幸せなお見送りとは・・・。

 数年前のご葬儀に立会いでお伺いした時のことでした。
 「良いご葬儀だったね」聞き覚えのある声に頷きながら、思わず後ろを振り向くと、ベテラン担当者が立っていました。
 ご葬儀の良し悪しはつつがなく終えるだけではなく、幸せなお見送りができる空気に包まれるか否かが大きなカギになるように思われました。

 一気に40数年前にタイムスリップしたおじさん達は、スクラムを組み、面倒見が良かった先輩の柩を取り囲み、溢れる涙を拭おうともせず、蛮声を張り上げ、応援歌でお見送りをしていました。
周りを囲んだ参列者も思わず目頭を押さえ、そこには穏やかな空気が流れていました。

 また、別のご葬儀でも同じような空気に出会いました。
 ずっと独身を通された叔母様を、6人の甥御さんと姪御さんがご親族を束ねてお見送りされたご葬儀では、悲しみの中にもどこか気持ちが和むような、ゆったりした時間が流れていました。
 6人のパイプ役をはたしてきた叔母様は、お一人おひとりにとっていかに大切な存在であったか、喪主である甥御さんのご挨拶からも十分伺えました。
 6人の輪が幾重にも広がりを見せ、ご会葬者全員を幸せな気持ちにさせてくれるようなご葬儀となり、6人が仲良くご一緒にお見送りをされている後ろから、今回は当方が思わず「良いご葬儀でしたね」と声を掛けてしまうほどでした。
 
 ご葬儀のご相談をお受けしている身にとって、最近のご葬儀の空気は大分様変わりしてきているように思われます。
 最後のお別れだけは出来るだけ時代の空気とは切り離してお見送りできないものか、お受けする側もあれこれと暗中模索の状態です。

写真。

 「遺影に使う写真をどれにしようか・・、写真、、写真、、、。」
 
 お父様が亡くなり、葬儀社と打ち合わせの際に、葬儀社からの説明も上の空で写真の事ばかりが気になって・・・と、以前、友人が話していました。

 遺影写真、今ではお元気なうちにと、プロが遺影写真を作ってくれるサービスもあるようですが、なかなか、そこまでは、、と思われる方も多くいらっしゃるのではないかと思います。

 風景ばかりでご本人が写っていない、など、いざ探すとなるとなかなか見つけられない、迷ってしまって選べない、などもあるようです。

 立会いでお邪魔させていただいたご葬儀では、故人様の奥様が「主人は写真を撮るのが趣味でしたが、撮るばかりで、自分が写っている写真はほとんどなくて、遺影にする写真を探すのが大変でした」とおっしゃっていました。
 思い出コーナーには、ご主人が愛用していた数台の立派なカメラが飾られ、ご生前に撮影したたくさんの写真がはってありましたが、その中にはご主人が写っているものがなく・・。
 「ずいぶん前の写真ですが、やっと見つけてこれにしました」と、一枚をお選びになったそうです。

 今ではスマホやデジカメで簡単に写真を撮ることはできますが、撮るのは好きだけど、撮られるのは苦手という方もたくさんいらっしゃると思います。
 私も、私の母もそんな感じで・・・。

 もう少し、撮られることに慣れないとな、、といつも思うのですが・・・。

 

 

生花祭壇

 都内では桜が満開になりました。花の多い季節です。 
 ときどきお散歩中の保育園児たちと遭遇するのですが、子供達が庭や公園に咲いている花に気を取られ、しゃがみこんで花を見ている姿を目にしました。先生に「おーい、歩いてくださーい。」と促されても耳に入っていないようです。

 事前相談で「本人は花が好きなので生花祭壇にしたいと思っています」というご相談は少なくありません。
 
 最近では白木祭壇よりも生花祭壇を希望される方が増えていると感じていますが、それに伴い、生花祭壇にちからを入れている葬儀社さんも増えてきたように思います。
 その故人様のためだけにつくられる祭壇であることは、ご家族にとっても思い入れが出来るものなのかもしれません。

 生花祭壇の場合には、予算に合わせてご遺族のご要望を織り込みながら祭壇をつくってくれる柔軟性に富んだ葬儀社さんもあります。

 以前、葬儀業界のイベントに行った時、某有名華道家の方がデザインした生花祭壇が展示されているのを拝見しました。
 それはそれは、ため息が出るほどの圧倒的規模と美しさで、、「さすがだな〜」と思いましたが、これはいったいおいくらなのか…??と・・・。
 私のような庶民には手が出せないですし、そこまでは望みませんが、せめて、本人が好きだった花を祭壇の中に入れていただくだけでも本人に思いが伝わるかも、と思います。
 
 私の知り合いの方は自分の葬儀の時には南国の花でいっぱいにしたいと言っています。まだまだ先の事ですが、お別れに来た皆様にもその人らしさが伝わる祭壇になりそうです。

 生花祭壇は、その方のためだけに造られた祭壇です。生花祭壇を選ぶ際には、好きな花、好きな色などをリクエストしてみるといいかもしれません。

春になったら

 数日前のブログで「春を感じる」なんて書いてしまいましたが、昨日・今日と寒さが戻り、さすがに真冬ほどではありませんが暖房なしではいられません。

 この時期、今までどんな記事を書いていたんだろうと、過去のブログを見てみると、「暖かくなってきたので」、と、賛同葬儀社や斎場へ訪問する外出ネタが多く、今年もそろそろ外出しようか、と思い始めました。

 今、センターのサイト内にある斎場紹介ページを小規模リニューアルする作業をしています。
 他のスタッフがずいぶん前に行ったきりになっている斎場で、私はまだ行ったことが無い所もあり、改めてこの機会にぜひお邪魔させて頂ければと思いました。

 このところ、ずっと椅子に座っての作業ばかりでかなりの運動不足なので、一段落したら外に出ようと思います。
 作業が一段落したころにはすっかり春になっていそうなので・・・。
 

 

火葬のみの葬儀でも。

 火葬のみの葬儀でも、最近はお別れの時間を少し長くとりたい、や、安置している間、ゆっくり面会できるところに安置したい、とおっしゃる方が増えているように思います。

 火葬のみの葬儀は、一般的には安置場所から火葬場へ行き、火葬が終わって解散というとてもシンプルな葬儀で、故人様とゆっくり過ごすことはなかなか難しく、最期のお別れもご火葬前に10分ほど(できないところもあります)と短時間なものになります。

 火葬のみの葬儀を希望される方は、葬祭扶助を利用される方をはじめ、身内の方が皆ご高齢で参列できないので式をするほどではないと考える方や、入院や介護で費用が掛かるため、葬儀代を捻出するのが困難な方、ご本人の遺志など様々で、もう少しお別れの時間が欲しいと考える方が増えています。

 葬儀社側も、自社の安置所でゆっくり面会ができるような設備を用意したり、安置施設でも小規模な葬儀までできるような設備を作ったりなど、残されたご家族の要望に少しでも対応できるようにと考えるところが少しずつ増えています。
 地域によってはまだ難しい場合もありますが、これから先、きっとそのような施設ももっと増えていくと思います。

 火葬のみの葬儀でも、故人様との最期の時間を遺されたご家族と一緒にゆっくり過ごすことができるといいな、と思います。

ラストメイクのインパクト

 お身内だけ10名様程で質素にお見送りしたいが、唯一のご希望は女性なので、綺麗なお顔にして差し上げたいとのこと。
 先日、入院中の義母様の万が一を鑑みて、事前の見積りをお取りになられた際のご要望でした。

 ラストメイクのお話をお伺いするにつけ、私事で恐縮ですが、母のことが思い出されます。
 母の臨終に間に合わず、駆け付けた時はすでに病院から実家に戻り、母はお布団の上でした。

 恐る恐るそっと白い布を挙げると、綺麗に薄化粧がほどこされ、血色もよく、今にもパッチリ目を開けて、にっこりしそうないつもの母の顔があり、ほっと安堵したことが思い出されます。

 親戚の者からも、最期の顔が良かったとお褒めの言葉を頂き、何気ないことですが、後々までも事あるごとに話題に上るラストメイクのインパクトの強さに、改めて感じ入ったものでした。

 少し前になりますが、100歳の方のご葬儀では、担当者の気配りの有る対応に大変ご満足されたご相談者から、早速のお礼状をいただきましたが、最後の一文に少し戸惑いのお言葉が書かれていました。
 綺麗にラストメイクをしていただきましたが、少し綺麗になり過ぎた感があり、いつもの母とちょっと違ってしまい、残念でした・・・と。
 
 プロのメイクアップアーティストにお願い致しましたが、お歳を召しているからと少々張り切り過ぎて、よそ行きのお顔にされてしまったご様子が伺われました。

 普段見慣れたお顔のままで、如何にきれいに見せるか、プロの腕の見せ所ですが、一方でその過程を全てご家族皆様の手にゆだねる様に提案している担当者もいらっしゃいます。

 ご家族皆様の手をお借りして、マッサージを施し、下地を綺麗にし、指導していくうちに、お孫さん達にも意識の変化が見られ、ご遺体に対する接し方も変わってくるとまでおっしゃっていました。

 ラストメイクと言われても、門外漢にはたかがメイク、お化粧ぐらいでと言われかねないようですが、お身内の方にとってはされどメイクです。

故人様との思い出コーナー

 お正月三が日のお休みと寒い季節が相まって、新年の各斎場は例年の如く混み合いを呈しているようです。

 以前、市営のかわさき北部斎苑をご希望のご相談者に混み合う場合を考慮して、自社斎場を所有している葬儀社さんをご紹介致しましたが、双方とも混み合い、一番早くご予約できるのは同じ市営のかわさき南部斎苑の大式場になってしまいました。
 ご喪家のご要望とは言え、お身内だけのご葬儀に、イス100席もある式場は何としても広すぎます。

 そこで、担当者は普段どちらかと言えば式場入口や片隅に配置される思い出コーナーを、式場後半全部を使って造ることを提案し、ご喪家の方々や故人様の御兄弟に思い出の写真や、故人様が大事にされていた思い出の品々を多数持ち寄って頂きました。

 通夜当日、式場半分近くまで展示された懐かしい写真や遺品の数々を手に取り、お身内の皆様が暫しの間思い出を語り合うことができ、広い会場も和やかな空気に包まれて大変喜ばれたとの報告を頂きました。

 また、思い出コーナーは葬儀社さんのサービスの一環としてご喪家に提案し、飾り付けや制作は通常葬儀社さんにお任せする場合が多いようですが、以前立会いでお伺いしたご葬儀では、ご喪家総出でお手伝いをされ、大変感慨深いお式になった例もございます。

 お父様のご葬儀でご相談頂いた喪主様は葬儀社の担当者から思い出コーナーの提案をされたが、当初あまり乗り気ではなかったとの由。
 担当者はご要望をお聞きして、ご喪家にできるだけ参加していただき、より多くの思い出を創ってもらうことを意とし、観る側も手際よく造った業者サイドのものよりも、ご喪家の想いが出ている作品により愛情を感じていただけるのではと期待しての提案でした。

 通夜当日の午後から、ご喪家総出で写真選びからレイアウトに到るまで、切ったり貼ったりと共同作業をしていくうちに皆の気持ちが寄り添い、ひとつになっていくのが感じられ、作品のみならず、より一層の思い出になりましたと後日興奮気味にお話されたのは当の喪主様でした。
 
 数年後、お花の先生をされていたお母様のご葬儀の折も、ご家族ともに生徒さんたちの共同作業があったのは言うまでもありません。

喪主の立場じゃなくても・・。

 「本当に葬儀社の担当者にはよくやっていただきました。〇〇さんの良かった点は一日あっても話しきれないくらいです!」
 以前、事前相談でセンターへご連絡いただいた方から、ご葬儀後にご報告いただいた感想です。

 ご相談者は次女様のご主人でご自分には決定権はありませんが、という話から始まったご相談でした。
 あまり口は出せない立場ですが、とおっしゃっていましたが、話を伺うと、葬儀を出すのは皆さま初めての事だそうです。
 一人でも詳しい方がいらっしゃれば、皆様にとっても心強いかと思いますし、ご長女様のご意向も踏まえて、皆様でご検討して頂くことをお勧めし、ご葬儀の際はご家族皆様で心のこもったご葬儀で義母様をお見送りになりました。

 その時に対応した葬儀社の担当者は、それまでにも、親切で話をよく聞いてくれると評判がよく、このご相談でも事前相談の段階から丁寧に対応して頂いたとの事。
 ご葬儀の際、ご家族の何気ない雑談の中に「桃が大好きだったから用意してあげたかったけど、桃の季節は終わっちゃったから・・」という話が耳に入ったそうで、ご葬儀の日に担当者が桃を用意してくださったとのことです。
 ご家族は、用意して頂いた桃に大喜びだったそうで、ご葬儀後にご相談者からいただいたご報告では、家族の葬儀という事だけでなく、感動して涙がでました、とおっしゃっていました。

 後日、センターから担当者へ報告の連絡を入れた際、担当者は「たまたま桃が好き、と聞こえたので、少し探したらすぐに見つかったので用意できたんですす」と控えめにおっしゃっていました。

 小さなことでも、ご家族にとってはとてもうれしいサプライズだったようです。
 ご家族の要望を少しでもくみ取ろうという気持ちがないとなかなかできないことかもしれません。

 「良かった点は一日あっても話しきれない」という感想は、最初、ご自身の立場で葬儀について調べることを心配されていたご相談者にとっても、無事に良い葬儀を行えたことで安心された気持ちも含まれているな、と感じました。

信頼できる担当者に・・。

 「私、おせっかいすぎるんですよね、求められてもいないのに勝手に体が動いちゃって」、
 以前、女性の担当者の方からこんな話をお聞きしました。
 たしかに、ご葬儀の立ち合いに伺った時も、「足元寒くないですか?」と言いながらご高齢の方にひざ掛けを差し出したり、ストッキングが伝線しているのを見つけ、そっと替えのストッキングをお渡ししていたり、など、ずっと動いていました。
 
 センターが立会いで行っているからというわけではなく、どうやら誰も見ていないところでもその一生懸命な想いがあるようで、ご葬儀の前日に故人様のお名前を想いながら折り紙で馬を折り、「明日のご葬儀も無事に終えることができますように」とお祈りして、ご家族の許可を得られると、その馬をお棺の隅の方に入れさせていただいているとのこと。周りからは「そこまでしなくてもいいのに」と言われることがあるそうすが、自分がやりたくてやっていることなので、とおっしゃっていました。

 葬儀社にとっては慣れている葬儀でも、各ご喪家の方にとっては一度きりの大切なお別れの場です。
 信頼できる担当者に対応して頂くことは、ご満足につながる一番大切な所なのかもしれません。

担当者はご喪家と同じ目線で。

 以前ご葬儀の立会いにお伺いした折、ご相談者から開口一番「母はこんなご葬儀がしたかったんです。有難うございました」とのご挨拶を頂きました。

 実はご逝去された当初、病院付きの葬儀社さんにご自宅へ搬送をお願いされたのですが、お父様への配慮が足りない雑な扱いに、心を痛めていらっしゃるお母様のご様子を見かねたご相談者がインターネットで他の葬儀社を当たられ、当センターにご相談いただいたといういきさつがございました。

 センターがご紹介した葬儀社さんにお決めになられた理由として、他社の担当者さんがご葬儀プランの説明を急ぐ中、ひたすらご喪家の立場に立って、お話を聞いてくれたことを挙げて、ご満足されたご様子が伺え、ご紹介した当方もほっとしたことが思い出されます。

 一方、会社の関係でご葬儀日程を最優先されたご相談者からは、「希望日まで日にちが迫っており、式場・火葬場とも塞がっている状態でしたので、他の葬儀社さんからは、ご希望の日はお取りできませんと却下されたが、ご紹介いただいた担当者さんは、どのようにすれば希望の日程で執り行うことができるかを第1に考えて奔走してくれ、無事ご葬儀を終えることができました」とのご報告をいただき、ご依頼の決め手として「常にご喪家の気持ちになって考え、行動してくれた対応ぶり」を挙げていらっしゃいました。

 また、1人っ子のご相談者からは「ご担当者からご葬儀後に心に残るご葬儀だったとお手紙を頂き、これでよかったのかなと悩んでいた気持が少し軽くなったような気がします。無事父を見送ることができたのも皆様のおかげだと感謝しています」とのご報告も頂きました。

 同じような内容、同じような規模のご葬儀でも担当者の気配りのある対応如何では全く違うものになってしまいます。
 横並びの「普通」のみを押し付けず、ご喪家のご意向を汲み、ご喪家と同じ目線に立ったお見送りができるか。
 特に親しい方を中心とした小規模なご葬儀では、担当者がご遺族のご要望にどれだけ耳を傾けることができるか、葬儀社選びはある意味、担当者の配慮によって決まると言っても過言ではありません。

 その為にも、お時間がございましたら、是非事前に担当者とご面談されることを希望いたします。

 ネットで検索しただけではめぐり会えなかったであろうと思われる担当者にお会いできたとの感謝のお言葉も届いています。