万が一の時には。

当センターでは、ご相談の際にお聞きしたご要望を、ご紹介する賛同葬儀社に伝えていますが、その際、センターから賛同葬儀社へ伝えるのは、ほとんどの場合、ご要望とお住まいの地域(例えば東京都ならば○○区くらいまで)とご相談者の方の名字くらいまでで、ご相談者様からの許可が無い限り、詳細な住所やフルネームなどの個人情報は伝えていません。 このことから、万一のことが起きて、ご相談者の方が依頼する葬儀社へ直接連絡をした際に、『どこから紹介されたのか』ということを伝えることは、スピーディーに対応してもらうためにとても有効な一言になります。 葬儀社では、事前相談を受け付ける窓口がいくつもある場合が多く、また、既に他社でご葬儀をされていても、連絡が無い場合には、ご葬儀がもう済んでいることを知らずにその時の事前相談の資料はそのままとっておいてあることも多いことと思います。 そのため、事前相談の資料はどんどん溜まってしまうので、どの事前相談だったのかを短時間で探すのが難しくなる場合もあるのではないでしょうか。 事前相談の資料の管理は各葬儀社さんでそれぞれわかりやすいように工夫をされていることでしょうけれど、緊急な状況の中で、名前を告げられただけでは、その中の1件を見つけるのは少し時間を要するのではないでしょうか。 そのような状況で、例えば当センターからの紹介の場合には『事前相談であさがおから紹介された』とお伝えいただければ、その1件を見つけることが容易になり、その時点で事前のご相談内容も確認できるので、対応もスムーズになると思うのです。 葬儀社のスムーズな対応は、大切な人が亡くなって動揺されているご依頼者の方にとって安心につながります。

保留の理由

 「お手配まで進めていただいているところではございますが、しばらくペンディング(保留)ということで、ご了解いただければ幸いです」
 新年早々に、上記のメールをいただき、ホッといたしました。

 通常のビジネス用語としては、かなり否定的なニュアンスをもたらす言葉ですが、ご葬儀の進行状態の中では、うれしいニュアンスも込められています。

 昨年の5月に最初の事前相談をいただき、メールのやり取りで見積りをお取りし、ご検討いただいているご相談者からの久しぶりのご連絡でした。

 この前にご連絡を頂いたのはお見積りをお渡しした1ヶ月ほど後のことでした。
 お悪かったお母様の病状が回復の兆しを見せ始めたので、「将来、そういう場合が参りましたら、その際にはあらためてご連絡をして、打ち合わせた通りに進めさせていただきたい」旨ご連絡を頂いてから半年。
 ずっと小康状態を保っていらっしゃるとのこと。
 もうしばらくはこのままかと思われていらっしゃるご様子に、思わず今は出来るだけお母様とのお時間をお取りいただくようこちらからも改めてご伝言申し上げた次第でした。

 ペンディング宣言から8ヶ月、残暑厳しい最中、メールをいただきました。
 お母様のご様子が思わしくなく、「以前の見積り内容は今でも有効ですか」とのお問い合わせに、「大丈夫」との葬儀社の担当者の言葉をつなぐ間もなく、ご逝去の報が入りました。
 ご病状を伺ってから1年4ヶ月よく頑張りましたね。
 いつの間にか、こちらも身内の不幸に出会ったような気持ちになっていました。

 事前のご相談を伺っていると、途中から対象者の方の病状が快復に向かい、ご相談者からペンディングをご希望されるケースに出会うことがたびたびありました。
 私たちは「いのち」に一喜一憂しています。
 どんなに先延ばしされ、保留されても動じないのも「いのち」です。
 時として「いのち」の不思議を感じます。

ご依頼者様の声はバロメータ

 本日、ご依頼者からのアンケートをホームページに3つ掲載しました。先週の10日に6通発送したものが、昨日3通、本日2通の返送をいただきました。
 アンケートは自分の身において考えてみると面倒なものでもあり、書くだけでも大変な作業です。その気持ちにならないとなかなか書きにくいものだと思います。それでもアンケートを丁寧にお書きくださり本当にありがたいことです。

 アンケートの最後に、
「これからご葬儀を考える方や、ご葬儀・葬儀社などに対して不安を持たれている方の参考になると思いますので、お答えいただいた内容を絶対匿名であさがお葬儀社紹介センターのホームページに掲載させていただいてよろしいでしょうか」

 の答えが「はい」のものだけ掲載しています。昨日の3通は「はい」で、本日の2通は「いいえ」でした。全体的に見ても、「はい」のほうが幾分多いようです。

 今日アップしたものの中には、
「あさがお紹介センターのフィルターを通して、葬儀屋が選ばれ、それを紹介いただける事は、迷える当事者にとってありがたい事でした」
 というものがありました。われわれの存在意義を再確認させてもらいました。

 存在意義を確認する場は思いのほか少なく、ともすれば惰性で日常は流れていきます。特に、変化が激しく速い時代です。いま現在の当センターが、どれぐらい社会の役に立っているのかを把握するのも簡単ではありません。ご依頼者様の声は、それを示すバロメータであると思っています。

冷静なリピーターに感謝する。

  「4年前に御社にお願いした者ですが、叔父が病院で先程亡くなりましたので、またご紹介いただけますか」お電話の主はてきぱきと話を切り出しました。

  お話をお伺いした後、ただちにご希望の斎場に精通したご要望に合うと思われる賛同社をご紹介し、様子を待ちました。
  まもなく賛同社から、今病院にお迎えに伺う途中との連絡を受け、ほっと一息つき、こちらも急いで4年前のファイルを紐解きました。

  アンケートとご寄付まで頂いておりました。
  しかし、頂いたアンケートを見てびっくり。
  そこには丁寧なきちんと整理された文章で、当時担当した賛同社への辛口の批評が書かれておりました。
  どんな行き違いがあったにせよ、ご迷惑をおかけしたことには相違ありません。

  ご葬儀の立会いにお伺いする日、先ずはお詫びをと勢い込んで斎場に入るやいなや、「やあ、以前にはお世話になりました」とご依頼者の明るい声に先手を打たれてしまいました。
  「今度は良い方を紹介して頂いてスムースに執り行っていますよ」場所のことも一瞬忘れ、思わずこちらもにっこりしかけ、あわてて非礼をお詫びする始末です。
  当時の賛同社のことはともかくも、万が一の時はまたお願いしようと当センターに全面的な信頼を寄せていらしたとのこと、ひたすら頭の下がる思いです。

  最近は大分趣が変わってきたとはいえ、マスコミを初めとした巷の噂でまだまだこの業界の苦情を耳にすることも多い中、冷静な判断でリピートしていただけたことは何事にも代えがたいできごとでした。

  ご葬儀は100人いれば100人それぞれ違います。
  ご喪家それぞれの立場に立ち、少しでも御満足いただけるよう、注意を払っておりますが、施行する担当者との疎通が十分行き渡らないままあわただしく日程が消化されるようなことがあれば、後々両者共々後悔するはめに陥らないとも限りません。

  そのためにも当センターでは見積りをお取りした後、出来るだけ葬儀社の担当者と直にお会いすることをお勧めしております。
  たとえ優秀な担当者であっても、ご葬儀はデリケートなことも含めて、ご喪家と合う合わないということもあり、また見積りだけでは分りにくい内容等の不安も解消されるのではとの観点からもお願いしております。
  地道なご紹介が皆様のご納得いくご葬儀の近道だと信じています。

  先日も95歳のお父様をお見送りしたご葬儀に立会い、ご相談者からは「良い葬儀社をご紹介いただいて感謝しております。母の時もよろしくお願いいたします」とその場で早くもお母様の時の御予約までいただきました。
 傍らのご高齢のお母様はにっこり微笑んで頷いていらっしゃいます。
 お役に立てるのは、ずっと先であることを願いながら、承諾いたしました。

感謝のことば

 私が相談員として直接ご相談者様との対応をしはじめたころのことです。
 電話口で、お若そうな男性が「葬儀社って紹介してもらえるんですか?」焦った様子で話し始めました。お話しを伺うと、入院していたお母様が退院した翌朝、急逝されたとのこと。
 何をどうしたらいいのか、まったくわからず、たまたまインターネットで見かけた当センターへ電話してみたとのことでした。

 急なことだったので、費用はあまりかけられないということや、そのほかの状況をお聞きした上で、とりあえず、まずはドライアイスの処置をしてもらいましょうということで、一社ご紹介させていただきました。
 
 その後、葬儀社さんから一日葬でのご葬儀になりましたとの報告をいただき、ほっとしたところ、今度はご相談者である息子さんから電話がきました。

 「今朝はどうしたらいいのかわからなくて電話してしまいましたが、本当に助かりました。ありがとうございました。」

 これからご葬儀の準備という慌ただい中、わざわざお礼の電話をいただいたとき、「この仕事に就いてよかった」と心から思ったこと、そして、その時の息子さんの声は今でも忘れていません。

 「ありがとう」という言葉を聞くと、少しは安心されたんだなと思い、また、自分の励みにもなります。
 私自身もたくさんの「ありがとう」を発信していきたいと思っています。

友人の事前相談

 先日、数人の友人と会う機会があり、楽しくおしゃべりをしていました。
 その会話の中で友人の一人が、「最近、実家の母が少し体調を崩すとお葬式の話をするのよね」と。BR> 「私のお葬式は、この写真使って、この曲をかけてね、それから、遺骨は海に散骨してちょうだい。」と電話をしてくるそうです。

 そのお母様は80歳を過ぎているのですが、毎朝ウォーキングをしたり、テニスを楽しんだりしていてとてもお元気な方。ご自分の葬儀はこうしてほしいという強い思いがあるそうです。

 友人にしてみれば「お葬式にこんな曲かけちゃっていいの?」とか、「お墓があるのに散骨しちゃっていいのかな?」とか…色々と疑問点も出てくるし、現実的に大丈夫なのかと心配したり。

 あいにくお母様は地方に一人暮らしをしているため、私が直接お手伝いすることは難しいかもしれないけれど、幸い、お母様もお元気で、自分から葬儀の話しをしてくれるのだから、一度じっくり話し合ってみて、地元の葬儀社に相談してみるといいかもね、と話しました。

なかなか難しいことですが、私も一度、そのお母様とお会いしてお話をしてみたいな…と思いました。

 「残暑お見舞い申し上げます」のはずが、一気に涼しくなり、ここ2〜3日はご葬儀の黒服姿も苦にならなくなるほどです。

 今年の夏もご葬儀では様々な人間模様を知る機会を得ましたが、嬉しい出来事もありました。

 初めはお姉さんに顔を見るのも拒否された弟さんでしたが、49日も過ぎ、無事三途の川を渡ったことでしょう。

 「警察から遺体を引き取って火葬にしてお骨を預かってくれる葬儀社さんを紹介してください。後でお骨は取りに行きますので・・・」深夜いただいたお電話に思わず・・・。

 20年以上も音信不通の弟さんの死を警察から知らされ、戸惑いが隠しきれないご様子です。

 「顔も見たくないし、だいいち主人にも弟の存在すら話してないので、私の貯金でやるしかないんです」
 
 弟さんの為にもこの切羽詰った状況をなんとか打破してあげなければ・・・。

 ことの次第を話して、センターの賛同社にお願いすることになりましたが、こちらもいっしょにすがるような気持でした。

 2日後、葬儀社さんからの報告は、なんと翌朝東京近郊からお嬢さんとお2人で葬儀社に駆けつけ、一緒に御遺体を引取りに出向いたとのこと。

 さらに翌日の火葬式には御主人と3人のお嬢さんも参列し、無事お見送りして、大事にお骨を抱えてお帰りになられたご様子まで伺いました。

 「49日には菩提寺に納骨します」とおっしゃっていたというお姉さんの晴れ晴れとした顔が目に浮かぶようです。

 案ずるより生むが易いではないが、こちらまで胸のつかえがいっぺんに下りたような気持です。

 今年は3・11以来「絆」という言葉が巷に溢れています。
 お姉さんにとっての「きずな」にはどんな思いが託されているのでしょうか。

宗教観を踏まえたご葬儀のあり方を…。

 「5年前の母の葬儀と同様に、無宗教葬で父の葬儀もお願いします。母の時は大好きな音楽とナレーションで綴ったご葬儀でしたが、父の場合はゆったりとした時間を思い出のお話を中心に進行していただければと思います」。

 思わず事前相談かと錯覚を起こすほど電話口での口調は穏やかでした。
 病院から搬送された御遺体はすでにご自宅にご安置されていらっしゃるとのこと。

 早速にご葬儀の手配を整え、受話器を置くと同時位に新たなベルが鳴りました。

 「49日に戒名を付けて納骨と言われたが戒名代ってこんなに掛かるのですか。戒名って何ですか。納骨式はこの何分の一以下で済むと思っていたのですが・・・」。
  
 伺った戒名代はセンターの賛同社が手配する戒名付きのお布施代の倍以上。
 確かに少し高いのでは・・・。

 宗教には関心が無いが、数年前にセールス熱心な石屋さんに根負けして、千葉のお寺さんのお墓を購入。
 このたび、お母様が遠方の老人ホームでお亡くなりになり、ご葬儀はそちらで済ませたが、いざ納骨という段になり、お寺からは戒名が必要と助言されたとのこと。

 お寺のご近所の方に伺うと、このあたりはくだんの戒名代が相場とこともなげに言われたたが、すでにご葬儀での出費で予算が無いのでどうしたものかと。

 昨今は地方から都会に移り住み、ご自宅には御仏壇も無く、葬儀で言われるまで、宗教について考えたこともない方が増えています。
 更にはお近くに頼れる御親族も無く、お知り合いの壇信徒の方もいらっしゃらないケースも出てきています。

 「お寺サイドはあくまでお志でとしかおっしゃらないでしょうが、この際実情を申し上げて交渉されては・・・。その結果をご相談しましょう」と申し上げましたが。

 立て続けのお電話を受け、これから特にご自身のご葬儀を考えるにあたり、従来通りの右倣えではない宗教観を踏まえたご葬儀のあり方を、一考する時期に来ているのではと考えさせられました・・・。

「遠い夏の日」のタイトル

 夏が近づくと一枚の絵葉書が気になります。

 麦藁帽子に白い服の少女は背丈ほどもあるお花畑を突き進んでいます。
 「遠い夏の日」のタイトルの少女はまだお元気でしょうか。

 3年前に頂いた絵葉書の中の少女は後姿しか見せませんが、夏の強い日差しを浴びながらも毅然とした姿で歩き続けているようです。

 数十年後の少女から頂いた事前相談のお礼のお手紙には「万が一の時にはすでに一生が終わって何一つそのことにたずさわることもございませんわけですのに、客観的に冷静に考えられまして妙にすっきりいたしました」としたためられ、これからの行く末を見据えて生きる気迫が感じられました。

 事前相談がマスコミに取り上げられ始め、今までの因習にとらわれず、自分の最期は自分の考えのもとでとご希望される方々が出始めたのも丁度その頃でした。

 「いつか必ずお世話に預かりますことと存じます」と結ばれたお手紙と絵葉書をファイルの中から取り出しては時折眺めています。

 今年もまた永遠の少女からのお便りが届きませんようにと念じつつ・・・・。

最期を意識する時、ご自身の事前相談は・・・?

 先日,朝日新聞に「水戸黄門」の名脇役の入川保則さんが余命半年を宣告されていることを明らかにされ、残された時間を精一杯生きることをお話されている記事が掲載されていました。
 すでに葬儀社の手配も済ませていらっしゃるとのことです。

 最近ではご自身の事前相談をされる方を、時々当センターでもお見受けします。
 ご自身の最期はご自分のお気持に忠実で、ご自身の意志を貫いてとのことですが、このご相談もある意味お元気だからこそできるのではと思っていました。
 
 ご病気でお気持が萎えている時はなかなか難しいのでは・・・。余命が宣告されても奮い立たせることができる方は普段どんなお気持で過ごされていらっしゃるのだろうか。

 丁度1年ほど前、50代の女性の方からご自身の事前相談を受けたことがありました。
 体調が悪くなったら入院しますのでとメールのやり取りでは終始冷静に対処され、ご紹介した賛同社の担当者からもお元気そうでしたとの報告を受け、大分先のお話になるのではと勝手に想像しておりました。
 知らせを受けたのはそれから1ヶ月後でした。事前にご自身のご葬儀を見事に割り振りされ、有終の美を飾られたようです。

 最近、見積りをお送りして5ヶ月ぶりにご連絡を頂いた方がいらっしゃいました。
 遺言でこれからご家族に報告しておきたいので、細部を最後に確認されたいとのこと。
 自分のことなのでとご自身で納得がいくまでご質問され、最後晴れ晴れしたお声で電話をお切りになりました。
 その日1日こちらも晴れ晴れした気持を頂きました。