「安さ」を最大の武器に各業種で価格破壊が起こっている中、ただそれだけでいいのかという疑問の声も上がり始めています。
競争の果て何処かにしわ寄せがきて、お互いの首を絞める結果になるケースも昨今マスコミを賑わせています。
葬儀の世界もインターネットの普及に伴い、おくばせながら競争社会に入り、安さだけに目を奪われてしまいそうなケースもよく見受けられます。
当センターの賛同社は一般的な値段から行くとかなり安いように思われますが、大方の葬儀担当者は「安いですよ」というだけの売り方をしていないと言う。
一方で「葬儀社は究極のサービス業」とも言われているだけに、目に見えないものを価格だけで並べていってドンドン値段を下げていけば、サービスの低下に繋がってしまいます。
ある担当者いわく「こんな値段でここまでやってくれるのかということが大切で、安かろう悪かろうではなく、適切な料金とご喪家が如何に満足し、納得してしてもらえるかにかかっています」
価格とサービスのバランスがうまく取れ、目が行き届くのは組織化された大手よりもむしろ中小の葬儀社に軍配が上がるのでと想像されます。
色々な事情で予算がこれしかないとなれば、その範囲でできることを提案し、何とかしてあげたい、相談されると断れないと担当者は異口同音に言う。
たとえば予算が祭壇コースの中の最小コースにも満たない場合でも、あきらめずに相談してほしい。祭壇ではなく、生花を柩の周りに置き、遺影の周りを生花で飾ることもできますとの由。
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葬儀にまつわることを織り交ぜながら担当者の日常模様が描かれています。
葬儀の良し悪しは打合せで決まってしまう
ご葬儀は慶びごとと異なって心の準備も無いまま突然迎えたり、平常心でない精神状態で臨むため、始めは金額や式場や祭壇など目に見えるものばかりに関心がいってしまいがちですが、終ってみると担当者の采配ぶりが如何に重要かがお分かりになるようです。
そのためには1人の担当者が責任を持って最初から最後まで丁寧に面倒を見ることが大切な要素になります。
ご喪家と担当者との相性もありますが、ベテランともなればそこはプロ。
最初の打合せでご喪家は何を望んでいるのかをいち早くキャッチすると同時に、ご喪家の方にこの人に任せて大丈夫だという安心感をもたせることが最初の鍵になるようです。
そのあたりのコツを担当者に伺うと、「初めてお会いした方に如何に早くなつきなつかせるかが大切です。相手の方がこっちに入っていいよと受け入れてくれれば、相手も聞き易いし、その時間を如何に詰めるかに掛かってきます。色んな話をしますが例えば日程から始まって葬儀代金の話は最後になります。よく葬儀代金の話を始めに持っていって、この間ですでに話しがギクシャクしてしまうようです。写真を預かったり色紙を書いてもらったり、色んな話をしているとおおよそ分かってくるんです。写真を預かる頃には生前の人となりが分かり、その間に相手側もうちとけて、葬儀の色んなことが分かってくるようです。ですからお金のことは最後です」とのことでした。
お葬式の値段には裏がある
元警官のジャーナリストの黒木昭雄さんが書いた「葬式の値段には裏がある」という本があります。葬儀社と病院との癒着の実態や悪徳業者の手口など葬儀社を取り巻く裏事情を描いています。
お父さんが亡くなった際の葬儀費用に不信をもったことが、この本を書くきっかけだったといいます。
要するに、この本が明らかにしているのは、葬儀社、葬儀費用など葬儀を取り巻く情報・知識を持っていないことがどれほど危険なのかということです。
もっとも、こうしたことは葬儀業界だけのことではありません。どの業界でもあることです。たとえば、葬儀社自身も痛い目にあっています。
最近は、葬儀社もホームページで情報を提供しているところが多くなってきています。だいたい葬儀社の人は、そちらの方面に明るくないので、費用のみならず内容に至るまで、だいたい製作会社やSEO会社などのいいなりです。
そして、かなりの無駄な費用を使った挙句、効果がなかったと後悔だけしているのです。
いずれにしても、知らないとだいたい不利益を被ります。(利益の源泉は情報格差による、と喝破している学者がいるほどですから。)
ただし、不利益を被るからと言って、自ら、すべての情報に精通することはできません。それでもいろいろな場面で、知らなくても判断しないといけないことは多々あります。
この場合役立つことは次の2つでしょうか。
・常識的な感覚を持っておくこと。
・よき相談者がいること。
ご葬儀は搬送先を決めるところから始まる
「今、母が病院で息を引き取ったばかりなのですが・・・・。八王子の葬儀社さんを紹介してください」緊張しきった声が受話器から聞えてきました。
すぐさま、現在の状況を聞き、搬送する先をまずお伺いして、賛同社の葬儀社に連絡をとり病院までのおおよその時間を先方にお伝えすると、電話口にほっとしたような空気が流れました。
病院での処置に時間が掛かることもありますので、依頼者には直接葬儀社の方にご連絡をお願いしています。
搬送先はご自宅かご自宅以外の場合になります。昨今、都会を中心に住宅事情やプライバシーの問題等がでてきて、自宅以外にお願いすることが圧倒的に多くなってきました。
ご自宅への搬送で一戸建ての家は問題ありませんが、マンション、アパートの場合は階数とエレベーター内部の鍵の有無を管理人さんに確認を取っておく必要があります。
搬送は時間を選びませんので深夜の場合エレベーターの鍵の確保が重要です。エレベーターでご遺体を運ぶ場合、ストレッチャーを低くして奥に突っ込むような形になります。エレベーターがない場合、ご遺体を上の階まで運ぶことになり、階段が狭いと難しい場合があります。
葬儀社の担当者は異口同音に「長い間ご自宅から離れていらっしゃったから、出来れば一度お連れしてください」とのことですが、なかなか難しいようです。
ご自宅以外の場合は葬儀社所有の安置所や一時預かりの安置所、民営斎場の安置所、公営斎場の安置所などがあり、納棺との問題も絡んできます。特に公営の安置所はご遺体を柩に納めた状態でないと受け付けないところが多いので、一旦別な安置所で納棺するようになります。病院に
よっては病院で納棺してくれるところもあります。民営斎場の場合は納棺は自由です。
目黒区の大圓寺斎場のように、出棺直前まで、ご遺体をお蒲団の上に安置することが出来る斎場もあります。
ご遺族の気が動転しているなか、葬儀の準備は着々と始まっています。
ご遺骨を安置しておける施設が納骨堂です。
当センターは葬儀社の紹介をするのですが、相談の中で葬儀後の納骨の話になることもあります。今日は、名前は聞いたことはあしそうですが、どういったところなのかよく知られていない、納骨堂について書いてみます。
お墓や火葬に関する基本的な法律が「墓地、埋葬等に関する法律」(略して「墓埋法」と呼ばれています)です。
その中に、納骨堂とは、「他人の委託を受けて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう」となっています。
要するに、納骨堂とは、遺骨を安置しておくことができる施設です。
納骨堂はもともと墓地に埋葬するまで、一時的に遺骨を預かってもらうといったものが多かったため、一般的には預かり期間が定められています。ただ、更新可能で期間延長ができる納骨堂がほとんどです。この延長線上で、最近では、納骨堂を一時的なものとはせずに永代供養の場として利用したいというニーズに応え、永代供養墓を兼ね備えた施設も出てきています。
納骨堂自体は、コインロッカーのような形態が多く、抵抗を感じる人も多いようですが、最近ではそういった感覚も考慮した、立派なものも増えてきています。そのほか、仏壇の形になっているものや、通常のお墓と同じものが屋内に設置されている形態など最近では出てきています。
また例えば、お墓がないので、骨壷を自宅に安置せざるを得ないと思っている人も少なからずいます。納骨堂という形態が一般的にあまりよく理解されていなことがあるのでしょうが、納骨堂は、このような悩みを抱えている人の選択肢のひとつにもなるでしょう。特に公営の納骨堂は、細かい利用条件などが付いている場合もありますが、利用できれば廉価です。
納骨堂にも一般の墓地と同じように、公営や民営のものがあります。
納骨堂は土地を効率よく使用しているため、都心部であっても比較的費用がかからず遺骨を納めることができるようになっています。また、屋内スペースなので雑草を手入れするなど掃除の必要もありません。
ただ、反面、自分たちのスペースではないということから、お花や供え物を自由に行えなかったり、共同の参拝施設が設置されていて、供養はその場所で行わなければならないなどの制約もあります。
預かり期間や形態だけではなく、管理や供養、費用も様々ですので、それぞれの事情を踏まえて、さらには、それぞれ具体的な納骨堂の特徴の2つを合わせて考えることが必要です。
葬儀にまつわるお金の問題
冠婚葬祭は日々の生活の中で、最も出費の多い出来事です。結婚式はそれに向けて蓄えられているので楽しい計画が練れますが、問題は葬儀の方です。葬儀費用を残す間もなく逝ってしまわれた方、長患いで使い果たしてしまった方、残されたご遺族には、それぞれ切実な問題が迫っています。
依頼者からのご相談のなかでも、避けて通れない問題です。
「病院でお金を使ってしまったので、出来るだけシンプルな葬儀をしたい。家族と親族15名位の家族葬で、お坊さんも呼ばず、自分がお経が読めるのでそれで間に合わせてもよい位。通夜の料理のみで祭壇も要らない。お花が大好きだったので柩の周りをお花で飾る位で良い」との依頼者のご注文に、地域の葬儀社でぎりぎりの予算で快く引き受けてくれる当センターの賛同社に見積りを依頼するところから金銭の問題は始まります。
葬儀当日にご喪家から直接支払う斎場費、火葬料、待合室料等がありますので、多額な現金の用意が必要になってきます。葬儀社によっては全て立替払いのところもあります。
銀行は故人になったことが分かった時点で、故人名義の預貯金は凍結してしまいますので注意が必要です。
凍結されてからでは相続人全員の同意が必要になってしまいます。
分かった時点というのが少し曖昧で、申告するまでは大丈夫ですが、ある方の場合は銀行に行って近所の方にバッタリお会いしご挨拶されて、お亡くなりになったことが分かってしまいすぐに下ろすことができなくなってしまったとのことです。
銀行サイドでは「新聞の死亡欄にのった方、テレビラジオ等でお名前が分かった方はその時点で凍結されます」とのことです。一般の方はあまりナーバスになる必要はないようですが、万が一のことを考え、事前に引き出す用意も重要です。
先ずは菩提寺さんにお伺いを立てましょう
菩提寺をお持ちの方は病院からご遺体を搬送後、先ず始め菩提寺にお知らせし、ご住職から指示を仰ぐ。
建前的にはそのような形をとることが望ましいが、現実その時点ですでにご喪家は葬儀社を決めていることの方が多い。
自宅で葬儀をする方が大半の頃は、まずはご住職に伺いを立て、地元地域の古参が陣頭指揮をして、葬儀社の担当者は黒子に徹しているように見受けられました。
しかし、昨今都会を中心に斎場でのセレモニー型が大方を占めるようになると、ご喪家の意向を汲みとって式進行をする葬儀社の担当者の役割が格段に大きくなってきています。
突然のように訪れるご不幸に、何から手をつけてよいのか途方にくれてしまうのが現状で、頼みの綱は葬儀社の担当者です。気心の合った担当者にめぐり合え、気持も落着いて式に臨むことができると安心した矢先に、思わぬところから待ったが掛けられることがあります。
「菩提寺さん」です。
菩提寺の中には葬儀社を指定してくる方がいらっしゃいます。
菩提寺との普段の付き合いも薄いので、戸惑われる方も多いと思いますが、ご住職から断固として決められると、すでにご喪家が決めた葬儀社も撤退せざるを得ません。
葬儀社の担当者も「これからずっとお付き合いするご喪家にとってそれがベターだと思いますから」と、菩提寺がある場合は必ず確認をするとのことでした。
菩提寺とのトラブルは最も避けたい問題ですので、「ご喪家から菩提寺を聞いたら先ずはご挨拶に伺うようにしています」とは葬儀社の担当者の弁でした。
このようなケースは特に菩提寺を借りてやる場合に多いようです。
手元供養を知っていますか?
ご遺骨をどうするかについて、お墓以外の選択肢として、最近注目を集めているのが、手元供養です。手元供養は、遺骨を納めたり加工したりして身近において置けるものです。
「手元供養品は、最愛の方の遺骨を身近に置くことで、心のよりどころとなり、手を合わせ、或いは握りしめ、故人を偲び、語りかけられる自由なかたちの自宅での供養対象です。」というのは、NPO手元供養協会の解説です。
具体的な商品群としては、大きく分けて、遺骨をペンダントやオブジェの一部分に納骨するタイプと、遺骨そのものを加工してダイヤモンドやプレートに成型して、ペンダントやオブジェにしたものがあります。こうした商品が出だしてきたのも、それほど遠い昔ではなく、手元供養品のパイオニア的存在と言われる「エターナルプレート」が販売されだしたのが、1999年です。NPO手元供養協会ができたのは、2005年のことです。
時代背景としては、お墓が田舎にあり遠かったり、家に仏壇がなかったり、経済的事情でお墓が立てられなかったり、散骨してしまうなどの状況があるからでしょう。
もっとも、手元供養という言葉ができたのは最近ですが、骨壷などを身近に置いておく人は、昔からいましたので、手元供養のようなことは行われていました。
永六輔さんの「二度目の大往生」と「終―大往生その後」という本の中には、作家の住井すゑさんは、ご主人の墓をつくらず、骨壷をいつも抱けるところにおいているという話がでています。
ちなみに、遺骨はお墓に入れなくてはならないという法律はないので、身近に置くことは何ら問題ありません(ただ、家族以外の他人の遺骨を預かることができるのは、都道府県知事の許可がある施設に限られています)。
「お墓に入りたくない人、入れない人のために」(徳留佳之・著、はまの出版、1500円)という本の中で紹介していますが、現状、手元供養品を買い求める人は、子供を亡くした親がつくるケースが多いようです。
手元供養品だけで、完結させてしまうというよりも、お墓や散骨と組み合わせるという形になることのほうが多いかもしれません。
予算がなくても最後のお別れは大好きな生花で、それとも千羽鶴にする?
少し前までは祭壇と言えば白木の祭壇が殆どでしたが、最近は逆転して生花で飾る花祭壇が主流になってきました。
しかし、白木祭壇に比べ、花祭壇はまだまだ割高です。
白木祭壇がレンタル料に比べ、花祭壇は1から創り、お花の材料費・デザイン料その他諸々掛かります。
葬儀社の担当者の方も色々知恵を絞り、予算がないがどうしてもお花で柩を飾りたいと言うご喪家の要望にあわせ、祭壇ではなく、柩の周りにお花を置く感じにしたり、鉢植えを置いたりして対応することもあります。
生花にこだわる方には例えば、1基1万5千円の供花を4基出していただき、6万円の予算で柩の周りにお花を置く場合もあります。
また、故人の大好きだった胡蝶ランで祭壇を飾りたいが予算がないと言う要望には、一鉢50本もある胡蝶ラン二鉢をメインに飾ることで豪華に演出でき、満足頂いた例もあるようです。
一方、花祭壇でも生花ではなく、造花の場合もあります。白木祭壇にレンタルがあれば花祭壇にもレンタルがあってもよいのではないかと提案し、造花でボリュームのある花祭壇を提供している自社斎場所有の葬儀社さんもいらっしゃいます。
造花と聞くと先入観からか、ちょっと怯んでしまいますが、実際はほとんど見分けがつきません。と言うよりも言われるまでは見た目分からず、これで生花の何分の一と聞かされると生花信仰も揺らいでしまう位です。
柩に入れるお花は供花のお花をちぎりますので会葬者は最後まで気がつかないようです。
更に供花もない場合、お花の代わりに折鶴を柩に入れている葬儀社さんもいらっしゃいました。
お好みの色の折鶴を柩一杯に入れ、小さなお孫さん達にも大変喜ばれているようでした。
担当者によれば「近頃通夜にいらっしゃる方が増え、明日来れないから今日お別れしたいという方達の為にお花が切れないので代わりに折鶴をお渡ししたのがきっかけです」とのこと。
1回に200羽近くの折鶴はカラフルなお花にも負けない位のインパクトだそうです。
葬儀には、どのくらいの費用がかかるのですか?
「葬儀には、どれくらいの費用がかかるのですか?」
電話にでてすぐに聞かれることがまれにあります。
この質問に直接答えるとすれば、「条件によって違いますので一概には言えません」ということになります。
ただしここが大事なのですが、答えられないのではありません。条件さえ設定すればいくらでも費用は算出可能になります。条件とは、どこで施行するのかや、どれくらいの人が集まりそうなのか、というようなことです。
「葬儀費用は一概には言えない」だけで、その先の説明ができない葬儀社もまだ多くあるようです。
気の利いた葬儀社ならば、「葬儀費用は一概には言えない」だけで説明が終わることはありません。依頼者をとりまく状況をうまく聞き出して、この場所で、これくらいの規模で、・・・・これらの条件だと費用はこれくらいかかり、変動するところはこの部分です、というように説明してくれます。
さらには、依頼者にあった条件設定を提案してくれるはずです。