができないので葬儀社で安置ができるところ。5、仕事の都合上、できるだけ葬儀を急ぎたい。というようになりました。

 ご要望に合う葬儀社を、すぐ紹介し、直接、お話をしてもらい、その社に依頼することになりました。すぐに病院へお迎えにあがり、自社の安置所に搬送しました。斎場は、しの田会館で翌日には通夜、翌々日には松戸市斎場において火葬の運びとなりました。

 センターの価値がより発揮されるのは、こうした緊急の場合だと思っています。こうした場合、当センターの担当者が、どんなに当事者の方に慌てないで下さい、といっても、冷静になってもらうのはとても難しいものです。これが、病院という特殊な状況の中で頼る人がいないような場合には、なおさら、どうすればいいのかということで慌ててしまうでしょう。

 慌てて冷静でない中、そして不安な状況の中、葬儀社選びを状況の流れの中で運任せにして最悪の事態になったということもよく見聞きするところです。成り行き任せで後悔するよりも、センターはそういう状況の中でも適切な葬儀社を紹介するための仕組みをつくっていますので、費用面も含めてはるかに良い葬儀に結びつきます。

堀ノ内斎場での、余分なものに費用をかけず、花祭壇に費用をかけた葬儀

 堀ノ内斎場でのお身内30名程の家族葬に立ち会いました。依頼者は若い方ではっきりした意見を持っていらしたようです。「棺や火葬のお釜は気にしない。霊柩車も火葬場まで数十メートルの距離なので台車でよい。その代わり、生前aお花が大好きだったお母様らしく花祭壇の花はできるだけのことをしたい」というご要望でした。
 淡いピンク・ブルー・イエロー・ホワイトと華やかなお花とライトに囲まれた遺影のお母様の笑顔がより幸せそうに感じられました。

 会葬者が少ない場合、葬儀社の担当者は式場が寂しくならないようにセッティングに注意します。例えば、あらかじめ出席者数が分かっている場合などは、イスを人数+アルファ位にしておき、空席が目立たないように気を配ります。その分イスの間隔を少しずつあけることで、ゆったりした感じになります。

 また、式の時間的な帳尻を合わせるように常に気を使うようです。少人数の場合は、お焼香のタイミングを計り、お焼香の台数を少なくします。今回はお一人ずつ、ゆっくりお焼香するようにしました。お一人ずつのため、気持が集中し、丁寧により心のこもったお別れができたようです。

 一人息子さんのお母様への思いがより鮮明に出た式になりました。葬儀社の担当者は「特に身内だけの葬儀は喪主をたてて、見えない部分により細やかな気配りが大切です」と振り返っていました。

※堀ノ内斎場の斎場案内は、堀ノ内斎場のページになります。