事前のご相談は人それぞれです。

 葬儀の事前相談で、「入院中の身内の者が心配な状況なのですが、まだ亡くなっていないのに葬儀の相談をしてもいいのでしょうか」という事前の相談をお受けすることがあります。
 その際には、事前相談をした場合のメリットをお伝えしたうえで、ご相談者の方の考え方やお気持ちにしたがって対応させていただいています。

 先日、ご入院中のお身内の方が心配な状況なので葬儀について調べたい気持ちはあるけれど、親戚などの手前、まだ亡くなっていない状況から用意周到に準備を整え、万一の時を迎えたときにあまりにも段取り良く進めてしまうことには抵抗があるというご相談を受けました。
 通常であれば、事前相談ではできれば葬儀社の担当者と直接会ってお話しをお聞きになることをお勧めするのですが、このご相談の場合には、ご相談者だけがご理解していればいい状況だったので、概算見積りをとっておおよその費用と流れをご理解されたうえで、あえて担当者とは会わず、携帯にその社の電話番号を登録しておき、万一の際に連絡する所だけを決めておくということになりました。
 後日、そのご相談者より「不安だらけでしたが、万一の際に連絡する所を決めておくだけでも安心しました」との連絡をいただき、私の方も安心いたしました。

 一方、万一の際に慌ててしまいそうだからと、ご紹介した社の担当者と面談し、お料理や返礼品の種類や祭壇の雰囲気まで詳細にお決めになり、万一の際にはその社へ連絡すれば事前に決めていた通りに進むことが安心と思われる方もいらっしゃいます。

 安心を得る材料は人それぞれですが、少なくとも事前に情報を得ることは安心につながる材料の一つだと思います。

故人様との思い出は・・・。

 季節により、斎場は混み合い、式場の予約もスムースにいかない場合が多々あります。

 2月の寒い季節はなおさらです。

 先日も市営のかわさき北部斎苑斎場をご希望のご相談者に、混み合う場合を考慮して、自社斎場を所有している葬儀社さんをご紹介いたしましたが、双方とも混みあって一番早くご予約ができたのは、同じ市営のかわさき南部斎苑での大式場になってしまいました。
 お身内だけのご葬儀に、イス100席もある式場は何としても広すぎます。

 担当者は普段どちらかと言えば式場片隅に配置される思い出コーナーを、式場後半全部を使って作ることを提案し、ご家族やご兄弟から故人様との思い出の写真や、故人様が大事にされていらっしゃった品々を持ち寄っていただきました。

 式場半分近くまで展示された、懐かしい写真や遺品の数々を手に取り、お身内の皆さんで、暫しの間故人様との思い出を語り合うことができ、広い会場も和やかな空気に包まれ、大変喜ばれたとのご報告をいただきました。

 思い出コーナーは葬儀社さんのサービスの一環としてご喪家に提案され、飾り付けや制作は全て葬儀社さんにお任せする場合が多いようですが、以前立会いでお伺いしたご葬儀では、ご喪家総出でお手伝いをして、大変感慨深いお式になったとご報告いただいたことがありました。

 お父様のご葬儀でセンターに相談をいただいた喪主様は、葬儀社さんから思い出コーナーの提案を出されたが、当初あまり乗り気ではなかったようです。

 葬儀社の担当者の方はご喪家にできるだけ参加してもらい、より多くの思い出を作ってもらうことを意とし、見る側も手際よく作った業者サイドのものよりも、ご喪家の想いが出ている作品に、より愛情を感じていただけるのではと期待をされていました。

 通夜当日の午後から、ご喪家総出で写真選びからレイアウトをして、切ったり張ったりと共同作業をしていくうちに、皆の気持がひとつになっていくのが感じられ、より一層の思い出作りになりましたと、後日興奮気味にお話されたのは当の喪主様でした。

 数年後、お母様のご葬儀の折も、皆様の共同作業があったのは言うまでもありません。

親とのコミュニケーション

 先日、テレビで「親子で考える終活」(正式なタイトルは忘れてしまいましたが)のような番組を見ました。
 このような番組やコーナーを見る機会はよくあるのですが、以前よく見ていたのは、どちらかというと送られる側の人が、遺された人のためにとか、ご自身の最期のときのためにというものが多かったような気がします。
 
 興味を引いたのが、「親子で考える」という部分でした。
 終活というと、葬儀や墓地のことや相続のことなど、色々とあります。相続については専門家ではありませんので、これから勉強しなくてはならないことですが、葬儀についてのこのテーマはとても興味がありました。

 親の世代と子の世代では考え方が違うということと、親の想いと子の想いも違うことです。
環境にもよるかとは思いますが、親が希望する葬儀がかならずしも子が親を送るときにやりたい葬儀と同じではないかもしれないということです。
 もし、自分自身の葬儀について要望がある場合には、子にきちんと伝える必要があると思いました。

 以前、息子さんより、「まだ元気なのですが、両親が『自分の葬儀のときには…』と、強い希要望があるので、そのような葬儀ができる葬儀社を紹介してほしい」との事前相談をお受けしました。
 葬儀社をご紹介し、親子でその社へ面談しご納得されたとの報告をいただき、とてもコミュニケーションがとれているご家族だなと思いました。

 終活については、流行のような言葉自体に賛否両論があるようですが、親子ではなかなか話しづらい葬儀の事について、少し壁が低くなったような気がします。

 我が家の両親は、「直葬でいいよ」と言っていますが、「直葬がいい」というわけではないかもしれないと思っています。
 「が」と「で」の違いを、もう少し時間をかけて探っていこうと思っています。

一人になるのが心配で・・・。

 インフルエンザが流行っています。私の実家でも、先週妹がインフルエンザかかってしまい、同居している高齢の両親に移らないか心配していたのですが、妹の症状が落ち着いた頃、やはり母がインフルエンザにかかってしまいました。

 普段、食事は全て母任せの実家では、父や妹は元気なので好きなものを買って食べれば良いですが、具合の悪い母自身の食事が心配で、2〜3日分をまとめて作って持って行きました。
 幸い、予防注射をしていたとのことで、症状は軽めのようですが、離れて暮らしているので、父と妹が仕事に行って、母が一人になる時間が心配です。
 私の場合は、実家が近いのでまだよいのですが、遠く離れて暮らしている場合にはその心配はもっと大きいのではないでしょうか。

 元気に一人で暮らしていた義父が家で亡くなっていたという経験をしているので、必要以上に過敏になっているのかもしれませんが、このような心配は、しすぎるくらいでいいのでは?と思っています。

 インフルエンザの流行はまだもうしばらく続きますので、皆さまもどうかお気を付け下さい。

享年106歳

 「お骨上げの時に係りの方から、ご高齢の方でこんなにしっかりしたお骨は初めてだ、とまでおっしゃっていただきました。お骨も沢山あり、母は本当に丈夫だったようです」。
 ご葬儀の翌日、早速にご相談者からお電話にてご報告をいただきました。

 前回のブログで7年前に見積りをお取りした方のことに触れましたが、実は新たにお見積りをお取りになられ、葬儀社の担当者と詳しいお話し合いをされた日の夕方、ご紹介した当方にご逝去の報が届きました。

 享年106歳とのこと。

 ご家族が見守る中、静かに炎が燃え尽きるように逝かれたお母様ですが、ご相談者は最後まで御自宅でお世話することを選択され、覚悟はされていらっしゃったとは言え、特にお亡くなりになられた5日ほど前からのお気持の整理が大変だったと伺いました。

 年齢に関係なく、いつか必ず訪れるお別れに、正面から向き合うお気持の揺れはいかばかりか。
 多くはお話されませんでしたが、お声から自分なりに学ばせていただきました。
 他人が大往生と言う言葉は使えませんが、勝手にお身内の気持になって、あれこれと推し量っております。

 天寿を全うされたお母様は最後まで気配りをされ、大雪の大変な時期をずらして、ご葬儀当日は快晴であたたかな日差しのもと旅立たれ、ご参列の皆様も大変お喜びになられたとのこと。

 ご連絡をいただき、ご長寿のお母様に少しでもあやからなくてはと、久しぶりの風邪で寝込んでいた身が、少ししゃんとしてきました。
 ご長寿で思い出しました。
 6年程前、101歳で旅立たれたお祝いとして、紅白のタオルをご喪家からお裾分けいただいたことを・・・。

世界を覆い尽くす効率化という妖怪

 2週続きの週末豪雪になりましたが、今日の都内では道路の端々に雪が固まっているところもありましたが、車で走る分には何の問題もない様な状況でした。

 日本全体的には、雪はへっているが、ゲリラ豪雨同様に、局所的に大雪になる傾向が強まっていると言います。天候の極端化とでも言いましょうか。世界を覆い尽くそうとしている格差の極端化を反映しているものではないでしょうが、人の意識も社会も自然も極端化しすぎれば安定を脅かすものになることは間違いないでしょう。

 もっとも天候はコントロールすることはできませんが(人工的に雨を降らせるとか試みはあるようですが・・)、それに伴う社会活動の不安定さを少なくするようにコントロールすることはできるかもしれません。同じく、格差による不安定さを少なくするようにコントロールすることもできるかもしれません。

 しかし実際に日本で起こっている事と言えば、第三の矢の成長戦略・規制緩和をもっと進めなければ日本はダメだ、そうしなければ自由主義・グローバル時代に勝ち抜けないぞ、と。効率化を主成分とするグローバルの方向性が恐ろしい格差と不安定さをもたらしそうだとうことが金融危機でわかったと思ったのですが、進む方向が違うような気がしてなりません。

 効率化の仕組みの最たるものは、ほとんどのものがお金で(しかも安価に)買うことできるということだと思いますが、こうした効率化された仕組みに頼り切っていると、いざというときに危ない、と薄々感じている人も多くなってきているような感じもします(本当に備えている人は多くはないでしょうが)。

 今回の豪雪で、孤立した地域が山間部の田舎のほうであれば、物流が途絶えて食料が届かなくても、食べるものなら家の中にたくさんある、近所で融通し合うということになるでしょう。もし都内であれば、少し物流が滞っただけでパニックにならないとも限りません(現に大雪予報を聞いて、スーパーでは買占めのような状況にもなったと聞きました)。物流が少しぐらい途絶えたぐらいで、じたばたしないような備えを色々な面でしておきたいものです。

雪。

 今回の大雪も大変なことになっているようで、今週予定していた横浜の葬儀社さんへの訪問が延期になりました。
 なんでも、その葬儀社さんの会社がある地域は横浜の中でも豪雪地帯だったとかで、長靴を履いても意味がないくらい足が埋まってしまいますよ、とのことでした。
 車での移動も困難なようです。

 私の自宅近辺では、近隣の方が一生懸命雪かきをしてくださったおかげで、住宅が並ぶ路地や車が通る道は歩きやすい状態になっていますが、あまり車が通らないような裏道では、雪も溶けかかってはいるものの、路面は見えず、このまま夜になって気温が下がると確実に凍ってしまうだろうな・・・と思うようなところもあり、明日の朝の通勤通学が心配です。

 我が家の車は週明けに車検の予約をしていたのですが、先ほど依頼していた会社から、この雪のせいで車の修理依頼が一気に入り、手が回らない状態なので車検の日程をずらしてほしいと連絡が入りました。

 また、近所のドラックストアでは、雪の重みで屋根に支障が出たらしく、天井のパネルの境目から水がバタバタと落ちていて、お店のスタッフ総出で店内の商品が濡れないように養生をしていました。

 慣れない積雪に、色々と不自由や困難が出ていますが、今週もまた雪が降る予報が…。

 どうか安全にお過ごしください。

見積りの行方は・・・。

  先日、7年前にお見積りを取られた方からご連絡をいただき、当時の見積りがそのまま生きるかどうかのお問い合わせでしたが、やはり7年の歳月は少し永かったようです。

  見積りをお取りした葬儀社さん自身が高齢のため、昨年廃業されてしまったばかりでした。
  担当者は小柄な方でしたが、ご葬儀は任せてとばかりに肝っ玉母さんばりのパワーで、ご喪家一同から絶大な信頼を得ていらっしゃいましたが、体力気力を最大限に必要とするご葬儀の仕事に、年齢の限界感じ、スパッとおやめになられたと伺いました。

 ご相談者から改めて現在のご様子を伺い、新たにお見積りを作成する旨申し上げ、ご希望の斎場に精通し、もっともご要望に適していると思われる賛同葬儀社さんから見積りをお取りして、再度センターの見積説明書と共にお送りいたしました。

 一方、昨年末にも2年半以上前にお見積りをお取りした方から、ご葬儀の準備をされたいとのご連絡が葬儀社さんの方に入り、間もなくご葬儀となりましたが、こちらは以前のお見積りどおりに進行し、執り行なわれました。

 たてつづけに歳月を経た見積りの出番となり、久しぶりに古い見積りに目を向けると、ご本人様のご相談であったり、お元気でお仕事を続けていらっしゃるご両親のご相談であったりと取られた動機は様々ですが、ご相談当初とは打って変わった晴れ晴れしたご様子が電話口からも伝わって、受けたこちらもほっとしたものでした。

 中にはご夫婦でご相談を頂き、ご葬儀は質素に、しかしお越しいただいた方にはお料理だけは十分堪能していただきたいと見積りをお取りになられた後、担当者とご一緒に斎場の下見に行かれた方もいらっしゃいました。
 綺麗な式場にご満足して、骨壷は好みのものに変更されたり、大食漢のお孫さんのためにお食事をワンセット追加されたりとより具体的に一つひとつ決められ、これで安心しましたと晴れ晴れとした表情で「こんなことができるのも元気な証拠ですね、亡くなった母も100歳まで生きましたので」と、ご満足されたご様子を担当者から伺ったことが思い出されます。

 しかしながら、ご安心された見積りも、時間の経過とともに取り巻く状況も変化してきますので、先日のように時には新たに見積りを取り直す必要もでてきます。
 お取りした後も、時に思い出していただき、ご連絡をいただければ幸いです。

大雪の日に思ったこと。

 昨日の大雪では、多くの方がとても混乱されたかと思います。
 金曜日のニュースでは、10年ぶりとも20年ぶりとも言われていましたが、結局のところ関東では45年ぶりの大雪となったそうで、45年前がどうだったのか、全く記憶にはありませんが、色々なことが便利になった今の方が大変だと思うことが大きいのではないかと思いました。
 電車の運休や、タクシーがなかなかつかまらないなど、忙しく動いている人にとって、普段は当たり前にできていることができないという状況はとても不便に感じることと思います。

 前日の金曜日は、タイヤチェーンやスコップを買いに行く人が多かったとテレビで見たのですが、夕方には地元のスーパーも混雑し、買占めのような現象が起こったところもあったと聞きました。
 万全に準備をするのは、安心にもつながります。買占めについては、どうかと思う節もありますが、準備をしておくということに変わりはないのかもしれません。

 この土日でご葬儀をされた方もいらっしゃったかと思います。
 交通機関の運休で思うように動けなかった方も多いのではないでしょうか。

 また、この日にお身内の方がご逝去され、ご家族がすぐに行くことができなかったという状況もありました。すぐに行きたくても行かれないという、もどかしい思いをされたのではないでしょうか。
 このご相談者は、事前のご相談で万一の時に依頼する葬儀社を決められていたので、すぐに葬儀社へ連絡し、対応してもらえたことが何よりでした。

 心配の先回りをして、常に準備をするというわけにはいきませんが、気になることがあったときには少しだけでも心構えとして安心できる環境にしてあるといいかもしれません。

 我が家では、なぜか懐中電灯の準備をしていません。持っているだけでも安心できると思うので、そろそろ購入しておこうと思います。

事後のご相談

 身内の方の急なご逝去で、どのように葬儀社を探したらいいのかわからないという事後のご相談は少なくありません。
今まであまり考えもしなかった葬儀のことが突然目の前にやってきて、何もわからない状況でいきなり葬儀社を選ぶということが、ご遺族にとってどれだけ不安で大変なことなのか、この仕事に就いて以来、いつも感じています。

 ご依頼者のご要望にあう葬儀社を抽出するために、ご要望や条件などをお伺いするのですが、急なことでまだ家族とよく話し合っていないなど、電話口の方だけでは判断がつけられないことも多く、お聞きした情報とわかる範囲での話しの内容などをご相談者と一緒に整理したうえで葬儀社を紹介しています。

 以前、一人暮らしの方が自宅で亡くなり警察に安置されている状況で、遺族はこちらに来る準備はしているが、田舎から出てくるので到着するのは夜になるだろう。遺族が到着したらすぐに葬儀社と連絡がとれる状況にしておいてあげたいというご相談を受けました。ご相談者は故人様のご友人で、葬儀自体の詳しいことはご遺族じゃないとわかりませんが、直葬で、ということと、喪主を務める方がまだお若いとおっしゃっていたことから、火葬のみという小規模なご葬儀でも熱心に丁寧な対応をしてくれる社を紹介させていただきました。
 後日、喪主を務められた方からいただいたアンケートのご回答には、「急死のため家族皆がパニック状態の中、担当者さんが冷静に親身になって私たちのことを考え、無事に告別式を終えることができて、ありがたく思っています…最後まで私たちを気遣ってくださいました。ありがとうございましたと伝えてほしいです。」と、担当者への感謝の言葉が書かれていました。

 直葬のご葬儀でも、ご遺族の状況やご要望は、「とにかく費用を抑えたい」や、「家族だけで見送るので直葬にしたいが、費用はかかっても手厚くやりたい」など様々で、葬儀社さんの特徴も様々です。

 事後のご相談で、少ない情報の中でもご相談者のご要望に合う葬儀社をスピーディーに紹介できるよう、これからも勉強が続きます。