家族だけでなく、お別れしたい人の気持ちもくんであげることが大切では・・・。

 ご家族だけで静かに見送りたい。特に都会のご高齢者の場合はそれが顕著のようです。
 ご本人の意思にご家族も同意され、ひっそりとお見送りする。
 これも一つの方法です。
 しかし、ご葬儀が終った後、日が経つにつれ、残された者は果たしてこれでよかったのかどうかと揺れ動くのも事実です。
 やり直しがきかない以上、自分に納得させる以外に方法はないようです。
 
 覚悟を決めなければいけない時期に差し掛かり、見舞いながらご葬儀の準備をする二律背反の行動に悩みながらも、前もって知っておくことが、ひいてはお父様をきちんとお送りすることができると納得された方からお便りを頂きました。

 お父様からはご家族だけでと申し渡されていましたが、最後の決断は親しかった方皆様にお出でいただくことになりました。
 見積りの段階でも揺れ動くお気持ちを隠さずお話され、納得のいく形を模索し結論をとお考えのようでしたが、死はある日唐突にやってきます。
 色々な思いが一気に吹き飛んでしまいます。それでも、思考錯誤されてきたことが土台となっています。
 その一つが、当センターのホームページに書かれていた「おまいりしたい人の気持ちをくんであげるのも・・・」の言葉だったそうです。
 お父様はお母様のことをご心配され、ご家族でということを強調されていらしたが、
長年のお友達、親しかったご親戚の方々、皆様それぞれの思いがあります。ひょっとしてご家族以上のものがあるかもしれません。お別れしたい人の思いを、ご家族という名のもとで断ち切っていいものか。悩み、そして英断されました。皆様に来ていただくことに。

 今回「残された家族がどれだけ気持ちに余力を持っていられるか否か」で参りたい人の気持ちを受け止められるかが決まると実感されたそうです。
お便りを読みながら、思わず「よかった」と我がことのように安堵いたしました。

子を見送る親の気持ちは・・・。

 (4/16) 生まれたばかりの赤ちゃんを亡くされたお父様からアンケートを頂いたのは、大分経ってからでした。
 「葬儀社の担当者の方はややおせっかいなくらいに親身になってくれ、満足でした」とのお返事を頂き、思わず頷いてしまいました。
 親を見送るのは悲しいけれど、どこかで納得させるものを持ち合わせているが、子を見送る親の気持ちは・・・。
 ご葬儀に伺っても、どこから話を切り出してよいものか。
 周りの緊張は極度に達し、どうやって手を差し延べてよいのかも分からない。
 ベテランの担当者に聞くと「ただひたすらご遺族のそばに立っていてあげるだけ」とのこと。
 目の前に「おばさんがうろうろしているからおばさんに聞けばよい」と、皆さんが気楽にものを言いやすいようにうろついている。
 ただ、時として孫を亡くしたお姑さんの立場になって、プロの気持ちが揺らいでしまうとも。
 でも、それでいいのでは・・・。

 読経が始まると若いお母さんは「ずっと抱いていたい」と柩の中の赤ちゃんを抱き寄せた。
 担当者がご自宅でご家族だけのご葬儀ですから「いいですよ」とご返事すると、お経をあげている間中わが子を抱きしめていらしたとのことでした。

季節の変り目と虫がしらせること

 「季節の変り目なのかなあ」
 このところ、以前事前相談をうけた依頼者の方から緊急の連絡が立て続けに入ってきます。

 依頼者からご相談を受けた時点ではまだ今のところ安定しておりますから、とか入退院を繰り返していますがまだ差し迫った話ではないのですが、と皆さん異口同音に話されていました。
 
 お送りした見積書の中から葬儀社や斎場を選び、気持ちの中で万が一の準備はされていても、ご本人の様子を見ているとまだ少し先の話と思われ、葬儀社の担当者との打ち合わせも後回しになっていらっしゃったようです。
 皆さん揃っておっしゃるには「まだ急ぐ状態ではないのですが、今のうちに詳しいお話をお伺いしたいので明日にでも担当者とお会いしたのですが・・・」
 しかし、担当者と連絡を取り、「ゆっくり打ち合わせを」と電話を切った後、一気に事態は急展開されてしまったようです。
 
 病院から緊急の呼び出しを受け、取る物も取りあえず駆けつけご臨終にやっと間に合ったご様子です。あれよあれよという状態です。
 それでも、葬儀社を決め、電話だけでもお話を伺っていたので助かりましたとのご報告。
 それにしても何というタイミング。
 昔から虫が知らせるとはいわれていますが、何か気配を感じるのでしょうか。
 同じような事態がこの1週間、立て続けに起きています。
 悪い予感は奇遇にすぎないと思いたいのですが。 
 これも春の嵐がなせる業なのか。
 
 

「これでよかったのかな」見送る気持ちは複雑ですが・・・。

 映画「おくりびと」は話題を集めて、ついに先週の観客動員数が第1位になり、TBSでは緊急特番が組まれていました。主演の本木雅弘と滝田洋二郎監督に映画にまつわるエピソードを伺っている中で、映画館から出てきた若い観客は「自分の親も温かく送り出してあげたいなと思いました」とインタビューに答えていました。
 映画を観た人たちは周りに亡くなった方を持った経験を通して「こんな風に送ってあげられたかな」と自分自身に問いかけている方も多くいらっしゃるのではと思われます。

 身近な方の死で動転し、気持ちが宙に浮いているような状態の中、ご葬儀が無事済みほっとしたのもつかの間、今度は「あれではたしてよかったのかな」という思いが日増しに募って来るようです。
 送り方にお手本があるわけではなく、よかったかどうかは気持ちの持ち方次第ですが、不安な気持ちを傍からほんの少しサポートすることで安心感が得られることもあるようです。
 当センターに頂いたお手紙やメールの中にもそんな近況報告が見られます。

 入退院をくり返し最後の入院を告げらたお父様を葬儀社を決めてから、最後の数日間は看取ることだけに集中することができ、相談させていただいてよかったと思いますとのお手紙をいただきました。
 
 また、葬儀社の担当者から「心に残るご葬儀だった」というお手紙をいただき、これで良かったのかなと悩んでいた気持ちが軽くなり、1人っ子でしたが無事見送ることが出来たというお便りも頂きました。

 お父様の死を間近に不安な状況の中、センターのアドバイスに安心し、温かい雰囲気の中でお見送りが出来、振り返ってみると「幸せな思い出」となっていることに気が付かれたとの、ご報告も頂いています。
 
 

ご自分のご葬儀にはどなたに来てもらいたいか・・・。親子で話す話題作りのきっかけに。

 先日、さる会社の合同葬に伺ったのはご葬儀の30分ほど前でした。テント後方のストーブの周りにはなぜか皆さん笑顔の方ばかりでした。お知り合いの会社関係の方々がお互いのご紹介やら、名刺交換やらで大忙しの感がありました。
 これも社葬と呼ばれるご葬儀での大事なお役目の一部です。
 ご葬儀に参列することは同じでも、会葬者の意識は一般のご葬儀とは大分異なるようです。
 
 このような数百人単位の社葬に対して、個人のご葬儀ではどなたがお見えになるか、お1人お一人が大事です。
 ところが、一般のご葬儀では万が一の時、どなたにまでお声を掛けるか決めていらっしゃるご家庭はまだまだ少数派です。
 ご家族・ご親族のみの家族葬か、はたまたお仕事関係・ご近所の方々まで賑やかにお見送りしてもらいたいのか、お元気な内に意思表示をされておくことが必要です。
 
 大よその会葬者数が分れば、色々なことが見えてきます。
 まずは人数に見合った式場をさがすことができます。さらにその式場に見合った祭壇を、人数分の飲食代も、返礼品代も算出できます。
 したがって、おおよその予算も立てられます。
 
 いざとなって慌てて年賀状を調べるよりも、テレビ、ラジオ、映画等でのご葬儀の話題を機にご家族、はたまたご両親とじっくり話されるのも一案かと思います。
 丁度今、映画「おくりびと」の話題でマスコミでもお葬式が注目されている時です。
 ご両親、否、自分達のこととして、どのようなご葬儀で、どなたに見送って貰いたいか後の方に託しておくことも重要なことです。
 最近、家族葬でのお見積りを取った方でしたが、いざその日が来た段階で矢張り、昔からのお知り合いの方もお呼びしたいということで、最終的なお見積りは10倍近くの会葬者数になりました。
 
 
 
 
 

霊柩車の中で我が家をみつめる心中はいかばかりか

「斎場から火葬場までの中間近くですから運転手さんにお願いしてご自宅前を回って行ってもらいましょう」
 霊柩車は柩を乗せ、住み慣れた町を曲がり、ご自宅前をゆっくり通り過ぎていきます。
 
 いつかきっと自宅に帰ることを夢み、病魔と戦ってきたが、ついに力尽きてしまった。家人はなんとかして、ご自宅に連れて帰りたい。
 しかし、ご葬儀はご家族・ご親族のみで執り行うようにとのご当人様からの申し伝えがあり、変更するわけにいかない。
 ご自宅に搬送すれば、ご近所に知れ渡り、報告しなければいけない。
 都会を中心に最近ではすでに一般化されている家族葬の場合は問題が生じやすい。
 まずはご近所の目が。そっとお戻りになられても気配で分ってしまいます。
 泣く泣く病院からご自宅以外の安置所に直行せざるをえない。せめて少し大回りをしながらでも、ご自宅付近に立ち寄ってから安置所に行ってもらうようにと、お願いする方もふえています。
 さらに、斎場がご自宅近く、もしくはご自宅が火葬場に行く途中にあるという好条件の場合は、冒頭のようなシーンも見受けられます。
 但し、霊柩車の種類によってはかえってご近所の注目を集めてしまうことにもなりかねませんので、注意を払う必要ありです。 
 

団塊世代が考えるお葬式とは・・・・。

 先日、ある新聞社の記者の方からご葬儀のことでお電話を頂きました。
 中で「特に中高年からの相談でどんなことに関心が高いのか知りたい」との質問がありました。
 
 実際、電話口やメールで頂く問い合わせは老若男女様々です。
 少し前までは若い方の方がご葬儀に関する話題の抵抗は低いように思われましたが、中高年と言われて改めて見渡すと、最近、年齢別のタブーはあまり感じられなくなってきています。
 特にここ1~2年の傾向は顕著のようです。
 マスコミに取り上げられる機会が増えたこともありますが、なんと言ってもインターネットの普及が第1に挙げられると思います。
 永年タブー視されていたこと、聞きづらかったことがおおやけにされ、年齢を問わずアクセスできる強みが大いに発揮された分野の一つではないでしょうか。
 定年を迎えた団塊世代が自身のこれからの生き方を問う問題と、親御さんを見送る問題がクロスし、クローズアップされてきています。
 重い家制度ではなく、家族単位の生き方が定着してきた最初の世代でもある団塊世代が、ご両親の見送り方を自身の生き方として捉え、周りに気兼ねすることなくご家族・ご親族のごく親しい方々中心に実行される方が増えてきています。
 この傾向はさらに拍車がかかることでしょう。
 会社という枠の中から個人に戻り、これから自身のしたいことを中心に活動したいと模索している団塊世代の発言はどの業界も目が離せないようです。
 
 

 

最後の夜をせめて家族全員で過ごせたら・・・。

  久しぶりに昔の仲間が勢揃いして、故人の思い出話に花が咲き、佳境に入った頃、無常にも葬儀社の担当者はお開きを申し渡さなければいけない。
 通夜ぶるまいも夜8時半までにはお開きにしなければ、後片付けが間に合わなくなってしまう、という現実が待ち構えています。
 
 お葬式も自宅以外で執り行われるようになると、貸す側の式場も時間の管理が厳しくなり、防犯・防火対策上にも9時までに全て終了し、閉門するところが大半になってしまいました。
 それに伴って、本来一晩中灯されていた蝋燭の火もお線香も、9時以降は御法度になってしまい、通夜の仮宿泊も侭ならない式場も多く、その傾向はお寺が管理している斎場に顕著のようです。
 
「お疲れですからご家族の皆さんご自宅にお帰りになりますよ」と言われますが、本音のところはどうでしょうか。
 都会を中心に家族葬が増えている現状で、家族の絆の拠り所として、最後の夜を皆さんで一緒に過ごしたい、というご要望も増えてきています。
 永い入院生活の果て、ご自宅へも戻れず、せめて最後を心置きなくご一緒できたらという思いのご家族も多いと思います。
 
 先日は幼いお孫さんを含めたご家族皆さんで通夜の夜を過ごしたいからと、急遽お泊りができる斎場に変更されたご喪家もいらっしゃいました。
 またお疲れのお母様を帰して、3人の兄弟が初めてお父様を囲んで一晩中語り明かしたというご喪家もいらっしゃいました。
 2度とない機会のためにも一晩開放してくれる斎場が増えてほしいところです。
 特に、広い和室を持つお寺さんにお願いしたいものです。
 

自分による自分の為の自分の葬儀とは。最後は自分らしく締めくくると言う意識が芽生えてきたようです

 「お手紙に書きますので・・・」と電話口で当センターの住所を聞かれた声の主は穏やかな口調の方でした。
 2日後届いた手紙にはご高齢になってご自分のご葬儀をどのようにするか色々検討しご自分なりの結果を出したので、その結果に基づいた見積りと葬儀社を紹介して欲しい旨書かれていました。
 少数とは言え、時折このようなお電話やお手紙を頂くようになりました。時としてそれがご高齢者であったり、余命幾ばくもない方であったりします。
 しかし、皆さん一様に明るく声や文面から受ける印象は何処か吹っ切れて余裕さえ感じられるようです。
 1年ほど前電話で受けた方もご自分のご葬儀の相談でした。
 明日これから再入院して手術を受けるので、万が一の時のために見積もりを取ってご家族に手渡しておきたいとのことでした。
 余りにてきぱきとおっしゃるので、思わずどなたのご葬儀か聞き返したほどでした。
 半年後、葬儀社からご葬儀の連絡が入りました。娘さんから「母の遺言どおり無宗教葬でお見えになったお客様にはおいしいお料理を精いっぱい振舞いたい」とのことでした。
 傍から見ていてもご相談者はご自分の最後を自分らしく締めくくるにはと意識することで、今をより大切に生きようとする生への認識が高まってきたようにも感じられます。

「自分の葬儀を決めておきたい」

 「自分の場合だったらこのようにしたい」とご自分の葬儀をイメージされ、相談される方がこの1~2年目立ってきたようです。
 いざという時慌てないため、残された奥様やお子さん達が混乱しないようにと葬儀のやり方や葬儀社を決めておきたいという訳です。
 以前から思いつつも延び延びになっていたのがインターネットの普及で葬儀に関することが解りやすくなり、決心がついた方が多いようです。
 ご自分の最後をイメージし、決めるのも今が健康だからできることでもあります。
 
 第1条件にこじんまりした葬儀を望む方の場合、家族と近しい親族と親友という本当に別れを惜しんでいただける方のみにきていただきたい。
 これまでに多くの葬儀に参列されたが亡くなられた方とはほとんど面識もなく、ご家族への義理で伺ったことからの反省の意もあるようです。
 参列して頂かなかったお知り合いの方にはしかるべき時点で、ご家族から亡くなった旨をはがきで知らせてもらうようにするとのことです。
 予算、場所、サービスの順序も集まっていただくのは大切な方ばかりですので、まずは何をおいてもサービス第1。
 葬儀社の決め手も、いざという時当の本人はおりませんので、「約束を守り、誠実にやっていただけるところが第1です」とのことです。

 概算の見積りは当センターが依頼者のご要望を各葬儀社に連絡し、依頼者が直接葬儀社からお取りになり、その内容をもとに見積り内容の比較・サービスの評判等をアドバイスさせていただきました。
 「これでいざという時、子供たちには葬儀社に電話するだけで良いようにしておけます」とのことでした。