距離感の大切さ。

 先日、意味もなくつけっぱなしだったテレビで「外国人旅行客に人気のあるホテル」という話題がありました。何気なく見ていたのですが、そのホテルの女将の仕事ぶりになんとなく共感を持ち、つい引き込まれて真剣にみてしまいました。

 そのホテルは、リピーター客がとても多く、外国人旅行者にとても喜ばれているそう。その理由は、料金の安さもさることながら、女将の面倒見の良さに大きな理由があるようです。
 女将の仕事といえば、もともと面倒見が良い人でないとなかなかこなせない仕事だと思うのですが、テレビで放送していた一場面では、大柄の外国の方(男性)が浴衣を買いたいと女将に相談し、その男性が無事、自分に合うサイズの浴衣を買えて喜んでいるというところでした。
 相談を受けた女将は、まずホテルの浴衣を着せてみますが、サイズが合わず、ネットなどを駆使して色々と探した結果、両国に大きい浴衣を扱っているお店を探し当てました。(お相撲さんサイズですね)
 そして、そこのお店までの行き方を丁寧にメモに書き、事前にお店に電話をして「こういうお客様が行きますので、わからないことがありましたら連絡をください」とホテルの電話番号を告げ、ちゃんとお買いものができるように手はずをつけてあげていました。
 結果、男性は無事そのお店にたどり着き、浴衣を購入できたので、とてもよろこんでいまいた。

 その後のインタビューで、女将は「お客様との距離感を大切にしている。道も分らず、日本語もよくわからないので、買い物に一緒について行ってあげたいと思うのだが、自分はあくまでもホテルの女将であり、相手はこのホテルを利用しているお客様ですから、女将としてやってあげられることはここまでです」というようなことをおっしゃっていました。やりすぎず、でも、一定の距離を保ちながら、やってあげられることはとことんやってあげる。
 外国から来た旅行者とホテルの女将という立場の距離感はそれでちょうどいいのでしょう。

 葬儀の相談をされる方でも、いろいろな方がいらっしゃいます。ご自身で調べるので、手掛かりだけををさくっと教えてほしい方、細かいところまできちんと詳しく知りたい方…。
 
 やりすぎれば親切もおせっかいになります。おせっかいくらいがちょうどいいと感じる方もいらっしゃいます。
 相談員としての立場やご相談者の方の状況に応じて、ちょうどいい「距離感」を保ち、的を得た対応ができるよう…まだまだ、身につけなければならないことは沢山あります。

使い勝手のよい斎場とは・・・。

 斎場を選ぶ時の基準は様々です。
 どんなご葬儀をされたいかによって、斎場選びも異なってきますが、それでも人はヨーロッパ風の古い回廊を模した外観に魅せられ、由緒あるお寺という言葉にまどわされ、後でほぞをかむこともしばしばあります。

 中身の使い勝手の良さは重要なポイントになってきます。
 公営・民営を問わず、普段使い慣れている葬儀担当者に伺うと、一つひとつは些細な何気ないことでも実際に使う側にたってみると大きな問題を抱えていることに気付きます。

 中でもよく指摘されるのがトイレの場所の問題。
 先日立会いでお伺いした斎場もその一つです。
 ずらっと並んだ式場は大勢の会葬者の方々で賑わいを見せていました。
 葬儀担当者に使い勝手を伺うと少々渋い顔。

 これだけ立派な式場が並んでいてもトイレは左端に1ヶ所だけとのこと。
 右端の式場の方々は見慣れぬ長い回廊をひた走り、目的地に着くまでに思わぬ時間を要するはめになってしまうようです。
 お年を召した方には重労働です。

 また、別の斎場ではスペースをとる大式場はトイレの場所まで手がまわらず、トイレは小式場の隣に設けられていたが、後が大変です。

 式場どうし開式をずらして使用するまではよかったのですが、ずらしたために小式場での厳粛なご葬儀の間中、後から大式場へお見えになられた方々がトイレを行き来され、トイレの話し声が筒抜けになってしまうハプニングも今や日常茶飯事のようになってしまった感があり、おしゃべり禁止の立て札もなんのそのといったところのようです。

団地

 私は子供の頃、団地に住んでいたのですが、お葬式は団地の集会所でやるのがあたりまえだと思っていました。
 当時はほとんどが自宅で葬儀をやっていた時代だったので、団地という集合住宅では集会所を利用するのがあたりまえのことだったようです。
 
 しかし、そこの団地では、最近では集会所で葬儀をやることがなくなったそうです。便利な斎場が近いということも集会所を利用しなくなった理由の一つのようですが、そこの団地自体、住民たちの横のつながりが希薄になってきたように感じるとのこと。

 当時の子供たちが大人になり、団地を離れた今、多くの住人が親の世代です。子供が一緒に暮らしていたころは、お隣さんや上下のお宅だけでなく、少し離れた家でも家族ぐるみで付き合いをしていたのですが、今はそれも難しいそうで、道で会っても挨拶をする程度だとか。

 もちろん、未だにお付き合いのある人はいるようですが、それも昔ほどではないそうで。
 
 最近は、密葬・家族葬ということから、近隣に知らせることなく葬儀を終えることが多くなってきたのは、この団地でもあてはまることで、「最近見かけないな…」と思っていると、後日、「○○さんが亡くなったらしい」と人づてに聞かされることがあるそうです。

 自宅から近くて、安い費用で使える慣れた場所である集会所でも、そのほかのいろいろな事情から利用されなくなっているところは、この団地以外でもあるのでしょう。

 私の両親も、「斎場にしてね」と言っています。万が一のとき、どこまでの範囲にお知らせしたらいいものか…。元気なうちに聞いておいた方がよさそです。

雨のご葬儀

 爽やかな陽気の5月もあと残すところ数日。
 テレビではジメジメした梅雨に向けて、食中毒やカビなどの話題が増えてきました。

 沖縄では既に梅雨入りしていますが、関東地方は6月上旬との予報。例年より少しだけ遅いそうです。

 当たり前のことですが、ご葬儀において「雨だから延期」はあり得ません。
 以前、雨の降った日のご葬儀に立ち会わせていただきました。

 朝からシトシトと降っていた雨が、ちょうど出棺のタイミングで強く降りだしてきました。
 斎場では雨に備えて出棺の際にお棺が濡れてしまわないような配慮がされていたのですが、一緒に火葬場へ行くご親族は急いで車に乗り込みました。
ただ、出棺後には斎場へ戻らないため、ご遺族は沢山の荷物を両手にもっているので、傘をさすのも難しい状態。
 葬儀社の担当者が傘に入れて差し上げたのですが、その傘はとても大きい白黒の傘でした。

 葬儀社用の傘だそうで、担当さんいわく、「どこの葬儀社さんも持ってるいと思いますよ」とのこと。

 私自身は雨の日の出棺に立ち会わせていただいたことがなかったので、初めて見た傘でした。

 雨はいつ降るかわからないものですが、慶弔用の地味目の傘も用意しておいたほうがよいかもしれません。

ご自宅代わりに個室でゆっくりご家族と・・・。

 「こんな所に入れられてと言われると正直心は痛みますが、それではご自宅にどうぞとも言いたくなります」人のよさそうな係りの方の口から思わず出た言葉です。
 
 最新式の設備が整った清潔な霊安室ですが、無機質な冷蔵庫を見ただけで、初めての方にとっては存在そのものが少なからずショックのようです。 
  ほんの数時間前まで御一緒していた方が入ってしまわれること自体に、呆然とされる方も多いのではないでしょうか。 

 少し前まではご自宅でのご葬儀がごく普通に執り行われ、ご近所の方々もお手伝いにかけ参じる風景が繰り広げられていましたが、都会を中心に今やご自宅でのご葬儀は皆無に近い状況になってしまいました。 
  当然のように病院でお亡くなりになってもご自宅には戻らず、ご自宅以外の場所にご安置され、ご葬儀の当日を待つのがごく一般的な習わしのようになってきています。 

 しかし、いざその場になってみると、ご自宅以外のご安置場所の存在が、にわかに心配になってくるようです。 
 公営斎場の霊安室は納棺された状態での受け入れとなるところが多く、まずは保管前の納棺をどこでするかが第1の関門です。  

 霊安室を持つ病院ならば霊安室での納棺は可能ですが、霊安室を持たない中小の病院の場合は、病院での長居も難しく、時として病院からせかされながらも一旦納棺のために民営の安置所に出向き、納棺された状態で初めて公営斎場の受け入れ対象となります。
 普段目にすることが無いご安置は一般の人達にとって不安材料の要因となるようです。 
 地域によっては適当な安置所が少なく、少し遠出になってしまい、面会にも支障をきたすケースも出てくるとか。 

 そんな中、益々ご自宅でのご安置が不可能に近い状態の昨今ですが、画一的に管理されてしまうご安置方法にも、変化の兆しが見え始めたようです。 
 いきなり冷蔵庫行きではなく、ご自宅の代わりに個室でゆっくりご家族とお過ごしいただけるようなご安置方法が目下注目です。

NPO法改正とDM

 少し前に、NPO法人の理事長をしている知り合いの人から、「理事を変更するのに定款を変える必要があるのか・・・、登記はどうするのか?」というような内容の質問電話だったと記憶しています。理事を変えるという話をしていたけれども、おかしな質問をするな、とその時は思いました。

 しばらくして、NPO所管のお役所の外郭団体のような名称のところから、飾り気のない、いかにもお役所が送りそうな封書が届きました。ぱっと見、重要な感じがします。中身はというと、「すべてのNPO法人は平成24年4月以降に変更登記が必要です!」と抑え気味ながら不安煽りモードのDMです。結局、手続き代行しますという流れです。
 営業DMだとすぐに気づきましたが、大事そうな感じ満載でしたので最後まで読んでしまいました。

 知り合いもこのDMに煽られたのか、と合点がいきました。DMに入っていた認定NPO法人のことも聞いてきたので、ほぼ間違いないでしょう。うちは内閣府所轄(これも4月から各都道府県所轄になりますしたが)で、それよりも各都道府県所轄のところに早くDMがまかれたのも面白いです。

 変更登記の内容は、多くのNPO法人では、定款に理事長が法人を代表するというような規定があるので、代表権のない理事は登記簿から削除する、抹消登記を行う必要があるというものです(知り合いの話とDMのおかげでNPO法が改正になって、こうしたことをしないといけないと改めて気づいたので助かりましたが)。

 ゴミ箱直行のDMになるかどうかは、一瞬の判断です。なので、何か違うと思われるようなものでないと、他のDMと一緒にゴミ箱行きになってしまいます。

どんな斎場を希望されますか?

 ご相談の際、ご希望されている斎場はありますか?と質問をさせていただいています。

 希望の斎場は既に決めていて、そこに精通している葬儀社を紹介してほしい、や、候補を数か所考えているけれど、どこにするか迷っている、などのご回答が多い中、どこの斎場にしたらいいのか見当がつかないという方もいらっしゃいます。

 そのような方には、ご相談のやり取りの中で、質問をさせていただき、漠然とした状況を整理しながらどのような斎場がよいのかをご案内をさせていただいています。

 斎場を選ぶには、環境や状況によりいくつかのポイントがあります。
 一例になりますが、
・費用を抑えられるところがいい
・自宅などから近い斎場がいい
・少し離れていても、駅から近く、交通の便が良いところがいい
・火葬場と併設している斎場がいい
・家族葬に合うようなこじんまりとした斎場がいい
・大勢の会葬者が来るので、知名度の高い斎場ならば来る人がわかりやすい
 など、ご自身がどこの部分に重点を置くかがわかってくれば、どんな斎場が適しているのかが見えてくると思います。

 当センターのホームページ内でも斎場の情報をご案内をしていますが、先日一地域の斎場を訪問したところ、年月が経ち、費用や利用できる状況が変わっている斎場がいくつかありました。
 斎場を選ぶにあたり、当センターのホームページを訪問してくださった方に正確な情報をご提供できるように、これからも斎場訪問やご葬儀の立会などを続け、変更などにもすぐに対応できるようにしていきたいと思っています。

最近の遺影写真エトセトラ・・・。

今にも画面から飛び出して「やぁ、いらっしゃい」と、片手を上げてお客様をお招きするようなポーズに、ご会葬のお客様も思わず片手を上げ、「やぁ、しばらく・・・」とご返事されそうなお写真でした。

 遺影の写真と言えば上半身というよりバスト上くらいのお顔写真が多い中、お父様のお人柄がよく出ているこの写真を遺影に使いたいとのご喪家からの強いご希望がありました。
 真四角に近い画面の故人様とご対面された方々は終始温かな空気に包まれ、通夜のお清めでも思い出話は尽きなかったようです。

 一方、先日奥様を亡くされた御主人が素顔の素敵な奥様の写真を遺影用に作られましたが、親族会議で奥様の姉妹からの反対にあい、ご葬儀前日夜、急遽作り変えるというハプニングもありました。
 クレームの原因は化粧なしの素顔にあったようです。
 御主人は素顔のままの笑顔が一番との思いでしたが、最後の思い出に残るお顔は綺麗にお化粧された姿でなければ可愛そうというのが、仲のよかった姉妹の方々の反対理由です。

 正直、女性の目線から言えば、姉妹の方のお考えはごもっともですし、少々ややこしいことに、これから御主人のそばでずっと御一緒される写真ですから、御主人のお気に入りが一番のこともまたごもっともです。
 ここは御主人が姉妹の仲のよさに免じて1歩ゆずりましたが、思わぬところで女性目線、男性目線の違いが浮き彫りにされたようです。

 女性の皆さんはいかがお考えでしょうか。
 取っておきの一枚の写真。
 綺麗に撮れていることに越したことはありません。
 やはりこれは残された方々のためにも、お元気な今のうちにご自身で納得のいく写真を選んでおく必要があるように思われます。

斎場のリフォーム

 先日、寺院が管理されている、斎場へ訪問させていただきました。
 築15年と言われてもピンとこないほど、きれいに管理されていたのですが、近々リフォームをする計画をされているとのこと。

 見た目にはリフォームの必要はないのではないかと思うほど、斎場内各所がきれいに保たれています。
 内装は現在でもバリアフリーにも気を配られた造りになっており、まだまだ十分に活躍できそうな建物に見えるのですが、斎場を管理されているご住職のお話しによれば、やはり内部の配管や空調はそれなりに老朽化しており、特に空調は、夏の暑い日のご葬儀で、急にエアコンが止まってしまったら大変なことになりますからとおっしゃっていました。。

 斎場内をいつまでもきれいに保つためには、使ったら元の状態に戻すだけのこと。
 汚れていたり、痛んでいるところは、多少雑に扱っても気になりませんが、きれいなところが少しでも汚れれば元に戻すという意識が働きますから。とくに、ご葬儀が終わり、最後の片づけをする料理屋さんに関しては、お料理の味やおもてなしはもちろんのことですが、最後まできちんとやってくれる、信頼している業者さんを指定していますと徹底されていました。

 斎場を利用される方の二日間は、色々な想いがあるので、御自分のいる空間だけでも快適に過ごしていただければとのご住職の気持ちが伝わる斎場でした。

初めていく場所

 私は方向感覚が少し欠如しているようで、子供のころからよく道を間違えては遠回りをしていました。

 子供のころには引っ越したばかりの家に戻れず、探しまわっていた親にやっと見つけてもらったり、大人になってからは、車で10分もあれば到着するであろう友人宅へ行くのに1時間半もかかり、途中まで迎えに来てくれた友人とやっと会えたのは良かったのですが、「なんで車がこっちを向いているのか?」と、道を教えてもらいながら到着したにも関わらず、なぜか逆の方向から行ってしまったということなど、数々のハプニングを経験しています。

 最近は斎場取材に一人で初めての土地に出かける機会が増え、事前に地図を見て確認し、駅からの経路をプリントして持っていくようにしているのですが、実際に行って駅を出るとどっちの方向に行くのかが分からなくなることもよくあり、間逆の方向に歩き続けていたことも。
 ただ、斎場取材のように仕事で出かける場合、約束の時間に到着しなくてはならないので、迷っている時間はありません。
 
 そこで、最近大活躍をしてくれるのがスマートフォンのナビ機能です。
 カーナビのように、自分が歩いているところがわかるようになっていてとても便利です。道を外れてもすぐに軌道修正してくれるので、時間を大きくロスすることはなくなりました。

 ただ、充電切れという大きな欠点も。かなり電池を消費するようで、先日の斎場訪問では途中で電池がきれてしまいました。
 幸い、駅から近い斎場だったので、地図を見ながらなんとか時間前にたどりつくことができましたが、駅から離れているところだったら確実に迷っていたことでしょう。

 帰り道にあった家電量販店で充電器を購入しましたが、やはり全てを文明の利器に頼ってしまうのも良くないなと実感しました。

 これからも、まだまだ斎場取材やまだ行ったことのない場所へご葬儀の立会などに行くことが多々あります。迷わずに自力で目的地にたどり着けるような訓練も少しずつしていかないといけないなと感じてはいるのですが…。