「駄目な社葬」とは・・・。

 社葬に関する出版物を見ていると、如何に対外的に立派な社葬を行なうか、葬儀実行委員長の肩には社運が掛かっているといっても過言ではないようです。
 立派な社葬とは会葬者が感動し心に残るご葬儀でもあります。
 しかし、そうは言っても各社そんなに多く経験することではありません。
 その時になってどのようにすれば立派な社葬を行なえるのか。
 その一つの具体例として駄目な社葬を知ることではないでしょうか。
 明日香出版社刊「社葬の実際」にも幾つか挙げられていますが、実際に立会いに伺って特に強く感じたことを少し挙げてみます。
 駄目な例として葬儀が長引いて、告別式に参列した一般会葬者が待たされた。受付けの対応がまずかったというなかでも炎天下で氷水一杯出なかった。寒いのにお茶も出なかったとありますが、これはかなり実感があります。
 真夏のご葬儀で出棺を見送ってほっとした会葬者が戸外で冷たいお茶のサービスに長蛇の列を作っていました。これは葬儀社の気遣いからのサービスでしたが、思わずほころんだ笑顔が思い出されます。
 また、それとは逆に、予想以上の会葬者の為、斎場内には入りきらない会葬者を真冬の寒空に待たせる羽目になったこともありました。お清めの会場も狭く、体を温めるのもあきらめてお帰りになった方も多かったと聞きました。
 その他、よく耳にするのは香典や供花を辞退する旨の新聞広告にもかかわらず、実際には受付けていた。案内されて控室にいったが満員で入ることが出来なかった。会場で座る場所が分からなかった。案内の表示が不親切で会場までの道順がよく分からなかった。供花の並べ方、順番がおかしいのでは等、少しの気配りと気遣いで防げることもあります。
 各担当部署の社員の仕事ぶりもお見えになった方々の会社への評価に繋がります。
 如何に満足してお帰りいただくかが社葬の成功の鍵になるようです。

死因究明制度の現実

 日本の死因究明制度が先進国最低レベルであることが、「焼かれる前に語れ~司法解剖医が聴いた哀しき遺体の声」(岩瀬博太郎・柳原三佳/著 WAVE出版)という本を読んでよくわかった。

 時津風部屋の力士急死や、福岡市の米国男性急死でも外傷による死亡が警察の検視では病死とされていた問題が、どうして起こってくるのか?

 これらの問題は、たまたま運悪く起こったことではなく、日本の死因の究明制度そのものの欠陥により、起こるべくして起こる問題であるようだ。
 その欠陥とは、検死体制や責任の所在、施設、人員、予算、法整備である。

 昨年、警察が取り扱った異状死体は15万4579体で、このうち90%にあたる13万9854体が解剖せずに、視診や触診などの外表検査による検視・検案で死因が特定されている。

 都道府県により、異状死体のうちどれくらい解剖されるのかの解剖率が違うのにも驚いた。監察医制度のある神奈川県(31.2%)や兵庫県(19.3%)、大阪府(17.4%)、東京都(16.4%)が高いのに対し、解剖率が低いところでは、埼玉県(1.5%)、鹿児島県(1.8%)、愛媛県(2.2%)、千葉県(2.3%)と差がある。どこで亡くなるかによって死因の判断が変わってしまうことだってあるかもしれない。

墓石を買う時、注意する事とは・・・・。

 「葬儀社の方にはご葬儀の後のことも相談に乗っていただけますか」
 電話やメールで葬儀の相談を受けた時、その後のことを心配されて尋ねられる方が増えてきています。
 特に都会生活では周りに相談できる適当な方がいらっしゃらないという事情もあります。
 もちろん葬儀社の担当者もご協力し、アドバイスいたしますのでご安心ください。
 ご喪家の方にとってはご葬儀も滞りなく無事終わり、ほっとする間もなく翌日からお世話になった方々へのご挨拶から遺品の整理、各方面への支払い、役所関係や遺産の手続き等と忙殺される毎日が続き、気がつくと49日が目の前に迫っていたという状態ですと皆さん異口同音におっしゃいます。
 49日には納骨をしたいのでとお墓を希望される方も多いようです。
 お墓に埋葬の時には墓石を彫る必要がありますので3週間前くらいには石屋さんに手配をお願いすることになります。
 お墓を買う時に気をつけることの一つに寺院墓地の広告で「過去の宗旨・宗派は問いません。仏事は寺住職が行います」と書かれていた場合の意味は、過去はどのような宗教であってもかまいませんが、契約する時はそのお寺の檀家になってもらいますということですのでご注意ください。
 また、石屋さんが販売し、バックに寺院が付いている墓地を購入の場合にも注意が必要とのことです。
 「宗派はかまわないですよ」といわれて購入したが、実際にはバックについている寺に改宗させられることが多いとは葬儀社の担当者の弁です。
 たとえば、法要、供養等で供物やお花を墓に供えたたままの状態で帰ってしまいますので、後の掃除や管理をしてもらうことになり、お寺からは「やっておきましたから」といわれ次第に申し訳なくなってきて、気が付いたら改宗していたということもあるようです。
 
 

大勢で追悼する社葬、団体葬、お別れの会の微妙な違いはどこからくるのか

 いつの頃からでしょうか。新聞を手に取ると訃報記事に目が行くようになったのは。
 今日もなにげなくいつものように新聞を開くといきなり知った名前が目に飛び込んできました。
 2年ほど前、お伺いして色々お話をお聞きした時はご高齢でしたが、現役であんなにお元気でしたのに・・・。しばし新聞を抱え込んで、呆然としていました。
 ご葬儀はすでにご親族だけで済ませ、後日青山葬儀所でのお別れの会との報。
 お別れの会はトレードマークの笑顔の遺影の前に大勢のお仲間が馳せ参じることでしょう。
 
 このように大勢の会葬者が見込まれるお別れの会や団体葬や社葬の場合は生前故人と親しかった方のみ内々の密葬という形で別に葬儀が行われます。
 故人の個人的な関係は密葬で、おおやけな関係は社葬、団体葬、お別れの会でということになりますが、表立っては同じように追悼する社葬、団体葬、お別れの会の中でも微妙な違いがあります。
 中でもおおやけの部分がより強調されるのは社葬です。
 社葬の場合は経費を税理処理するために、取締役会議での議事録が必要になり、どちらかといえば故人の業績を称えると同時に会社の新生をアピールし、社運をかける方に力点が置かれることになるようです。
 団体葬、お別れの会は葬儀の規模を大きくしたもの、社葬は葬儀の名を使った会社のイベントと位置づけた方がやりやすいようにも思われます。
 故人のために社員も借り出されるのではなく、会社の仕事として社員一丸となりどれだけ積極的に行動できるかお客様からも試されていることを葬儀社の担当者は訴えていました。
 社葬は威厳を持って静々と進行する形に、団体葬、お別れ会は故人の業績を前面にアピールしながらしめやかに進行する形となるようです。

 
 
 
 
 

葬儀社の役割

 ときどき次のような電話をご依頼者から受けます。

「○○会館で式をしたいのでですが、どのように申し込めばいいのでしょうか?・・・」

 自分たちで斎場は見つけてとらなければならないと漠然と思っている人がどうしていいかわからず問い合わせてきます。

 しかしながら、斎場の手配はほとんど葬儀社がやっているというのが現状です。それは斎場の手配にとどまらず、料理の手配や返礼品の手配、さらには宗教者の手配までします。つまり、お亡くなりになった後、病院からの搬送から、ご安置、通夜、葬儀告別式、火葬、会食にいたるまで、すべてのことが滞りなく、進行するように段取りしてくれるのです。

 それゆえ、よい悪いはともかくとして、ご依頼者にとって「よい葬儀」にできるかどうかは、葬儀社(および担当者)選びにかかっているということになってきます。

「葬儀の良し悪しを決める斎場選びは自分の目で確かめて決めたい」

 メールや電話でのご相談の中でもご希望の斎場を決めていらっしゃる方、色々なご要望をお聞きしてから葬儀社の担当者に探してもらう方と斎場探しは様々です。
 場所、予算、規模、内容から最適と思われる斎場を決めていても最後日程の都合で折り合いがつかず、二転三転することももありますが、こんな時地域のことに詳しい葬儀社の担当者は面目躍如で、あらゆる場面に対処していきますのでご安心ください。
 ご喪家にとって斎場と火葬場の場所と日程を決めることがご葬儀への第1歩です。

 そんな中で日程を延ばしても、ご自分の希望する条件に合う斎場にこだわる方も増えてきています。
 葬儀社から概算の見積りをとり、担当者と式場の下見に行く方はその場で直接確かめて疑問点や問題点を問いただすことができます。またご希望の条件に合いそうな式場を数ヶ所伺って候補を絞り込む方もいらっしゃいます。いずれもご自分の目で確かめて納得のいく場所を選んでいらっしゃいました。
 たとえば、神奈川の方の場合は、ご親族が多数出席されるので、皆さんがゆったりくつろげる控室があることと最寄り駅から近いことが条件でした。7ヶ所ばかり回ってお清め所とは別に30畳ほどの和室がある山水閣をご指定されました。
 都内の方は無宗教葬で音を出せて、交通の便が良く、会葬者を戸外で待たせることが無い式場をとのことで数ヶ所見て回り、池袋の沙羅ホールに決められました。
 静かにご家族ご親族だけでお見送りがしたいと希望された方は7ヶ所ほど見学されて大崎駅から3分ほどのゆったりした静かな雰囲気の観音寺会館に決められました。
 

故人が現役で仕事をしていた場合は通夜よりも告別式に伺った方がよい

 近頃、ご家族ご親族のみでご葬儀を執り行う場合以外、会葬者の多くは通夜に集中する傾向にあります。
 元々通夜は葬儀の前夜、神仏に祈祷や祈願をして邪霊や野獣からご遺体を守るの意味から故人と親しかった人達が1晩中付き添ってお守りしたことから始まったようです。
 
 しかし、日中の葬儀・告別式は特に昼間仕事で忙しい人にとって時間的ロスが大きいためもあり、いつの間にか夕方からの通夜の参列者が増えて来て、都会では一般会葬者は通夜に伺い、葬儀・告別式は内々でという不文律ができてしまったような趣さえ感じられます。
 中には故人とお別れするためだからどちらでも構わないのではないかと思う方もいらっしゃいますが、本来は告別式でお別れされるのが筋ですから時間が間に合うようでしたら告別式をお勧めします。
 といいますのはご喪家側から見ますと、費用の面で大分異なって参ります。
 特に現役でお仕事をされていた故人の場合は会葬者が大勢お見えになる傾向があります。
 そのため葬儀社に支払うものはかわりませんが、人数によって通夜ぶるまいの料理代にかなりな金額がかかってしまいます。
 ご喪家側としてはこれからのことがありますので費用の面ではできるだけ抑えたい気持ちでいっぱいです。
 告別式ですと礼状と返礼品だけで済みます。出来ましたら会葬は告別式にお願いしたいですね・・・。

 
 

 

密葬という言葉が意味する内容にも変化が?

 このブログでも「あさがお葬儀社紹介センター」のホームページでも、密葬を「身内を中心にした葬儀」という意味合いで使用しています。この理由は、一般の人(ご依頼者)の多くがこのような意味合いで理解していると思っているからでした。

 ところが、電話相談を受ける中で、最近、葬儀を行わず火葬のみにするのを密葬という言葉で表現している人が少数ではありますがあらわれてきているように感じています。

 われわれとすれば、どういう言葉が使われているのかを注意深く聞くと同時に、その言葉がその人にとって何を表しているのか理解しようと努めています。

 依頼者が本当は何を考えているのか、望んでいるのか、これを理解できるようになるのは口で言うほど簡単ではないのですが、これができるところは葬儀業界に限らず、どの業界でもお客様(ご依頼者、消費者)に喜ばれるもの・サービスを提供できるところだと思っています。

家族葬こそ気配りが必要です

 都会を中心に家族だけ又は家族と親しい親族・友人のみでお見送りするケースが増えてきました。とはいってもご喪家の趣旨がなかなか素直に伝わらず、当日になって予定の何倍もの会葬者で式場がごった返す場面にたびたび出くわすことがありました。
 そんな中で最近出会った印象的な二組の家族葬をご紹介します。
 特別なことをするわけではありませんが、心に残る気配りの行き届いた采配ぶりからベテランの担当者の心意気が伝わってくるようでした。
 二組とも祭壇前での記念撮影から始まりました。開式前の緊張がほぐれ、気持ちが素直に故人と向かいあえる雰囲気が出来るようです。
 1組目の家族葬に伺った時、担当者からご家族と親しいご親戚だけなのでゆっくりやりますと言われました。永年連れ添ったお母様の悲しみが強く、かなりお疲れの様子なので、葬儀・告別式共お母様のペースに合わせて進行しますとのこと。
 式よりも最後のお別れの方に重点が置かれ、お花入れの後しばらくお父様との無言の対話の時間があってから、お母様は担当者が用意した車椅子に乗って火葬場に向かわれました。
 炉前の告別ホールではお1人ずつご焼香されましたがお母様はなかなかその場を離れることが出来ませんでした。周りの若い方々もゆっくり見守り、全てお母様中心にことを運びました。
 2組目の家族葬は故人の希望でした。
 故人は女性で会社を経営されていらっしゃったので普通にご葬儀をやるとかなりの会葬者数になってしまいます。ご遺族もお母様の意思を尊重しあえてご家族ご親族のみとなりました。通夜に会社関係の方が3名ほど「集まった香典」を持っていらっしゃいましたが、通夜の開式前にお帰りになられたとのこと。
 担当者は開式前にこれから始まる葬儀告別式を分かりやすく説明します。
 「火葬場から混んでいる旨無線で連絡が入るので時間のずれがありますが、逆にお別れがゆっくりできるとお考えいただければ」と具体的に示しながら、読経の順序も手短に分かりやすく説明され、出席者一同大いに納得された様子でした。
 最後のお別れの儀では「お別れは何度でもしてください。言葉をかけてあげてください」の声に励まされたように皆さん思い思いに声を掛け合っていました。大好きだったかすみそうの花束で埋まった上から趣味のお稽古でお召しになったお着物がそっとかけられました。

 
 

大好きなお酒が飲めなかったお父さんへ末期のお酒をどうぞ・・・

 病院で厳禁される代表格である酒は長患いの方にとっての希望の星でもあります。皆さん、再び飲める日を夢見ながら病魔と闘い続けていらっしゃいます。
 
 先日、立会いでお伺いした方もお酒が何よりお好きな方でした。
 不幸にして闘い敗れたお父さんに最後のお酒を心ゆくまで飲ませてあげたいとご家族ご親族の手で、末期のお水の代わりにお酒を口に含ませてあげました。
 下町の職人さんのご一家は絆が固く、特に故人に対して尊敬の念が強い昔ながらのご家庭でした。
 「ご家族ご親族のみの葬儀を希望されていましたので出来るだけお別れの時間をゆっくりしてさしあげることを念頭に置きました」と葬儀社の担当者は語っていました。
 病院からご自宅に戻られたご遺体は安置された後、納棺での旅支度を1時間半くらい掛けてゆっくりと行いました。
 旅支度に先駆けてまずはお孫さんを中心に20数名の出席者がめいめい故人に話しかけながら大好きだったお酒を口元に含ませました。
 亡くなられてご葬儀までの3日間はご親戚の方も次々にいらっしゃってゆっくりお別れする大切な時間だったようです。
 
 同じ頃、40代という若さでお亡くなりになった方は突然倒れられてから、ずっと飲まず食わずの状態のままでした。
 最後のお別れの儀ではお花を棺に入れる前にグラスに注いだお酒を家族ご親族50名ほどの皆様めいめいにより、お顔の周りや胸元に盛大に注ぎ、ご冥福をお祈りしました。

 
 天国の皆さん、最後のお酒はどんなお味でしたか?・・・