葬儀社への満足度について考える。

 当センターのアンケートの中で、ご紹介した葬儀社についての満足度を数値でお願いしております。
 お寄せいただいたアンケートの点数は高く、文句なく10点とおっしゃる方から満足だけれどこれから更なるという意味を込めて9点を付ける方、ほぼ満足だったがある1点だけ気になったので8点を付けましたという方、皆様通り一遍の数値だけではなく、点数の由来をしっかりお書きくださっています。
 満足度という主観的なニュアンスの言葉もあえて具体的な数値を表わすことで、にわかに客観性を帯びて来るようにも思われます。
 
 最後にしっかりと向かい合ってお別れが出来たか、またご列席された方々皆様のお気持ちに添えたか、式の進行が滞りなく行なわれたかとご喪家の方々は悲しみ上にあらゆる方面への気配りに心は乱れます。
 
 その気持ちに寄り添いながら、さりげなく声を掛けてアドバイスできる担当者が望まれます。
 
 満足頂いた点を抜粋してみますと「ビジネストークではなく親身に教えていただきました。火葬のみにもかかわらず嫌な顔も見せず大変うれしく思いました。最初にTELした時からとても感が良く、こちらの主旨をすばやく理解してくださり、同じ目線で一緒に考えてくださったと思います。こちらの意図もうまく汲み取ってくれ、コミュニケーションもとりやすかった等々」
 
 ベテラン担当者の、以前言った言葉が思い出されます。
 「とことん二人三脚で一緒に歩きましょうと申し上げます。お式の司会もこと細かく打ち合わせをしますが、言わないようにします。ご遺族が話された後にフォローし、皆さんの前で持ち上げてあげる。葬儀屋が喋ってしまっては、誰の葬儀かということになってしまいます。」と・・・。

 

 担当者は 「一期一会」の気持ちがなにより大事

 「一期一会」とはご葬儀のための言葉ではないかと思われるほど、ぴたりと当てはまるようです。
 ご葬儀の立会いに伺うようになって3年余り。
 斎場に一歩入るといつもまずこの言葉を思い浮かべ、おもわず襟を正すようになりました。
 葬儀担当者を始めそれぞれの部署の担当者が、どれだけ一期一会の精神を汲みとり臨むかで、ご葬儀の良し悪しが決定するのではとまで思われます。
 「生涯のうちで今日という日は2度となく、今日のめぐり合わせはあくまで今日だけのことである」と言う意味合いから、後がないご葬儀に一つひとつどれだけぶつかっていけるかが鍵になるようです。
 ご喪家のご要望をキャッチし、どうすれば最良の方向に持っていけるか問題が山積するほどさらにファイトが沸く担当者も多いようです。
 
 通夜の席で供花が傾くアクシデント見合わせられ、ご喪家の肝を冷やしたが、誠心誠意事にあたり、逆に信頼を得た担当者。

 通夜のお清めの席上でご住職(元校長先生)に葬儀の采配ぶりを褒められた担当者。

 ご家族・ご親族30名のみの通夜に10倍近い会葬者がお見えになり、ご喪家に恥をかかせないように、読経の後、急遽柩を前に出し、ゆっくりとご対面をしていただき、
お清めを遅らせ、追加の料理で間に合わせた担当者。

 数え上げたら、枚挙にいとまがない位です。
 今「一期一会」の言葉を改めてかみ締めています。
 
 
 
 
 

赤い霊柩車やお花いっぱいの霊柩車、いろいろあっていいのでは・・・。

 昨今では宮型霊柩車乗り入れ禁止の火葬場が増えています。
 いろいろな理由がある中で、一目瞭然ご葬儀の車と分ってしまうことに拒否反応を示す方が多いようです。
 「そう言えば都会では最近見かけないなー」としばし、考え込んでしまいました。
 
 そんな折、ある搬送会社の社長さんにお目にかかり、ユニークなお話を伺いました。
 今の仕事の前は改造車を創っていらしたとのことです。
 依頼者のご要望に合わせて霊柩車を改造するのが得意とのこと。
 中でもユニークなのは赤い霊柩車。だれがそんな車に乗るのかって・・・。
 天寿を全うされた方のご遺族から、お祝いの気持ちを込めたもので送りたいとの話から、ヒントにされたようです。
 
 逆に、小さなお子さんを亡くされたお母様が柩に寄り添って行かれたのを見て、少しでも心残りがないように、白いかわいらしい霊柩車を創られたとのことです。
 霊柩車の中はお花で埋め尽くされたり、またあるときはディズニーの縫いぐるみ人形
が占領したりと、お子様の最後の夢をくんであげようとその一生懸命さが伝わってくるようです。
 
 柩が霊柩車に収まり、皆様全員が注目の中、ドアが静かに下ろされました。
 そこには鮮やかな文字で奥様へのお礼の言葉が記されていました。
 生前、奥様に面と向って感謝の言葉一つ言ってあげられなかったご主人からの最初で最後のメッセージです。

 お話を伺った後、早速社長さんは霊柩車の運転手さんに早変わりです。
 運転をしながら、ご遺族の悩み、ご希望を聞き、それが次のアイディアになるとのことです。
 なにごとも「できる」と「断らない」がモットーだそうです。

葬儀担当者の秘訣は親戚のおばさんの目線になれるかどうかで決まる・・・。

 「先日のご葬儀では奥様と奥様のお母様から、亡くなられたご主人のご実家のことを随分聞かされました。お子さんがいらっしゃらないから、今日が最後だなんておっしゃってました。」
 ちょっと物騒な話をしているのはこの道数十年のベテラン葬儀担当者です。
 皆さん担当者に会うと一様に、ご葬儀の合間でも親戚のおばさんに長年の思いをぶちまけているような気持ちになり、聞いてもらえる人にやっと出会えたとばかりに、話し込まれていくようです。
 さりとて担当者はご家庭の事情を根掘り葉掘りうかがうわけではなく、ひたすら聞き役に徹しているようです。
 
 また、ご家族だけでお父様を見送られた1人っ子の喪主の方がショックで火葬になってもフラッとしていらしたので、ひっくり返られては大変と大丈夫と言われるまでしばらく腕を掴んでいましたよとも。
 世話焼きなおばさんは予想以上の会社関係者で混雑してきた会場に、どなたを先に座らせるか周りの空気で察し、さらに、臨機応変にイスを置き換えて、いつの間にか皆さん全員を座らせていました。気がつくと、先ほどまでのざわついた空気が一変し、静寂の中に読経の声だけが響いていました。
  
 ご葬儀の仕事を天職のように思って動き回っているよろず相談役の担当者は先ほどの喪主の奥様には「小声でそっと49日までは忍の一途ですよと言っておきました」とのことでした。

 

葬儀社の役割

 ときどき次のような電話をご依頼者から受けます。

「○○会館で式をしたいのでですが、どのように申し込めばいいのでしょうか?・・・」

 自分たちで斎場は見つけてとらなければならないと漠然と思っている人がどうしていいかわからず問い合わせてきます。

 しかしながら、斎場の手配はほとんど葬儀社がやっているというのが現状です。それは斎場の手配にとどまらず、料理の手配や返礼品の手配、さらには宗教者の手配までします。つまり、お亡くなりになった後、病院からの搬送から、ご安置、通夜、葬儀告別式、火葬、会食にいたるまで、すべてのことが滞りなく、進行するように段取りしてくれるのです。

 それゆえ、よい悪いはともかくとして、ご依頼者にとって「よい葬儀」にできるかどうかは、葬儀社(および担当者)選びにかかっているということになってきます。

再度同じ葬儀社に依頼したくない理由について

 「葬儀施行後、48%の人は、再度同じ葬儀社に依頼したくない」(2002年、矢野経済研究所。東京都の場合)の話を当センターのホームページの中で紹介しています。

 これをご覧になった依頼者の方から、この理由について質問を受けました。何が問題で依頼したくなくなってしまうのでしょうか、と。

 一般的に行われているアンケートなどでは、一応、「予定より派手になってしまったっから」「費用の追加支払いが多くなったから」「形式的になりすぎたから」というような理由が上位を占めます。

 一応と書いたのは、表面的にはこうした理由で間違いないかもしれませんが、本当のところは少し違っているのではないかと思うからです。

 これまで数多くの相談を通して思うのは、支持されない葬儀社というのは次のようなところだと思っています。

 上記のような理由を言われてしまうほどに、依頼者が本当は何を考え望んでいるのかを、よく探り出そうとする努力もせず、そんなこととは関係なく、表面的なやりとりで施行していこうとする風土をもった会社。

 要するに、心あるコミュニケーションができない担当者がいる葬儀社には、再度依頼したくなくなると思うのですが、いかがでしょうか。

葬儀担当者の極意とは・・・・

 お葬式と言うと一般的に金額的なことに集中しがちですが、実際に施行される段になると担当者とのやりとりがいかに重要であるかが、身をもってお分かりになるようです。
 通夜、葬儀、告別式と一連の式の流れや時間は同じでも担当者の采配ぶりで大いに差がでてきます。
 担当者が責任を持って最初から最後まで丁寧に面倒を見ることを前提にしても、尚且つ違いがでてくるのはどんなところに要因があるのだろうか。
 
 あるベテランの担当者は「個人経営なので1から10までやることになり、ご喪家の顔を見ながらやっていくので、接しているとその時その時何に困っているかが分かります。
 予想外のことがあっても臨機応変に処理し、迷っているときにはアドバイスができることです。
 この仕事は特にその場の判断能力が大切です」とのことでした。
 傍で見ていると、いつの間にかご喪家の方々皆さんがこの担当者に頼りきっているようです。

 別な担当者は「我々はサービス業ですから初めて会った方といかに短時間にこなれてしまうかが大切です。
 この人は大丈夫だと言う安心感を持たせ、相手の方がもううちに入っていいよと言うようにすれば、相手も聞きやすいですし、その時間を如何に詰めるかにかかってきます。
 十人十色で色々な事情を抱え葬儀を出そうという方々ですから、早めに打ち解けるのが大事。
 日程から始まって色んな話を聞いて写真をお預かりする時には生前の人となりが分かってきます。
 葬儀社によっては何でもリードする所もありますが、葬儀屋の葬儀ではないですからとことんご喪家と二人三脚で一緒に歩きましょうという姿勢です」。式には全て反映されるようです。
 黒子に徹しながらも、その気配りとさりげない応対ぶりに定評があります。

安いだけがサービスではなく、この値段でここまでやってくれるのかが大事

 「安さ」を最大の武器に各業種で価格破壊が起こっている中、ただそれだけでいいのかという疑問の声も上がり始めています。
 競争の果て何処かにしわ寄せがきて、お互いの首を絞める結果になるケースも昨今マスコミを賑わせています。
 葬儀の世界もインターネットの普及に伴い、おくばせながら競争社会に入り、安さだけに目を奪われてしまいそうなケースもよく見受けられます。
 当センターの賛同社は一般的な値段から行くとかなり安いように思われますが、大方の葬儀担当者は「安いですよ」というだけの売り方をしていないと言う。
 一方で「葬儀社は究極のサービス業」とも言われているだけに、目に見えないものを価格だけで並べていってドンドン値段を下げていけば、サービスの低下に繋がってしまいます。
 ある担当者いわく「こんな値段でここまでやってくれるのかということが大切で、安かろう悪かろうではなく、適切な料金とご喪家が如何に満足し、納得してしてもらえるかにかかっています」
 価格とサービスのバランスがうまく取れ、目が行き届くのは組織化された大手よりもむしろ中小の葬儀社に軍配が上がるのでと想像されます。
 色々な事情で予算がこれしかないとなれば、その範囲でできることを提案し、何とかしてあげたい、相談されると断れないと担当者は異口同音に言う。
 たとえば予算が祭壇コースの中の最小コースにも満たない場合でも、あきらめずに相談してほしい。祭壇ではなく、生花を柩の周りに置き、遺影の周りを生花で飾ることもできますとの由。

葬儀の良し悪しは打合せで決まってしまう

 ご葬儀は慶びごとと異なって心の準備も無いまま突然迎えたり、平常心でない精神状態で臨むため、始めは金額や式場や祭壇など目に見えるものばかりに関心がいってしまいがちですが、終ってみると担当者の采配ぶりが如何に重要かがお分かりになるようです。
 
 そのためには1人の担当者が責任を持って最初から最後まで丁寧に面倒を見ることが大切な要素になります。 
 ご喪家と担当者との相性もありますが、ベテランともなればそこはプロ。
 最初の打合せでご喪家は何を望んでいるのかをいち早くキャッチすると同時に、ご喪家の方にこの人に任せて大丈夫だという安心感をもたせることが最初の鍵になるようです。

 そのあたりのコツを担当者に伺うと、「初めてお会いした方に如何に早くなつきなつかせるかが大切です。相手の方がこっちに入っていいよと受け入れてくれれば、相手も聞き易いし、その時間を如何に詰めるかに掛かってきます。色んな話をしますが例えば日程から始まって葬儀代金の話は最後になります。よく葬儀代金の話を始めに持っていって、この間ですでに話しがギクシャクしてしまうようです。写真を預かったり色紙を書いてもらったり、色んな話をしているとおおよそ分かってくるんです。写真を預かる頃には生前の人となりが分かり、その間に相手側もうちとけて、葬儀の色んなことが分かってくるようです。ですからお金のことは最後です」とのことでした。 

「臨機応変ぶり」はベテラン担当者の腕次第です

 やり直しがきかないご葬儀はどんなアクシデントも包み込み、無事終らせなければいけない。
 これは鉄則です。
 通常、式は通夜1時間、葬儀・告別式1時間ほどの中で進行します。
 宗派により多少の時間差はあれども、式の流れは殆ど似ていますので、葬儀の担当者はご喪家のご要望や様子を見ながら、腕の振るいどころを考慮し、何処に力を入れるか細心の注意を払い進行を見守っています。

 一方のご喪家側は心の準備ができないまま式に臨むことが多く、思いついたことを突然ご要望になり、時として担当者を慌てさせるようです。
 最近増えてきた家族葬などは近親者のみなので、ご喪家の個性もはっきり打ち出され、ご要望もエスカレート傾向にあるようです。

 先日も故人が習っていたバイオリンの先生が、式直前にバイオリン演奏で故人を見送りたいとの申し出がありました。
 急なことではあるが、何とかご要望をかなえさせるには何処に演奏時間を持っていくのがベストなのか、開式時間が迫っているなか担当者は咄嗟に色々な案を提案しました。
 演奏時間は融通が付くということなので、式前に演奏を始め、会葬者の心を落着かせて読経に入る案もありましたが、ご住職と相談する時間もないので読経途中はできず、結局、繰上げ初七日法要を済ませ弔電を読み終えた後に落着きました。
 優雅な演奏に耳を傾けながらも、決められた時間枠のなかで後に影響は出ないか心配しましたが、さすがベテラン担当者、最後のお花入れの儀も手を抜くことなく、しかも時間内でぴたりと修められたようです。
 出棺に合わせて再び演奏され、バイオリンをこよなく愛した故人にふさわしいお見送りとなりました。